医療法 第1条の4
クイックジャンプ
- 医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
- 2.医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
- 3.医療提供施設において診療に従事する医師及び歯科医師は、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携に資するため、必要に応じ、医療を受ける者を他の医療提供施設に紹介し、その診療に必要な限度において医療を受ける者の診療又は調剤に関する情報を他の医療提供施設において診療又は調剤に従事する医師若しくは歯科医師又は薬剤師に提供し、及びその他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
- 4.病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所を退院する患者が引き続き療養を必要とする場合には、保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携を図り、当該患者が適切な環境の下で療養を継続することができるよう配慮しなければならない。
- 5.医療提供施設の開設者及び管理者は、医療技術の普及及び医療の効率的な提供に資するため、当該医療提供施設の建物又は設備を、当該医療提供施設に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手の診療、研究又は研修のために利用させるよう配慮しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第1条の4は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第1条の4の条文原文は「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第一条の二に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。」で始まります。
- 医療法第1条の4は第一章 総則に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第1条の4の前の条は医療法第1条の3です。
- 医療法第1条の4の次の条は医療法第1条の5です。
- 医療法第1条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第1条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第1条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/1_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法1条の4は、医師・薬剤師・看護師などの医療の担い手に、適切な説明を行い患者の理解を得るよう努める義務を定める。紹介や退院後の連携も求めるが、罰則はない。
Q · 医師の説明が足りないとき、医療法で何か言えるの?
罰則はないが、説明義務は判例で認められている
医療法1条の4第2項は、医師や看護師などに、適切な説明を行い患者の理解を得るよう努めることを求めています。努力義務で罰則はないため、本条だけを根拠に賠償を求めるのは困難です。ただし最高裁は診療契約上の説明義務を認めており、説明不足で治療法を選ぶ機会を失った場合、債務不履行(民法415条)や不法行為(民法709条)として責任が問われることがあります。
解説
医師の説明が足りないと感じても、多くの患者は何も言わずに帰る。しかし医療法1条の4第2項は、医師、歯科医師、薬剤師、看護師などに「適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と書いている。押さえておきたい点は二つある。一つ目に、第1項から第3項は努力義務(守るよう努める義務)、第4項と第5項は配慮義務で、どれにも罰則はない。本条だけを根拠に損害賠償を請求することは難しい。二つ目に、それでも説明義務がないわけではない。最高裁は、診療契約から生じる説明義務を判例で認めており、説明が足りずに患者が治療法を選ぶ機会を失ったケースで、医師側の責任を認めてきた(最判平成13.11.27、乳房温存療法事件など)。本条は、説明することが医療者の当然の仕事だと法律に書いた条文であり、裁判で説明の水準が問われるときの背景にもなる。さらに第3項は他の医療機関への紹介と情報の引き継ぎを、第4項は退院後の療養先との連携を求めている。質問すること、紹介状を頼むこと、退院前に次の行き先を確かめること。どれもわがままではなく、法律が想定している患者の行動である。
法的な位置づけ
医療法1条の4は、医療の担い手の責務を定める規定である。医療の担い手に良質かつ適切な医療の提供と、説明による医療を受ける者の理解の獲得を努力義務として課し、医師・歯科医師に他の医療提供施設への紹介・情報提供を、病院等の管理者に退院患者の療養継続への配慮と施設開放への配慮を求める。罰則規定を伴わない。
手順
- 1.診察前に質問をメモする 病状、治療の選択肢、それぞれのリスク、治療しない場合の見通しなど、聞きたいことを箇条書きにして持参する。家族の同席も検討する
- 2.説明内容をその場で記録する 説明を受けた日時、医師の名前、説明内容と自分の質問への回答をメモする。同意書に署名する前に、ほかの治療法と、それを選ばない理由を確認する
- 3.紹介状(診療情報提供書)を依頼する 転院やセカンドオピニオンを考えるときは、予約日から逆算して主治医に診療情報提供書を依頼する。画像データの受け取りも併せて頼む
- 4.退院の話が出たら退院調整を申し込む 退院が話題になった段階で、地域連携室や医療ソーシャルワーカーとの面談を申し込み、要介護認定の申請や在宅サービスの手配を並行して進める
- 5.納得できないときは外部に相談する 説明に納得できなければカルテ開示を請求し、医療安全支援センターに相談する。損害がある場合は医療過誤を扱う弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1インフォームド・コンセントとは
医療者が病状・治療の選択肢・リスクを説明し、患者が理解したうえで治療に同意することです。医療法1条の4第2項がその考え方を努力義務として定めています。
Q2医療法1条の4罰則はある?
