刑事訴訟法 第184条
クイックジャンプ
検察官以外の者が上訴又は再審若しくは正式裁判の請求を取り下げた場合には、その者に上訴、再審又は正式裁判に関する費用を負担させることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第184条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第184条の条文原文は「検察官以外の者が上訴又は再審若しくは正式裁判の請求を取り下げた場合には、その者に上訴、再審又は正式裁判に関する費用を負担させることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第184条は第十五章 訴訟費用に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第184条の前の条は刑事訴訟法第183条です。
- 刑事訴訟法第184条の次の条は刑事訴訟法第185条です。
- 刑事訴訟法第184条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第184条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第184条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/184
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法184条は、検察官以外の者が上訴・再審・正式裁判の請求を取り下げた場合、裁判所がその者に手続費用を負担させることができると定める。負担は義務ではなく裁量である。
Q · 控訴を取り下げたら、もう費用はかからないんですよね?
いいえ、取り下げても訴訟費用を負担させられる場合があります
刑事訴訟法184条により、検察官以外の者(被告人・再審請求人・正式裁判請求人など)が上訴・再審・正式裁判の請求を取り下げた場合、裁判所はその手続にかかった費用を負担させることが「できる」と定められています。これは義務ではなく裁量です。費用には証人の旅費日当や国選弁護人への立替報酬が含まれ、私選弁護人への報酬は含まれません。貧困で完納できない場合は、裁判確定後20日以内に執行免除を申し立てられます(同法500条)。
解説
控訴を取り下げれば、それで全部きれいに終わると思っていないか。刑事訴訟法184条は、その思い込みに静かに値札を貼る。検察官以外の者、つまり被告人であるあなたや、再審を申し立てた人、略式命令に不服で正式裁判を請求した人が、その上訴・再審・正式裁判の請求を途中で取り下げた場合、裁判所はそれまでの手続にかかった費用をあなたに負担させることが「できる」と定めている。注意すべきは「できる」という裁量の言葉だ。必ず取られるわけではないが、取られる余地が残されている。ここでいう費用は弁護士への成功報酬ではなく、証人の旅費・日当、鑑定料、国選弁護人に国が立て替えた報酬といった「訴訟費用」(刑事訴訟費用等に関する法律で範囲が決まっている)。自分から始めた手続を自分から畳むとき、その撤退に料金が発生しうる。取り下げの判断は、勝ち目だけでなく、この費用リスクも天秤に乗せて決めるべきものになる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法184条は、検察官以外の者が上訴・再審・正式裁判の請求を取り下げた場合における訴訟費用の負担を定める規定である。裁判所は、取り下げをした者に対し、その手続に関する費用を負担させることができる。義務的負担ではなく裁量的判断であり、費用の範囲は刑事訴訟費用等に関する法律による。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取り下げ前に費用負担の可能性を弁護人へ確認 上訴・再審・正式裁判の請求を取り下げる前に、弁護人へ「取り下げたら訴訟費用の負担を命じられる可能性はあるか、命じられるとして概算いくらか」を確認する。費用リスクと取り下げのメリットを天秤にかける
- 2.取り下げに至った合理的事情を書面で明示 費用負担は裁量なので、新証拠が固まらなかった、健康・経済上の理由など取り下げの合理的事情を、取下書または上申書に一言添えて裁判所の裁量判断に備える
- 3.国選弁護人の立替報酬が費用に含まれる点を確認 国選弁護人がついている場合、国が立て替えた報酬が訴訟費用に含まれうる。取り下げによって本人負担に回る金額を事前に把握しておく
- 4.費用負担を命じられたら20日以内に執行免除を申立て 訴訟費用負担の裁判を受け、貧困で完納できない場合は、裁判確定後20日以内に執行免除の申立て(刑事訴訟法500条)を提出する。この期限を過ぎると免除の道は閉じる
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟費用とは何ですか?
