医療法 第13条
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患者を入院させるための施設を有する診療所の管理者は、入院患者の病状が急変した場合においても適切な治療を提供することができるよう、当該診療所の医師が速やかに診療を行う体制を確保するよう努めるとともに、他の病院又は診療所との緊密な連携を確保しておかなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第13条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第13条の条文原文は「患者を入院させるための施設を有する診療所の管理者は、入院患者の病状が急変した場合においても適切な治療を提供することができるよう、当該診療所の医師が速やかに診療を…」で始まります。
- 医療法第13条は第二節 管理に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第13条の前の条は医療法第12条の4です。
- 医療法第13条の次の条は医療法第14条です。
- 医療法第13条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第13条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第13条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/13
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法13条は、有床診療所の管理者に、急変時に医師が速やかに診療できる体制の確保(努力義務)と、他の病院・診療所との緊密な連携の確保(義務)を求める規定である。
Q · 入院できる診療所で、夜に医師が院内にいないのは違法ですか?
違法とは限らない。問われるのは呼出体制と転送先の確保
医療法13条は、有床診療所の管理者に対し、入院患者が急変したときに医師が速やかに診療できる体制を確保するよう努めることと、他の病院・診療所との緊密な連携を確保しておくことを求めています。医師が常に院内にいることまでは求めていません。ただし、連携の確保は努力義務ではなく「確保しておかなければならない」義務です。医療過誤訴訟でも、事前の体制が整っていたかどうかが注意義務の判断材料になりえます。
解説
病院には医師を宿直させる法律上の義務がある(医療法16条)。一方、ベッドが19床以下の有床診療所には、同じ「宿直させなければならない」という条文がない。その代わりに置かれているのが本条である。管理者に課されるのは二つ。一つ目は、容体が急変したときに医師がすぐ診られる体制を整える努力義務。二つ目は、他の病院や診療所と緊密に連携しておく義務で、こちらは「確保しておかなければならない」と書かれた義務である。つまり、夜の有床診療所に医師がいないこと自体は違法とは限らない。問われるのは、医師にすぐ連絡がつくか、何分で駆けつけられるか、手に負えない場合にどこへ転送するかが事前に決まっているかである。入院の説明を受けるとき、あなたが確認すべきは病室の広さではない。「夜中に急変したら、誰が何分で来て、どこへ運ぶのか」という一点である
法的な位置づけ
医療法第13条は、有床診療所の管理者に課される急変時対応体制の規定である。入院患者の病状が急変した場合にも適切な治療を提供できるよう、当該診療所の医師が速やかに診療を行う体制の確保を努力義務とし、他の病院又は診療所との緊密な連携の確保を義務として定める。病院に対する医師宿直義務(同法16条)とは異なる構造をとる。
手順
- 1.入院前に夜間体制と転送先を確認する 入院の同意書にサインする前に、「夜間に急変したら医師は何分で来るのか」「転送先の病院はどこか」の二点を質問し、答えをメモしておく
- 2.急変時の時系列を記録する 急変が起きたら、急変に気づいた時刻、医師へ連絡した時刻、医師が到着した時刻、転送を決めた時刻と到着時刻をスマホなどで記録する
- 3.カルテと看護記録の開示を請求する 個人情報保護法に基づいて診療記録の開示を請求し、夜間の呼出記録と連携先との取り決めの有無を確認する。改ざんのおそれがあるときは証拠保全の申立ても検討する
- 4.医療事故に詳しい弁護士に相談する 記録をそろえ、協力医の意見と合わせて注意義務違反と因果関係の見通しを聞く。訴訟のほか医療ADRも選択肢として検討する
よくある質問 AI による整理
Q1有床診療所とは何ですか?
患者を入院させる施設を持つ診療所で、病床は19床以下です(医療法1条の5)。20床以上になると病院に分類されます。
Q2有床診療所に医師の宿直義務はありますか?
医療法16条の宿直義務は病院が対象で、有床診療所には適用されません。代わりに13条が急変時の診療体制と連携の確保を求めています。
Q3医療法13条の努力義務とはどこまでですか?
