刑事訴訟法 第314条
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- 被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。
- 2.被告人が病気のため出頭することができないときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。但し、第二百八十四条及び第二百八十五条の規定により代理人を出頭させた場合は、この限りでない。
- 3.犯罪事実の存否の証明に欠くことのできない証人が病気のため公判期日に出頭することができないときは、公判期日外においてその取調をするのを適当と認める場合の外、決定で、出頭することができるまで公判手続を停止しなければならない。
- 4.前三項の規定により公判手続を停止するには、医師の意見を聴かなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第314条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第314条の条文原文は「被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は…」で始まります。
- 刑事訴訟法第314条は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第314条の前の条は刑事訴訟法第313条の2です。
- 刑事訴訟法第314条の次の条は刑事訴訟法第315条です。
- 刑事訴訟法第314条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第314条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第314条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/314
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法314条は、被告人の心神喪失や病気などを事由に、裁判所が決定で公判手続を停止しなければならないと定める。停止には医師の意見聴取が必須で、無罪等が明らかな場合は但書により停止しない。
Q · 親が裁判の途中で認知症になったら、刑事裁判はどうなるの?
心神喪失や病気で公判は止まるが、無罪ではない
刑事訴訟法314条により、被告人が心神喪失の状態(訴訟能力を失った状態)にあるときは、検察官・弁護人の意見を聴いたうえで、決定により公判手続が停止されます。判断には医師の意見聴取が必須です(4項)。ただし停止は無罪ではなく、事件は凍結された待機状態のまま、被告人が回復すれば再開されます。なお無罪等が明らかな場合は但書により停止せず、直ちに裁判できます。
解説
刑事裁判が始まれば判決まで一直線に進むと思っている人は多い。だが刑事訴訟法には「一時停止ボタン」が組み込まれている。被告人が心神喪失の状態、つまり自分の置かれた状況を理解し防御する能力(訴訟能力、裁かれる今、自分を守れる頭の状態か)を失ったとき、裁判所は検察官と弁護人の意見を聴いたうえで、その状態が続く間、公判手続を止めなければならない。重要なのは、これが犯行時の心神喪失(刑法39条、責任能力の問題で無罪・減軽につながる)とは全く別物だという点だ。314条が問うのは「裁かれる今、あなたは自分を守れるか」。守れないなら裁いてはならない。ただし第1項但書には玄人だけが知る抜け道がある。無罪・免訴・刑の免除・公訴棄却が明らかな場合は、被告人の出頭を待たず直ちに裁判できる。つまり停止は被告人に不利なときだけ働き、有利なら一気に終わらせられる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法314条は公判手続の停止を定める規定であり、被告人の心神喪失(訴訟能力の喪失)、被告人の病気による出頭不能、犯罪事実の証明に不可欠な証人の病気による出頭不能を事由として、裁判所が決定で公判手続を停止しなければならない旨を規定する。いずれの停止にも医師の意見聴取が必須とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴訟能力の疑いを弁護人に最初に伝える 被告人本人または家族が、被告人の理解力・防御能力に疑いを感じたら、まず弁護人に「訴訟能力を争えるか」を相談する。犯行時の責任能力(刑法39条)の話と混同しないよう、現在の状態であることを明確に伝える
- 2.独自の専門医診断書を準備する 314条4項により公判停止には医師の意見が必須となる。裁判所が選ぶ鑑定医に委ねきる前に、被告側が独自の専門医(精神科・神経内科)の診断書や意見書を準備し、提出のタイミングを弁護人と合わせる
- 3.停止申立てか早期解決かを冷静に判断する 1項但書では、無罪・免訴・刑の免除・公訴棄却が明らかな場合は停止せず直ちに裁判できる。停止して凍結状態を続けるより、早期の無罪等を狙う方が被告人に有利な場面もあるため、どちらが得かを弁護人と検討する
- 4.病気による出頭不能なら診断書を速やかに提出 被告人が病気で出頭できない場合(2項)は診断書を速やかに提出する。軽微事件であれば代理人出頭(284条・285条)の可否も同時に検討し、停止と代理人出頭のどちらが適切かを判断する
よくある質問 AI による整理
Q1公判手続の停止とは何ですか?