刑事の訴訟費用とは、証人・鑑定人・通訳人の旅費日当、鑑定料、国選弁護人に国が立て替えた報酬など、刑事訴訟費用等に関する法律で範囲が定められた費用です。私選弁護人への報酬は含まれません。
Q2上訴の取り下げはどうやってするのですか?
上訴の取下げは、裁判が確定するまでの間に、取下書を裁判所に提出して行います(刑事訴訟法359条以下)。被告人本人が取り下げる場合は法定の要件を満たす必要があります。
Q3控訴の取り下げはいつまでできますか?
控訴審の判決が言い渡される前であれば取り下げできます。取り下げると一審判決が確定します。取り下げに伴い、184条で控訴審の手続費用を負担させられる場合があります。
Q4国選弁護人の費用は誰が負担するのですか?
国選弁護人の報酬は国がいったん立て替えますが、有罪確定時(181条)や上訴等の取下げ時(184条)には、訴訟費用として被告人本人に負担を命じられる余地があります。
Q5訴訟費用が払えないときはどうなりますか?
貧困のため完納できない場合は、裁判確定後20日以内に執行免除の申立てをすれば、訴訟費用負担の執行の全部または一部を免れることができます(刑事訴訟法500条)。
Q6再審請求を取り下げると費用はどうなりますか?
再審請求を取り下げた場合も184条の対象となり、再審請求の審理にかかった費用を負担させられることがあります。負担は裁量なので、取り下げに至った事情を示すことが有効です。
Q7正式裁判の請求を取り下げると罰金はどうなりますか?
略式命令に対する正式裁判請求を取り下げると、略式命令がそのまま確定し罰金が確定します。加えて、184条により正式裁判手続にかかった費用を負担させられる場合があります。
Q8訴訟費用負担の裁判には不服を申し立てられますか?
訴訟費用の負担を命じる裁判には、本案の裁判に対する上訴に伴って争う方法や、独立の不服申立ての余地があります。金額の内訳が法定範囲内かを確認することが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴を取り下げたら、本当にこっちが費用を払わされることがあるんですか?
あります。刑事訴訟法184条は、検察官以外の者が上訴等を取り下げた場合に、裁判所がその手続の費用を負担させることが「できる」と定めています。ただし義務ではなく裁量です。実務のポイント:実務では常に満額が命じられるわけではなく、取り下げに至った事情や本人の資力が考慮されます。だからこそ、取り下げ書に「なぜ取り下げるのか」を一言添えておくと裁量判断に効くことがある。黙って引っ込めるのと、事情を示して引っ込めるのとでは、結果が変わりうる
Q2ここでいう費用って、弁護士に払うお金のことですか?
違います。刑事の訴訟費用に私選弁護人への報酬は含まれません。含まれるのは証人・鑑定人・通訳人の旅費日当、鑑定料、そして国選弁護人に国が立て替えた費用など、刑事訴訟費用等に関する法律で範囲が決まったものです。実務のポイント:私選弁護人なら184条の「費用」にその報酬は乗りませんが、国選弁護人をつけて取り下げると、国の立替分が訴訟費用として回ってくる。「国選だからタダ」と思って気軽に上訴して取り下げると、後から立替分の請求が届くことがある
間違えやすい点 AI による整理
- 「取り下げれば費用は発生しない、争うのをやめるだけだから無料だ」と考える人が多いが、184条は逆を語る。手続を動かした以上、その手続にかかったコストは現実に存在し、それを誰が負うかという問題が取り下げ後も残る。撤退は争点の消滅であって、費用の消滅ではない
- 条文が「負担させる」と断定していると読み違える人がいる。実際の語は「負担させることができる」、つまり裁判所の裁量だ。ここを知っているかどうかで意味が変わる。費用負担は自動ではないので、貧困や取り下げに至った事情を主張すれば、負担を免れる、または軽くできる余地がある。裁量規定であることを知らない人は、最初から諦めて主張の機会を捨てる