ありません。第1項から第3項は努力義務、第4項と第5項は配慮義務で、違反しても刑事罰や行政処分が直接科される規定ではありません。
Q3医師の説明義務違反 慰謝料 相場
事案により大きく異なり、一律の相場はありません。自己決定の機会を失ったことへの慰謝料として認められる例があり、結果との因果関係が認められれば賠償額は大きくなります。
Q4説明義務違反 時効 いつまで
債務不履行なら知った時から5年・行使できる時から20年(生命・身体侵害)、不法行為なら知った時から5年(生命・身体侵害)・行為時から20年です。
Q5薬剤師 説明義務 根拠
医療法1条の4は薬剤師も医療の担い手として説明の努力義務を課し、薬剤師法25条の2は調剤した薬の情報提供と必要な指導を義務づけています。
Q6退院調整 病院の義務?
医療法1条の4第4項は、病院等の管理者に、療養が続く退院患者について介護・福祉事業者と連携し、適切な環境で療養を継続できるよう配慮することを求めています。
Q7カルテ開示 できる?
できます。民間医療機関には個人情報保護法33条に基づき開示を請求できます。手数料がかかる場合がありますが、説明内容の確認や別の病院の受診に役立ちます。
Q8医療安全支援センター 相談できること
医療法6条の13に基づき都道府県などが設置する窓口で、医療に関する苦情や相談を受け付けます。病院に直接言いにくい説明不足の問題も相談できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1説明が足りなかった医師を、医療法違反で訴えられますか?
本条は努力義務で罰則がないため、本条だけを根拠に請求するのは難しいです。ただ、説明義務違反は判例上、診療契約上の義務違反(民法415条)や不法行為(709条)として争われ、慰謝料が認められた例があります。実務のポイント:裁判で病院側がまず出してくるのは、カルテに書かれた説明の記録と同意書です。患者側に当日のメモがあるかどうかで、争い方が大きく変わります
Q2紹介状を頼んだのに断られました。医師の義務じゃないんですか?
第3項は「必要に応じ」行うよう努める義務なので、断っても罰則はありません。ただ、自分の検査結果やカルテは個人情報保護法33条に基づいて開示を請求でき、コピーを持って別の病院を受診することもできます。実務のポイント:画像検査のデータはCD-Rなどで受け取れることが多く、紹介状がなくても受け入れる病院は少なくありません
Q3病院が私の情報を勝手に別の病院に送るのは問題じゃないんですか?
第3項は、診療に必要な範囲で情報を提供することを想定しています。個人情報保護法27条は、第三者に情報を渡すには原則として本人の同意が必要としていますが、厚生労働省などの医療・介護向けガイダンスでは、院内に掲示したうえで患者が反対しなければ、黙示の同意があったとみなす扱いが認められています。実務のポイント:嫌であれば、窓口で申し出ておけば情報を送らないよう求めることができます
Q4退院をせかされています。断ることはできますか?
入院を続けることを求める権利が、本条で保障されているわけではありません。ただ、第4項は病院の管理者に、退院後も適切な環境で療養を続けられるよう、介護や福祉の事業者と連携するよう求めています。実務のポイント:医師と交渉するより、医療ソーシャルワーカーに在宅の準備がまだ整っていないことを具体的に伝えるほうが、退院日の調整やつなぎの施設探しにつながりやすいです
間違えやすい点 AI による整理
- 「努力義務で罰則もないなら意味がない」と考えるのは早い。本条には確かに罰則がない。しかし説明義務そのものは判例で確立しており、診療契約上の義務違反(民法415条)や不法行為(民法709条)として慰謝料が認められた例がある。本条は、その判例と同じ内容を法律の条文として示しているにすぎない
- 同意書にサインすれば説明は終わった、と考える人は多いが、それだけでは足りない。同意書は重要な証拠ではあるが、裁判で争われるのは、どんな治療の選択肢とリスクを、どの程度説明したかという中身である。条文も「理解を得るよう努めなければならない」と書いており、署名をもらうことではなく、患者が理解することを目標にしている
- 患者からは、紹介状は医師に頭を下げてお願いするものに見える。しかし法律の側から見ると、医療機関同士で役割を分け、連携するために、医師が「必要に応じ」行うべき仕事として書かれている。この見方の違いを知らないと、患者は遠慮して必要な転院やセカンドオピニオンを先延ばしにしてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の内容 | 医療法1条の4:医療の担い手の説明・紹介・退院連携の責務 | 医療法1条の2:医療提供の理念(生命の尊重と個人の尊厳の保持) 医療法6条の4:入院診療計画書の作成・交付 |
| 名宛人 | 医師・薬剤師・看護師等、医師・歯科医師、病院等の管理者・開設者 | 医療提供全体(理念規定) 病院・診療所の管理者 |
| 義務の強さ | 努力義務・配慮義務(罰則なし) | 理念の宣言(直接の義務なし) 書面の作成・交付と適切な説明を求める具体的義務 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は医療機関と医師に病情・治療方針・予後などの告知を明文の義務として課しており、日本の努力義務より強い書き方である