前半の「医師が速やかに診療を行う体制」が努力義務です。後半の他の病院・診療所との連携は「確保しておかなければならない」とされ、義務です。
Q4有床診療所の48時間規制はいつ廃止されましたか?
平成18年(2006年)の第5次医療法改正で、旧13条の48時間規制が廃止され、急変時の体制と連携を求める現行の文言に改められました。
Q5医療法13条に違反するとどうなりますか?
本条自体に直接の罰則はありません。ただし保健所の立入検査(医療法25条)で体制を確認され、指導の対象になりえます。民事の責任判断にも影響しえます。
Q6有床診療所の提携病院は患者に教えてもらえますか?
入院前に尋ねれば説明を受けられるのが通常です。転送先を即答できない場合は、連携の確保が形式にとどまっている可能性があります。
Q7診療所で急変して転送が遅れたら責任を問えますか?
当時の医療水準に照らして注意義務違反があり、死亡や後遺症との因果関係が認められれば、損害賠償を請求できる可能性があります。
Q8有床診療所の夜間体制は誰がチェックしていますか?
都道府県知事や保健所設置市の長が、医療法25条に基づく報告の求めや立入検査により、管理体制を確認します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1夜中に先生がいない有床診療所って、それだけで違法じゃないんですか?
それだけでは違法とは限りません。医師の宿直義務(医療法16条)は病院に対するもので、有床診療所には本条(13条)が、医師がすぐ診療できる体制を整える努力義務と、他施設との連携義務を課しています。実務のポイント:争点になるのは「いなかったこと」ではなく、「呼んでから何分で来られる体制だったか」「急変したとき、どこへ運ぶかが決まっていたか」の二つです。聞くべきことはこの二点に絞られます
Q2努力義務って書いてあるなら、裁判で責任は問えないってことですか?
そうとは限りません。本条の後半にある他施設との連携は「確保しておかなければならない」という義務です。また、民事の損害賠償では、当時の医療水準に照らして注意義務を尽くしたかが問われ、本条の内容はその判断材料になりえます。実務のポイント:医療訴訟では、急変が起きた後の対応よりも、事前に手順書や連携の取り決めがあったかどうかが争点になりやすい傾向があります。だからこそ、施設側の書類が残っているかを早めに確認する価値があります
間違えやすい点 AI による整理
- 「入院できる診療所なら、夜も医師が院内にいるはず」と思っている人は多い。しかし病院に宿直を義務づける医療法16条は、有床診療所には適用されない。本条が求めているのは、医師がすぐ診療できる体制の確保(努力義務)と他施設との連携であり、医師が常に院内にいることまでは求めていない
- 「努力義務なのだから、守らなくても責任は問われない」という考えは半分しか当たっていない。本条の前半、医師がすぐ診療できる体制は確かに努力義務である。しかし後半の他施設との連携は「確保しておかなければならない」と書かれた義務だ。さらに、医療過誤の民事訴訟では、行政上の努力義務であっても、医療機関がどの程度の注意を尽くすべきだったか(注意義務の水準)を判断する材料になりうる。行政処分の有無と、損害賠償責任の有無は別々に判断される
- 患者側は「急変時に何をしてくれるのか」だけに目を向けがちである。法律が見ているのはその手前、急変が起きる前に仕組みができていたかどうかだ。深夜の対応がどれほど必死だったとしても、転送先との取り決めがゼロだったなら、評価は厳しくなる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象施設 | 医療法13条:有床診療所(19床以下) | 医療法16条:医業を行う病院(20床以上) 医療法1条の4:医師等・医療提供施設全般 |
| 夜間・急変時の要求水準 | 医師が速やかに診療できる体制の確保(努力義務) | 医師を宿直させる義務(法令上の例外規定あり) 施設間の連携に努める一般的な責務 |
| 外部施設との連携 | 他の病院・診療所との緊密な連携を「確保しておかなければならない」 | 宿直体制による院内完結が基本 医療提供施設相互間の機能分担・連携への配慮 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は危急病人への救治義務と、設備・人員上治療できない場合の転診義務を医療機関一般に課す。日本のように有床診療所に限った急変時体制の規定はない
