医療法 第61条の3
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第六十条の三から第六十条の五までの規定は、医療法人が新設分割をする場合について準用する。この場合において、第六十条の三第一項及び第三項中「吸収分割契約」とあるのは「新設分割計画」と、同条第四項中「吸収分割医療法人」とあるのは「新設分割医療法人」と、「吸収分割承継医療法人」とあるのは「新設分割設立医療法人」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第61条の3は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第61条の3の条文原文は「第六十条の三から第六十条の五までの規定は、医療法人が新設分割をする場合について準用する。」で始まります。
- 医療法第61条の3は第二目に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第61条の3の前の条は医療法第61条の2です。
- 医療法第61条の3の次の条は医療法第61条の4です。
- 医療法第61条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第61条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第61条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/61_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法61条の3は、医療法人の新設分割に吸収分割の規定(60条の3〜60条の5)を準用する。社員全員の同意、知事の認可、債権者異議手続が必要となる。
Q · 医療法人が分院を切り出して新しい法人をつくるとき、どんな手続が必要?
吸収分割と同じく同意・知事認可・債権者手続が必要
医療法61条の3により、新設分割には吸収分割の規定(60条の3〜60条の5)が準用されます。社団たる医療法人なら総社員の同意、財団たる医療法人なら理事の3分の2以上の同意を得たうえで、都道府県知事の認可を受けなければなりません。認可後は財産目録・貸借対照表を作成し、債権者に異議を述べる機会を与える公告・催告を行う必要があります。社会医療法人など省令で除外された法人類型は、そもそも分割を利用できません。
解説
条文は短く、「前の条文をそのまま使う」としか書いていない。だが病院を経営する医療法人にとっては、事業を「切り出して新しい法人を生む」ための手続の骨組みが、すべてこの一条にかかっている。新設分割とは、医療法人が病院や介護施設など事業の一部を切り離し、その事業を受け継ぐ医療法人を新しく設立することである。本条は、吸収分割(既存の別法人に事業を渡す分割)のルールである60条の3から60条の5を、新設分割にも「読み替えて」使うと定める。そのため新設分割でも、社員全員の同意(財団なら理事の3分の2以上)、都道府県知事の認可、財産目録の作成、債権者異議手続(取引先や銀行が「待った」をかけられる手続)という関門を省けない。あなたが理事長でも、事務長でも、勤務医でも、分割の話が出たらまずこの関門の順番を押さえておくことだ。承継や再編の主導権は、関門の順番を知っている側に移る。
法的な位置づけ
医療法第61条の3は、医療法人の新設分割について、吸収分割に関する同法第60条の3から第60条の5までの規定を準用する旨を定める準用規定である。準用に際しては「吸収分割契約」を「新設分割計画」、「吸収分割医療法人」を「新設分割医療法人」、「吸収分割承継医療法人」を「新設分割設立医療法人」と読み替える。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.分割できる法人類型かを確認する 定款・寄附行為と法人登記を確認し、自法人が社会医療法人や持分の定めのある医療法人など、施行規則で分割対象から除外された類型に当たらないかを確認する
- 2.新設分割計画を作成し、行政と事前協議する 承継させる事業・資産・債務・職員の範囲を定めた新設分割計画を作成し、都道府県の医療法人担当および保健所と、開設許可や認可申請の論点を事前協議する
- 3.社員全員(財団は理事3分の2以上)の同意を得る 社員総会または理事会で新設分割計画について同意を取り、議事録に同意者を明記する。社団では一人でも反対者がいれば手続を進められない
- 4.都道府県知事の認可を申請する 新設分割計画と同意書類を添えて、都道府県知事に分割の認可を申請する。認可がなければ分割の効力は生じない
- 5.財産目録作成と債権者異議手続を行う 認可通知から2週間以内に財産目録・貸借対照表を作成して備え置き、債権者への公告と知れている債権者への個別催告を行う。異議を述べた債権者には弁済・担保提供等で対応する
- 6.新設分割設立医療法人の設立登記をする 債権者異議手続の完了後、新設分割設立医療法人の設立登記を行う。並行して病院開設許可・保険医療機関指定などの行政手続を完了させ、診療の空白期間を生まないよう調整する
よくある質問 AI による整理
Q1医療法人の新設分割とは?
