刑事訴訟法 第357条
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上訴は、裁判の一部に対してこれをすることができる。部分を限らないで上訴をしたときは、裁判の全部に対してしたものとみなす。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第357条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第357条の条文原文は「上訴は、裁判の一部に対してこれをすることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第357条は第一章 通則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第357条の前の条は刑事訴訟法第356条です。
- 刑事訴訟法第357条の次の条は刑事訴訟法第358条です。
- 刑事訴訟法第357条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第357条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第357条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/357
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法357条は、上訴を裁判の一部に対してできると定める。併合罪のように判決が可分なら一部だけ争えるが、範囲を限定せず上訴すると裁判の全部に上訴したとみなされる。
Q · 三つの罪で有罪判決を受けたけど、納得できない一つだけ控訴することはできるの?
可能。ただし範囲を書かないと全部に上訴したとみなされる
刑事訴訟法357条により、上訴は裁判の一部に対してすることができます。併合罪のように判決が可分な場合、争う訴因だけを限定して一部上訴し、争わない罪は確定させられます。ただし注意点が二つあります。第一に、申立書で部分を限定せずに上訴すると、裁判の全部に対して上訴したものとみなされます(357条後段)。第二に、単純一罪で一個の刑が言い渡された場合は不可分なので、量刑の一部だけを切り出して争うことはできません。
解説
詐欺と窃盗、二つの訴因で裁判にかけられ、詐欺は有罪、窃盗は無罪。あなたは詐欺の有罪に納得できないが、窃盗の無罪はそのまま確定させたい。この「裁判の一部だけを争う」ことを可能にするのが刑訴法357条だ。上訴は裁判の全部ではなく一部に対してできる。ただし条文の後段に罠がある。「部分を限らないで上訴をしたとき」、つまり申立書で『どの部分を争うか』を明示しなければ、裁判の全部に対して上訴したものとみなされる。さらに見落としがちなのは、一部上訴ができるのは判決が『可分』なとき、つまり数個の罪が併合審理されている場合に限られる点だ。一個の罪に一個の刑が言い渡された単純一罪では、量刑だけを切り出して争うことはできない。あなたがどこを争い、どこを確定させるか、その線の引き方が、確定の時期も刑の執行も再審の射程も変える。
法的な位置づけ
刑事訴訟法357条は一部上訴を定める規定であり、上訴が裁判の一部に対してもできること、および部分を限らないで上訴したときは裁判の全部に対して上訴したものとみなされることを規定する。併合罪のように判決が可分な場合に、当事者が争う訴因を限定して残りを確定させる機能を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.判決が可分か不可分かを弁護人と確認 実刑・有罪判決を受けたら、まず判決が併合罪で『可分』か、単純一罪で『不可分』かを弁護人と確認する。可分でなければ一部上訴という選択肢自体が使えない
- 2.どの訴因を確定させ、どれを争うか決定 可分なら、争いの薄い罪を先に確定させて服役を進めるか、全部を争うかを戦略的に決める。確定すれば刑の執行が始まる点、未決勾留日数の算入への影響を試算してから線を引く
- 3.上訴申立書に争う範囲を明示 申立書に争う訴因・主文の該当部分を特定して明記する。部分を限定せずに出すと裁判の全部に上訴したとみなされる(357条後段)。確定させたい部分があるなら必ず限定を書く
- 4.提起期間14日以内に申立書を提出 判決告知の翌日から14日以内に、原裁判所に控訴申立書を提出する(刑訴373条)。期間を過ぎると上訴自体ができず、判決の全部が確定する。範囲の縮小は期間内にしか柔軟に動かせない
よくある質問 AI による整理
Q1一部上訴とは何ですか?
裁判の一部だけを切り離して上訴することです。刑事訴訟法357条が根拠で、併合罪のように判決が可分な場合に、争う訴因を限定して残りを確定させられます。
Q2控訴の提起期間は何日ですか?
判決告知の日の翌日から14日です(刑訴373条、初日不算入は55条)。この期間内に申立書で争う範囲を確定させる必要があり、過ぎると判決の全部が確定します。
Q3一部上訴は単純一罪でもできますか?
できません。一部上訴ができるのは判決が可分なとき、つまり数罪が併合審理された場合に限られます。単純一罪は一個の刑が不可分なので量刑だけの切り出しは不可です。
Q4検察官も一部上訴できますか?
できます。被告人が一部無罪・一部有罪となった事件で、検察官は無罪部分だけを一部上訴することができます。被害者参加していた人は上訴範囲を確認すべきです。
Q5一部上訴した場合、確定した罪の刑はいつ執行されますか?
争わなかった部分は提起期間の経過で確定し、その刑の執行が始まります。控訴中だから全部止まる、ということにはならず、未決勾留日数の算入にも影響します。
Q6一部上訴と上訴の取下げはどう違いますか?
一部上訴は最初から争う範囲を限定する方法、取下げ(刑訴359条)はいったん上訴した後に撤回する方法です。取下げ後は同一範囲の再上訴が禁止されます(361条)。
Q7申立書に上訴の範囲はどう書きますか?
争う訴因や主文の該当部分を特定して明示します。何も書かず部分を限定しないと、357条後段により裁判の全部に上訴したとみなされるため注意が必要です。
Q8一部上訴すると刑が重くなることはありますか?
被告人側だけが上訴した部分は不利益変更の禁止(刑訴402条)で原則重くなりません。ただし検察官が上訴した範囲はこの保護が及ばないため、誰がどこを争うかで変わります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1三つの罪で有罪判決、一つだけ控訴したら残りの二つはどうなりますか?
