日本国憲法 第29条
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- 財産権は、これを侵してはならない。
- 2.財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
- 3.私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 日本国憲法第29条は、日本の日本国憲法に含まれる条文です。
- 日本国憲法第29条の条文原文は「財産権は、これを侵してはならない。」で始まります。
- 日本国憲法第29条は第三章 国民の権利及び義務に置かれています。
- 日本国憲法の公布日は昭和21年11月3日です。
- 日本国憲法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 日本国憲法第29条の前の条は日本国憲法第28条です。
- 日本国憲法第29条の次の条は日本国憲法第30条です。
- 日本国憲法第29条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第29条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION - 本サイト収録
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第29条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/321CONSTITUTION/29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点日本国憲法29条は財産権を保障し、その内容は公共の福祉に適合するよう法律で定める。私有財産を公共のために用いるには正当な補償を要する。
Q · 公共事業で家の土地を取り上げられたら、役所の言い値で渡すしかないの?
いいえ。正当な補償なしに渡す義務はなく、補償額は争える
日本国憲法29条3項は、私有財産を公共のために用いるには「正当な補償」を要すると定めます。役所の提示額がそのまま正当な補償になるわけではなく、不服があれば収用委員会の裁決を経て裁判所で増額を争えます(土地収用法133条、裁決書送達から6か月以内)。1項は財産権の不可侵を宣言しますが、2項により財産権の内容は法律で定められ、公共の福祉による制限に服します。誰もが受忍すべき内在的制約には補償がなく、特定人に課される特別の犠牲には補償が必要です。
解説
道路拡張のため、あなたの実家の土地に立ち退きの通知が届いた。役所の担当者は「公共事業ですから」と頭を下げる。多くの人はここで「お上には逆らえない」と印鑑を出す。それが数百万円、時に数千万円を失う瞬間だ。憲法29条はあなたに三枚の盾を渡している。第一に、財産権そのものを「侵してはならない」と宣言する(1項)。第二に、財産権を制限できるのは「法律」だけで、役所の一存では縛れない(2項)。第三に、どうしても公共のために土地が必要でも、国は「正当な補償」を払わなければ取り上げられない(3項)。重要なのは、この「正当な補償」は役所が一方的に決めた額ではないという点だ。不服があれば収用委員会の裁決を経て裁判所で争える。提示額を鵜呑みにするか、近隣の取引事例を持ち出して増額を勝ち取るか、その分かれ道は、あなたが29条3項を知っているかどうかにかかっている。
法的な位置づけ
日本国憲法第29条は財産権を保障する条項であり、私有財産制度と個人の具体的財産権を保護しつつ、公共の福祉に適合する範囲で法律による制限を許容し、正当な補償を条件とする公用収用を認める。財産権の内容は法律により形成され、特別の犠牲には損失補償を要する。
手順
- 1.補償提示を受けてもその場で印鑑を押さない 立ち退き通知や補償額の提示を受けても即答せず、書面を持ち帰る。任意買収の段階なら売買契約に応じる義務はないことを確認する
- 2.近傍類地の取引事例と評価資料を集める 周辺の実際の売買事例、固定資産評価額、不動産鑑定士の鑑定書を収集し、提示額が相場のどの水準かを数字で把握する
- 3.数字を武器に補償交渉に臨む 感情ではなく比較データで「この一帯の相場は坪いくら、提示はその何割」と示し、増額を求める。事業認定自体に不服があれば早期の行政訴訟も検討する
- 4.不服なら裁決後6か月以内に増額請求訴訟 収用委員会の裁決で補償額に納得できない場合、裁決書正本の送達から6か月以内に増額請求の訴えを提起する(土地収用法133条)。期間徒過で額が確定する
よくある質問 AI による整理
Q1財産権とは何ですか?
財産権とは、所有権をはじめとする財産的価値のある権利の総称です。日本国憲法29条1項が保障し、私有財産制度そのものと個人の具体的な財産権の両方を含みます。
Q2正当な補償とは何ですか?
公用収用の際に支払うべき補償で、最高裁は合理的に算出された相当額で足りるとしています。実務上は収用時点の近傍類地の取引価格を基準に算定されます(土地収用法68条以下)。
Q3特別の犠牲とは何ですか?
