刑事訴訟法 第390条
クイックジャンプ
控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、裁判所は、五十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、五万円)以下の罰金又は科料に当たる事件以外の事件について、被告人の出頭がその権利の保護のため重要であると認めるときは、被告人の出頭を命ずることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第390条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第390条の条文原文は「控訴審においては、被告人は、公判期日に出頭することを要しない。ただし、裁判所は、五十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪…」で始まります。
- 刑事訴訟法第390条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第390条の前の条は刑事訴訟法第389条です。
- 刑事訴訟法第390条の次の条は刑事訴訟法第390条の2です。
- 刑事訴訟法第390条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第390条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第390条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/390
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法390条は、控訴審では被告人は公判期日に出頭しなくてよいと定める。控訴審は事後審で勝負は控訴趣意書にあるが、裁判所は必要と認めれば出頭を命じることができる。
Q · 一審で有罪になって控訴したけど、控訴審にも毎回出頭しないといけないの?
原則として出頭は不要です(刑訴390条)
刑事訴訟法390条により、控訴審では被告人は公判期日に出頭する必要がありません。控訴審は一審判決の当否を記録で見直す事後審であり、戦いの主戦場は控訴趣意書という書面です。弁論は弁護人が行うため、被告人が法廷に立つ場面はほとんどありません。ただし裁判所が、被告人の出頭が権利保護のため重要と認めたときは出頭を命じることができ、その命令が出た期日には必ず出席する必要があります。
解説
一審で有罪判決を受けて控訴した。半年後、高等裁判所から公判期日の通知が届く。仕事を休み、スーツを準備し、緊張で前夜眠れない。だが刑事訴訟法390条はこう告げる。控訴審では、被告人は公判期日に出頭しなくてよい。これは一審(出頭が原則義務、刑訴286条)との決定的な違いだ。理由は控訴審の正体にある。控訴審は事件をゼロから審理し直す場ではなく、一審判決に誤りがないかを記録で見直す「事後審」である。だから戦いの主戦場は法廷ではなく、提出済みの控訴趣意書という書面の上にある。あなたが法廷で語ることはほとんどなく、弁論は弁護人(弁護士)が行う。ただし裁判所が、あなたの出頭が権利保護のために重要だと判断したときは、出頭を命じることができる。その命令が出たということ自体が、裁判所が事実をもう一度詰めようとしているサインでもある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法390条は控訴審における被告人の出頭を定める規定であり、控訴審では被告人は公判期日に出頭することを要しないとする一方、裁判所が被告人の出頭をその権利の保護のため重要と認めるときは出頭を命じることができると規定する。一審の出頭義務(刑訴286条)に対する事後審としての特則である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.控訴趣意書の提出期限を最優先で確認 出頭日を気にする前に、弁護人に控訴趣意書の提出期限(裁判所指定、刑訴376条)を確認する。控訴審の実質的な締切はここにあり、期限を逃すと控訴が決定で棄却されうる
- 2.出頭の要否を弁護人に確認する 原則として出頭は不要だが、自ら出頭して事情を述べたい意思があれば弁護人経由で裁判所に伝える。権利としての出頭は残っているため、不要か希望かを早めに整理する
- 3.出頭命令が出た期日は必ず出席する 390条ただし書で裁判所が出頭を命じた期日は、事実認定や量刑が動く重要局面のサイン。被告人質問で一審で語れなかった事情を直接届けられる機会と捉え、弁護人と入念に準備して臨む
- 4.遠方・長期不在でも控訴を維持する 海外赴任・入院・遠方転居などで法廷に行けない場合も、出頭命令の出ていない期日は弁護人に手続を委ねて控訴を維持できる。出頭できないことを理由に控訴を諦めない
よくある質問 AI による整理
Q1控訴審に出頭しないと控訴が不利になりますか?
なりません。刑訴390条が原則として出頭不要とし、不出頭そのものは不利益になりません。評価されるのは控訴趣意書に書かれた主張の中身です。
Q2控訴審で被告人が出頭を命じられるのはどんな場合ですか?
裁判所が、被告人の出頭がその権利の保護のため重要と認めたときです(刑訴390条ただし書)。被告人質問など事実認定が動く局面で命じられます。
Q3出頭不要なら控訴審に弁護人は必要ないのですか?
必要です。控訴審では被告人は自分で弁論できず、弁論は弁護人でなければできません(刑訴388条)。弁護人がいないと法廷で主張を展開できません。
Q4控訴審の本当の締切はいつですか?
公判期日ではなく控訴趣意書の提出期限です(裁判所が指定、刑訴376条)。これを過ぎると控訴が決定で棄却されることがあり、出頭以上に重要です。
Q5控訴はいつまでに申し立てればいいですか?
判決宣告日の翌日から14日以内です(刑訴373条)。この期間を過ぎると控訴できなくなるため、出頭の段取りより先に確認すべき期限です。
Q6検察官が控訴してきた場合も出頭しなくていいですか?
出頭義務はありません。ただし検察官控訴は量刑加重などのリスクがあり、出頭命令が出たら事実や量刑が動く兆候なので入念に準備すべきです。
Q7遠方の高裁が控訴審になったら毎回通うのですか?
通う必要はありません。390条により原則出頭不要なので、弁護人に手続を委ね、自分は控訴趣意書の打ち合わせに集中できます。
Q8控訴審と一審で出頭ルールはどう違いますか?
一審は出頭が原則義務(刑訴286条)ですが、控訴審は事後審のため原則不要(刑訴390条)です。この違いを知らないと構造を読み違えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴審に出頭しなかったら、控訴したことが不利に扱われませんか?