韓国は手術等について説明と書面同意を義務づけ、違反には過料の制裁がある
ドイツは2013年の患者権利法で診療契約の典型契約化とともに説明義務を民法典に明文化した
米国は判例法でインフォームド・コンセント法理を発展させ、合理的患者基準を採る州もある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 入院中の親について、病院から突然「来週退院です」と言われたらどうするか。家には手すりもなく、介護保険の申請もまだしていない。第4項は病院の管理者に、退院後も適切な環境で療養を続けられるよう、介護や福祉の事業者と連携するよう求めている。今日中に地域連携室か医療ソーシャルワーカーに面談を申し込むこと。要介護認定は原則30日以内に結果が出るため、1週間では間に合わない可能性がある
- あなたはクリニックの院長で、外来の混雑を理由に説明を短く済ませてきた。ある患者が、別の治療法があることを知らないまま手術を受け、あとから「聞いていない」と訴えてきた。本条そのものに罰則はないが、訴訟では判例上の説明義務違反として責任を問われる可能性がある。説明した内容をカルテに書いていなければ、反論はかなり難しくなる
- 紹介状を頼んだら、医師に露骨に嫌な顔をされた。遠慮する必要はない。必要に応じて患者を紹介し、情報を渡すことは、第3項が想定している医師の仕事である
- 薬局で「前の病院の薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか」と聞こうとして、ためらった。本条は薬剤師も「医療の担い手」として名前を挙げている。さらに薬剤師法25条の2は、調剤した薬について情報を提供し、必要な指導をすることを薬剤師の義務としている。聞くのは患者の当然の権利である
- がんと告知されたが、主治医の治療方針に迷いがある。セカンドオピニオンを受けるには、検査データや画像を持っていく必要がある。第3項が想定する医師同士の情報提供を使えば、診療情報提供書(紹介状)として渡してもらえる。予約日までに間に合うよう、今週中に主治医に頼むこと
取るべき行動
被害を受けた側:1. 診察の前に質問をメモしておき、説明を受けた日時、医師の名前、内容をその場で記録する2. 説明に納得できなければ、カルテの開示を請求する(民間の医療機関には個人情報保護法33条に基づいて請求できる) 3. 病院に直接言いにくい場合は、都道府県などに置かれている医療安全支援センター(医療法6条の13)に相談する4. 治療の結果に損害がある場合は、医療過誤を扱う弁護士に、説明義務違反で争えるかどうか見てもらう
訴えられた側:1. 治療の選択肢、それぞれのリスク、治療しなかった場合の見通しを説明したことを、カルテに具体的に残す2. 同意書だけでなく、説明書を渡して患者の質問への回答も記録する3. 紹介や退院調整でやりとりした内容も記録しておく4. 苦情が出たら、感情的な反論をせず、院内の医療安全管理の担当者を通して対応を一本化し、記録をもとに事実関係を整理する
時効(請求できる期限):本条そのものには時効がない(努力義務と配慮義務で、罰則もない)。説明義務違反で損害賠償を求める場合、債務不履行として請求するなら、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年(生命・身体の侵害は20年、民法166条・167条)。不法行為として請求するなら、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、行為の時から20年(民法724条・724条の2)
学説
通説:本条は努力義務規定であり、直接に私法上の請求権を発生させるものではない。医師の説明義務は診療契約や不法行為法から導かれ、本条はその法理と同じ方向を示す理念規定と位置づけられる
改正沿革 AI による整理
- 平成9年(1997年)第三次医療法改正(要人的検証) 医療の担い手が適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努める旨(現第2項)が改正で盛り込まれ、インフォームド・コンセントの考え方が法律に明記されたとされる。新設された年や、他の項が加わった経緯は要確認
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 改正:第三次医療法改正により、医療の担い手が適切な説明を行い医療を受ける者の理解を得るよう努める旨(現第2項)が盛り込まれたとされる。各項の追加時期は要確認
- 医療法 第1条の2本条が前提とする医療提供の理念
- 医療法 第6条の4入院診療計画書と退院時の療養計画
- 医療法 第4条地域医療支援病院と施設の共同利用
- 医療法 第6条の13医療安全支援センターでの患者相談
- 医師法 第23条医師の療養指導義務
- 薬剤師法 第25条の2薬剤師の情報提供と指導の義務
- 個人情報の保護に関する法律 第27条紹介時の第三者提供の制限
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める