要点商法552条は、問屋が他人のためにした売買でも相手方に対して自ら権利を取得し義務を負うと定める。問屋と委託者の関係には委任及び代理の規定が準用される。
Q · ネット証券で株を買ったとき、市場で契約してるのは自分?それとも証券会社?
委託者ではなく問屋(証券会社)自身が契約当事者になります
商法552条1項により、問屋は他人のためにした販売または買入れであっても、相手方に対して自ら権利を取得し義務を負います。つまり市場で売買契約を結んだ当事者は証券会社であって、委託者であるあなたではありません。委託者と問屋との間には同条2項により委任及び代理の規定が準用され、対外的には問屋が当事者、対内的には委託者の計算で利益が帰属する間接代理の構造になります。この区別は、問屋が倒産したときの委託資産の取戻しで決定的に効いてきます。
スマホのアプリで「買い」を押す。数秒で約定。あなたはその株を自分が直接買ったつもりでいる。だが商法 552 条はこう言う。証券会社のような問屋は、他人のためにした売買であっても、相手方に対して自ら権利を取得し、義務を負う。つまり市場で売買契約を結んだ当事者は証券会社であって、あなたではない。あなたと証券会社の間には委任と代理の規定が準用されるが、実際に取引した相手から見れば、あなたは表に出てこない。これを間接代理という。普段はどうでもいい理屈に見える。決定的に効いてくるのは、その証券会社が倒産した瞬間だ。あなたが買ったはずの株は誰のものか。会社の財産に紛れ込んで債権者に持っていかれるのか、それともあなたが取り戻せるのか。552 条が引いた「自ら権利を取得する」という一本の線が、その答えの出発点になる。
商法552条は問屋の権利義務を定める規定である。問屋は他人のためにした販売または買入れにより、相手方に対して自ら権利を取得し義務を負う。問屋と委託者との関係については、同章の規定のほか委任及び代理に関する規定が準用され、対外的当事者性と対内的な計算帰属を分離する間接代理の構造を採る。
自己の名をもって他人のために物品の販売または買入れをすることを業とする者です(商法551条)。証券会社の委託売買や商品先物取引業者が現代の典型例で、卸売の「とんや」とは別概念です。
本人の計算で取引しながら、代理人が自己の名で契約当事者となる形態です。対外的には代理人、対内的には本人に利益が帰属します。問屋はその典型で、552条がこの構造を支えています。
問屋は自己の名で当事者として売買しますが、仲立人(商法543条)は当事者間の契約成立を仲介するだけで自らは当事者になりません。責任の重さと契約構造が根本的に異なります。
市場価格のある物品の売買委託で、問屋自身が買主または売主となって委託を履行できる権利です(商法555条)。委託者の利益を害さない範囲で自己取引が認められます。
売買以外の行為を自己の名で他人のために引き受ける業者です(商法558条)。海外品の購入代行サービスなどが該当し、552条以下の問屋の規定が準用されます。
別段の意思表示または慣習がない限り、問屋は委託者に対して取引の相手方の履行を担保する責任を負います(商法553条)。委託者保護のため義務が加重された規定です。
552条2項が準用する民法646条(受取物の引渡義務)を根拠に取戻しを主張できる余地があります。さらに金融商品取引法の分別管理と投資者保護基金が一定額まで補償します。
本条固有の時効はなく、準用される委任の法律関係を基礎に民法166条の一般消滅時効(知った時から5年・行使できる時から10年)が適用されます。旧商事消滅時効は2017年改正で廃止されました。
商法 552 条で証券会社が自己の名で取引していても、552 条 2 項が準用する委任の規定により、あなたの委託資産は会社の固有財産とは区別して扱われます。さらに金融商品取引法は顧客資産の分別管理(43 条の 2)を義務づけ、投資者保護基金が一定額まで補償します。業界裏話ヒント:補償の手厚さは業者の管理体制次第で実際の戻り方が変わります。口座開設の前に「分別管理の方法」と「保護基金加入の有無」を確認しておくのが、倒産が起きてから慌てないための唯一の予防策です
問屋は「自己の名をもって他人のために」売買する業者(商法 551 条)で、552 条 1 項により売買の相手方に対して自ら権利を取得し義務を負います。あなたは相手方との間に直接の契約関係を持たず、証券会社との間で委任・代理の関係に立ちます。これを間接代理と呼びます。業界裏話ヒント:この構造のおかげで市場の相手方はいちいち最終顧客の信用を調べずに取引でき、取引が速く回ります。あなたの匿名性が守られるのは副産物で、本来の狙いは取引の安全と迅速さです
現役です。商法上の問屋(といや)は卸売の「とんや」とは別概念で、証券会社の委託売買、商品先物取引業者が典型例です。552 条以下の規定は、これら現代の金融・商品取引の土台として今も機能しています。業界裏話ヒント:海外品の購入代行サービスなど、売買以外の行為を自己の名で他人のために引き受ける業者は「準問屋」(558 条)として 552 条が準用されます。あなたが日常で使うサービスの中に、気づかぬうちに問屋構造が隠れていることは珍しくありません
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| 定義 | 552条:問屋は自己の名で売買し相手方に対し自ら権利義務を負う | — |
| 誰の利益のための規定か | 取引の安全(相手方の信頼保護)+間接代理の枠組み | — |
| 委託者との関係 | 委任及び代理の規定を準用(2項) | — |
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