この章の規定は、製造中の船舶について準用する。
要点商法 850 条は、船舶先取特権及び船舶抵当権の規定を製造中の船舶に準用する。未完成の船にも抵当権を設定でき、登記を備えれば倒産時に優先回収できる。
Q · まだ完成していない建造中の船に、抵当権や担保をつけられるの?
つけられる。商法 850 条が担保の規定を製造中の船に準用する。
商法 850 条により、船舶先取特権及び船舶抵当権の規定(第 8 章)が製造中の船舶に準用されます。つまり完成前の船体にも船舶抵当権を設定でき、造船所はこれを担保に巨額の建造資金を調達できます。実務では製造中の船舶の登記を行い対抗要件を備えます。登記の有無と順位が、造船所が倒産したとき仕掛かりの船体を誰が優先的に回収できるかを決めます。
造船所のドックに、まだ船体の三割しか組み上がっていない鋼鉄の塊がある。これが法律上「船舶」として扱われ、抵当権の対象になる。商法 850 条はたった一文、「この章の規定は、製造中の船舶について準用する」。だがこの一文が世界の造船金融を静かに支えている。第8章は船舶先取特権と船舶抵当権を定める章。もし完成した船にしか担保を設定できないなら、一隻数百億円の大型船の建造資金を造船所はどこからも借りられない。850 条があるからこそ、銀行は「まだ存在し終えていない船」を担保に取って融資できる。あなたが造船業や船舶金融、あるいは船の新造発注に関わるなら、この一文が資金の流れの蛇口だと知っておくべきだ。完成前の船に抵当権を設定するには製造中の船舶の登記が必要で、その登記の有無と順位が、造船所が倒産したとき誰が仕掛かりの船体を取れるかを決める。
商法 850 条は、船舶先取特権及び船舶抵当権を定める第 8 章の規定を、製造中の船舶に準用する旨を規定する。これにより未完成の船体も担保権の客体となり、製造中の船舶の登記を対抗要件として、抵当権や先取特権を設定・公示することが可能となる。
完成前の船体について抵当権などの対抗要件を備えるための登記です。商法 850 条の準用により可能で、登記の有無と順位が倒産時の優先回収を左右します。
船舶抵当権は当事者の合意で設定する担保(商法 847 条)、船舶先取特権は一定の債権に法律上当然生じる優先権(商法 842 条)です。850 条は両者を製造中の船にも準用します。
原則として被担保債権の発生後 1 年で消滅します(商法 846 条、現行効力を要確認)。製造中の船舶に生じた先取特権も同様に短期で消えるため早期の行使が重要です。
抵当権や先取特権を登記していれば、造船所の倒産時に仕掛かりの船体を競売にかけて優先弁済を受けられます。未登記なら一般債権者として配当を受けるにとどまります。
できません。登記される船舶は質入れが禁じられており(商法 849 条)、製造中の船舶も登記の対象のため担保手段は抵当権が基本になります。
信用不安の兆候を察知したら、破産手続開始の前に製造中の船舶への抵当権登記や差押えを急ぎます。数日の差が優先弁済と破産債権の分かれ目になります。
発注者が払った建造前払金を、造船所倒産時に銀行が返還保証する仕組みです。これがないと前払金が仕掛かりの船体をめぐる担保権に劣後しがちです。
平成 30 年(2018 年)の商法(海商編)改正で現代語化・再編され、令和元年(2019 年)4 月 1 日に施行されました。準用の内容自体は旧法から引き継がれています。
つけられる。商法 850 条が、船舶先取特権と船舶抵当権の規定を製造中の船舶に準用しているからだ。実務では製造中の船舶の登記をして対抗要件を備える。業界裏話ヒント:この登記をしているかどうかが、造船所の倒産時に仕掛かり品の船体を優先回収できるか、一般債権者として山分けになるかの決定的な分かれ目になる。融資する側は建造契約の段階で登記を条件にするのが鉄則だが、これを怠る中小の取引はいまだに多い
そのままでは戻らないことが多い。製造中の船体に抵当権や先取特権が設定されていれば、それらが前払金返還請求権より優先することがあるからだ。業界裏話ヒント:大型船の建造契約では、前払金返還保証(リファンドギャランティ)を銀行に出させるのが国際標準。これがないと、造船所の倒産時に前払金は仕掛かり品に飲み込まれる。発注する側は、建造契約に保証を入れさせたかどうかで運命が分かれる
登記された船舶は質入れが禁じられている(商法 849 条)。製造中の船舶も登記の対象で、担保手段は抵当権が基本になる。業界裏話ヒント:船舶は動産でありながら不動産に準じて扱われ、抵当権と登記の制度が用意された特殊な財産。担保を質権で取ろうとすると無効になりかねない。海事金融に不慣れな金融機関が陥りやすい落とし穴で、専門家のリーガルチェックが効く場面だ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 商法 850 条:第 8 章の規定を製造中の船舶に準用 | — |
| 対象 | 完成前の製造中の船舶 | — |
| 発生原因 | 準用(上記制度を未完成船に拡張) | — |
| 担保手段の制限 | 登記対象のため質入れ不可(商法 849 条準用) | — |
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