医療法人が病院や介護施設など事業の一部を切り出し、その事業を承継する医療法人を新たに設立する再編手法です。医療法61条で定義され、61条の3が手続を定めます。
Q2医療法人の新設分割の手続の流れは?
新設分割計画の作成、社員全員の同意(財団は理事の3分の2以上)、知事への認可申請、財産目録の作成、債権者への公告・催告、設立登記という順で進みます。
Q3医療法人の分割に知事の認可は必要?
必要です。医療法61条の3が準用する60条の3により、都道府県知事の認可を受けなければ新設分割の効力は生じません。
Q4医療法人の分割 債権者異議 いつまで?
認可通知から2週間以内に公告・個別催告を行い、債権者には2か月を下らない異議申述期間が与えられます。期間内に異議がなければ承認したものとみなされます。
Q5持分あり医療法人は分割できる?
できません。医療法60条と施行規則により、持分の定めのある医療法人や社会医療法人などは分割の対象から除外されています。まず法人類型の確認が必要です。
Q6医療法人の分割で職員の雇用はどうなる?
労働契約承継法は医療法人に直接適用されないと解されており、職員を新法人へ移すには原則として本人の承諾(民法625条)が必要です。
Q7医療法人の分割で開設許可は引き継がれる?
当然に引き継がれるとは限りません。病院の開設許可や保険医療機関の指定は、保健所・厚生局と個別に協議して手続を確認する必要があります。
Q8医療法人の分割に社員総会の決議は多数決でよい?
足りません。社団たる医療法人の新設分割には総社員の同意が必要で、一人でも反対すれば進められません。財団の場合は理事の3分の2以上の同意が原則です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの医療法人、分院だけ切り離して息子に任せたいんですけど、新設分割って使えます?
持分の定めのない医療法人であれば、新設分割で分院を別の医療法人として独立させる道がある。ただし本条が準用する60条の3により、社団なら社員全員の同意と知事の認可が要る。実務のポイント:法人を分けても病院の開設許可や保険医療機関の指定が当然に引き継がれるとは限らない。行政との事前協議を後回しにすると、新法人の診療開始日がずれ込み、その間の収入が止まる
Q2取引先の病院が分割するって公告を出してた。うちの売掛金、どっちに請求すればいいの?
新設分割計画で承継すると定めた債務は新しい法人が負うが、債権者には異議を述べる機会が保障されている(本条が準用する債権者保護の規定)。実務のポイント:期間内に異議を述べないと、分割を承認したものとして扱われる。売掛金が大きいなら、公告を見た時点で書面を送って担保か弁済を求めること。この一手を知らない取引先ほど、財務の弱い新法人に債権だけ移されて回収に苦しむ
間違えやすい点 AI による整理
- 「新しい法人をつくるだけだから、設立手続を踏めば足りる」と考えがちである。実際は、本条が吸収分割の規律を準用するため、元の法人の社員全員の同意と債権者保護手続まで必要になる。新設分割は「設立」ではなく「分割」であり、元の法人の債権者に対する責任から切り離して考えることはできない
- 分割の手続は理事会と役所の間で完結すると思われている。ところが法律から見ると、主役は債権者である。異議を述べた債権者への弁済や担保提供を怠れば、分割の効力そのものを争われる火種になる。経営陣からは社内の再編に見えても、法律上は取引先全員を巻き込む手続である
- 「どの医療法人でも分割できる」という前提がそもそも誤っている。社会医療法人や持分の定めのある医療法人(いわゆる旧法の出資持分あり法人)などは、厚生労働省令で分割の対象から外されている(最新の改正状況をご確認ください)。自院が分割を使える法人類型かを最初に確認しなければ、計画書づくりが丸ごと無駄になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 分割の形態 | 医療法61条の3:新設分割(事業を承継する医療法人を新たに設立) | 医療法60条の3〜60条の5:吸収分割(既存の別医療法人に事業を承継) 医療法61条:新設分割の定義と新設分割計画の作成 |
