厚生年金保険法 第52条の2
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- 障害厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く。)の受給権を有するに至つたときは、当該障害厚生年金の支給事由となつた障害と当該障害基礎年金の支給事由となつた障害とを併合した障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。
- 2.障害厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金の受給権を有する場合において、同法第三十四条第四項及び第三十六条第二項ただし書の規定により併合された障害の程度が当該障害基礎年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、これらの規定により併合された障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第52条の2は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第52条の2の条文原文は「障害厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く。」で始まります。
- 厚生年金保険法第52条の2は第三節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第52条の2の前の条は厚生年金保険法第52条です。
- 厚生年金保険法第52条の2の次の条は厚生年金保険法第53条です。
- 厚生年金保険法第52条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第52条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第52条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/52_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法52条の2は、障害厚生年金の受給権者が別事由の障害基礎年金の受給権を得たとき、両障害を併合した程度に応じて障害厚生年金の額を改定すると定める。
Q · 別の病気で障害基礎年金が決まったら、前からもらっている障害厚生年金3級はそのままですか?
そのままではなく、併合後の等級で額が改定されます
厚生年金保険法52条の2第1項により、障害厚生年金の受給権者が同一の支給事由によらない障害基礎年金の受給権を取得したときは、二つの障害を併合した障害の程度に応じて、既存の障害厚生年金の額が改定されます。障害厚生年金同士を併合する同法48条と違い、従前の受給権は消滅しません。併合の結果1級・2級に該当すれば、65歳未満の生計維持配偶者がいる場合に加給年金額が加算され(同法50条の2)、1級なら報酬比例部分が1.25倍になります(同法50条2項)。
解説
年金は一人に一つ、という言葉を聞いたことがあるだろう。だが障害年金の世界には、その原則の裏側にもう一本の通路が通っている。あなたが会社員時代の心疾患でペースメーカーを入れ、障害厚生年金3級を受けているとする。数年後、退職して自営業になってから発症した脳梗塞の後遺症で、今度は障害基礎年金2級の受給権を得た。ほとんどの人はここで「新しく基礎年金が出た」と思って思考を止める。52条の2が言っているのはその先だ。二つの障害を併合した障害の程度に応じて、先にあった障害厚生年金の額そのものを改定する。3級のまま据え置かれていた報酬比例部分が2級・1級の水準で計算し直され、1級なら1.25倍(厚生年金保険法50条2項)、65歳未満の配偶者がいれば加給年金額が乗る(同法50条の2)。後から来た障害が、先にあった年金の等級を書き換えるのである。あなたが二つの障害を別々の窓口の別々の話だと思っている限り、この改定は起こらない。
法的な位置づけ
厚生年金保険法52条の2は、障害厚生年金の受給権者が同一の支給事由によらない障害基礎年金の受給権を取得した場合に、両障害を併合した障害の程度に応じて当該障害厚生年金の額を改定する旨を定める規定である。障害厚生年金同士の併合認定(同法48条)とは異なり、従前の受給権は消滅せず、額のみが改定される点に特徴がある。
手順
- 1.手元の年金証書をすべて並べて棚卸しする 年金証書・裁定通知書をすべて出し、年金の種類、障害等級、受給権を取得した日を一枚の紙に書き出す。障害厚生年金が先、別事由の障害基礎年金が後、という順序になっているかを確認する
- 2.二つの障害が同一の支給事由でないことを確認する 52条の2は「同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く」と定める。二つの年金の傷病名と初診日を照合し、別事由であることを確認する。同一事由なら本条ではなく通常の併給の枠組みとなる
- 3.年金事務所に用件を明示して予約する 年金事務所または街角の年金相談センターに、「障害厚生年金を受給中で、別の傷病で障害基礎年金の受給権が生じた。併合改定の対象か確認したい」と用件を明示して予約する。「年金を増やせないか」という聞き方だと同法52条の一般的な額改定の案内に流れやすい
- 4.診断書を実態どおりに整えてもらう 併合の判定は障害認定基準の併合等認定基準に沿って行われる。主治医には「できること」ではなく、日常生活で援助が必要な場面を具体的に伝え、実態に即した記載にしてもらう
- 5.同じ月のうちに改定の申出を出し切る 5年の消滅時効は月が変わるたび過去分を一か月ずつ削る。書類が全部そろう前でも、まず窓口で申出の受付方法を確認し、提出可能なものから動かす
よくある質問 AI による整理
Q1併合改定とは何ですか?
