刑事訴訟法 第356条
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前三条の上訴は、被告人の明示した意思に反してこれをすることができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第356条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第356条の条文原文は「前三条の上訴は、被告人の明示した意思に反してこれをすることができない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第356条は第一章 通則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第356条の前の条は刑事訴訟法第355条です。
- 刑事訴訟法第356条の次の条は刑事訴訟法第357条です。
- 刑事訴訟法第356条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第356条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第356条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/356
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法356条は、被告人の家族や弁護人による代理上訴を、本人が明示的に拒否した意思に反して行うことはできないと定める。本人の沈黙は上訴可能を意味する。
Q · 家族が控訴したくても、本人が「もういい」と言ったら控訴できないの?
本人が明示拒否すれば代理上訴はできない
刑事訴訟法356条により、法定代理人・保佐人や原審の弁護人が被告人のために行う代理上訴(353〜355条)は、本人が明示した意思に反してはできません。本人が法廷や書面で「上訴しない」と明言した瞬間、家族や弁護人の上訴は封じられます。逆に本人が沈黙していれば、明示の拒否がない限り代理上訴は有効に成立します。鍵は「明示した意思」があるか、そしていつ示されたかの一点です。
解説
父親が刑事裁判で実刑判決を受けた。あなたは量刑が不当に重いと感じ、控訴して闘いたい。日本の刑事訴訟法では、被告人の家族(法定代理人・保佐人)や原審の弁護人が、被告人のために上訴できる(353条から355条)。ところが356条はそこに一本の太い線を引く。これらの上訴は、被告人本人が明示的に拒否した意思に反してはできない。つまり、父が法廷で「もう争いません」と明言した瞬間、あなたがどれだけ準備しても、弁護人がどれだけ勝算を見込んでも、その上訴は封じられる。逆に言えば、本人が何も言わずに沈黙していれば、家族や弁護人の上訴は有効に成立する。鍵は「明示した意思」があるかないか、そしてそれがいつ示されたか、この一点に集約される。
法的な位置づけ
刑事訴訟法356条は、被告人の法定代理人・保佐人および原審の代理人・弁護人による代理上訴を、被告人本人の明示した意思に反して行うことができない旨を定める規定である。代理上訴の権限を本人の自己決定の下位に置き、本人が明示的に拒否しない限りにおいて第三者の上訴を有効とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分が代理上訴できる立場か確認する 上訴を望む側は、まず自分が法定代理人・保佐人(353条)、勾留理由開示請求者(354条)、原審の代理人・弁護人(355条)のいずれかに該当するか確認する。該当しなければ代理上訴の資格自体がない
- 2.被告人本人の意思を真っ先に確認する 被告人本人が「上訴しない」と明示していないかを最優先で確認する。法廷での発言・書面のいずれかに明示の拒否があれば、356条により代理上訴はできない。明示がなければ次のステップへ進む
- 3.14日以内に控訴申立書を提出する 本人の明示拒否がないことを確認したら、判決言渡しから14日以内(初日不算入)に控訴申立書を原裁判所へ提出する。本人が翻意して拒否を明示する前に動くことが分水嶺になる
- 4.(本人が上訴を望まない場合)書面で意思を明示する 被告人本人が区切りをつけたいなら、弁護人へ「上訴しない」と明確に伝え書面で残す。ただし死刑・無期判決では上訴放棄自体が禁止(360条の2)。翻意の可能性があれば14日満了まで最終判断を保留する選択肢もある
よくある質問 AI による整理
Q1代理上訴ができるのは誰ですか?
被告人の法定代理人・保佐人(353条)、勾留理由開示請求者(354条)、原審の代理人・弁護人(355条)です。356条はこれらの上訴に本人意思の制約をかけます。
Q2被告人が黙っていたら家族は控訴できますか?
できます。356条が封じるのは本人が明示的に拒否した場合だけです。沈黙はむしろ上訴可能を意味し、明示の拒否がない限り家族や弁護人の代理上訴は有効に成立します。
Q3上訴しない意思はどう示せばいいですか?
判決言渡し直後に弁護人へ「上訴しない」と明確に伝え、口頭だけでなく書面で残すのが確実です。これで弁護人や家族の代理上訴を封じられます。
Q4控訴の期間は何日ですか?
控訴・上告とも14日です(刑訴373条、414条準用)。裁判が告知された日の翌日から数え(初日不算入)、この期間を過ぎると本人も代理人も原則上訴できません。
Q5上訴の放棄と「上訴しない意思表示」は違いますか?
違います。単に上訴しない意向を述べるだけなら14日以内に翻意して上訴できますが、正式な上訴放棄手続(359条)をとると確定的で撤回できません。
Q6死刑判決でも上訴を放棄できますか?
できません。死刑・無期の判決に対する上訴の放棄は360条の2で禁じられています。本人が望んでも上訴放棄手続はとれません。
Q7被告人が意思を示せない場合はどうなりますか?
認知症などで本人が判断できず意思を明示できない場合、「明示した意思」が観念できないため、法定代理人や弁護人は本人のために代理上訴できます。
Q8弁護人が明示拒否を無視して控訴したらどうなりますか?
本人が明示的に拒否していたのに弁護人が控訴すれば、その上訴は本人の意思に反するものとして却下されます。356条が代理上訴の効力を否定します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1本人が一度「上訴しない」と言った後で気が変わったら、もう一度上訴できますか?
