刑事訴訟法 第280条
クイックジャンプ
- 公訴の提起があつた後第一回の公判期日までは、勾留に関する処分は、裁判官がこれを行う。
- 2.第百九十九条若しくは第二百十条の規定により逮捕され、又は現行犯人として逮捕された被疑者でまだ勾留されていないものについて第二百四条又は第二百五条の時間の制限内に公訴の提起があつた場合には、裁判官は、速やかに、被告事件を告げ、これに関する陳述を聴き、勾留状を発しないときは、直ちにその釈放を命じなければならない。
- 3.前二項の裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第280条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第280条の条文原文は「公訴の提起があつた後第一回の公判期日までは、勾留に関する処分は、裁判官がこれを行う。」で始まります。
- 刑事訴訟法第280条は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第280条の前の条は刑事訴訟法第279条です。
- 刑事訴訟法第280条の次の条は刑事訴訟法第281条です。
- 刑事訴訟法第280条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第280条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第280条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/280
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法280条は、公訴提起後から第一回公判期日までの勾留に関する処分を、受訴裁判所ではなく一人の裁判官が行うと定める。第一回公判期日後はその主体が受訴裁判所に移る。
Q · 起訴されたら、保釈や勾留の判断は裁判をする裁判官がするの?
第一回公判前は、別の一人の裁判官が判断します
刑事訴訟法280条1項により、公訴提起後から第一回公判期日までの勾留に関する処分は、事件を審理する受訴裁判所ではなく一人の裁判官が行います。これは起訴状一本主義の下で受訴裁判所の予断を防ぐためです。起訴により被告人となれば保釈請求権(刑訴法88条)が発生し、この時期は単独の裁判官が速やかに判断します。第一回公判期日後は処分の主体が受訴裁判所に移ります。
解説
家族が逮捕され、ある日「起訴された」と連絡が来る。多くの人はここで天を仰ぐ。だが法律の現実は逆だ。被疑者の段階には保釈(保証金を預けて身柄拘束を解いてもらう制度)が存在しない。ところが起訴された瞬間、その人は「被告人」になり、保釈を請求する権利が初めて発生する。刑事訴訟法280条1項は、起訴から第一回公判期日までの間、勾留や保釈に関する判断を、事件を裁く裁判所ではなく「一人の裁判官」が行うと定める。なぜ別の裁判官か。日本の刑事裁判では、裁判官は第一回公判まで事件の中身を見てはならない(起訴状一本主義、予断排除)。だが保釈の判断は証拠に踏み込む。この矛盾を、担当を分けることで解消している。あなたが知るべきは、起訴という最悪に見える通知が、実は身柄解放への扉が開く瞬間でもあるという一点だ。そしてこの時期の請求は、単独の裁判官が速やかに判断する。
法的な位置づけ
刑事訴訟法280条は、公訴の提起後から第一回公判期日までの間における勾留に関する処分の主体を定める規定である。この期間は、事件を審理する受訴裁判所ではなく一人の裁判官が処分を行い、その裁判官は受訴裁判所または裁判長と同一の権限を有する。起訴状一本主義による予断排除と身柄判断の迅速性を両立させる手続的仕組みである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴の連絡を受けたら即日で保釈請求を準備 起訴の連絡が来たら、その日のうちに弁護人へ保釈請求の準備を依頼する。被疑者段階で弁護人がいない場合は、起訴後に付く被告人国選または私選弁護人を早急に確保する
- 2.保釈保証金と身元引受人を固める 保釈保証金の目処を立て、身元引受人(家族等)を確保する。罪証隠滅・逃亡のおそれを否定する具体的事情(定職、家族、前科の有無)を書面で整理する
- 3.第一回公判期日前に保釈請求書を提出 第一回公判期日前であることを意識し、単独裁判官が速やかに判断するこの時期に保釈請求書を提出する。期日後は受訴裁判所に主体が移り、判断のリズムが変わる
- 4.不許可なら準抗告で争う 保釈が不許可になっても準抗告で争える。一度の不許可で諦めず、疎明資料を補充して再度の請求や準抗告を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1起訴後勾留とは何ですか?
