要点弁護士法60条は、日本弁護士連合会が所属弁護士会を介さず自ら弁護士を懲戒できる権限を定める。綱紀委員会の調査と議決を経て懲戒委員会が審査する二段階の手続による。
Q · 弁護士に問題があるとき、日弁連は所属弁護士会を飛び越えて直接懲戒できるの?
はい。綱紀委員会の調査と議決を経て日弁連が直接懲戒できます。
弁護士法60条により、日本弁護士連合会(日弁連)は、懲戒事由があると思料する弁護士又は弁護士法人を、所属弁護士会を介さず自ら懲戒手続に付すことができます。まず日弁連の綱紀委員会が事案を調査し、懲戒委員会への審査を求めるのが相当か否かを議決します(ここがゲート)。審査に進んだ事案について懲戒委員会が懲戒相当と議決すれば、その議決に基づき日弁連が処分を決定します。弁護士を監督する行政官庁は存在せず、懲戒は弁護士自治の枠内で行われます。
あなたが依頼した弁護士が着手金を持ち逃げした、あからさまに手を抜いた、相手方とこっそり通じていた。そんなとき監督官庁に通報しようと思っても、その窓口はどこにも存在しない。医師なら厚生労働省、税理士なら国税庁が監督するが、弁護士を監督する役所は日本に一つもない。弁護士を裁けるのは弁護士の組織だけ、これが弁護士自治である。60条は、その自治の頂点に立つ日本弁護士連合会(日弁連)が、地方の弁護士会を飛び越えて自ら直接ある弁護士を懲戒できる権限を定める。手続は二段構え。まず綱紀委員会が事案を調査し、懲戒委員会へ送るに値するかを選別する。ここがゲートで、多くの請求はここで止まる。通過したものだけが懲戒委員会の審査に進み、戒告から除名までの処分が決まる。役所が守ってくれない世界で、あなたが弁護士の非行を正す入口がここにある。
弁護士法60条は、日本弁護士連合会による直接懲戒の権限を定める規定である。同連合会は、懲戒事由があると思料する弁護士又は弁護士法人を懲戒手続に付し、綱紀委員会に事案を調査させる。綱紀委員会が懲戒委員会への審査を相当と議決した場合に限り審査へ進み、その議決に基づいて連合会が処分を決定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
懲戒請求された事案を最初に調査し、懲戒委員会の審査に付すべきか否かを選別する委員会です。多くの請求はここで止まり、本審査には進みません。
通常は所属弁護士会が懲戒権者ですが、弁護士法60条により日弁連が自ら直接懲戒する回路もあります。地元処理が甘いと見られた重大事案で起動します。
原則として対象弁護士の所属弁護士会に提出します(58条、何人でも可)。却下されても期限内に日弁連へ異議を申し出る道があります(64条)。
戒告、2年以内の業務停止、退会命令、除名の4段階です(57条)。最も軽い戒告でも経歴に残り、業務停止以上は実務に直接の打撃となります。
懲戒の事由があったときから3年で手続自体を開始できなくなります(63条の除斥期間)。証拠集めに手間取るうちに期間が過ぎる点に注意が必要です。
終わりではありません。期限内に日弁連へ異議を申し出れば日弁連綱紀委員会が再審査し、さらに市民で構成される綱紀審査会への道も残されています。
ありません。医師は厚生労働省、税理士は国税庁が監督しますが、弁護士を監督する行政官庁は存在せず、調査も処分も弁護士会と日弁連が行う弁護士自治です。
日弁連の綱紀委員会でも懲戒しないとされた場合に、市民(学識経験者)で構成され再度審査する機関です。弁護士自治への外部チェック機能を担います。
いいえ、請求した時点では何も変わりません。懲戒の種類(57条)は戒告、2年以内の業務停止、退会命令、除名の4段階で、最も軽い戒告なら業務は続けられます。そもそも綱紀委員会の調査を通過し懲戒委員会の審査まで進む案件自体が少数です。業界裏話ヒント:弁護士にとって最も実害が大きいのは「業務停止」で、1か月でも進行中の事件と顧客を失います。だから対象弁護士は戒告で収めようと必死に弁明する。請求側はここを理解し、業務停止に相当する重さを証拠で立証する構成にすると、議決の重みが変わる
問題になり得ます。事実的・法的根拠を欠く懲戒請求は、対象弁護士から不法行為(民法709条)として損害賠償を請求された裁判例が複数あります。綱紀委員会(60条2項)は法律家の集団で、感情的な大量請求は選別段階でまとめて却下されます。業界裏話ヒント:過去に特定の弁護士へ数千件規模の懲戒請求が組織的に行われ、請求者側が一人あたり数万円の賠償を命じられた事例があります。「みんなで出せば安全」はむしろ逆で、中身が同じ定型文の請求ほど不法行為と認定されやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 60条:日弁連による直接懲戒の権限と手続 | — |
| 誰が動くか | 日本弁護士連合会が自ら起動 | — |
| 手続段階 | 綱紀委員会の調査・議決 → 懲戒委員会の審査 | — |
| 関連する救済・制約 | 63条の除斥期間(3年)、64条の異議申出 | — |
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