船舶を保険の目的物とする海上保険契約(以下この章において「船舶保険契約」という。)については、保険期間の始期における当該船舶の価額を保険価額とする。
要点商法 818 条は、船舶保険の保険価額を保険期間の始期における船舶の価額とすると定める。事故時の中古相場ではなく契約開始時の船価が損害てん補の基準となる。
Q · 船が沈んだとき、保険金はいつの時点の船の値段で計算されるの?
始期(契約開始時)の船価が基準。事故時の値段ではない。
商法 818 条により、船舶保険の保険価額は保険期間の始期における当該船舶の価額で固定されます。事故時に船が古くなっていても、てん補の基準価額は始期のまま動きません。ただしこれはデフォルトのルールで、契約時に金額を取り決める協定保険価額(評価済保険)があれば、そちらが優先します。保険金額が始期価額を超える部分は超過保険として無効(保険法 9 条)、下回れば一部保険として比例てん補で削られます(保険法 19 条)。
あなたが所有する漁船が時化で沈んだ。保険金を請求したら、保険会社が「契約時より船は古くなっているので、価額はこの程度です」と減額を切り出してきた。だが商法818条を知っていれば、その土俵に乗らずに反論できる。船舶保険の保険価額は、保険期間の始期、つまり契約がスタートした時点の船の価額で固定される。一年の途中で船がどれだけ古くなろうと、てん補の基準は始期の価額のまま動かない。これが法律の定める法定保険価額だ。ただし押さえるべきは、818条はあくまでデフォルトのルールだという点。実務の船舶保険では、契約時に当事者が金額を決めておく協定保険価額(評価済保険)を入れるのが普通で、その合意があれば818条より協定額が優先する。あなたが真っ先に確かめるべきは、自分の証券に協定保険価額の条項があるか、ないか。あれば合意額、なければ818条の始期価額。この一点を知らないと、保険金交渉で言われるがままに減額を飲むことになる。
商法 818 条は船舶保険契約における法定保険価額を定める規定であり、保険価額を保険期間の始期における当該船舶の価額とする。普通裁判籍とは異なり時点を基準時で固定する点に特色があり、損害てん補の基準を一義的に確定する役割を持つ。当事者間で協定保険価額が定められた場合には、その合意額が本条に優先する。
損害てん補の基準となる船舶の評価額です。商法 818 条により、保険期間の始期における当該船舶の価額が法定保険価額となり、保険金支払いの計算の出発点になります。
法定保険価額は商法 818 条が定める始期の船価。協定保険価額は当事者が契約時に合意した評価額で、合意があれば協定額が優先します。実務の船舶保険はほぼ協定保険価額で結ばれます。
保険金額が保険価額を下回る一部保険では、保険金=損害額×(保険金額÷保険価額)で算定されます(保険法 19 条)。基準となる保険価額が始期価額である点が出発点です。
保険金額が保険価額を超える超過保険では、超過部分は効力を持ちません(保険法 9 条)。全損でも超えた分は支払われず、その分の保険料は払い損になります。
保険金請求権の消滅時効は 3 年です(保険法 95 条 1 項)。起算点は権利を行使できる時で、通常は保険事故の発生時です。最新の改正状況は要確認です。
平成 30 年(2018 年)の商法改正で海商編が約 120 年ぶりに現代化され、令和元年(2019 年 4 月 1 日)に施行されました。船舶保険の保険価額規定も現行の形に整理されました。
契約時に当事者が保険価額をあらかじめ取り決める保険で、協定保険価額とも呼ばれます。著しく過大でない限り合意額が基準となり、商法 818 条の始期価額に優先します。
適用されます。プレジャーボートやジェットスキーの保険も海上保険の一種で、契約時の評価額が事故時のてん補の天井となります。レジャー目的でも始期価額の把握が重要です。
設定自体はできますが、保険価額(818条の始期価額または協定額)を超える部分は超過保険として効力を持ちません(保険法9条)。全損でも超えた分は1円も出ず、その保険料は払い損です。業界裏話ヒント:実務の船舶保険はほぼ全て協定保険価額(評価済保険)で結ばれ、818条の始期価額が表に出る場面はむしろ少ない。だが協定額が実勢と大きく乖離すると保険者から争われる余地があるので、評価額の根拠資料を契約時に残しておくと後で効いてくる。
いいえ。818条は保険価額を保険期間の始期で固定するので、期間中に船が古くなっても基準価額は下がりません。事故時の中古相場で減額してくるのは誤りです。業界裏話ヒント:ただし翌年も同じ金額のまま更新すると、実勢が下がった分だけ超過保険に傾く。逆に据え置いたつもりが船価下落で一部保険側に振れることもある。固定されるのは『その一年間』だけで、毎年の更新が実質的な調整弁になる。(最新の改正状況をご確認ください)
契約上の地位を承継した場合、保険価額は元の契約の始期基準のまま引き継がれるのが原則です。あなたが買った価格とはズレている可能性が高い。業界裏話ヒント:船を買ったら保険は『引き継ぐ』より『結び直す』方が安全なことが多い。新規契約なら新しい始期で価額が設定され、協定保険価額もあなたの取得価額に合わせられる。承継のまま放置すると、事故時に前オーナー基準の評価で削られるリスクが残る。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 保険の目的物 | 商法 818 条:船舶 | — |
| 保険価額の基準時 | 保険期間の始期における船舶の価額 | — |
| 実務での扱い | 協定保険価額(評価済保険)が優先するのが通常 | — |
| ズレが生む問題 | 据置きで超過保険、船価下落で一部保険に傾く | — |
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