特定人にだけ課される受忍限度を超えた財産的負担をいい、補償が必要とされます。誰もが受忍すべき一般的な内在的制約には補償が生じない点と区別されます。
Q4憲法29条に違反する規制の例は?
森林法の共有林分割制限が財産権の本質を損なうとして違憲とされた最大判昭和62年4月22日が代表例です。規制目的と手段の均衡を欠く制限は違憲となり得ます。
Q5ビットコインなどデジタル資産も財産権で守られますか?
財産的価値があれば財産権に含まれうると解されますが、29条による保護の射程はなお判例形成の途上です。口座凍結やアカウント削除を巡る紛争で論点化しています。
Q6営業自粛要請に補償はないのですか?
コロナ禍の自粛要請は法的強制力のない行政指導とされ、特別の犠牲とまでは言えないとして補償の対象外と整理されました。協力金と補償は法的性質が異なります。
Q7土地収用の補償に不服があるときの手続は?
収用委員会の裁決に不服があれば、裁決書正本の送達から6か月以内に増額請求の訴えを提起します(土地収用法133条)。近傍類地の取引事例や不動産鑑定が有力な証拠です。
Q8財産権は絶対に侵されない権利ですか?
いいえ。1項は不可侵を宣言しますが、2項で公共の福祉に適合する法律による制限を認めており、最初から枠付きの権利です。絶対不可侵ではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1役所が決めた補償額って、交渉で上げられるんですか?
上げられます。29条3項の正当な補償は役所の言い値ではなく、最終的には裁判所が判断します。収用委員会の裁決に不服があれば、裁決書送達から六か月以内に増額請求訴訟(土地収用法133条)を起こせます。実務のポイント:補償額は近傍類地の取引価格が基準です。役所は低めの公的評価を出してくることが多いので、自分で周辺の実際の売買事例を集め、不動産鑑定士の鑑定書を添えると、交渉の場で数字がものを言う。鑑定費用以上に補償額が上がるケースは珍しくない
Q2公共事業だと言われたら、絶対に土地を渡さないといけないんですか?
いいえ。まず大半は任意買収で、これは売買契約なので応じる義務はありません。応じない場合に初めて土地収用法による強制収用手続に進みますが、その前提となる事業認定の公益性自体を行政訴訟で争えます。実務のポイント:強制収用まで進めるのは行政にとっても時間とコストが膨大なので、最後まで粘る地権者には条件を上乗せして任意買収でまとめたがる傾向があります。ただし収用には収用裁決前の明け渡しで受けられる税制優遇(5000万円特別控除)もあり、粘りすぎると逆に損になる場合も。引き際の見極めが要る(最新の税制をご確認ください)
Q3用途地域や保安林の指定で土地が使えなくなったら、補償してもらえますか?
原則は補償されません。都市計画や保安林指定のような一般的規制は、誰もが受忍すべき財産権の内在的制約とされ、29条3項の補償対象外です。ただし制限が特定人にだけ過大な負担を課す特別の犠牲に当たれば、補償の余地があります。実務のポイント:その線引きは判例の蓄積で動く領域です。森林法の共有林分割制限を違憲とした最大判昭和62.4.22のように、規制が財産権の本質を損なうほど強ければ規制自体が無効になることもある。どうせ補償されないと諦める前に、制限の程度と目的の均衡を専門家に評価してもらう価値はある
間違えやすい点 AI による整理
- 「公共事業だから国の言い値で土地を渡すしかない」と思い込んでいるが、29条3項の正当な補償は役所が一方的に決める額ではない。不服があれば収用委員会の裁決、さらに裁判所で増額を争える。提示額は交渉の出発点であって、ゴールではない
- 財産権は侵してはならないという1項は知っていても、その保護がどれほど条件付きかを知る人は少ない。2項が公共の福祉に適合するように法律で定めるとした瞬間、財産権は法律による広範な制限に服する。絶対不可侵の権利ではなく、最初から枠付きの権利なのだ
- 「規制で土地が使えなくなった、当然補償されるはずだ」という問いの立て方そのものが落とし穴。法律は財産権の制限を二種類に分ける。誰もが受忍すべき内在的制約には補償なし、特定の人だけが負う特別の犠牲には補償あり。あなたの損失がどちらに当たるかを見極めないまま請求しても、土俵にすら上がれない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保障・制限の機能 | 憲法29条:財産権の保障と公共の福祉による制限・収用補償 | 憲法22条:職業選択の自由(経済的自由の並び) 憲法13条:公共の福祉による人権制約の一般原則 |