二つの障害を併せて一つの等級に評価し直し、既にある障害厚生年金の額を改定する扱いです。厚生年金保険法52条の2が根拠で、年金が二つ出るわけでも据え置かれるわけでもありません。
Q2障害厚生年金3級に配偶者の加給年金は付きますか?
3級には付きません。併合改定で1級・2級になり、65歳未満の生計維持配偶者がいる場合に初めて加給年金額が加算されます(厚生年金保険法50条の2)。
Q3障害給付額改定請求に必要な書類は何ですか?
一般に請求書のほか、障害の状態を示す診断書、受診状況等証明書、年金証書などが求められます。事案により異なるため、年金事務所で必要書類を確認してください。
Q4併合改定はいつまでさかのぼって受け取れますか?
保険給付を受ける権利は5年で時効消滅します(厚生年金保険法92条1項)。改定が認められても、遡って受け取れるのは直近5年分に限られます。
Q5障害等級が2級から1級に上がると何が変わりますか?
報酬比例部分が1.25倍になり(同法50条2項)、障害基礎年金の額も1級水準になります。65歳未満の生計維持配偶者がいれば加給年金額も加算されます。
Q6障害者手帳が3級でも障害年金は2級になりますか?
なり得ます。障害者手帳と障害年金は別制度で、判定基準も窓口も異なります。手帳の等級が上がらなくても、併合改定で年金だけ上位等級になる場合があります。
Q7併合改定が認められなかった場合はどうすればいいですか?
まず理由を書面で確認し、不服があれば社会保険審査官へ審査請求(決定を知った日の翌日から3か月以内)、その決定にも不服なら社会保険審査会へ再審査請求できます。
Q8退職後に発病した障害でも障害厚生年金は増えますか?
増える場合があります。初診日が国民年金期間なら出るのは障害基礎年金だけですが、会社員時代の障害厚生年金があれば52条の2で既存の厚生年金の額が改定されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1障害基礎年金が新しく出たら、前からもらってる障害厚生年金は止まるんじゃないんですか?
止まりません。52条の2第1項は、既存の障害厚生年金を存続させたうえで、二つの障害を併合した程度に応じてその額を改定すると定めています。別事由の障害厚生年金同士なら併合認定(同法48条)で従前の受給権が消滅しますが、本条は構造が違います。実務のポイント:この二つを混同し「前の年金は消えるものだ」と思い込んで申出をしない受給者は珍しくない。48条の場面か本条の場面かは、後から来たのが厚生年金か基礎年金か、それだけで分かれる
Q2これって自分から言わないと、役所はやってくれないんですか?
条文は「改定する」と書いていますが、障害基礎年金と障害厚生年金は請求経路が別で、実施機関が二つの関係を常に自動で突き合わせてくれるとは限りません。受給者が申し出て初めて併合の判断が始まる場面が多いのが実務です。実務のポイント:窓口で出すべきは「併合改定」「障害給付額改定請求」という単語そのもの。これを言わずに「年金を増やせませんか」と聞くと、障害の程度が増進した場合の一般的な額改定(同法52条)の話に流れ、本条に辿り着かないことがある
Q3軽い方の障害は等級に入らないんだから、併合しても意味ないですよね?
