医療法 第6条の11
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- 病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査(以下この章において「医療事故調査」という。)を行わなければならない。
- 2.病院等の管理者は、医学医術に関する学術団体その他の厚生労働大臣が定める団体(法人でない団体にあつては、代表者又は管理人の定めのあるものに限る。次項及び第六条の二十二において「医療事故調査等支援団体」という。)に対し、医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとする。
- 3.医療事故調査等支援団体は、前項の規定により支援を求められたときは、医療事故調査に必要な支援を行うものとする。
- 4.病院等の管理者は、医療事故調査を終了したときは、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、その結果を第六条の十五第一項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。
- 5.病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たつては、あらかじめ、遺族に対し、厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第6条の11は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第6条の11の条文原文は「病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査(以下この章において「医療事故調査…」で始まります。
- 医療法第6条の11は第一節 医療の安全の確保のための措置に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第6条の11の前の条は医療法第6条の10です。
- 医療法第6条の11の次の条は医療法第6条の12です。
- 医療法第6条の11には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第6条の11 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第6条の11(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/6_11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法第6条の14は、医療事故が起きた病院等の管理者に、原因を明らかにする院内調査と、医療事故調査・支援センターへの結果報告、報告前の遺族説明を義務付ける。
Q · 病院で家族が急死したら、病院は必ず原因を調べてくれるの?
病院が医療事故と判断した場合に限り、調査義務が生じる
医療法第6条の14により、医療事故が発生した病院等の管理者は、原因を明らかにする院内調査を行い、結果を医療事故調査・支援センターへ報告しなければなりません。報告の前には遺族への説明も必要です。ただし対象の「医療事故」は、提供した医療に起因する(または起因すると疑われる)死亡・死産のうち、管理者が予期しなかったものに限られます。その判断は管理者が行うため、遺族はまず、病院がセンターへ報告するのかどうかを確認することが重要です。
解説
病院で家族が予期せぬ形で亡くなったとき、最初に真相を調べる義務を負うのは警察でも第三者機関でもない。その病院自身である。本条は病院・診療所・助産所の管理者に対し、医療事故が起きたら原因を明らかにする「医療事故調査」を行い、終わったら医療事故調査・支援センターへ結果を報告するよう命じている。ただし、ここでいう「医療事故」は狭い。提供した医療が原因となった(または原因と疑われる)死亡・死産で、しかも管理者が「予期しなかった」ものに限られる。重い後遺症が残っただけでは対象にならない。さらに「予期していたか」を判断するのは遺族ではなく管理者である。この点を知らない遺族は「病院が調べてくれるはず」と待ち続ける。知っている遺族は、センターへ報告するのかどうかを病院に書面で問い合わせ、報告の前に受けるはずの説明(第5項)の中身を一言残らず記録する。同じ悲劇に遭っても、手元に残る情報の量はまるで違ってくる。
法的な位置づけ
医療法第6条の14は、医療事故調査制度の中核となる規定である。病院等の管理者に対し、医療事故が発生した場合に原因究明のための院内調査を行うこと、医療事故調査等支援団体に支援を求めること、調査結果を医療事故調査・支援センターへ報告すること、報告前に遺族へ説明することを義務付けている。制度の目的は再発防止と医療安全の確保にある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.病院に報告の有無を確認する 死亡直後に、病院が本件を医療事故として医療事故調査・支援センターへ報告するのかを確認する。回答は日時・担当者名と一緒に記録しておく
- 2.解剖・Aiの提案を検討する 病院から解剖や死亡時画像診断(Ai)を提案されたら、後から検証できる事実を残す手段として前向きに検討する。判断を先延ばしにすると材料が失われる
- 3.カルテ開示と証拠保全を準備する 個人情報保護法に基づいてカルテの開示を請求する。改ざんが心配な場合は、弁護士を通じて民事訴訟法第234条の証拠保全を検討する
- 4.説明の場に書面の質問リストを持参する 第5項の説明の場の前に、質問リストを書面で病院へ渡し、録音してよいかを確認する。回答されなかった項目も記録しておく
よくある質問 AI による整理
Q1医療事故調査制度とは
医療に起因する予期しない死亡・死産が起きたときに、病院が自ら原因を調査し、第三者機関のセンターへ報告する制度です。目的は再発防止で、2015年10月に始まりました。
Q2医療事故調査の対象になる死亡とは
提供した医療に起因する(または起因すると疑われる)死亡・死産のうち、管理者が予期しなかったものです。重い後遺症が残っただけの場合は対象になりません。
Q3医療事故調査 報告書 もらえる?