| 制限の根拠 | 公共の福祉に適合する法律(2項) | 公共の福祉による職業規制(積極・消極目的) 個人の尊重と公共の福祉の一般条項 |
| 補償の要否 | 特別の犠牲には正当な補償を要する(3項) | 原則として補償規定なし 補償規定なし(一般原則) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も憲法で財産権を保障し、土地徵收條例が収用と補償を具体化する。市価補償の方向で運用される点は日本と共通する。
韓国憲法23条は財産権の保障・内容形成・公用収用と正当補償を3項構造で定め、日本29条と極めて近い構造を持つ。
ドイツ基本法14条は財産権の保障と社会的拘束(Eigentum verpflichtet)、収用の補償を定め、29条2項の公共の福祉概念の源流の一つ。
米国は修正5条で正当な補償なき収用を禁じる。29条3項の補償要件は米国の収用補償条項の影響を受けたとされる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 市の区画整理で自宅が道路予定地にかかった。提示された補償額は近隣相場の七割。「これが正当な補償だ」と言われたら、あなたは受け入れるしかないのか。裁決から訴えまで残された時間は六か月、過ぎれば額は確定する
- 相続した山林が、後から保安林や市街化調整区域に指定され、家も建てられず売るにも売れない塩漬け状態に。この使えない状態に補償はあるのか。財産権の内在的制約か、特別の犠牲か、その線引きが資産価値を左右する
- ダム建設で集落ごと水没。代々の土地と先祖の墓。金銭補償だけで足りるのか。生活再建まで含めた補償を求める法的根拠が29条にある
- 友人が「区役所から道路のため土地を譲ってほしいと言われた、断れるの?」と相談してきた。あなたは任意買収と強制収用の違い、そして補償交渉の余地を三分で説明できる
- コロナ禍の営業自粛要請で店を閉めた飲食店。これは財産権と営業の自由の制限にあたるが、補償が義務づけられるかは特別の犠牲かどうかで決まる。要請と命令、協力金と補償、この違いを知らないと請求の土俵にすら立てない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 立ち退き通知や補償提示を受けても、その場で印鑑を押さない。書面を持ち帰り、近傍類地の取引事例、固定資産評価、不動産鑑定を集める2. 任意買収の段階なら交渉余地は大きい、強制収用(土地収用法)に移る前に不動産鑑定士や弁護士に相談3. 収用委員会の裁決で補償額に不服なら、裁決書送達から六か月以内に増額請求訴訟(土地収用法133条) 4. 規制による損失なら特別の犠牲に当たるかを検討、当たれば損失補償を請求
訴えられた側:1. 受けた財産制限が公共の福祉の範囲を超え、規制目的と手段の均衡を欠くなら、規制の違憲性を争える(森林法違憲判決、最大判昭和62.4.22が先例) 2. 法律ではなく条例や規則による制限なら、2項の法律で定める要件を満たすかを検討3. 制限が特定人への特別の犠牲なら、規制自体は適法でも損失補償を別途請求できる余地がある4. 行政処分性のある制限は取消訴訟(行政事件訴訟法14条、原則六か月)、処分性のない制限は別の救済ルートを検討
時効(請求できる期限):土地収用の補償額に不服がある場合、収用委員会の裁決書正本の送達を受けた日から六か月以内に増額請求の訴えを提起しなければならない(土地収用法133条)。行政処分の取消しを求める場合は、処分を知った日から六か月かつ処分の日から一年(行政事件訴訟法14条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
相当補償説:29条3項の正当な補償は、市場価格と完全一致を要せず、合理的に算出された相当額で足りるとする説。農地改革補償事件で最高裁が採用した立場とされる。
完全補償説:収用される財産の客観的市場価格を完全に補償すべきとする説。少なくとも土地収用法に基づく通常の収用では完全補償が原則とされ、判例も近傍類地価格を基準とする運用に親和的とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和21年(1946年) 新設:日本国憲法の制定により財産権保障条項として新設。明治憲法27条の財産権保障を継承しつつ、公共の福祉による制限(2項)と正当な補償(3項)を明文化した。
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