要点商法555条は、取引所の相場がある物品の売買委託を受けた問屋が自ら相手方になれると定める。代価は通知を発した時の取引所相場で固定され、介入後も報酬を請求できる。
Q · 証券会社に株の注文を出したら、その取引相手が証券会社自身ということはありますか?
あります。取引所相場のある物品では問屋自身が相手方になれます。
商法555条は、取引所の相場がある物品の売買委託を受けた問屋が、自ら買主または売主になれる「介入権」を定めます。価格は問屋が相手方になった旨の通知を発した時点の取引所相場で固定されるため、業者が恣意的に高値・安値を付けることはできません。さらに555条2項により、自ら相手方になっても委託者に報酬を請求できます。客観的な市場価格が利益相反の安全装置として機能する設計です。
スマホの証券アプリで「成行買い」をタップした瞬間、その株を売っているのは誰か考えたことがあるだろうか。多くの人は『どこかの別の投資家』だと思っている。だが商法555条は、あなたの注文を受けた問屋(自分の名前で他人のために物品の売買を代行する業者、典型は証券会社や商品仲介業者)が、取引所の相場がある物品については自ら相手方になれると定める。つまり、あなたが買い注文を出した相手が、あなたの委託を受けたその業者自身ということがありうる。普通なら『自分の依頼人と自分が取引する』のは利益相反だが、555条はそれを許す。なぜ許せるのか。鍵は『取引所の相場』だ。価格が市場で客観的に決まっているから、業者がこっそり高値や安値を吹っかける余地がない。代価は業者が『自分が相手方になった』と通知を発した時点の相場で固定される。客観価格という安全装置があるからこそ、利益相反の扉が開く。さらに業者は、自ら相手方になってもなお委託者から報酬を取れる(2項)。
商法555条の介入権とは、取引所の相場がある物品の売買委託を受けた問屋が、自ら買主または売主となって取引を成立させられる権利をいう。代価は問屋が相手方となった旨の通知を発した時の取引所相場で確定し、介入後も報酬請求権は失われない。客観的な市場価格を介入の条件とすることで利益相反の弊害を制御する規定である。
取引所の相場がある物品の売買委託を受けた問屋が、自ら買主または売主になって取引を成立させられる権利です。商法555条が根拠で、価格は通知発信時の相場で固定されます。
「取引所の相場がある物品」に限られます。上場株式や金などの相場が市場で客観的に決まる物品が対象で、相場のない一般商品には介入権は及びません。
問屋が「自ら相手方になった」旨の通知を発した時点の取引所相場で確定します(商法555条1項後段)。後出しで有利な価格を選ぶことはできません。
問屋は自分の名前で他人のために売買する者、仲立人は他人間の契約成立を媒介するだけの者です。仲立人は自ら当事者にならず、介入権は問屋に固有の制度です。
民法108条は自己契約・双方代理を原則禁止しますが、商法555条は取引所相場という客観価格を条件にその例外を認め、問屋が自ら相手方になることを許します。
必要です。問屋が自ら相手方になった旨の通知を発した時点が代価の基準時となるため、通知の発信が価格確定の起点になります。
構造は似ていますが根拠が違います。販売所は資金決済法に基づく業者の提示価格(スプレッド込み)での売買で、取引所相場で固定される商法の介入権とは価格決定の仕組みが異なります。
委任の性質を持ちます。問屋には善管注意義務や指値遵守義務(商法554条)が及び、報酬請求の基礎は民法の受任者報酬規定(648条)にあります。
原則として損はしない仕組みです。商法555条1項後段により、代価は問屋が『自ら相手方になった』と通知を発した時点の取引所相場で決まるため、業者が一方的に高値や安値を付けることはできません。価格が市場で客観的に決まっているのが安全装置です。業界裏話ヒント:現代の上場株は金融商品取引法と取引所規則で執行が細かく規律され、商法の介入権が表に出る場面はむしろ限られます。注意すべきは暗号資産の『販売所』方式で、ここは取引所相場ではなく業者の提示価格、スプレッドが実質的なコストになる
商法555条2項が明記しています。問屋が自ら相手方になっても、委託された売買事務を履行したことに変わりはなく、報酬請求権は失われません。介入は『売買を成立させる』という委託目的を達成する一つの手段だからです。業界裏話ヒント:実務では介入があったかどうかが委託者に見えにくいことがあり、報酬と売買差益の二重取りを疑われやすい。だからこそ通知時刻と相場の記録が、業者にとっても委託者にとっても唯一の客観的な物差しになる
違います。法律上の問屋(といや)は、自分の名前で他人(委託者)のために物品の売買をする業者を指し(商法551条)、日常語の卸売業者(とんや)とは別概念です。典型は取引所での売買を取り次ぐ証券会社や商品仲介業者で、555条が想定するのは『取引所の相場がある物品』を扱うプロです。業界裏話ヒント:問屋契約は委任(民法643条以下)の性質を持つため、善管注意義務や指値遵守(商法554条)が問題になる。卸売の『問屋』と混同したまま条文を読むと、まるで意味が取れなくなる
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| 規律内容 | 商法555条:問屋が自ら買主・売主になれる介入権 | — |
| 適用前提 | 取引所の相場がある物品の売買委託 | — |
| 委託者保護の仕組み | 代価は通知発信時の取引所相場で機械的に固定 | — |
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