本人自身は、上訴期間(14日)内であれば翻意して上訴できます。356条が封じるのは本人の意思に反する「代理人の」上訴だからです。ただし正式な上訴放棄の手続(359条)をとってしまうと、それは確定的で撤回できません。実務のポイント:弁護人は「とりあえず上訴放棄の書面にはサインしないでください」と助言することがあります。単に上訴しない意向を述べるのと、放棄手続を踏むのとでは、後戻りできるかどうかが決定的に違うからです
Q2弁護士が本人に黙って勝手に控訴したら、その控訴は有効ですか?
本人が上訴しない意思を明示していなければ、原審の弁護人による控訴は355条と356条の下で有効に成立します。逆に本人が明示的に拒否していたのに弁護人が控訴すれば、その上訴は本人の意思に反するものとして却下されます。実務のポイント:本人の意思が記録上はっきりしない事件では、弁護人がまず保全的に控訴を提起し、その後に本人の意思を確認する実務もあります。期間14日を逃すと取り返しがつかないため、迷う場面では先に上訴しておく判断が働くのです
間違えやすい点 AI による整理
- 「家族なら本人の代わりに当然控訴できる」と思っている人が多いが、本人が明示的に拒否すれば家族も弁護人も一切上訴できない。代理上訴は本人の意思に従属する権限であって、家族独自の権利ではない
- 「明示した意思」の重みを軽く見ている人が多い。一度法廷や書面で「上訴しない」と明言すると、それが代理上訴を封じる効力を持つ。感情的に口走った一言が、後から振り返ると取り返しのつかない壁になっていることがある
- 「本人が黙っていたら家族は上訴できないのか」と問う人がいるが、その問いの立て方が逆である。明示の拒否がない限り、家族や弁護人の上訴は成立する。沈黙はむしろ上訴可能を意味する。止めたいなら、語らねばならないのは拒否する本人の側だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 上訴の主体 | 356条:代理上訴は本人の明示意思に反してできない(制約規定) | 351条:被告人本人の上訴権(原則) 355条:原審の代理人・弁護人による代理上訴 |
| 本人意思との関係 | 本人の明示拒否があれば代理上訴は不可、沈黙なら成立 | 本人の自由な意思で行使(制約なし) 本人の意思に従属(356条で制限される対象) |
| 例外・特則 | 本人が意思を明示できない場合は制約が働かない | 本人上訴に356条の制約は及ばない 360条の2:死刑・無期では上訴放棄自体が禁止 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も弁護人・代理人の上訴は『被告の明示意思に反してはできない』と明文化しており、日本356条と発想がほぼ一致する
韓国も代理上訴を被告人本人の意思に従属させる構造で、日本刑訴の影響が色濃い
ドイツは弁護人が被告人の明示意思に反して上訴できない旨を端的に定め、日本356条と最も近い条文構造
米国は上訴するか否かの最終決定権が被告人本人に属するとし、弁護人は争点選択の裁量を持つが上訴提起の可否は本人が決める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 判決から残り3日。父は「もう争いたくない」と言うが、あなたは明らかに量刑が重すぎると感じている。この状況であなたは父のために控訴できるのか。答えは、父が法廷や書面で上訴しないと明示したかどうかだけで決まる。明示がなければ、あなたの控訴は通る
- あなたは罪を認め、判決を受け入れて人生をやり直したい。だが熱心な弁護人が「勝てる」と言って勝手に控訴しようとしている。このとき、あなたが「上訴しない」と明示の意思を示せば、弁護人の代理上訴を止められる。あなたの人生の幕引きは、あなたが決める
- 認知症の母が被告人になった。本人は判断できず、意思を明示できない。この場合、母を守る側に道が開く。明示した意思が観念できないため、法定代理人や弁護人は母のために上訴できる
取るべき行動
被害を受けた側:(上訴を望む家族・代理人の立場)1. 自分が法定代理人・保佐人・原審の弁護人のいずれかに該当するか確認する(353条から355条)。2. 被告人本人が「上訴しない」と明示していないかを真っ先に確認する。明示があれば代理上訴は不可。3. 明示がなければ、判決言渡しから14日以内に控訴申立書を原裁判所へ提出する。4. 本人が翻意して拒否を明示する前に動くことが鍵。スピードが結果を分ける
訴えられた側:(上訴を望まない被告人本人の立場)1. 判決を受け入れて区切りをつけたいなら、その意思を弁護人へ明確に伝える。口頭だけでなく書面で残すと確実。2. これにより弁護人や家族の代理上訴を止められる。3. ただし死刑・無期の判決では上訴の放棄自体ができない(360条の2)ので注意。4. 翻意の可能性が少しでもあるなら、14日の上訴期間が満了するまで最終判断を保留する選択肢もある
時効(請求できる期限):控訴・上告の提起期間は14日(刑事訴訟法373条、上告も414条で準用)。起算は裁判が告知された日から進行し(358条)、期間計算上は初日不算入で告知日の翌日から数える。この14日を過ぎると、本人も代理人も原則として上訴できなくなる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:353条から355条の代理上訴権は被告人を保護するための従属的権限であり、本人独自の権利を侵すものではない。したがって本人が明示的に上訴を拒否した場合には代理上訴は許されず、本人が意思を明示できない場合には『明示した意思』が観念できないため代理上訴が活きる、と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、代理上訴を被告人本人の明示意思の下位に置く本条が置かれた。被告人の自己決定を重視する戦後の当事者主義的構造の一環。
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