刑事訴訟法 第365条
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上訴権回復の請求があつたときは、原裁判所は、前条の決定をするまで裁判の執行を停止する決定をすることができる。この場合には、被告人に対し勾留状を発することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第365条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第365条の条文原文は「上訴権回復の請求があつたときは、原裁判所は、前条の決定をするまで裁判の執行を停止する決定をすることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第365条は第一章 通則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第365条の前の条は刑事訴訟法第364条です。
- 刑事訴訟法第365条の次の条は刑事訴訟法第366条です。
- 刑事訴訟法第365条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第365条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第365条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/365
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法365条は、上訴権回復の請求があったとき、原裁判所が前条の決定をするまで裁判の執行を停止する決定をできると定める。停止する場合は被告人に勾留状を発しうる。
Q · 上訴権回復を請求すれば、刑の執行は止まりますか?
止まるとは限りません。停止は裁判所の裁量です。
刑事訴訟法365条により、上訴権回復の請求があると、原裁判所は回復の許否を決める前条(364条)の決定までの間、裁判の執行を停止する決定を「できる」とされています。ただし「できる」であって「しなければならない」ではなく、停止は裁判所の裁量です。さらに執行を停止する場合、裁判所は被告人に勾留状を発することができます。つまり刑の執行は止まっても、身柄が拘束されることがあり、自由のまま争えるとは限りません。
解説
引っ越し後の旧住所に判決の送達がされ、あなたはそれを知らないまま控訴期間(14日)が過ぎた。気づいたときには有罪判決が確定し、罰金の督促状や、場合によっては刑の執行が迫っている。ここで使うのが上訴権回復の請求(362条)だが、請求しただけでは刑の執行は止まらない。365条が定めるのは、原裁判所が回復を認めるか決める(364条)までの間、裁判の執行を止める決定を「できる」という点だ。注意すべきは「できる」であって「しなければならない」ではないこと。執行停止は裁判所の裁量である。さらにこの条文には牙がある。執行を止める代わりに、裁判所はあなたに勾留状を発することができる。つまり、刑の執行は止まっても、身柄は拘束されうる。自由のまま争えるとは限らない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法365条は、上訴権回復の請求がなされた場合における裁判の執行停止を定める規定である。原裁判所は、回復の許否を判断する前条の決定をするまでの間、裁判の執行を停止する決定をすることができ、その場合には被告人に対し勾留状を発することができる。執行停止は義務ではなく裁量である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.期限徒過が「責めに帰せない事由」か確認 上訴期間を過ぎた理由が、刑事訴訟法362条の「自己又は代人の責めに帰することができない事由」に当たるか確認する。入院・天災・送達の不到達など客観資料を集める。単なるうっかりや弁護人への連絡漏れは本人の責めとされやすい
- 2.回復請求・上訴・執行停止を一括で提出 事由が止んだ日(知った日)から14日以内に、上訴権回復請求書・上訴申立書・執行停止の上申を一束で原裁判所へ提出する。363条の同時上訴要件を満たさないと請求自体が不適法になる
- 3.執行停止の上申で勾留回避を先回り 365条の執行停止は裁量で、しかも勾留状を発せられうる。上申書に停止すべき理由と「逃亡のおそれがない」ことを定職・家族・確たる住居の疎明資料で固めて添える。請求後に慌てて集めるのでは遅い
- 4.364条の意見聴取と勾留時の対応を準備 原裁判所は回復の許否を決める前に検察官の意見を聴く(364条)。検察官の反論に備えて主張を整理する。仮に勾留された場合は勾留理由開示請求(82条)と準抗告で争う準備をしておく
よくある質問 AI による整理
Q1上訴権回復とは何ですか?
本人の責めに帰せない事由で上訴期間を過ぎた場合に、上訴の権利を取り戻す手続です。刑事訴訟法362条が根拠で、事由が止んだ日から所定期間内に請求します。
Q2刑の執行停止は誰が決めるのですか?
原裁判所です。刑事訴訟法365条により、回復の許否を決める364条の決定までの間、執行を停止する決定をできます。あくまで裁量で、自動的には止まりません。
Q3執行停止を求めると必ず勾留されますか?
必ずではありません。365条後段は勾留状を「発することができる」と定める裁量です。逃亡のおそれがないことを疎明できれば、勾留されずに停止のみを得られる可能性があります。
Q4上訴権回復の請求はいつまでにできますか?
事由が止んだ日から上訴提起期間に相当する期間(控訴・上告とも14日)以内です。しかも同時に上訴も提起する必要があります(363条)。
Q5執行停止の決定に不服がある場合どうすればいいですか?
裁判所の決定に対しては抗告・準抗告で争える場合があります。特に勾留状が発せられた場合は、勾留理由開示請求や準抗告による争い方を検討します。
Q6略式命令でも上訴権回復はできますか?
略式命令には正式裁判の請求という別の不服申立てがありますが、その期間徒過にも責めに帰せない事由があれば回復を求める余地があります。事案により扱いが分かれます。
Q7勾留された期間は後で補償されますか?
365条の勾留後に上訴審で無罪となれば、その拘束期間は刑事補償法1条の補償対象になりうります。拘束日数を正確に記録しておくことが重要です。
Q8上訴権回復の請求と上訴は別々に出すのですか?
別々ではありません。363条により上訴権回復の請求は上訴の提起と「同時に」行う必要があります。回復請求書・上訴申立書・執行停止の上申を一括で出すのが鉄則です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上訴権回復を請求したら、刑務所に入らずに済みますか?
