国家公務員法 第39条(人事に関する不法行為の禁止)
クイックジャンプ
- 何人も、次の各号のいずれかに該当する事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束したり、脅迫、強制その他これに類する方法を用いたり、直接たると間接たるとを問わず、公の地位を利用し、又はその利用を提供し、要求し、若しくは約束したり、あるいはこれらの行為に関与してはならない。
- 一退職若しくは休職又は任用の不承諾
- 二採用のための競争試験(以下「採用試験」という。)若しくは任用の志望の撤回又は任用に対する競争の中止
- 三任用、昇給、留職その他官職における利益の実現又はこれらのことの推薦
この条文の基本情報
人事に関する不法行為の禁止とは何ですか?
定義人事に関する不法行為の禁止とは、国家公務員法第39条に定められた規定で、「何人も、次の各号のいずれかに該当する事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束したり、脅迫、強制その他これに類する方法を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国家公務員法第39条(人事に関する不法行為の禁止)は、日本の国家公務員法に含まれる条文です。
- 国家公務員法第39条の条文原文は「何人も、次の各号のいずれかに該当する事項を実現するために、金銭その他の利益を授受し、提供し、要求し、若しくは授受を約束したり、脅迫、強制その他これに類する方法を…」で始まります。
- 国家公務員法第39条は第一款に置かれています。
- 国家公務員法の公布日は昭和22年10月21日です。
- 国家公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国家公務員法第39条の前の条は国家公務員法第38条です。
- 国家公務員法第39条の次の条は国家公務員法第40条です。
- 国家公務員法第39条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第39条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120 - 本サイト収録
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第39条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000120/39
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国家公務員法39条は、公務員の任用・昇給・退職などを実現するため、利益供与、脅迫、公の地位の利用を行うことを何人にも禁じる。約束や申出の段階でも成立する。
Q · 公務員試験で合格させてもらうために知人にお金を渡したら違法になる?
違法。渡した側も国家公務員法39条違反になりうる
国家公務員法39条の主語は「何人も」であり、公務員ではない受験生の親や仲介者も名宛人に含まれます。任用の実現を目的として金銭その他の利益を提供・約束する行為は、それだけで禁止の対象です。採用が実現したかどうかや、相手が受け取ったかどうかは関係ありません。違反には同法の罰則規定による刑事罰があり、刑法の贈賄罪(198条)が成立する可能性もあります。
解説
条文の主語は「職員は」ではなく「何人も」である。国家公務員法の大半の義務規定が公務員本人を縛るのに対し、本条は外側の人間、つまり受験生の親、議員、取引先の社長、さらには同じ採用試験を受けるライバルまでを直接の名宛人にしている。禁止されるのは三つの目的のための工作である。誰かを辞めさせる・休職させる・任用を断らせること。受験や志望を取り下げさせること。任用・昇給・留職を実現させたり、その推薦を得たりすること。手段は、金銭その他の利益の授受・提供・要求・約束、脅迫や強制、公の地位の利用、そしてこれらへの「関与」。つまり現金を渡した本人だけでなく、段取りをつけた仲介者も射程に入る。違反には刑事罰がある(同法の罰則規定。最新の改正状況をご確認ください)。公務員の人事は成績主義(同法33条)で動くのが建前であり、あなたの「ちょっとした口利き」は、その建前を金と力で曲げる行為として刑事事件の入口に立つ。知っていれば、菓子折の中身を変えるだけで済む
法的な位置づけ
国家公務員法39条は人事に関する不法行為の禁止を定める規定である。職員の退職・休職・任用不承諾、採用試験の志望撤回や競争中止、任用・昇給・留職その他官職上の利益の実現またはその推薦を目的として、利益の授受・提供・要求・約束、脅迫・強制、公の地位の利用、およびこれらへの関与を、職員に限らず何人に対しても禁止する。
よくある質問 AI による整理
Q1国家公務員法39条とは何ですか?