あなたが争わなかった二つの罪は、控訴提起期間(14日)の経過とともに確定します(刑訴357条)。確定した刑はそのまま執行に向かい、控訴中だから全部止まる、ということにはなりません。実務のポイント:弁護人があえて争いの薄い罪を先に確定させ、残る一罪に集中する戦略を取ることがある。確定部分の服役を先に進めることで、結果的に身柄拘束の総期間を読みやすくする狙いがある。総花的に全部控訴するのが常に得とは限らない
Q2控訴の申立書に『一部だけ』と書き忘れたら、どうなりますか?
部分を限定せずに上訴すると、裁判の全部に対して上訴したものとみなされます(刑訴357条後段)。確定させたかった有利な部分まで控訴審に乗ってしまいます。実務のポイント:検察官が上訴したのか被告人が上訴したのかで、不利益変更の禁止(刑訴402条)が及ぶ範囲が変わる。被告人側だけが控訴した部分なら原則として刑は重くならないが、検察官が上訴した範囲はその保護が及ばない。誰がどの範囲を上訴したかで控訴審で刑が重くなりうるかが決まる。申立書の文言は弁護人と一字一句詰めるべき局面だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「不満な判決は全部まとめて控訴するのが当然」と考える人が多いが、その問いの立て方そのものが損を生む。全部控訴すれば、本来確定して服役が進むはずだった軽い罪まで宙づりになり、未決の身柄拘束が長引くことがある。問うべきは『どれを確定させた方が得か』だ
- 一部上訴ができること自体は知っていても、その前提条件の厳しさを知らない人が多い。判決が『可分』、つまり数罪が併合されている場合にしか一部上訴は使えない。科刑上一罪や包括一罪では、一個の刑が不可分なので、量刑の一部だけを切り出す上訴はできない
- 「申立書に何も書かなければ無難」と思いがちだが逆である。部分を限定せずに上訴すると、後段により裁判の全部に対する上訴とみなされる(刑訴357条後段)。沈黙は『全部争う』という最大の主張になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 機能 | 357条:上訴の範囲を一部に限定する(一部上訴) | 359条:いったんした上訴を放棄・取下げる 373条:控訴の提起期間(14日)を定める |
| 前提条件 | 判決が可分(併合罪など数罪の併合審理) | すでに上訴権が発生または上訴済み 判決の告知があったこと |
| 書き忘れ・徒過の効果 | 部分を限定しないと全部に上訴したとみなされる(後段) | 取下げ後は同一範囲の再上訴が禁止(361条) 期間徒過で判決の全部が確定し上訴不可 |
| 争点への影響 | 弁護資源を争う訴因に集中できる | 確定を早め服役・解決を進められる 決断のタイムリミットを画する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も上訴を判決の一部に対してできると明文化。明示しない場合の取扱いについては改正で『各罪を独立して上訴可能』とする方向が議論されてきた点で日本と差異がある
韓国も一部上訴(일부상소)を明文化し、範囲を限定しない場合は全部に対する上訴とみなす点で日本と構造が近い
ドイツは控訴(Berufung)・上告(Revision)について上訴の限定(Beschränkung)を認め、可分的な部分に限る点で日本の一部上訴と発想が共通する
米国は count(訴因)ごとに有罪・無罪が分かれ、被告人・検察官がそれぞれ特定の count についてのみ上訴できる。当事者主義的な一部上訴の母法的発想
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 併合罪で実刑判決。控訴の提起期間は判決翌日から14日(刑訴373条)。残りあと3日で、有罪部分を全部争うか、争いの薄い一罪だけ確定させて残りに集中するか決めなければならない。申立書の一文の書き方を間違えると、確定させたかった部分まで控訴審に引きずり込まれる
- あなたが被害者参加した事件で、被告人は一部無罪、一部有罪。検察官はその無罪部分だけを一部上訴することができる。あなたが「全部終わった」と思っていても、無罪部分だけが控訴審で蒸し返される。被害者として、検察官がどの範囲を上訴したかを確認しないと、手続の全体像を見失う
- 三つの詐欺で有罪、うち一つは証拠が弱い。弁護人は証拠の弱い一罪だけを一部上訴し、確実な二罪は早く確定させて服役を進める戦略を取ることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被告人が一部無罪・一部有罪となった事件で被害者参加していたら、判決後すぐ担当検察官に『無罪部分を上訴するか』を確認する2. 検察官が一部上訴すれば、その部分だけが控訴審に移り、有罪部分は確定する。手続の全体像を検察官に整理してもらう3. 上訴提起期間(14日)が過ぎれば検察官の上訴可能性は消える、その日程を把握する4. 損害賠償は刑事の確定を待たず、民事(民法709条)で別途進められる
訴えられた側:1. 有罪・実刑判決を受けたら、判決が併合罪で『可分』か、単純一罪で『不可分』かをまず弁護人と確認する2. 可分なら、どの訴因を争い、どれを確定させるかを14日以内に決め、申立書に争う範囲を明示する3. 範囲を書かなければ全部上訴とみなされる(357条後段)、確定させたい部分があるなら必ず限定を明記する4. 一部が確定すればその刑の執行が始まる点、未決勾留日数の算入への影響を試算してから線を引く
時効(請求できる期限):上訴(控訴)の提起期間は、判決告知の日の翌日から14日(刑訴373条、初日不算入は刑訴55条)。この期間内に申立書で争う範囲を確定させる必要がある。期間経過後は上訴自体ができず、判決の全部が確定する
学説
通説:一部上訴が認められるのは判決の主文が可分な場合、すなわち併合罪のように数個の罪につき可分的な裁判がされた場合に限られる。科刑上一罪・包括一罪・単純一罪は一個の刑が不可分であるため、量刑の一部のみを切り出す上訴はできないとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 改正:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の全面改正により制定。当事者主義的上訴構造のもと、上訴の範囲を一部に限定できる規律と、部分不限定の場合の全部上訴擬制を定めた。
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