要点商法 769 条は、陸海をまたぐ運送を一の契約で引き受けた運送人に、複合運送証券の交付義務を定める。船荷証券の規定が準用され、証券と引換えでなければ貨物は引き渡されない。
Q · 輸入した貨物が港で行方不明になったら、商品の持ち主なら誰でも取り戻せるの?
いいえ、複合運送証券を呈示できる者だけが請求できます
商法 769 条の複合運送証券は、運送品の引渡請求権を表す有価証券です。受戻証券性により、証券と引換えでなければ運送人は引渡しを拒めます(2 項が準用する船荷証券の規定)。つまり商品の所有者であっても、証券を呈示できなければ貨物は出てきません。逆に証券を持つ者は、陸と海をまたぐ全行程について一人の運送人に責任を問えます。証券を紛失した場合は、公示催告・除権決定という裁判所の手続を経なければ証券なしで請求できません。
海外の工場から仕入れた商品が、船で日本の港に着き、そこからトラックであなたの倉庫まで運ばれる。この陸と海をまたぐ輸送を一つの契約で引き受けた運送人に対して、荷送人であるあなたは複合運送証券の交付を請求できる。商法769条が定めるこの一枚は、ただの受領書ではない。運送品の引渡しを請求する権利そのものを表す有価証券であり、これを持つ者が貨物を支配する。船積み後はもちろん、船積み前でも運送人が品物を受け取った後なら、あなたは請求できる。重要なのは2項だ。船荷証券の規定がまるごと準用されるため、この証券は券面の文言が真実とみなされ(文言証券性)、貨物を受け取るには証券そのものを差し出す必要がある(受戻証券性、券と引換えでなければ品物は出てこない)。つまり、紙一枚が貨物の鍵になる。信用状(L/C)決済で銀行に差し入れるのも、第三者に転売するのも、すべてこの一枚が動く。
商法 769 条は複合運送証券を定める規定であり、陸上運送と海上運送を一の契約で引き受けた運送人が、荷送人の請求に応じて運送品の船積み後または受取後に交付すべき有価証券を規律する。同条 2 項により船荷証券の規定が準用され、当該証券は文言証券性・受戻証券性・処分証券性を備える有価証券として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
陸上運送と海上運送をまたぐ全行程を一通でカバーする有価証券です。商法 769 条が根拠で、運送品の引渡請求権を表し、これを持つ者が貨物を支配します。
陸海一貫運送を一の契約で引き受けた運送人または船長です。利用運送事業者(フォワーダー)が引き受けた場合も発行義務を負い、船積み後または受取後遅滞なく交付します。
運送品の船積み後はもちろん、船積み前でも運送人が品物を受け取った後なら荷送人は交付を請求できます(商法 769 条 1 項)。船積み済みか受取済みかは券面に記載されます。
商法 758 条を準用した記載事項に、発送地および到達地が追加されます(769 条 2 項の読替え)。運送品の品名・個数・外観の状態などが含まれます。
できます。処分証券性により、証券の移転で運送品の処分ができ、第三者への転売や信用状決済での銀行への差入れに使われます。記名式・指図式の別で裏書方法が変わります。
複合運送証券は有価証券で、券面と引換えでなければ貨物が出ません。海上運送状(Sea Waybill)は単なる証拠書類で受戻証券性がなく、名宛人が証券なしで受け取れます。
陸海一貫運送を自ら引き受けた利用運送事業者は運送人にあたり、発行義務を負います。発行を渋れば債務不履行となり、券面の記載は文言証券性により後から覆しにくくなります。
券面に書かれた個数や状態が真実とみなされ、善意の証券所持人に対しては実際の積荷と食い違っても記載が優先する効力です(準用される商法 760 条)。記載ミスが重い責任に化けます。
船荷証券は海上運送だけをカバーします。複合運送証券は陸と海をまたぐ全行程を一通でカバーする点が違います(商法769条)。ただし証券の効力(文言証券性・受戻証券性など)は船荷証券の規定が準用されるので、性質はほぼ同じです。業界裏話ヒント:実務では「複合運送証券」という表題でなくても、本文に陸海一貫の引受けが書かれていれば複合運送証券として扱われることがある。表題ではなく中身で判断されるので、もらった証券のカバー範囲は券面の運送区間欄を必ず確認する
損害発生区間が不明な場合でも、複合運送証券を発行した運送人に全行程の責任を問えます。区間が特定できればその区間の法(国際海上物品運送法など)の責任限度が適用され、不明なら法定のルールで処理されます(商法578条の複合運送人の責任)。業界裏話ヒント:区間が特定できるかどうかで賠償額の上限が大きく変わることがある。運送人側は「海上区間で生じた」と主張して低い責任限度を使いたがる。荷主側は損傷状態の写真と各区間の受渡記録を押さえ、どこで起きたかの主導権を握ることが交渉の鍵
受戻証券性があるため、原則として証券と引換えでなければ運送人は引渡しを拒めます。紛失した場合は、簡単には再発行されず、公示催告・除権決定(非訟手続)という裁判所の手続を経て初めて証券なしで請求できます。業界裏話ヒント:この手続には数か月かかる。その間、貨物は港で保管され保管料が積み上がる。証券原本は現金と同じ感覚で管理すべきで、L/C取引では銀行間で送る間の紛失リスクに備え、サレンダーB/Lや電子式の仕組みを使うことも増えている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| カバーする運送区間 | 複合運送証券(769 条):陸海をまたぐ全行程を一通でカバー | — |
| 有価証券性 | 有価証券(文言・受戻・処分証券性を準用) | — |
| 貨物受取の方法 | 証券と引換えでなければ引渡しを拒める | — |
| 事故時の責任追及先 | 複合運送人一人に全行程を問える(578 条) | — |
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