公務員の人事(採用・昇給・退職など)を、金銭、脅迫、公の地位の利用といった不正な手段で動かすことを、公務員以外も含むすべての人に禁じる規定です。
Q2公務員 採用 口利き 違法?
利益の提供や約束、肩書きを使った圧力を伴う口利きは本条違反になりえます。単なる人物紹介と、不正な手段を使った働きかけとは区別されます。
Q3国家公務員法39条違反の罰則は?
同法の罰則規定(110条)により刑事罰の対象です。法定刑は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金とされています。最新の改正状況はご確認ください。
Q4公務員試験のライバルに辞退を頼むのは違法?
利益を約束したり脅したりして志望を撤回させる行為は、本条2号(採用試験の志望撤回・競争の中止)に当たりえます。受験生同士でも対象です。
Q5国家公務員法39条違反の時効はいつまで?
刑事の公訴時効は、行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。民事上の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年です。
Q6口利きの仲介をしただけでも処罰される?
本条は各行為に「関与」することも禁じています。お金を直接渡していなくても、段取りをつけた仲介者は違反の当事者になりえます。
Q7国家公務員法39条と贈賄罪はどう違う?
贈賄罪(刑法198条)は職務に関する賄賂が要件です。本条は人事に目的を絞り、脅迫や公の地位の利用まで含めて禁じている点が異なります。
Q8地方公務員の人事にも同じ規定はある?
地方公務員には地方公務員法が適用されます。国家公務員法39条がそのまま適用されるわけではないため、地方公務員法の該当規定を確認する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1議員さんに「よろしく」と推薦状を書いてもらうのも違反なんですか?
推薦状を書くこと自体が直ちに違反となるわけではない。本条が禁じるのは、利益の授受、脅迫・強制、公の地位の利用といった手段を用いた働きかけである(39条3号)。ただし、議員が肩書きを背景に人事担当へ圧力をかければ「公の地位の利用」に近づく。どこで線を引くかは事案ごとの判断になる。実務のポイント:採用の現場では、外部からの働きかけは記録して上に報告する運用が一般的である。頼んだつもりの口利きが、相手の組織では「要注意案件」として記録に残っていることがある
Q2お金を渡そうとしたけど断られました。未遂だからセーフですよね?
セーフとは言えない。本条は利益を「提供し」「約束」する行為そのものを禁じており、相手が受け取ったかどうか、採用が実現したかどうかは成立の条件ではない(39条柱書)。申し出た時点で行為は完了している。実務のポイント:断った公務員の側が内部で報告書を上げていることが多い。「なかったこと」にはなっていない前提で、早めに弁護士へ相談した方がよい
Q3上司から『辞めれば再就職先を世話する』と言われました。これって違法?
退職を実現するために利益を約束する行為は、本条1号の典型に当たりうる。さらに現役職員による再就職のあっせんは、同法106条の2で別途規制されている。実務のポイント:勧奨そのものは違法とは限らないが、「見返り」と「断った場合の不利益」を同時に示されたら要注意。発言をそのまま記録して人事院や通報窓口に持ち込めば、単なる職場の不満ではなく法令違反の申告として扱われる
間違えやすい点 AI による整理
- 「公務員の不正は公務員が罰せられるもの」と考えがちだが、本条の主語は「何人も」である。お金を差し出した親、口利きを頼んだ社長、ライバルに辞退を持ちかけた受験生。いずれも公務員でなくても違反の当事者になる
- 口利きが問題になるのは現金が動いたときだけだと思われているが、それでは半分しか見えていない。脅迫・強制による工作や、議員や幹部が肩書きを使って働きかける「公の地位の利用」も独立した禁止類型である。金銭授受がゼロでも、地位を使った一本の電話が違反の核心になりうる
- 「実際に採用されなかったのだから問題ない」という問いの立て方そのものがずれている。本条は結果が実現したかどうかではなく、実現のために利益を「提供し、要求し、約束」する行為の段階で成立する。断られた賄賂の申し出も、約束しただけの見返りも、行為としてはすでに完了している