| 基本となる書面 | 新設分割計画(読み替え後) | 吸収分割契約(当事者間の契約) 新設分割計画に定めるべき事項を規律 |
| 同意・認可 | 60条の3を準用:社員全員の同意(財団は理事3分の2以上)+知事認可 | 両当事法人それぞれで同意+知事認可 同意・認可の要件は定めず、61条の3に委ねる |
| 債権者保護 | 60条の4・60条の5を準用:財産目録作成+債権者異議手続 | 財産目録作成+債権者異議手続(準用元) 直接の規定なし |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾には医療社団法人の分割を定める明文規定がなく、会社分割制度が参考対照となる。株主総会決議と債権者保護の枠組みは日本の会社分割に近い
韓国も会社分割は商法で規律され、医療法人の分割規定は置かれていない
ドイツ組織再編法は新設型分割(Spaltung zur Neugründung)を定め、吸収型の規定を準用する構造で日本と類似する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 理事長が「本院はそのまま残して、分院と訪問看護を新しい法人に切り出す」と言い出した。事務長のあなたに回ってきたのは新設分割計画の作成。社員総会で一人でも反対すれば、計画は前に進まない
- 取引先の医療法人から「分割で新法人に事業を移す」という公告が届いたら、未回収の医薬品代はどうなるのか? 債権者異議手続の期間内に異議を述べれば、弁済や担保の提供を求める道がある。黙っていれば承認したものとして扱われる
- あなたは分院の勤務医。新設分割で分院ごと新法人に移ると聞かされ、雇用契約書へのサインを求められた。サインする前に、給与・退職金の通算・勤務地の条件を書面で確認すること。サインしてからでは交渉材料がほとんど残らない
- 知事認可の通知が届いた。財産目録と貸借対照表を作る期限まで、残り2週間しかない。会計事務所の繁忙期と重なれば、スケジュール全体が崩れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先や職員の立場で分割公告を受け取ったら、公告日と異議申述期間の末日をすぐ控える2. 未回収の債権があれば、期間内に書面で異議を述べ、弁済または担保の提供を求める3. 雇用が移る職員は、承継後の労働条件を書面で受け取るまで同意書に署名しない4. 疑問が残るときは、医療法人法務に詳しい弁護士か社会保険労務士に相談する
訴えられた側:1. 分割を進める側は、まず自法人が分割できる類型か(社会医療法人などの除外)を確認する2. 新設分割計画を作成し、社員全員の同意(財団は理事の3分の2以上)を議事録で確保する3. 知事への認可申請前に行政と事前協議する4. 認可後は期限内に財産目録を作成し、債権者への公告・個別催告を漏れなく行う。催告漏れは後日の紛争の最大の火種になる
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。ただし手続上の期限は厳格で、知事の認可通知を受けてから2週間以内に財産目録・貸借対照表を作成し、債権者に異議を述べる機会を与える公告・催告をする必要がある。異議申述期間は2か月を下らないとされる(最新の改正状況をご確認ください)。分割に伴う代金などの債権には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
- 平成27年(2015年)改正、平成28年(2016年)9月施行 医療法人の分割制度の創設に伴い、新設分割に吸収分割の手続規定を準用する条文として新設されたとみられる。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成27年(2015年) 新設:医療法の一部を改正する法律により医療法人の分割制度が創設され、新設分割に吸収分割の手続規定を準用する本条が設けられた(平成28年9月施行)。その後の改正の有無は要確認
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