必ず済むとは限りません。365条は原裁判所が執行を止める決定を「できる」と定めるだけで、停止は裁量です。しかも止める代わりに勾留状を発せられることがあります。実務のポイント: 実務では、執行停止を求める上申に「逃亡のおそれなし」を裏づける疎明(定職・家族・確たる住居)を最初から添えるかどうかで、勾留されずに停止だけを得られる確率が大きく変わる。請求書を出してから慌てて集めるのでは遅い
Q2そもそも、うっかり控訴期限を過ぎただけでも回復できますか?
単なる「うっかり」では難しいです。362条は「自己又は代人の責めに帰することができない事由」を要件とし、入院・天災・送達の不到達など本人の落ち度でない事情が必要です。弁護人への連絡を怠った等は本人の責めとされやすい。実務のポイント: 送達が旧住所にされ受け取れなかったケースは回復が認められやすいが、転居届を出していたかで結論が割れる。引っ越し時に届出をしていたか、その一点が回復の成否を左右することがある
間違えやすい点 AI による整理
- 上訴権回復を請求すれば刑の執行は自動的に止まると思われているが、365条は「執行を停止する決定をすることができる」と書く。停止は裁判所の裁量であり、請求しただけでは止まらない。止める決定を別途求め、止めるべき理由を説得しなければならない
- 勾留状を発せられる可能性は知っていても、その重みを知らない人が多い。執行停止と引き換えの勾留は、まだ有罪が固まっていない段階での身柄拘束だ。仮に後で無罪や減刑を勝ち取っても、この期間に失った自由は現実に消え、取り戻すには刑事補償という別の手続が要る
- 「どうやって刑の執行を止めるか」と問う人が多いが、その問いの前に「そもそも上訴権回復が認められる事由があるか」という関門がある。362条は自己の責めに帰せない事由を要求しており、転居届を怠った、督促を放置したなど自分の落ち度なら回復自体が認められず、執行停止を論じる土俵に上がれない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 365条:回復の許否決定までの執行停止(裁量)+勾留状 | 362条:上訴権回復の請求権そのもの 364条:請求に対する回復の許否の決定 |
| 発動のタイミング | 回復請求後、364条の決定をするまでの間 | 事由が止んだ日から上訴提起期間内(14日) 請求後、検察官の意見を聴いた後 |
| 主たる効果 | 刑の執行が止まりうるが、引き換えに身柄拘束されうる | 上訴の機会を取り戻す入口を開く 回復を認めるか否かが確定する |
| 裁量か義務か | 執行停止も勾留も裁判所の裁量 | 要件を満たせば請求できる権利 要件審査に基づく羈束的判断 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も責めに帰せない事由による期間徒過に「回復原状」の請求を認め、回復の判断まで執行停止できる点で日本と類似する。
韓国も상소권회복(上訴権回復)の制度を持ち、請求があった場合に裁判の執行停止を認める構造が日本と近い。
ドイツは Wiedereinsetzung in den vorigen Stand(原状回復)で期間徒過を救済し、不服申立てに執行停止効を認める場面がある。
米国は上訴期間延長や上訴回復の申立てと、上訴係属中の執行停止(stay pending appeal)を区別して扱い、裁量で判断される点が共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外赴任中に略式命令が自宅に届き、家族が転送し忘れた。帰国したら罰金の納付督促が来ている。事由が止んだ日(あなたが知った日)から14日以内に上訴権回復を請求しなければ、その道も閉ざされる。365条の執行停止を併せて求めるか、勾留リスクを背負うか、その日のうちに弁護士と詰める必要がある
- もし、入院中に判決が確定し、退院したら収監の通知が届いていたら? 上訴権回復を請求すれば、原裁判所は収監(刑の執行)を止める決定を「できる」。ただし保証はない。裁判所が止めない判断をすれば、争っている間も身柄は刑事施設に置かれる
- 実刑判決のあと、保釈で自宅にいた。上訴権回復を請求した瞬間、裁判所が勾留状を発した。執行は止まったが、あなたは留置場に戻る。
- あなたが期限を逃した理由が「弁護人に連絡し忘れていた」だった場合、それはあなた自身の落ち度とされやすい。362条の要件を満たさず、執行停止を論じる以前に回復請求そのものが却下される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 期限を逃した事由が「自己又は代人の責めに帰することができない事由」(362条)に当たるか確認し、入院・天災・送達の不到達などの客観資料を集める2. 事由が止んだ日(知った日)から控訴期間相当(14日)以内に、上訴権回復請求書・上訴申立書・執行停止の上申を一括で原裁判所に提出する(363条の同時上訴要件) 3. 執行停止は裁量なので、停止すべき理由と逃亡のおそれのないことを疎明する4. 弁護人を立て、相手方(検察官)の意見聴取(364条)に備える
訴えられた側:1. 執行停止を求めると勾留状を発せられうる(365条後段)ことを前提に、逃亡・罪証隠滅のおそれがないことを定職・家族・住居の資料で固める2. すでに保釈中なら、保証金の維持と身元引受人の確保で勾留回避を主張する3. 仮に勾留されても、勾留理由開示請求(刑事訴訟法82条)と準抗告で争える4. 後に無罪・減軽となれば拘束期間は刑事補償法の対象になりうるので、拘束日数を記録しておく
時効(請求できる期限):上訴権回復の請求は、事由が止んだ日から上訴提起期間に相当する期間内(控訴・上告とも14日)にしなければならず、同時に上訴も提起する必要がある(363条)。365条の執行停止自体に固有の期限はないが、回復請求が期間徒過で却下されれば執行停止を論じる余地も消える
学説
通説:365条の執行停止は裁判所の裁量であり、回復請求によって当然に執行が停止するわけではない。執行停止を認める場合に勾留状を発しうるのは、執行を止めたことで生じる逃亡リスクを身柄確保で埋め合わせる趣旨と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の全部改正により制定。上訴権回復の請求(362条)に伴う執行停止と勾留状発付の枠組みが置かれた。
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