要点厚生年金保険法52条の2は、障害厚生年金の受給権者が別事由の障害基礎年金の受給権を得たとき、両障害を併合した程度に応じて障害厚生年金の額を改定すると定める。
Q · 別の病気で障害基礎年金が決まったら、前からもらっている障害厚生年金3級はそのままですか?
そのままではなく、併合後の等級で額が改定されます
厚生年金保険法52条の2第1項により、障害厚生年金の受給権者が同一の支給事由によらない障害基礎年金の受給権を取得したときは、二つの障害を併合した障害の程度に応じて、既存の障害厚生年金の額が改定されます。障害厚生年金同士を併合する同法48条と違い、従前の受給権は消滅しません。併合の結果1級・2級に該当すれば、65歳未満の生計維持配偶者がいる場合に加給年金額が加算され(同法50条の2)、1級なら報酬比例部分が1.25倍になります(同法50条2項)。
年金は一人に一つ、という言葉を聞いたことがあるだろう。だが障害年金の世界には、その原則の裏側にもう一本の通路が通っている。あなたが会社員時代の心疾患でペースメーカーを入れ、障害厚生年金3級を受けているとする。数年後、退職して自営業になってから発症した脳梗塞の後遺症で、今度は障害基礎年金2級の受給権を得た。ほとんどの人はここで「新しく基礎年金が出た」と思って思考を止める。52条の2が言っているのはその先だ。二つの障害を併合した障害の程度に応じて、先にあった障害厚生年金の額そのものを改定する。3級のまま据え置かれていた報酬比例部分が2級・1級の水準で計算し直され、1級なら1.25倍(厚生年金保険法50条2項)、65歳未満の配偶者がいれば加給年金額が乗る(同法50条の2)。後から来た障害が、先にあった年金の等級を書き換えるのである。あなたが二つの障害を別々の窓口の別々の話だと思っている限り、この改定は起こらない。
厚生年金保険法52条の2は、障害厚生年金の受給権者が同一の支給事由によらない障害基礎年金の受給権を取得した場合に、両障害を併合した障害の程度に応じて当該障害厚生年金の額を改定する旨を定める規定である。障害厚生年金同士の併合認定(同法48条)とは異なり、従前の受給権は消滅せず、額のみが改定される点に特徴がある。
二つの障害を併せて一つの等級に評価し直し、既にある障害厚生年金の額を改定する扱いです。厚生年金保険法52条の2が根拠で、年金が二つ出るわけでも据え置かれるわけでもありません。
3級には付きません。併合改定で1級・2級になり、65歳未満の生計維持配偶者がいる場合に初めて加給年金額が加算されます(厚生年金保険法50条の2)。
一般に請求書のほか、障害の状態を示す診断書、受診状況等証明書、年金証書などが求められます。事案により異なるため、年金事務所で必要書類を確認してください。
保険給付を受ける権利は5年で時効消滅します(厚生年金保険法92条1項)。改定が認められても、遡って受け取れるのは直近5年分に限られます。
報酬比例部分が1.25倍になり(同法50条2項)、障害基礎年金の額も1級水準になります。65歳未満の生計維持配偶者がいれば加給年金額も加算されます。
なり得ます。障害者手帳と障害年金は別制度で、判定基準も窓口も異なります。手帳の等級が上がらなくても、併合改定で年金だけ上位等級になる場合があります。
まず理由を書面で確認し、不服があれば社会保険審査官へ審査請求(決定を知った日の翌日から3か月以内)、その決定にも不服なら社会保険審査会へ再審査請求できます。
増える場合があります。初診日が国民年金期間なら出るのは障害基礎年金だけですが、会社員時代の障害厚生年金があれば52条の2で既存の厚生年金の額が改定されます。
止まりません。52条の2第1項は、既存の障害厚生年金を存続させたうえで、二つの障害を併合した程度に応じてその額を改定すると定めています。別事由の障害厚生年金同士なら併合認定(同法48条)で従前の受給権が消滅しますが、本条は構造が違います。業界裏話ヒント:この二つを混同し「前の年金は消えるものだ」と思い込んで申出をしない受給者は珍しくない。48条の場面か本条の場面かは、後から来たのが厚生年金か基礎年金か、それだけで分かれる
条文は「改定する」と書いていますが、障害基礎年金と障害厚生年金は請求経路が別で、実施機関が二つの関係を常に自動で突き合わせてくれるとは限りません。受給者が申し出て初めて併合の判断が始まる場面が多いのが実務です。業界裏話ヒント:窓口で出すべきは「併合改定」「障害給付額改定請求」という単語そのもの。これを言わずに「年金を増やせませんか」と聞くと、障害の程度が増進した場合の一般的な額改定(同法52条)の話に流れ、本条に辿り着かないことがある
そうとは限りません。併合の判定は障害認定基準の併合判定参考表に沿って行われ、単独では下位でも併せると上位等級に達する組み合わせがあります。本条2項は、国民年金法34条4項・36条2項ただし書により併合された程度が増進した場合の改定も定めています。業界裏話ヒント:主治医は年金の等級判定基準を知らないことが多い。診断書には「できること」ではなく、日常生活で援助が必要な場面を具体的に書いてもらう。同じ症状でも記載の粒度で等級が動く
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用場面 | 52条の2:障害厚生年金+別事由の障害基礎年金の受給権が生じたとき | — |
| 従前の受給権の扱い | 存続する。額のみが併合後の等級で改定される | — |
| 評価の対象 | 二つの別事由の障害を併合した障害の程度 | — |
| 上がった先に乗るもの | 1級・2級で加給年金額(50条の2)、1級で報酬比例部分1.25倍(50条2項) | — |
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