荷送人は、前条の規定により個品運送契約の解除をしたときであっても、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務を免れることができない。
要点商法 744 条は、荷送人が個品運送契約を解除しても、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務は免れないと定める。運送賃は不要でも、現に支出された実費は残る。
Q · 船積み前に運送契約を解除したのに、運送会社にまだお金を払わないといけないの?
運送賃は不要でも、付随費用と立替金の支払義務は残ります
商法 744 条により、荷送人が前条(743 条)に基づき個品運送契約を解除しても、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務は免れません。付随の費用とは運送に伴う荷役・保管等の実費、立替金とは運送人があなたに代わって支払った港湾諸費用等です。運送そのものの対価である運送賃は不要になっても、運送人が現に支出した実費部分は残ります。請求が届いたら、運送賃・付随費用・立替金に仕分け、後二者は明細と領収書を確認するのが第一歩です。
輸入雑貨を海上コンテナで仕入れる小さな商社を営んでいるとする。船積み前に取引がご破算になり、運送契約をキャンセルした。前条(商法743条)であなたには発航前に個品運送契約を解除する権利がある。ここまでは安心していい。だが安心しきってはいけない。744条はこう釘を刺す。たとえ解除したとしても、運送人に対する「付随の費用」と「立替金」の支払義務までは消えない、と。付随の費用とは、運送に伴って実際に発生した荷役・保管などの実費(運送そのものの対価である運送賃とは別物)。立替金とは、運送人があなたの代わりに港湾諸費用や関税相当額などを先に払っておいたカネだ。契約を白紙に戻しても、相手がすでにあなたのために動いて出したカネは、あなたが背負う。解除イコール全部チャラ、というよくある思い込みが、ここで静かに崩れる。
商法 744 条は、個品運送契約の解除後における荷送人の費用負担を定める規定である。荷送人が前条により契約を解除した場合でも、運送人に対する付随の費用及び立替金の支払義務は存続する。付随の費用とは運送に伴って現実に発生した荷役・保管等の実費を指し、立替金とは運送人が荷送人に代わって先に支出した港湾諸費用等をいう。
個品運送契約とは、個々の運送品を対象として運送人が海上運送を引き受ける契約です。船舶を貸し切る傭船契約と異なり、コンテナ貨物など荷物単位で結ばれます。商法 737 条以下が規律します。
付随の費用とは、運送そのものの対価である運送賃とは別に、運送に伴って現実に発生した荷役費・保管費などの実費を指します。商法 744 条により、契約を解除しても支払義務が残ります。
立替金とは、運送人が荷送人に代わって先に支払った港湾諸費用や関税相当額などのカネです。罰金ではなく実費の精算であるため、契約を解除しても商法 744 条で支払義務が残ります。
商法 743 条は、荷送人が発航前に運送賃の全額等を支払って個品運送契約を解除できる権利を定めます。744 条はこの解除をしても付随費用と立替金は残ることを補完します。
商法 744 条の付随費用・立替金は違約金ではなく実費精算です。罰金的なペナルティではないため、運送人が現に支出した額の根拠を明細で確認できます。
商法 574 条は、運送人が付随の費用及び立替金等の支払を受けるまで運送品を留置できる権利を定めます。744 条で残る費用の回収を担保する仕組みです。
運送賃は運送そのものの対価、付随の費用は荷役・保管など運送に伴う実費です。商法 744 条では、解除で運送賃の負担を免れても付随費用は残るという扱いの違いがあります。
付随費用・立替金の請求権に固有の特別時効はなく、一般の消滅時効が適用されます。権利を行使できることを知った時から 5 年です(民法 166 条 1 項)。
解除で運送賃の負担からは原則として解放されても、付随費用と立替金は別だからです。744条は、解除しても運送人に対する付随費用と立替金の支払義務は免れないと定めています。立替金は運送人があなたの代わりに現に払ったカネなので、契約を白紙にしても消えません。業界裏話ヒント:運送会社は解除されると運送賃を取り損ねるため、付随費用と立替金は確実に回収しようと細かく積み上げてきます。最初に費目を運送賃と分けて仕分けるだけで、払う義務のある範囲がはっきりする
確かめられますし、確かめるべきです。立替金は運送人が実際に支出した実費の精算なので、支払先と金額を示す領収書や明細の提示を求められます。根拠書類のない分や、契約で想定していなかった費目は争う余地があります。業界裏話ヒント:請求書が届いた直後、入金する前に明細を求めるのが鉄則。いったん払ってしまうと、後から過大だと気付いても取り戻すのは一気に難しくなる
船積港または陸揚港が日本国外にある国際運送では、特別法である国際海上物品運送法が優先的に適用され、商法の規定はその範囲で準用や修正を受けます。純粋に国内の海上個品運送であれば商法744条が直接の根拠になります。業界裏話ヒント:国内か国際かで適用される法律と細部のルールが変わるため、契約書のどこに準拠法と適用範囲が書かれているかを先に確認する。ここを読み飛ばすと、想定と違う土俵で精算交渉をする羽目になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 744 条:解除後に残る付随費用・立替金の支払義務 | — |
| 荷送人への効果 | 解除しても実費部分の負担は残る | — |
| 保護される利益 | 運送人の出捐(実費)の回収 | — |
| 適用の前提 | 743 条による解除がされたこと | — |
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