医療法 第85条
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第七十八条、第八十条又は第八十一条第一項に規定する者が法人であるときは、これらの規定及び第七十九条の規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に対してそれぞれ適用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医療法第85条は、日本の医療法に含まれる条文です。
- 医療法第85条の条文原文は「第七十八条、第八十条又は第八十一条第一項に規定する者が法人であるときは、これらの規定及び第七十九条の規定は、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員…」で始まります。
- 医療法第85条は第九章に置かれています。
- 医療法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医療法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 医療法第85条の前の条は医療法第84条です。
- 医療法第85条の次の条は医療法第85条の2です。
- 医療法第85条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第85条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205 - 本サイト収録
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第85条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000205/85
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医療法85条は、第78条・第80条・第81条第1項の処罰対象が法人である場合、これらと第79条の罰則を、実際に行為をした取締役・執行役・業務執行役員・支配人に適用すると定める。
Q · 医療法人が違反したら、役員個人も罰せられるの?
実際にその行為をした役員は個人として罰せられる
医療法85条により、第78条、第80条又は第81条第1項の処罰対象が法人である場合、これらの規定と第79条は、その行為をした取締役、執行役、業務執行役員又は支配人に適用されます。基準は肩書ではなく、行為への関与です。名義だけで業務執行に関与していない役員は、原則として行為者にはあたりません。一方、承認や指示の記録があれば、行為者と評価される余地があります。
解説
「罰則の主語は法人なのだから、処罰されるのも法人だけ」。病院やクリニックを経営する側の多くが、無意識にこう信じている。医療法85条は、その思い込みを一文で打ち消す。第78条、第80条、第81条第1項が処罰の対象とする「者」が法人であれば、これらの規定と第79条は、実際にその行為をした取締役、執行役、その他の業務執行役員(医療法人なら理事など)や支配人に適用される。法人に拘禁刑を科すことはできない。そのため、この転嫁規定がなければ、役職や立場を主語にした罰則は、法人経営のもとでは誰も罰せられない空文になってしまう。85条はその抜け穴をふさいでいる。つまり、法人の名前で出した届出、法人の判断として続けた運営であっても、それを決めて実行した役員の個人責任が問われうる。役員就任の打診を受けたとき、「名前を貸すだけ」は通用しない。自分がどの意思決定に関わるのかを確かめてから引き受けるべきである
法的な位置づけ
医療法第85条は、同法第78条、第80条又は第81条第1項に規定する者が法人である場合に、これらの規定及び第79条の規定を、その行為をした取締役、執行役その他業務を執行する役員又は支配人に適用する旨を定める規定である。法人を主語とする罰則の適用対象を、行為者である自然人に及ぼす機能を持つ。
よくある質問 AI による整理
Q1医療法85条とは何ですか?
医療法の一部の罰則について、処罰対象が法人の場合に、実際に行為をした役員や支配人へ適用することを定める規定です。
Q2医療法人の理事は刑事罰を受けることがありますか?
あります。医療法85条により、対象となる罰則にあたる行為を実際にした理事などの業務執行役員には、罰則が個人として適用されます。
Q3医療法の罰則は誰に科される?
規定上の主語が法人である罰則は、85条により、実際に行為をした取締役、執行役、業務執行役員又は支配人に適用されます。
Q4事務長も医療法違反で罰せられる?
事務長が支配人にあたり、実際に問題の行為をした場合は、85条により罰則の適用対象となりえます。肩書の名称だけでは決まりません。
Q5医療法違反 前科 つく?
罰金刑であっても有罪判決であり、前科になります。医師などの資格を持つ場合は、資格上の行政処分の検討事由になりうる点にも注意が必要です。
Q6医療法違反 時効 何年?
本条自体に期限はありません。適用される罰則の法定刑で公訴時効が決まります。長期5年未満の拘禁刑又は罰金にあたる罪は3年です(刑訴法250条2項6号)。
Q7支配人とは医療法上どんな人?
事業の主任者として、営業に関する包括的な代理権を持つ使用人を指します。医療機関では、登記された事務長などが該当しうる立場です。
Q8株式会社が運営するクリニックでも医療法85条は関係ある?
法人が罰則の主体となる場面であれば、その法人の取締役や執行役のうち、実際に行為をした者に罰則が及ぶ導線として問題になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1名前だけの理事で経営には口を出してないんですけど、それでも罰せられるんですか?
85条が罰則を及ぼすのは「その行為をした」役員であり、役員というだけで自動的に処罰されるわけではない。ただし、理事会で承認した、指示を出したといった記録があれば、行為者と評価される余地が生まれる。実務のポイント:名義役員が後で最も苦しむのは、関与を否定する材料がないことである。議事録で反対意見を述べたか、少なくとも棄権したことを残しておくかどうかで、立場は大きく変わる
Q2会社が罰金を払えば、役員個人は関係なくなるんじゃないの?