韓国は病院級の医療機関に当直医療人の配置を義務づける。医院級の入院施設に対する急変時の連携規定は日本ほど明確ではない
米国は救急部門を持つ病院に、救急患者を安定化させるか適切に転送する義務を課す。施設の体制確保というより個々の患者への対応義務として設計されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 産婦人科の有床診療所で出産した翌日の深夜、妻の出血が止まらない。ナースコールで来たのは看護師だけで、院長は自宅にいて電話で指示を出している。この状態がすぐ違法になるわけではない。ただし、院長が駆けつけるまでの時間や、転送先の病院と事前に取り決めがあったかどうかは、あとで医療過誤を争うとき、本条の義務を果たしていたかを判断する材料になる
- もし入院中の父が夜中に意識を失い、診療所が転送先を探すのに1時間かかったら、どうなる? 本条は連携を「確保しておかなければならない」と定めている。受け入れ先に電話をかけ始めるのが急変した後だったのなら、事前に連携を整える義務を果たしていたかが問われる
- あなたは地方で19床の診療所を継いだばかりの二代目院長である。先代は近くに住んでいたので、何かあればすぐ駆けつけていた。あなたは車で40分の場所に住んでいる。体制は「院長が近くにいる」という前提ごと崩れている。保健所の立入検査は来月に迫っている
- 眼科の有床診療所で日帰りの予定だった手術後、経過観察で一泊することになった。夜間に医師がいるかどうかを、誰も説明してくれなかった
取るべき行動
被害を受けた側:1. 急変があったら、時刻、連絡した相手、医師が到着した時刻、転送した時刻をメモかスマホで記録する。記憶はすぐに曖昧になる2. 個人情報保護法に基づいてカルテと看護記録の開示を請求する。改ざんのおそれがあるときは、裁判所に証拠保全を申し立てる手段もある3. 夜間の呼び出し体制と連携先との取り決めがあったかを確認する4. 医療事故に詳しい弁護士に、協力してくれる医師の意見と合わせて因果関係の見通しを聞く。医療 ADR(裁判外の話し合いによる解決)も選択肢になる
訴えられた側:1. 夜間に医師を呼び出すときの手順、到着までの目安時間、連携先の病院と転送基準を文書にしておく2. 実際に呼び出したときは、時刻を毎回記録する3. 連携先とは口約束で済ませず、紹介や受け入れの実績、協定書などを残しておく4. 急変が起きたら、隠さずに事実を経過に沿って説明する。院内での死亡が予期しないものであった場合、医療事故調査制度(医療法6条の10)に基づいて報告する義務があるかを必ず確認する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。医療過誤の損害賠償は、債務不履行(民法415条)なら権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から20年(生命・身体の侵害の場合、民法166条・167条)。不法行為(民法709条)なら損害と加害者を知った時から5年、不法行為の時から20年(民法724条・724条の2)
学説
一般的な理解:本条前段の診療体制確保は努力義務にとどまるが、後段の連携確保は「確保しておかなければならない」と規定された法的義務と理解されている。行政上の義務の性質とは別に、民事上の注意義務の水準を判断する際の考慮要素となりうる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)第5次医療法改正 旧13条は、有床診療所に同一の患者を48時間を超えて収容しないよう努めることを求める、いわゆる48時間規制であった。この改正で同規制が廃止され、急変時に医師がすぐ診療できる体制と、他施設との連携の確保を求める現行の文言に改められた(施行日と、それ以降の改正の有無は要人的検証)
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:医療法制定。旧13条は、有床診療所に同一の患者を48時間を超えて収容しないよう努めることを求める、いわゆる48時間規制として置かれた
- 2.平成18年(2006年) 改正:第5次医療法改正で48時間規制を廃止し、急変時に医師が速やかに診療を行う体制の確保と、他の病院・診療所との緊密な連携の確保を求める現行の文言に改めた
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