扱われません。390条本文が原則として出頭不要としており、不出頭そのものは不利益になりません。控訴審で評価されるのは法廷での態度ではなく、控訴趣意書に書かれた主張の中身です。実務のポイント:弁護士が控訴審で本当に神経を使うのは趣意書の構成であって、被告人を出廷させるかどうかは二の次のことが多い。被告人質問で印象を良くしたいケースは限られ、むしろ出頭を命じられた期日だけ気合いを入れる、という戦い方が実務の現実です
Q2出頭しなくていいなら、弁護士もいらないんじゃないですか?
逆です。控訴審では被告人が自分で弁論することはできず、弁論は弁護人(弁護士)でなければできません(刑訴388条等)。つまり被告人は出頭不要でも、弁護人がいないと法廷で主張を展開できる人が誰もいなくなります。実務のポイント:一審の国選弁護人がそのまま控訴審を担当しない場合があり、控訴したのに弁護人が空白になって趣意書の質が落ちる事故が起きやすい。控訴を決めた瞬間に控訴審の弁護人を確保しているか、自分で確認するのが安全です
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判には毎回必ず出頭しなければならない」と思い込んでいる人が大半だが、それは一審の話。控訴審は事後審であり、被告人の出頭は原則不要(390条本文)。法廷で被告人が直接訴えかける場面を期待していると、控訴審の構造そのものを読み違える
- 「出頭しなければ控訴をやる気がないと思われて不利になる」と心配する人が多いが、出頭しないこと自体は不利益にならない。控訴審で評価されるのは法廷での態度ではなく、控訴趣意書に書かれた法律上・事実上の主張の質。力を入れるポイントが、そもそもずれている
- 出頭が「権利」なのか「義務」なのかを混同しがちだが、390条の構造は精密だ。原則は出頭しなくてよい(義務の免除)。一方で出頭したければできる(権利は残る)。さらに裁判所が必要と認めれば出頭を命じられる(命令の余地)。この三層を分けて理解しないと、自分が今どの立場にいるか分からなくなる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 被告人の出頭 | 刑訴390条:控訴審は原則出頭不要(命令あれば出頭) | 刑訴286条:一審は出頭が原則義務 刑訴388条:弁論は弁護人でなければできない |
| 審理の性質 | 事後審(記録で一審判決の当否を見直す) | 事実審(当事者が直接対峙し事実を形成) 弁護人による法律論・事実論の展開が中心 |
| 実質的な締切 | 控訴趣意書の提出期限(刑訴376条) | 各公判期日への出頭 控訴提起期間14日(刑訴373条) |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾でも第二審で被告が正当な理由なく不出頭の場合、その陳述を待たずに判決できるとされ、上訴審で被告の出頭を必須としない点で日本と方向性が共通する
ドイツは控訴審(Berufung)における被告人の欠席の効果を規律し、欠席の取扱いを定める点で機能的に対応するが、欠席時の処理(控訴棄却等)の設計は日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で実刑判決を受け、控訴した。高裁から期日通知が来たが、仕事を休めない。出頭しなければ控訴は不利になるのか。答えは原則ノー。控訴審は弁護人が控訴趣意書で戦う場で、あなたの出頭は必須ではない。休業して出廷準備に追われる前に、弁護人に「私の出頭は必要か」を確認すべきだった
- 検察官が一審の無罪・軽すぎる量刑を不服として控訴してきた。あなたは防御の立場。この場合も390条は適用され、出頭義務はない。だが裁判所が被告人質問のため出頭を命じてきたら、それは量刑や事実認定が動く可能性がある重要局面のサイン。命令の有無で戦略が変わる
- もし、地方在住で控訴審が遠方の高裁になったら、毎回の出廷交通費と休業損害が重荷になる。390条のおかげで原則出頭不要だから、弁護人に手続を委ね、自分は控訴趣意書の中身の打ち合わせに集中できる。ただし出頭命令が出た期日だけは別、その日は必ず行く
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが控訴した側(被告人控訴)の場合。1. まず控訴趣意書の提出期限を弁護人に確認、これが最優先の締切2. 出頭は原則不要だが、出頭したい意思があれば弁護人経由で裁判所に伝える、権利としての出頭は残っている3. 390条ただし書で出頭命令が出た期日は必ず出席、被告人質問で一審で語れなかった事情を届ける好機と捉える4. 遠方・長期不在でも控訴は維持できるので、出頭できないことを理由に諦めない
訴えられた側:検察官が控訴してきて、あなたが一審の有利な判断を守る立場の場合。1. あなたも出頭義務はないが、検察官控訴は量刑加重や破棄差戻しのリスクがあるため、防御の控訴趣意書(答弁書)の中身が決定的2. 裁判所が出頭を命じてきたら、事実や量刑を動かそうとしている兆候、弁護人と入念に準備して臨む3. 一審で得た有利な認定がなぜ正しいかを記録に即して固める作業に集中する
時効(請求できる期限):390条自体に時効はない。ただし前提となる控訴の提起は判決宣告日の翌日から14日以内(刑訴373条)、控訴趣意書は裁判所が指定する期限まで(刑訴376条)。出頭命令が出た場合は指定された公判期日に従う。これらを過ぎると控訴が棄却されうるため、出頭以上に期限管理が重い
学説
通説:控訴審は事後審であり、一審判決の当否を記録に基づいて審査する場であるとする。被告人の出頭義務を外す390条本文は、この事後審構造の帰結と理解され、ただし書の出頭命令は被告人の防御権保障のための例外的調整と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、控訴審を事後審とする構造のもとで被告人の出頭義務を原則として免除する規定として置かれた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める