被告人の心神喪失や病気などを事由に、裁判所が決定で刑事裁判の進行を一時的に止める制度です。刑事訴訟法314条が根拠で、停止には医師の意見聴取が必要です。
Q2訴訟能力とは何ですか?
自分が置かれた状況を理解し、防御活動を行える能力です。犯行時の責任能力(刑法39条)とは別概念で、314条はこの「裁かれる今、自分を守れるか」を問います。
Q3刑法39条と刑事訴訟法314条の心神喪失は違うのですか?
違います。刑法39条は犯行時の責任能力で無罪・減軽につながり、314条は裁判時の訴訟能力で裁判が止まるだけです。混同すると主張する法律を誤ります。
Q4公判停止には期限がありますか?
固有の期限はありません。被告人の回復や証人の出頭が可能になるまで続きます。起訴により公訴時効は止まっているため(254条)、長期化しても事件は消えません。
Q5証人が病気で出頭できないと裁判は止まりますか?
犯罪事実の証明に欠かせない証人が病気で出頭できない場合、公判期日外の取調べが適当な場合を除き、決定で公判手続が停止されます(314条3項)。
Q6病気で出頭できないときも公判は止まりますか?
被告人が病気で出頭できないときは決定で停止されます(2項)。ただし軽微事件で代理人を出頭させた場合(284条・285条)は停止されません。
Q7公判停止に医師の意見は必要ですか?
必要です。314条4項により、いずれの事由でも公判手続を停止するには医師の意見を聴かなければなりません。鑑定医の判断が分水嶺になります。
Q8裁判が止まったら被告人は釈放されますか?
停止は手続の凍結であって無罪・釈放ではありません。身柄拘束や勾留の当否は別途判断され、社会生活への影響が続くこともあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が裁判の途中で認知症になったら、裁判はどうなるんですか?
被告人が訴訟能力を失った(心神喪失の状態)と判断されれば、刑事訴訟法314条1項により、検察官と弁護人の意見を聴いたうえで公判が停止されます。判断には医師の意見が必須です(4項)。実務のポイント:訴訟能力の有無は裁判所が選ぶ鑑定医の意見にほぼ左右される。弁護側が早期に独自の専門医意見を出せるかどうかで、停止になるか進行するかが分かれます。受け身で待つと裁判所主導の鑑定だけで決まってしまう
Q2裁判が止まったら、その人は無罪放免になるんですか?
いいえ、停止は無罪ではありません。事件は終わらず凍結された状態で、被告人が回復すれば再開されます。起訴により公訴時効も止まっているので、何年たっても事件は消えません(刑事訴訟法254条)。実務のポイント:犯行時の心神喪失(刑法39条、無罪・減軽)と、裁判時の心神喪失(314条、停止)は全くの別物。ニュースで『心神喪失』と聞いて無罪を連想する人が多いが、どの段階の話かで結論は正反対になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「心神喪失なら無罪になる」とよく言われるが、その問い自体が二つの別制度を混ぜている。犯行時の心神喪失は刑法39条で責任能力が否定され無罪・減軽につながる。裁判時の心神喪失は刑事訴訟法314条で「訴訟能力」がないとされ、裁判が止まるだけで無罪ではない。問いの立て方を間違えると、主張すべき法律も間違える
- 公判が止まることは知られていても、止まったまま何年も宙づりになりうることはあまり知られていない。起訴により公訴時効の進行は止まっているため(刑事訴訟法254条)、被告人が回復しない限り事件は終わらず凍結され続ける。「停止」は救済であると同時に、終わりの見えない待機でもある
- 被告人が心神喪失なら必ず裁判が止まると思われがちだが、第1項但書では逆に止めず進める道がある。無罪・免訴・刑の免除・公訴棄却が明らかなら、被告人の出頭を待たず直ちに裁判できる。被告人に有利な結論が見えているときは、停止せず一気に解放する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 停止・回避の事由 | 314条:心神喪失・被告人の病気・重要証人の病気 | 284条:軽微事件で代理人を出頭させ停止を回避 336条:無罪が明らかな場合は但書で停止せず即判決 |