そうとは限りません。併合の判定は障害認定基準の併合判定参考表に沿って行われ、単独では下位でも併せると上位等級に達する組み合わせがあります。本条2項は、国民年金法34条4項・36条2項ただし書により併合された程度が増進した場合の改定も定めています。実務のポイント:主治医は年金の等級判定基準を知らないことが多い。診断書には「できること」ではなく、日常生活で援助が必要な場面を具体的に書いてもらう。同じ症状でも記載の粒度で等級が動く
間違えやすい点 AI による整理
- 別々の障害なら別々の年金が二つ出る、と思われがちだが、そうはならない。かといって、新しく障害基礎年金が出るだけで既存の障害厚生年金は消えも増えもしない、という理解も誤りである。52条の2第1項は「併合した障害の程度に応じて改定する」と書いている。足し算でも据置きでもなく、二つの障害を併せて一つの等級に評価し直す、という第三の処理がここにある
- 併合すれば等級が上がるらしい、とまでは知っていても、上がった先に何が乗るかまでは知られていない。1級・2級になれば65歳未満の生計維持配偶者がいる場合に加給年金額が加算され(厚生年金保険法50条の2)、1級なら報酬比例部分そのものが1.25倍になる(同法50条2項)。等級一つの差は、年金証書の等級欄の一文字ではなく、その後何十年にもわたって毎年続く差額として積み上がる
- 「どちらの障害で請求した方が有利か」という問いの立て方が、そもそもずれている。本条の場面では、どちらか一方を選ぶのではなく、二つの障害が制度上どう出会ったかが問題になる。障害厚生年金が先にあり、後から別事由の障害基礎年金の受給権が生じた、というこの順序と組み合わせ自体が改定の要件だ。問うべきは「どちらを選ぶか」ではなく「自分の二つの受給権は、いつ、どちらの順で発生したか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 52条の2:障害厚生年金+別事由の障害基礎年金の受給権が生じたとき | 48条:障害厚生年金同士が重なったとき(併合認定) 52条:同一の障害の程度そのものが変わったとき |
| 従前の受給権の扱い | 存続する。額のみが併合後の等級で改定される | 従前の障害厚生年金の受給権は消滅し、新たな受給権に統合される 存続する。同一障害の増進・軽減により額が改定される |
| 評価の対象 | 二つの別事由の障害を併合した障害の程度 | 二つの障害厚生年金の対象障害を併合した障害の程度 当該障害単体の程度の変動 |
| 上がった先に乗るもの | 1級・2級で加給年金額(50条の2)、1級で報酬比例部分1.25倍(50条2項) | 同左(併合後の等級に応じる) 同左(改定後の等級に応じる) |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾も複数の失能項目がある場合に等級を繰り上げる仕組みを持つ。ただし日本のような基礎年金・厚生年金の二階建て構造ではなく、労保と国民年金が別体系で並ぶため、本条のような「一階の変動が二階の額を書き換える」構造は存在しない
韓国は国民年金一本の体系で、日本のような二階建ての併合改定は生じにくい。複数障害は障害等級の判定段階で評価され、他の年金との重複は併給調整で処理される
中国は業務上(工傷保険)と業務外(基本養老保険の病残津貼)で系統が分かれ、傷残等級に応じた待遇が定まる。複数障害の併合評価は労働能力鑑定の段階で行われる
ドイツは障害を等級で刻まず、残存稼得能力(1日3時間未満=volle、3〜6時間=teilweise)で二分する。複数の疾病は稼得能力の総合評価に吸収されるため、併合改定という独立の手続を要しない
フランスは pension d'invalidité を稼得能力の減少度合いにより3カテゴリーに区分する。複数障害は医学的評価で一括判断され、カテゴリー変更(révision)として処理される
米国 SSDI は単独では基準に満たない機能障害でも、すべての障害の combined effect を評価して受給資格を判断する。等級制ではなく可否の二値判断である点が日本と根本的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、うつ病で障害厚生年金3級を受けている最中に、事故で下肢の機能を失ったとしたら? その事故の初診日が退職後の国民年金期間にあれば、出てくるのは障害基礎年金だけだ。ここで52条の2が動き、うつ病の障害厚生年金3級が、二つを併合した障害の程度で計算し直される。別の傷病、別の窓口、で終わる話ではない