- 「訴訟費用とは弁護士費用のことだ」と思い込んでいる人が多いが、これは前提から誤っている。刑事の訴訟費用に私選弁護人への報酬は含まれない。含まれるのは証人・鑑定人の旅費日当、通訳料、国選弁護人に国が支払った費用など、法律で範囲が限定されたもの。何が費用に入るかを取り違えると、リスクの大きさを過大にも過小にも見積もる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 費用負担が生じる場面 | 184条:上訴・再審・正式裁判の請求を取り下げたとき | 181条:有罪の言渡しを受けたとき 183条:告訴・告発が虚偽等で無罪等になったとき |
| 負担する者 | 取り下げをした検察官以外の者(被告人・再審請求人等) | 刑の言渡しを受けた被告人 告訴人・告発人・請求人 |
| 義務か裁量か | 「負担させることができる」=裁量 | 原則負担(情状により例外あり) 故意・重過失等の要件下で裁量 |
| 救済 | 貧困なら500条の執行免除(確定後20日以内) | 同じく500条の執行免除 同じく500条の執行免除 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も上訴の取下げ(第354条)を認め、訴訟費用は刑事訴訟費用法が規律する。費用負担の運用面で日本と近い
ドイツでは取り下げ・棄却された上訴の費用は、原則として上訴を提起した者が負担すると明文化されており、日本の裁量規定より負担が定型的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で有罪、罰金刑を受けたあなたが控訴したが、弁護人と相談して「これ以上争っても覆らない」と判断し控訴を取り下げる。手続はそこで止まるが、控訴審で呼んだ証人の旅費や国選弁護人の費用が、あなたへの負担として命じられる可能性が残る。取り下げのタイミングと費用発生の有無は連動している
- もし、あなたが略式命令の罰金に納得できず正式裁判を請求し、しかし期日が近づくにつれ「やはり争いたくない」と請求を取り下げたら、どうなるか。請求を出して動かした手続のコストを、取り下げた本人が背負わされる場面がありうる。出すのは簡単、引っ込めるのにも代償がつく
- 再審を申し立てた家族が、新証拠が思うように固まらず請求を取り下げる。再審請求の審理に費やされた費用負担を命じられることがある。残された時間で新証拠を固めきれるか、取り下げて費用リスクを抱えるか、その判断を迫られる
取るべき行動
被害を受けた側:費用負担を命じる裁判(訴訟費用負担の裁判)を受けた立場なら、まず命じられた金額の内訳を確認する。証人旅費・国選弁護費用など、刑事訴訟費用等に関する法律の範囲内かを精査。次に、貧困で完納できないなら裁判確定後20日以内に執行免除の申立て(刑事訴訟法500条)を出す。この期限は厳格なので、書面を受け取ったその日に弁護人または法テラスへ連絡し、申立書の準備に入ること
訴えられた側:これから上訴・再審・正式裁判の請求を取り下げるか検討している立場なら、取り下げを実行する前に三つを押さえる。1. 弁護人に費用負担命令の可能性と概算を確認2. 取り下げに至った合理的事情(証拠が固まらない、健康・経済上の理由など)を取り下げ書面や上申書で明示し、裁量判断に備える3. 国選弁護人がついている場合は立替報酬が費用に含まれうる点を確認。費用リスクと取り下げのメリットを天秤にかけ、争い続ける場合のコストと比較してから最終判断する
時効(請求できる期限):取り下げ自体は手続が終了するまで可能(上訴の取下げは刑事訴訟法359条以下、再審請求の取下げは同443条、正式裁判請求の取下げは略式手続の規定による)。費用負担を命じられた後の救済(執行免除の申立て、同500条)は裁判確定後20日以内が期限。この20日を過ぎると免除申立ての道は閉じる
学説
通説:184条の「負担させることができる」は裁量規定であり、取り下げの事情や本人の資力を考慮して費用負担の有無・範囲が定まると解されている。費用の範囲は刑事訴訟費用等に関する法律に限定され、私選弁護人報酬は含まれない。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める