| 前提要件 | 検察官・弁護人の意見聴取 + 医師の意見(4項) | 法定刑が軽微で代理人出頭が認められる事件 無罪・免訴・刑の免除・公訴棄却が明らかであること |
| 効果 | 決定により公判手続を停止(事件は凍結) | 本人不出頭でも代理人で手続続行 被告人の出頭を待たず直ちに裁判(解放方向) |
| 時効との関係 | 起訴により公訴時効は停止中(254条)、長期化でも消滅せず | 手続続行のため時効論点は生じにくい 判決確定で事件終結 |
他国ではどう定めているか 4 か国
被告が心神喪失の状態にあるときは回復まで審判を停止する。被告に利益となる無罪等が明らかなら停止しないとする点も日本314条1項但書と類似する
被告人が事物の弁別または意思決定の能力を欠く状態にあるとき、検事・弁護人の意見を聴いて決定で公判手続を停止する。構造が日本314条にきわめて近い
被告人の不出頭やその他一身上の障害(Verhandlungsunfähigkeit を含む)で公判を行えない場合、裁判所は手続を暫定的に停止できる。停止の柔軟性が日本より広い
被告人が弁護人と合理的に協議でき、手続を事実的・合理的に理解できることを competency to stand trial の基準とする。能力を欠けば手続が停止され治療に付される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 高齢の親が起訴された後、急速に認知症が進行し、自分が何を問われているのか理解できなくなった。このとき裁判は止まりうる。家族が「もう裁判を進めないで」と求める法的根拠が314条1項だ。だが医師の意見(4項)が「訴訟能力あり」と出れば止まらない。鑑定医の選定が分水嶺になる
- もし、あなたが被告人質問の直前に脳梗塞で倒れ、出頭できなくなったら? 病気による出頭不能(2項)で公判は止まる。ただし軽微事件で代理人を立てている場合(284条・285条)は例外。あなたの事件がどちらに該当するかで、裁判が止まるか進むかが分かれる
- 有罪立証の鍵を握る証人が病気で倒れた。検察側の柱が出頭できない。3項により公判は止まりうる。被告側にとって、時間は武器にも敵にもなる。判断は数日で迫られる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被告人の心神喪失で公判が止まった場合、まず被害者参加制度(刑事訴訟法316条の33以下)の窓口や検察官に、停止の理由と見通しを確認する2. 訴訟能力の判断は医師の意見(4項)次第なので、鑑定の進行状況を検察官経由で把握する3. 民事の損害賠償(民法709条)は刑事手続の停止と無関係に進められる、刑事を待たず別軌道で動かす4. 長期化に備え、被害者支援センターで精神的・経済的支援の制度を確認する
訴えられた側:1. 自分または依頼者に訴訟能力の疑いがあれば、弁護人を通じて314条1項の公判停止を申し立て、独自の専門医診断書を準備する2. ただし無罪・公訴棄却などが明らかな事案では、但書により停止せず早期の無罪等を狙う方が有利な場合もある、どちらが得かを冷静に判断する3. 病気で出頭できない場合(2項)は診断書を速やかに提出、軽微事件なら代理人出頭(284条・285条)の可否も検討する4. 停止が長期化すると身柄拘束や社会生活への影響が続くため、回復見込みと手続選択を弁護人と継続的に詰める
時効(請求できる期限):公判手続の停止に固有の期限はない。停止は被告人の回復や証人の出頭可能まで続く。停止の申立てや医師の意見聴取(4項)は手続の各段階で機を逃さず行う必要がある。なお起訴により公訴時効の進行は停止しているため(刑事訴訟法254条)、停止期間が長くても時効で事件が消えるわけではない
学説
通説:314条の「心神喪失」は刑法39条の責任能力とは区別され、裁判時に自己の状況を理解し防御活動を行う訴訟能力を欠く状態を指すと解する。訴訟能力を欠く被告人を裁くことは適正手続(憲法31条・37条)に反するため、その回復まで手続を凍結すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 改正:現行刑事訴訟法の全面制定。戦後改革で当事者主義・適正手続思想を導入し、被告人の心神喪失・病気、重要証人の病気を事由とする公判手続停止を整備した
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