公訴提起により被疑者勾留から切り替わる、被告人としての勾留です。期間は公訴提起の日から原則2か月で、特に継続の必要があれば1か月ごとに更新されます(刑訴法60条2項)。
Q2保釈はいつから請求できますか?
起訴されて被告人になった時点から請求できます(刑訴法88条)。被疑者の段階には保釈制度がないため、起訴が身柄解放のスタートラインになります。
Q3起訴された後、保釈請求はどこに出しますか?
第一回公判期日前は、刑訴法280条1項により単独の裁判官が判断します。期日後は受訴裁判所が判断します。出すタイミングで担当主体が変わります。
Q4起訴後勾留の期間はどのくらいですか?
公訴提起の日から原則2か月です(刑訴法60条2項)。特に継続の必要があれば1か月ごとに更新され、漫然と長期化することがあります。
Q5逮捕されたまま起訴されたらどうなりますか?
刑訴法280条2項により、裁判官は速やかに被告事件を告げ、陳述を聴き、勾留状を発しないと判断すれば直ちに釈放を命じなければなりません。
Q6保釈が却下されたら争えますか?
準抗告で争えます。一度の不許可で諦める必要はなく、事情を補充して再請求することも可能です。回数制限はありません。
Q7保釈請求は何回でもできますか?
回数制限はありません。事情の変化(身元引受人の確保、証拠隠滅のおそれの解消など)を踏まえて改めて請求できます。
Q8起訴状一本主義とは何ですか?
受訴裁判所が第一回公判まで起訴状一通しか手にせず、事件の中身を見て予断を持つのを防ぐ原則です(刑訴法256条6項)。280条はこれを身柄判断の場面で支えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1起訴されたら、もう判決まで外に出られないんですか?
そうとは限りません。起訴された瞬間に被告人となり、保釈請求権が発生します(刑訴法88条)。一定の重大事由がなければ裁判所は保釈を許さなければならない権利保釈もあります(同89条)。280条1項により、第一回公判期日前はこの判断を単独の裁判官が速やかに行います。実務のポイント:被疑者段階には保釈制度自体が存在しないため、弁護士は『起訴されるまで待って、起訴後ただちに保釈を出す』という時間設計を裏で組んでいることがあります。家族には『起訴は悪い知らせ』としか映りませんが、実務家にとっては身柄解放のスタートラインなのです
Q2保釈を決める裁判官って、結局その後に有罪無罪を判断する人と同じですよね?
第一回公判期日前は違います。280条1項により、勾留・保釈の処分は事件を審理する受訴裁判所ではなく別の裁判官が行います。これは起訴状一本主義(刑訴法256条6項)、つまり裁判官が公判前に事件の中身を見て予断を持つのを防ぐためです。実務のポイント:だからこそ、保釈審査で提出した不利な情報が、そのまま本番の裁判官の心証に直結するわけではない、という設計になっています。この分離を理解していると、保釈段階でどこまで手の内を見せるかの判断が変わってきます
間違えやすい点 AI による整理
- 「保釈は捕まった時点から請求できる」と思っている人が多いが、前提が誤っている。被疑者段階には保釈制度そのものが存在しない。身柄解放を求める手段は準抗告(裁判官の勾留決定への不服申立て)など限られる。保釈という扉が開くのは、起訴されて被告人になった瞬間。「起訴された」という最悪のニュースと「保釈が可能になった」という事実は、同じ一点で同時に起きる
- 「起訴後の勾留も保釈も、これから裁判をする裁判官が決める」と思われがちだが、第一回公判期日前は違う。280条1項により別の裁判官が判断する。これは親切ではなく、裁判官が事件の中身を先に見て予断を持つのを防ぐ仕組み(起訴状一本主義)の一部。あなたの保釈を判断する人物は、あなたを裁く人物ではない
- 「裁判官は最初から事件の全体を把握している」とドラマは描くが、現実の日本の刑事裁判では、受訴裁判所は第一回公判まで起訴状一枚しか手にしていない。280条はその建前を、身柄判断の現場で支える縁の下の仕組みだ。この一点を知らないと、刑事弁護の初動の意味が見えてこない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 280条:公判前の勾留処分の主体(一人の裁判官) | 88条:被告人の保釈請求権 60条:勾留の要件と起訴後勾留の期間 |