報告書を遺族に交付することは法律上の義務ではありません。第5項が義務付けているのは、センターへ報告する前の遺族への説明です。交付を書面で求めることはできます。
Q4医療事故調査 いつまでに終わる
法律には「速やかに」「遅滞なく」とあるだけで、具体的な期限の定めはありません。数か月から1年以上かかる例もあるため、進捗は定期的に確認するのが現実的です。
Q5医療事故調査・支援センターとは
医療法第6条の15に基づき厚生労働大臣が指定する機関で、病院からの調査結果の報告を受けて整理・分析します。管理者または遺族の求めに応じて独自に調査も行います。
Q6院内調査 外部委員 必要?
法律上は必須ではありませんが、第2項により病院は学術団体などの医療事故調査等支援団体に支援を求めるものとされます。外部委員が入ると調査の中立性が高まります。
Q7医療事故調査 診療所も対象?
対象です。義務を負うのは医療法上の「病院等」、つまり病院・診療所・助産所の管理者です。規模の小さなクリニックでも、医療事故が起きれば調査と報告の義務があります。
Q8医療事故調査しない病院 違法?
医療事故に当たるのに調査・報告をしなければ本条違反になります。直接の刑事罰はありませんが、行政は医療法第25条に基づき報告の徴収や立入検査を行うことができます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1病院に「医療事故には当たらない」って言われたら、もう調べてもらえないんですか?
本条の調査義務は、管理者が医療事故だと判断した場合にのみ発生する。そのため遺族が院内調査を強制することはできない。ただし医療事故調査・支援センターは遺族からの相談を受け付けており、必要に応じて相談内容を病院の管理者に伝える運用がある。実務のポイント:医療機関の管理者は「予期していた」ことの根拠として、事前の説明や診療録への記載を重視するとされる。手術前の同意書に書かれた合併症のリストが、後の判断に直結しうる
Q2調査報告書って、裁判の証拠に使えるんですか?
法律で証拠としての利用が禁止されているわけではない。ただ、この制度の目的は再発防止であり、責任追及と切り離すべきかどうかは実務上、解釈が分かれている。報告書を遺族に交付することも法的義務ではなく、第5項が求めているのは説明である。実務のポイント:訴訟を視野に入れるなら、報告書を待つよりカルテなど一次資料の確保が先になる。報告書は病院の視点で書かれた二次資料にすぎない
Q3病院が調査をサボったら、罰則はあるんですか?
本条違反に直接の刑事罰は定められていない。ただし行政は医療法25条に基づいて報告を求め、立入検査を行うことができ、医療安全体制の不備として指摘されうる。実務のポイント:罰則がない分、制度が実際に動くかどうかは病院の姿勢に大きく左右される。年間の報告件数は、制度創設時の想定を大きく下回る水準で推移していると指摘されてきた。遺族側が声を上げない限り、報告されないまま終わる事案が埋もれうる
Q4センターに報告したなら、警察には届けなくていいんですか?
別の制度なので、よくない。医師法21条は、医師が死体を検案して異状があると認めたときに24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務を定めている。本条の報告は医療安全のための仕組みで、この届出の代わりにはならない。実務のポイント:何が「異状」に当たるかについては判例上の議論があり、医療現場の判断は揺れている。遺族が刑事手続を望む場合は、自ら警察に相談するという別ルートがある
間違えやすい点 AI による整理
- 「医療事故の調査は、中立の第三者機関が最初からやってくれる」と思われがちだが、実際は違う。原則は病院が自分で行う院内調査である。医療事故調査・支援センターの調査は、病院がセンターへ報告した事案について、管理者または遺族が求めたときに初めて動く二段目の仕組みにすぎない
- 多くの遺族は「調査の結果、病院に責任はあるのか」を問う。しかし最初に問うべきはそこではない。「そもそも病院はこの死亡を医療事故として扱ったのか」である。医療事故に当たらないと管理者が判断した時点で、本条の調査義務は発生しない。問いの順番を間違えると、何も起きていない手続の結果を待ち続けることになる
- 遺族にとって調査は真相究明であり、責任を明らかにする手段に見える。一方、法律の設計上、この制度の目的は再発防止と医療安全であって、個人の責任追及ではない。報告書は「誰が悪いか」を書くための文書として作られていない。この落差に気付かないまま報告書に責任の所在を期待すると、読み終えたときに深い失望だけが残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 病院等の管理者による院内調査・結果報告・遺族への説明 | 医療法第6条の15:医療事故調査・支援センターの指定 医師法第21条:医師による異状死体の警察への届出 |
| 目的 | 再発防止と医療安全の確保(責任追及ではない) | 報告の集約・分析と再発防止策の普及 犯罪捜査の端緒の確保 |
| 期限 | 「速やかに」「遅滞なく」で、日数の定めなし | 期限の定めなし(機関の指定に関する規定) 異状を認めたときから24時間以内 |