- 障害厚生年金3級を20年受けてきた。去年、まったく別の病気で障害基礎年金2級が決まった。年金証書が2通並んだ時点で、あなたの障害厚生年金は3級のままでいいはずがない
- 障害基礎年金の決定通知が届いてから、すでに5年10か月が過ぎている。保険給付を受ける権利の消滅時効は5年(厚生年金保険法92条1項)。改定が認められても遡って受け取れるのは直近5年分だけで、それより前の増額分は月が変わるたび静かに一か月ずつ消えていく。今月動くか来月動くかで、消える額が変わる
- あなたが社会保険労務士として相談を受ける側だとする。相談者は「基礎年金2級が決まったので手続きは終わりました」と言う。ここで既存の障害厚生年金3級の存在を聞き出せるかどうかが、その人の生涯受給額を数百万円動かす。聞き漏らした側の責任は、後から誰にも追及されないから怖い
- 親戚の集まりで年金の話になった。従兄弟は「会社員時代の病気で3級をもらっていて、その後、糖尿病の合併症で基礎年金も出た」と言う。あなたはその二つの年金の間に、まだ誰も請求していない改定が眠っている可能性に気付いてしまう
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元の年金証書をすべて並べ、年金の種類・障害等級・受給権を取得した日を一枚の紙に書き出す2. 障害厚生年金が先、別事由の障害基礎年金が後、という順序になっているか確認する3. 年金事務所または街角の年金相談センターに「併合改定の対象か確認したい」と用件を明示して予約する4. 障害給付額改定請求の要否と必要書類(診断書、受診状況等証明書)を確認する5. 5年の時効が毎月削るため、確認と申出は同じ月のうちに動かす
訴えられた側:1. 併合改定が認められない、または据置きと通知されたら、まず理由を書面で確認する2. 不服があれば社会保険審査官への審査請求(決定があったことを知った日の翌日から3か月以内)、その決定にも不服なら社会保険審査会への再審査請求へ進む3. 併合の判定は障害認定基準の併合判定参考表に沿うため、どの区分で評価されたかを押さえる4. 診断書の記載が実態より軽い場合は、日常生活で援助が必要な場面を主治医に具体的に伝えて記載を見直してもらう
時効(請求できる期限):本条の改定自体に固有の請求期限はないが、保険給付を受ける権利は支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条1項)。申出が遅れれば、遡って受け取れるのは直近5年分に限られる。不支給・据置きの決定に対する審査請求は、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は一人一年金の原則を維持しつつ、別事由の障害が競合する場合に総体を一つの等級へ翻訳する調整規定と解される。48条の併合認定が従前の受給権を消滅させて新受給権に統合するのに対し、本条は受給権を存続させ額のみを改定する点で構造が異なる。
改正沿革 AI による整理
- 昭和60年(1985年)改正(人的検証が必要) 基礎年金制度の導入により障害基礎年金が創設されたことに伴い、障害厚生年金と別事由の障害基礎年金が並存する場合の額改定規定として整備されたとみられる。ただし新設年次・その後の改正履歴(国民年金法34条4項・36条2項ただし書の改正に連動した文言修正を含む)は確認できていないため、正確な沿革は原資料での検証を要する
改正の年表
- 1.昭和60年(1985年) 改正:基礎年金制度の導入により障害基礎年金が創設されたことに伴い、障害厚生年金と別事由の障害基礎年金が並存する場合の額改定規定として整備されたとみられる。新設年次および以後の改正履歴は原資料での検証を要する
- 厚生年金保険法 第48条障害厚生年金同士の併合認定
- 厚生年金保険法 第50条障害厚生年金の額、1級は1.25倍
- 厚生年金保険法 第50条の21級・2級での配偶者加給年金額
- 厚生年金保険法 第52条障害の程度が変わった場合の額改定
- 厚生年金保険法 第92条保険給付を受ける権利の5年時効
- 国民年金法 第31条障害基礎年金同士の併合認定
- 国民年金法 第34条本条2項が前提とする基礎年金の額改定
- 国民年金法 第36条2項ただし書の併合による支給停止解除
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