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人 | 国公法39条:「何人も」(外部の者を含む) | 国公法106条の2:現役職員(再就職あっせんの規制) 刑法198条:賄賂を供与する者(贈賄罪) |
| 禁止される手段 | 利益の授受・提供・要求・約束、脅迫・強制、公の地位の利用、関与 | 他の職員等の情報提供・依頼による再就職のあっせん 公務員の職務に関する賄賂の供与・申込み・約束 |
| 目的・対象 | 退職・休職・任用拒否、志望撤回、任用・昇給・留職の実現や推薦 | 職員・元職員の営利企業等への再就職 職務行為全般(人事に限られない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では人事に特化した「何人も」型の禁止規定ではなく、公務員への贈賄罪と公務員側の請託・関説禁止の組合せで規律される
韓国の国家公務員法も「누구든지(何人も)」を主語として、試験・任用の妨害や人事上の不正行為を禁じており、日本の本条と構造が近い
ドイツでは人事に特化せず、公務員への利益供与・贈賄の一般規定で対応する
米国連邦法は官職任用の対価の授受を刑事罰で禁じ、人事上の禁止行為を公務員制度法で別途列挙している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 子どもが国家公務員試験の最終面接を控えている。知人の元官僚から「話を通してやるから、少し包んでくれ」と持ちかけられた。包んだ瞬間、あなたも元官僚も本条の「提供」と「要求」の当事者になる
- 同じ省庁の採用枠を争うライバル受験者に「辞退してくれたら就職先を紹介する」と持ちかけたらどうなる? 採用試験の志望撤回を利益で誘う行為そのものが、本条2号の典型例に当たる
- 地元選出の議員事務所の秘書として、支援者から「甥の昇任を省に頼んでほしい」と依頼された。議員の肩書きで担当課長に電話を一本入れる。それが「公の地位の利用」であり、依頼を取り次いだあなたは「関与」した側として同じ条文の射程に入る
- 上司から「今月中に自主退職すれば、関連団体のポストを用意する。断れば地方に飛ばす」と言われた。利益の約束と脅迫が同時に使われている。退職届の提出期限はあと10日。サインする前に、このやり取りを記録しておくべきだ
- 人事担当として、昇給査定の前に部下から高級ワインが届いた。受け取って査定に色を付ければ、送り主も受け取ったあなたも本条違反になりうる。刑法の収賄罪も視野に入る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 金銭の要求、見返り付きの退職勧奨、脅しを受けたら、日時・発言・同席者をその日のうちに記録し、メールや LINE は削除しない2. 退職届や辞退届には、その場でサインしない3. 職員であれば人事院の職員相談窓口や各府省の公益通報窓口へ、受験者や外部の人であれば警察に相談する4. 金銭が絡む場合は刑法の贈収賄の問題にもなるため、弁護士に早めに相談する
訴えられた側:1. 追加の接触、送金、口裏合わせを直ちに止める。口裏合わせは証拠隠滅の疑いを招く2. 渡した金品、やり取り、仲介者の有無を時系列で整理し、弁護士に全部見せる3. 利益の授受か、単なる推薦や情報提供かで評価は大きく変わるため、「公の地位を利用したか」「見返りがあったか」を争点として検討する4. 取調べの前に弁護人をつけ、供述の方針を決める
時効(請求できる期限):違反した場合の罰則(同法の罰則規定、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の公訴時効は、犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項6号)。民事上の損害賠償は一般の不法行為と同じく、損害と加害者を知った時から3年(民法724条)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 新設:国家公務員法(昭和22年法律第120号)の制定により、人事に関する不法行為の禁止規定として設けられた
- 国家公務員法 第33条任用の根本基準、成績主義の原則
- 国家公務員法 第27条平等取扱いの原則
- 国家公務員法 第110条本条違反に対する刑事罰(現行効力を要確認)
- 国家公務員法 第106条の2現役職員による再就職あっせんの規制
- 刑法 第197条人事で賄賂が動いた場合の収賄罪と競合
- 刑法 第198条外部の者の贈賄罪と競合
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める