要点厚生年金保険法 56 条は、他の年金の受給権者や同一傷病で労災の障害補償給付を受ける権利がある者には障害手当金を支給しないと定める。受給権があれば足り、実際の受給は問わない。
Q · 年金を繰下げ中で 1 円も受け取っていなくても、障害手当金はもらえないの?
受給権があるだけで不支給。実際に受け取っているかは問われません
厚生年金保険法 56 条により、障害の程度を定めるべき日において、年金たる保険給付の受給権者(1 号)、国民年金法による年金の受給権者(2 号)、同一の傷病について労災保険法や公務災害補償による障害補償給付を受ける権利を有する者(3 号)には、障害手当金は支給されません。判断基準は受給権の有無であり、繰下げ待機中でも支給停止中でも受給権があれば該当します。ただし、障害状態に該当しなくなった日から 3 年を経過し、現に障害状態にない障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者は除外されます。
障害等級3級より軽い障害が残ったとき、厚生年金には一時金として障害手当金という制度がある。ところが、あなたが他の年金や労災の給付を受けられる立場にあると、この一時金は最初から支給されない。それを決めているのが厚生年金保険法56条だ。ポイントは二つある。第一に、対象になるのは「受給権者」であって、実際に受け取っているかどうかではない。老齢厚生年金の受給権が発生していれば、繰下げ待機中で一銭も受け取っていなくても、あなたは1号に該当して手当金を失う。第二に、この条文には出口がある。障害状態に該当しなくなった日から3年間、一度も障害状態に戻らずに経過した障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者で、今も障害状態にない人は除外される。つまり、実質的に眠っている障害年金の受給権は、あなたの手当金を殺さない。
厚生年金保険法 56 条は、障害手当金の不支給事由を定める規定である。障害の程度を定めるべき日において、年金たる保険給付の受給権者、国民年金法による年金の受給権者、または当該傷病につき公務災害補償・労災保険等による障害補償給付を受ける権利を有する者を対象から除く。基準は受給権の存否であり、現実の受給の有無は問われない。
厚生年金の被保険者期間中の傷病が初診日から 5 年以内に治り、障害等級 3 級より軽い一定の障害が残った場合に支給される一時金です。年金ではなく一回限りの給付で、厚生年金保険法 55 条から 57 条が定めます。
厚生年金保険法 57 条により、障害厚生年金の額の計算の例で算出した額の 2 倍相当額が一時金として支給されます。被保険者期間が短い場合の最低保障額も設けられています。具体額は年金事務所で試算できます。
支給すべき事由が生じた日の翌日から 5 年で時効消滅します(厚生年金保険法 92 条)。事由が生じた日は原則として障害の程度を定めるべき日、つまり傷病が治った日であり、手続をした日ではありません。
出ません。1 号が排除するのは「年金たる保険給付の受給権者」であり、老齢だけでなく遺族を支給事由とする年金も含まれます。3 年ルールの除外が及ぶのは障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者に限られます。
障害等級 1 級から 3 級には障害厚生年金が支給され、それより軽い政令で定める程度の障害が障害手当金の対象です。等級表に届かない後遺障害でも一時金の可能性が残る、という位置づけになります。
厚生年金保険法 55 条により、初診日から起算して 5 年を経過する日までの間における傷病が治った日、いわゆる症状固定日です。56 条の該当判定もこの日を基準に行われ、請求日や決定日ではありません。
処分を知った日の翌日から 3 か月以内に社会保険審査官へ審査請求できます。決定通知に記載された不支給の根拠が 56 条の何号かを確認し、除外規定に乗る余地がないかを検討したうえで申し立てます。
障害厚生年金 3 級は等級表に該当する障害に対する継続的な年金、障害手当金は 3 級より軽い障害に対する一回限りの一時金です。手当金には 56 条の不支給事由が別途設けられている点も大きく異なります。
1号が排除するのは「年金たる保険給付の受給権者」であり、受給権があれば足りるからである。繰下げ待機は受給権を行使していないだけで、受給権自体は発生している。業界裏話ヒント:繰下げの試算をするとき、社会保険労務士は増額率だけでなく、待機期間中に障害手当金や他の一時金が遮断されるリスクも見ている。増額率の表だけを見て決めると、この穴に落ちる
支給停止と受給権消滅は別物なので、原則は1号で不支給である。ただし括弧書きで、最後に障害状態に該当しなくなった日から3年間、障害状態に戻らずに経過し、現に障害状態でない障害厚生年金受給権者は除外される。業界裏話ヒント:この3年の起算点は診断書の内容で決まる。過去の診断書の記載日と障害状態の判定が、10年後の一時金の可否を左右する。過去分の写しは必ず自分で保管する
3号により、同一傷病について労働者災害補償保険法の障害補償給付等を受ける権利を有する者には手当金は支給されない。権利を有すること自体が要件なので、受給前でも該当する。業界裏話ヒント:障害厚生年金の場合は労災側が減額調整されるだけで両方残るが、一時金である手当金は全部が消える。労災の請求を出す前に、手当金の見込額と労災の給付額を並べて比較する人はほとんどいない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 厚年法 56 条:障害手当金の不支給事由(遮断規定) | — |
| 判断の対象 | 他の年金の受給権・労災等の障害補償を受ける権利の有無 | — |
| 効果 | 該当すれば一時金は全部不支給(減額ではない) | — |
| 救済・例外 | 3 年経過かつ現に障害状態にない受給権者は括弧書きで除外 | — |
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