船長は、海員がその職務を行うについて故意又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
要点商法713条は、海員が職務上故意・過失で他人に与えた損害を、監督者である船長が賠償する責任を定める。船長が監督について注意を怠らなかったと証明すれば免責される。
Q · 船員が事故を起こしたら、船長個人も賠償しないといけないの?
原則そうだが、監督に落ち度がなければ免責される
商法713条により、海員が職務を行うについて故意又は過失で他人に損害を与えたとき、現場を指揮する船長自身が賠償責任を負います。ただし船長が「海員の監督について注意を怠らなかった」ことを証明すれば免責されます。被害者が船長の過失を立証するのではなく、船長が無過失を立証する点が特徴で、立証責任が転換しています。免責規定のない船舶所有者の責任(商法690条)と並ぶ責任主体となります。
貨物船の甲板員が荷役中に不注意でワイヤーを跳ねさせ、岸壁にいた港湾作業員に大けがを負わせた。被害者が真っ先に矛先を向けるのは「船を持っている会社」だが、商法713条はもう一人、財布を開く可能性のある人物を名指ししている。船長だ。本条は、海員(船員)がその職務を行うについて故意または過失で他人に損害を与えたとき、その海員を現場で指揮する船長自身に賠償責任を負わせる。ただし民法715条の使用者責任と同じく、ここには逃げ道が一本だけ用意されている。船長が「海員の監督について注意を怠らなかった」ことを自ら証明できれば、責任を免れる。つまり過失を被害者が立証するのではなく、無過失を船長が立証する。立証責任が裏返っている、この一点が本条の急所だ。船を所有する会社の責任(商法690条)には、この逃げ道すらない。同じ事故でも、誰を狙うかで戦い方がまるで変わる。
商法713条は船長の責任を定める規定であり、海員がその職務を行うについて故意又は過失で他人に損害を加えた場合、その監督者である船長自身が賠償責任を負う旨を規定する。民法715条の使用者責任の海商法上の特則であり、船長が海員の監督について注意を怠らなかったことを証明すれば免責される、立証責任転換型の中間責任である。
商法713条が定める、海員の職務上の不法行為について監督者である船長が負う賠償責任です。監督に注意を怠らなかったと証明すれば免責される中間責任です。
船舶所有者の責任(商法690条)には免責規定がありませんが、船長の責任(713条)には監督注意の免責があります。被害者には船主の方が確実に取れます。
海員の監督について注意を怠らなかったことを自ら証明する必要があります。当直表・安全教育記録・注意喚起文書を平時から残すことが鍵になります。
損害と加害者を知った時から3年、人の生命・身体の侵害は5年、不法行為時から20年で除斥されます(民法724条・724条の2)。
商法第3編(海商)の中にあり、船長の損害賠償責任と監督注意の免責が一か条で定められています。
できます。加害海員自身は民法709条の不法行為責任を負い、船長・船主と並ぶ責任主体になります。ただし資力が乏しいことが多いです。
船舶所有者等が一定の海事債権について責任を金額的に制限できる手続を定める法律で、巨額賠償でも回収額が頭打ちになる場合があります。
中間責任です。立証責任が転換され船長が無過失を証明すれば免責される点で、免責のない無過失責任(船主の690条)とは異なります。
確実性なら会社(船舶所有者)です。船主の責任を定める商法690条には免責規定がないのに対し、船長の責任(商法713条)には『監督に注意を怠らなかった』という免責の逃げ道があります。業界裏話ヒント:実務では両方に同時請求し、免責を主張できない船主を主軸に据えるのが定石。船長だけを追うと免責の盾で粘られ、和解が長引きます
本条は『海員がその職務を行うについて』加えた損害が対象なので、純粋な私的行為は原則として射程外です。ただし職務との関連が外形上認められる行為(職務の延長と見られる場面)まで広がりうる点に注意が必要で、ここは事実認定で争われます。業界裏話ヒント:『職務執行性』の線引きこそが攻防の中心で、被害者側は職務関連を広く、船長側は私的行為性を強く主張する。境界事案では、勤務時間・船内か否か・職務道具の使用が判断材料になります
海上の損害には『船舶の所有者等の責任の制限に関する法律』(船主責任制限法)が関わり、一定の事故では責任が金額的に制限される手続があります。船長等もこの制限を援用しうる立場にあります。業界裏話ヒント:陸の交通事故の感覚で満額回収を期待すると、海事特有の責任制限で頭打ちになることがある。被害者側は早期にこの手続の可能性を織り込んで戦略を立てる必要があります(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 責任主体 | 商法713条:船長(現場の指揮監督者) | — |
| 免責の有無 | 監督について注意を怠らなかった証明で免責あり | — |
| 立証責任 | 船長が自ら無過失を立証(責任は推定) | — |
| 適用場面 | 海員の職務上の不法行為(海商の現場) | — |
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