要点厚生年金保険法22条は、実施機関が資格取得時の報酬見込み額で標準報酬月額を決定し、1月から5月の取得者はその年の8月まで、6月以降の取得者は翌年8月まで固定すると定める。
Q · 入社したときの厚生年金の保険料って、何を基準にいつまでの分が決まるんですか?
入社時の見込み報酬で決まり、原則翌年8月まで動きません
厚生年金保険法22条により、標準報酬月額は入社時点の報酬の見込み額で決まります。月給制なら資格取得日現在の報酬額を期間の総日数で割って30倍した額、日給・時給・出来高・請負なら同じ事業所で同種の業務に従事し同様の報酬を受ける者の前1か月平均額を用います。通勤手当などの諸手当も労働の対償であれば算入されます。決定された額は、1月から5月に資格を取得した人はその年の8月まで、6月1日から12月31日に取得した人は翌年8月まで固定され、最長で15か月続きます。
転職して最初の給与明細を開いたとき、天引きされる厚生年金保険料が前職より数千円増えていて理由が分からない、という経験はないだろうか。その額を決めているのが本条である。実施機関(日本年金機構の年金事務所や、公務員・私学教職員なら各共済組合。あなたの年金記録を管理し決定を下す役所側の主体)は、入社した時点の報酬の「見込み額」で標準報酬月額を決める。月給制なら資格取得日現在の報酬額を期間の総日数で割って30倍した額、日給・時給・出来高・請負なら前1か月に同じ事業所で同じ仕事をしている人が受けた報酬の平均額を使う。ここで効いてくるのが、あなたがまだ一円も受け取っていない通勤手当や役職手当まで算定に入るという点だ。さらに2項が効く。1月から5月に資格を取得した人はその年の8月まで、6月1日から12月31日に取得した人は翌年の8月まで、最初に決まった数字がそのまま貼り付く。最長15か月。一度きりのこの決定が、毎月の保険料と、将来の老齢厚生年金の計算に入る数字を同時に固定する。
厚生年金保険法22条は資格取得時決定を定める規定であり、実施機関が被保険者の資格取得時における報酬の見込み額を報酬月額として標準報酬月額を決定する手続を規律する。報酬の定め方に応じ、月給制は30日換算額、日給・時給・出来高・請負は同一事業所における同種業務者の前1か月平均額を用い、算定困難な場合は同一地方の同種業務者の額による。
報酬月額を等級区分に当てはめた保険料および年金額算定用の基準額です。厚生年金保険法20条が等級を、22条が資格取得時の決定方法を定めています。
事業主は事実の発生から5日以内に実施機関へ提出します(27条、厚生年金保険法施行規則15条)。届出をしない、または虚偽の届出をすると102条の罰則対象です。
22条2項により、5月31日までの取得者はその年の8月まで、6月1日以降の取得者は翌年8月までが適用期間です。1日の差で固定期間が最大12か月変わります。
労働の対償として経常的に支払われるものは報酬に含まれます(3条1項3号)。6か月定期券の一括支給は月割りで加算され、遠距離通勤者ほど等級が上がりやすくなります。
22条1項2号により、同じ事業所で同様の業務に従事し同様の報酬を受ける者が資格取得月前1か月に受けた報酬の平均額を用います。本人の希望額や見込み労働時間では代用できません。
実施機関の決定は被保険者本人に対する処分であり、処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求できます(90条、社会保険審査官及び社会保険審査会法4条)。
ねんきんネットまたはねんきん定期便で月別の標準報酬月額を確認できます。資格取得時は事業主から交付される資格取得確認通知書でも決定額を確認できます。
増えます。標準報酬月額は保険料の算定基礎であると同時に、老齢厚生年金の報酬比例部分(43条)や障害・遺族厚生年金の計算基礎にもなる同一の数値です。
確定額ではなく見込み額で決まります。月給制なら資格取得日現在の報酬を30倍換算し(22条1項1号)、時給・日給制なら同じ事業所で同種業務に就く人の前1か月平均(同項2号)を使います。通勤手当も労働の対償として報酬に含まれます(3条1項3号)。業界裏話ヒント:6か月定期券の一括支給は月割りで加算されるため、遠距離通勤者は基本給が同じ同僚より等級が上になることがある。逆にテレワークで通勤手当が廃止されると随時改定(23条)の対象になりうる
1月から5月に資格取得した人はその年の8月まで、6月1日から12月31日に取得した人は翌年の8月まで固定されます(22条2項)。9月からは定時決定(21条)の数字に切り替わります。途中で動くのは随時改定(23条)などの要件を満たしたときだけです。業界裏話ヒント:6月入社だと最長15か月、入社直後の低い見込み額のまま1年以上走る。入社後すぐ大幅な手当がつく職場なら、固定的賃金の変動として随時改定の要件に当たらないか、4か月目に人事へ確認する価値がある
毎月の保険料は軽くなりますが、その月は将来の老齢厚生年金の計算(43条)に薄い数字として残ります。訂正は可能ですが、保険料の徴収権と還付請求権は2年で時効消滅します(92条)。虚偽の届出をした事業主には6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(102条)。業界裏話ヒント:ねんきんネットでは標準報酬月額が月別に一覧できる。入社初月と定時決定が切り替わる9月の二か所だけ見れば、届出漏れの大半は見つかる
保険料は育児休業等終了時改定(23条の2)で実態に合わせて下がります。ただし3歳未満の子を養育している期間は、養育期間の従前標準報酬月額みなし措置(26条)を申し出れば、年金額の計算だけは下がる前の高い標準報酬月額で行われます。業界裏話ヒント:この措置は申出主義で、会社も年金事務所も自動では処理しない。父母どちらでも使え、遡及は原則2年まで。知らずに時短を数年続けた人と申出を出した人とでは、老後の受取額に明確な差が出る
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 決定の契機 | 22条:被保険者の資格取得(入社・加入時) | — |
| 算定に使う報酬 | 資格取得時点の報酬の見込み額(月給は30日換算、時給等は同種業務者の前1月平均) | — |
| 適用期間 | 1〜5月取得はその年の8月まで、6〜12月取得は翌年8月まで(最長15か月) | — |
| 発動要件の厳しさ | 資格取得の事実のみで必ず行われる(要件なし) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。