ならない。法人への罰金は両罰規定という別の仕組みによるもので、85条による行為者個人への罰則適用とは独立して成立しうる。法人が罰金を払っても、個人の刑事責任は消えない。実務のポイント:医師や看護師の資格を持つ役員の場合、刑事処分のあとに医道審議会などの行政処分ルートが続くことがある。罰金額の大小より、有罪判決が記録に残ること自体が本当のコストになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「法人が違反したのだから、処罰されるのは法人の代表者だけ」と考えがちだが、85条が対象とするのは「その行為をした」取締役、執行役、業務執行役員、支配人である。肩書の序列で決まるのではない。実際に行為をしたかどうかで決まるため、代表者ではない役員や支配人が対象になることも十分ありうる
- 罰則の存在自体は知っていても、個人に前科がつく重みを軽く見ている人は多い。罰金刑でも有罪判決であることに変わりはない。医師法などの資格法では罰金以上の刑が行政処分の検討事由になりうるため、罰金額の小ささと、キャリアへの影響の大きさは比例しない
- 「法人と個人のどちらが罰せられるのか」という二択の問い方自体がずれている。85条は行為者個人に罰則を及ぼす規定であり、法人自体への罰金は両罰規定という別の仕組みが担う。両方が同時に動く場面があることを前提に、リスクを考える必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される者 | 医療法85条:その行為をした取締役・執行役・業務執行役員・支配人(自然人) | 医療法78条・80条・81条1項(原規定):各規定に定める「者」(法人を含む) 両罰規定(法人自体への罰金。条番号は現行条文で要確認):法人 |
| 機能 | 法人が主語の罰則を行為者個人へ転嫁する | 処罰対象となる行為と法定刑を定める 行為者処罰と並行して法人にも罰金を科す |
| 判断基準 | 肩書ではなく「その行為をした」かどうか | 構成要件に該当する行為の有無 法人の業務に関する違反行為の有無 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では、私法人の違反について、故意又は重大な過失によりその違反を生じさせた董事など代表権を持つ者にも同一の罰鍰を科す一般規定が置かれている。刑事罰ではなく行政罰の枠組みである点が日本と異なる
韓国の医療法は、行為者を罰するとともに法人等にも罰金を科す両罰規定の形式をとる。行為者処罰と法人処罰を一条にまとめている
ドイツでは、法人の機関として行為した者に、法人に備わる身分的要素を帰属させる一般規定を総則に置いている。日本のように個別法ごとに転嫁規定を置く方式とは異なる
米国では、食品・医薬品規制の分野で、違反を防止・是正する権限と責任を持つ企業役員を個人として処罰しうるとする Responsible Corporate Officer Doctrine が判例で確立している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 美容クリニックを運営する法人で、あなたは業務執行役員に就任したばかりだ。前任者の時代から続く運営上の問題について、行政から是正を求められている。放置したまま運営を続ければ、その判断をしたあなた自身が罰則の適用対象になりうる。
- 医療法人の理事長から「理事として名前だけ貸してほしい」と頼まれたら、どうなる? 業務執行に一切関与していなければ行為者にはあたらない。しかし、会議で承認して実行を指示した記録が一行でも残れば、話は変わる。
- あなたは病院の事務長で、支配人として登記されている。行政の立入検査が3日後に迫るなか、院長から「その書類はなかったことにしておいて」と言われた。実際に手を動かすのが誰なのか、85条はそこを見ている。
- 友人が医療系スタートアップの役員を務めており、「罰金は会社が払うだけだから問題ない」と話している。その認識のままでは危うい。行為者が個人として処罰されれば前科になり、医療関係の資格や役員の欠格事由に影響する可能性がある。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 医療機関の違法な運営で不利益を受けた場合は、法人と個人のどちらの意思決定なのかを意識して、日時、担当者名、やり取りを記録する2. 保健所または都道府県の医務担当部署に情報を提供し、行政の立入検査や指導につなげる3. 刑事告発を検討するときは、法人名だけでなく、実際に判断して実行した役員を特定できる材料をそろえる4. 金銭的な損害の回復は民法709条などに基づく民事請求で、刑事手続とは別に進める
訴えられた側:1. 捜査機関から連絡が来たら、供述の前に弁護士へ相談する2. 自分の職務範囲と決裁権限を示す資料(職務分掌、議事録、稟議書)を確保し、問題の行為に関与していないこと、または関与の程度を立証する3. 違反状態が続いている場合は、直ちに是正して、その経過を記録する4. 資格を持つ役員は、刑事処分が資格上の行政処分につながる可能性を踏まえて、刑事と行政の両面で対応方針を立てる
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。転嫁される罰則の公訴時効は法定刑で決まり、長期5年未満の拘禁刑または罰金にあたる罪は3年(刑事訴訟法250条2項6号)で、犯罪行為が終わった時から起算する。違反状態が継続する類型では、終了時点の認定が争点になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:法人を主語とする罰則について、法人の機関として実際に行為をした自然人を処罰主体とする規定と理解される。役職による一律の責任ではなく、行為者性が要件とされる点で、法人自体に罰金を科す両罰規定とは区別される。
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