| 判断の主体 | 第一回公判期日前は単独の裁判官、期日後は受訴裁判所 | 請求権者は被告人側、判断は裁判官・裁判所 裁判官・受訴裁判所 |
| 適用の場面 | 起訴から第一回公判期日までの空白期間 | 被告人となった後、いつでも請求可能 勾留の発付・継続・更新の全期間 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も起訴後の羈押は法院が判断し、保釈に相当する具保停止羈押の制度がある。ただし第一回公判前に担当裁判官を分離する仕組みは日本に特有の制度設計である
韓国も구속(勾留)と보석(保釈)の制度を持ち、起訴後に裁判所が判断する点で共通する。予断排除を主体分離で担保する明文構造は日本ほど明確ではない
ドイツは未決勾留(Untersuchungshaft)と勾留審査(Haftprüfung)の制度を持つが、職権主義の伝統が強く、起訴状一本主義に由来する主体分離の発想とは前提が異なる
米国は当事者主義を徹底し、保釈・未決拘禁の可否を治安判事が早期に審査する。日本の起訴状一本主義はこの英米法系の予断排除思想を継受している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫が逮捕勾留され、20日後に在宅起訴ではなく身柄付きで起訴された。妻は「もう刑が決まるまで出てこられない」と思い込み何もしなかった。実は起訴の翌日にでも保釈請求を出せば、第一回公判期日前は単独裁判官が速やかに審査する。この時期の沈黙が、数か月の余分な拘束を生む
- もし、逮捕されたまま勾留決定が出る前に、検察官が制限時間ギリギリで起訴したらどうなる? 280条2項により、裁判官はその被告人に被告事件を告げ、言い分を聴き、勾留状を出さないと判断すれば直ちに釈放を命じなければならない。宙ぶらりんの身柄が、ここで一気に決着する
- あなたが被告人の立場で、起訴直後に保釈を求めた。担当は事件を審理する合議体ではなく一人の裁判官だ。だから判断が速い。ただし第一回公判期日が開かれた後は、扱う主体が受訴裁判所に移る。動くなら期日前。残り時間は数日単位で消えていく
取るべき行動
被害を受けた側:拘束されている本人・家族の動き。1. 起訴の連絡が来たら、その日のうちに弁護人へ保釈請求の準備を依頼。被疑者段階では弁護人がいない場合もあるので、まず私選または国選(起訴後は被告人国選が付く)を確保2. 保釈保証金の目処と、身元引受人(家族等)を早急に固める3. 第一回公判期日前であることを意識し、単独裁判官が速やかに判断するこの時期を逃さない4. 保釈が不許可でも準抗告で争える。一度の不許可で諦めない
訴えられた側:起訴された被告人としての初動。1. 黙秘するか認めるかの方針を弁護人と確定する前でも、保釈請求は並行して出せる。否認イコール保釈不可ではない2. 280条2項に当たる『逮捕されたがまだ勾留されていない』状態で起訴された場合、裁判官の面前で被告事件への陳述を聴かれる。ここでの発言が勾留状発付の判断に直結するため、弁護人と打ち合わせてから臨む3. 罪証隠滅・逃亡のおそれを否定する具体的事情(定職、家族、前科の有無)を書面で固める4. 第一回公判期日が指定される前に動く、これが時間的な勝負どころ
時効(請求できる期限):保釈・勾留に関する処分は、第一回公判期日前は単独の裁判官が行い、期日後は受訴裁判所に移る(刑訴法280条1項)。起訴後勾留の期間は公訴提起の日から2か月、特に継続の必要があれば1か月ごとに更新される(刑訴法60条2項、最新の改正状況をご確認ください)。保釈請求自体はこの期間内いつでも可能で、回数制限はない
学説
通説:280条が第一回公判期日前の勾留処分を受訴裁判所以外の裁判官に委ねるのは、起訴状一本主義(刑訴法256条6項)による予断排除の要請と、被告人の身柄を迅速に判断する要請とを、担当主体の分離によって両立させる趣旨であると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い設けられた規定。戦後の当事者主義・起訴状一本主義の採用を背景に、第一回公判期日前の勾留判断を受訴裁判所から分離する構造が導入された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める