| 遺族との関係 | 報告前の説明義務(報告書の交付義務はない) | センターが遺族の相談を受け付ける 遺族への説明義務は定められていない |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では医療機関に事故の根本原因分析と、患者・家族への説明・対応チームの設置を求める。日本と同じく再発防止と紛争予防を目的とする
韓国は患者安全事故の報告制度を置く。報告は再発防止を目的とし、懲罰と切り離す設計である
ドイツは院内調査の義務ではなく、治療過誤について患者の質問に応じて情報提供する義務を診療契約の中で定める
フランスは損害を受けた患者や遺族に対し、医療機関が事情を説明する義務を定める。日本の遺族説明と近い発想である
米国は患者安全組織(PSO)への任意報告と、報告情報の秘匿特権によって非懲罰的な学習を促す
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 腹腔鏡手術の翌日、元気だった父が急変して亡くなった。主治医は「合併症の範囲内です」と言う。もし病院が「予期していた死亡」と判断すれば、本条の調査はそもそも始まらない。遺族が最初に確かめるべきなのは、病院がこの死亡を医療事故として報告するのかどうか、その一点である
- 出産予定日を過ぎてクリニックで分娩中、赤ちゃんが死産となった。死産も本条の対象に含まれうる。医療に起因するのか、予期できたのか。説明の場で、この二つの問いを正面から尋ねてよい
- 病院の医療安全管理者として、夜勤中の投薬ミスが疑われる患者死亡の報告を受けた。あなたは管理者に対し、遅滞なくセンターへ報告して院内調査を始めるよう進言する立場にある。医師法21条に基づく警察への届出が必要かどうかも、並行して24時間以内に判断しなければならない
- 病院から「調査結果のご説明の場を設けたい」と連絡が来た。面談は来週火曜日である。質問を整理する時間は、あと5日しかない
- 病院が「調査はしましたが、報告書はお渡しできません」と言った場合、それで終わりなのか? 報告書の交付は法律上の義務ではない。しかし説明を受けること自体は、遺族の側に保障された手続である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 死亡直後に病院へ、本件を医療事故としてセンターへ報告するのかを確認し、回答は日時・担当者名と一緒にメモしておく2. 報告しないと言われたら、医療事故調査・支援センターの相談窓口に相談する3. カルテ等は個人情報の保護に関する法律に基づく開示請求を行う。改ざんが心配なら、弁護士を通じた証拠保全(民事訴訟法234条)を検討する4. 説明の場には質問を書面で事前に提出し、録音の可否を確認する5. 報告書に納得できなければ、センター調査の依頼を検討する
訴えられた側:1. 死亡事案が起きたら、管理者が「医療に起因するか」「予期していたか」を速やかに判断し、その根拠を記録に残す2. 医療事故に当たるなら遅滞なくセンターへ報告し、院内調査を始める。外部委員の参加や支援団体への支援要請(第2項)を活用すると、調査の信頼性が上がる3. 医師法21条による警察への届出の要否も別途判断する4. 遺族への説明は丁寧に行い、説明した内容を記録として残す
時効(請求できる期限):本条の調査・報告には「速やかに」「遅滞なく」とあるだけで、具体的な日数の定めはない。遺族が損害賠償を請求する場合、不法行為なら損害と加害者を知った時から5年(生命侵害、民法724条の2)、行為の時から20年。診療契約上の債務不履行なら権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から20年(民法166条、167条)。業務上過失致死罪(刑法211条)の公訴時効は10年(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年) 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律により、医療事故調査制度が新設された(平成27年10月1日施行)。制定当初は第6条の11として置かれたとされ、現行の条番号へ移った時期と経緯については人による検証が必要である
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号)により、医療事故調査制度が新設された。平成27年(2015年)10月1日施行。現行の条番号に至る経緯は要確認
- 医療法 第6条の15報告先となる医療事故調査・支援センターの指定
- 医療法 第6条の10医療事故の定義とセンターへの発生報告(現行効力を要確認)
- 医療法 第6条の17管理者・遺族の求めによるセンター調査(現行効力を要確認)
- 医療法 第6条の22医療事故調査等支援団体の関与(現行効力を要確認)
- 医療法 第25条行政による報告徴収と立入検査
- 医師法 第21条異状死体の警察届出、別系統の義務
- 個人情報の保護に関する法律 第33条遺族側のカルテ開示請求の手段
- 民事訴訟法 第234条診療記録の改ざんを防ぐ証拠保全
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