厚生年金保険法 第56条
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- 前条の規定により障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、同条の規定にかかわらず、障害手当金を支給しない。
- 一年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。)
- 二国民年金法による年金たる給付の受給権者(最後に障害状態に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。)
- 三当該傷病について国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号。他の法律において準用する場合を含む。)、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)若しくは同法に基づく条例、公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律(昭和三十二年法律第百四十三号)若しくは労働基準法第七十七条の規定による障害補償、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による障害補償給付、複数事業労働者障害給付若しくは障害給付又は船員保険法による障害を支給事由とする給付を受ける権利を有する者
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第56条は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第56条の条文原文は「前条の規定により障害の程度を定めるべき日において次の各号のいずれかに該当する者には、同条の規定にかかわらず、障害手当金を支給しない。」で始まります。
- 厚生年金保険法第56条は第三節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第56条の前の条は厚生年金保険法第55条です。
- 厚生年金保険法第56条の次の条は厚生年金保険法第57条です。
- 厚生年金保険法第56条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第56条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第56条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/56
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法56条は、他の年金の受給権者や同一傷病で労災の障害補償給付を受ける権利がある者には障害手当金を支給しないと定める。受給権があれば足り、実際の受給は問わない。
Q · 年金を繰下げ中で1円も受け取っていなくても、障害手当金はもらえないの?
受給権があるだけで不支給。実際に受け取っているかは問われません
厚生年金保険法56条により、障害の程度を定めるべき日において、年金たる保険給付の受給権者(1号)、国民年金法による年金の受給権者(2号)、同一の傷病について労災保険法や公務災害補償による障害補償給付を受ける権利を有する者(3号)には、障害手当金は支給されません。判断基準は受給権の有無であり、繰下げ待機中でも支給停止中でも受給権があれば該当します。ただし、障害状態に該当しなくなった日から3年を経過し、現に障害状態にない障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者は除外されます。
解説
障害等級3級より軽い障害が残ったとき、厚生年金には一時金として障害手当金という制度がある。ところが、あなたが他の年金や労災の給付を受けられる立場にあると、この一時金は最初から支給されない。それを決めているのが厚生年金保険法56条だ。ポイントは二つある。第一に、対象になるのは「受給権者」であって、実際に受け取っているかどうかではない。老齢厚生年金の受給権が発生していれば、繰下げ待機中で一銭も受け取っていなくても、あなたは1号に該当して手当金を失う。第二に、この条文には出口がある。障害状態に該当しなくなった日から3年間、一度も障害状態に戻らずに経過した障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者で、今も障害状態にない人は除外される。つまり、実質的に眠っている障害年金の受給権は、あなたの手当金を殺さない。
法的な位置づけ
厚生年金保険法56条は、障害手当金の不支給事由を定める規定である。障害の程度を定めるべき日において、年金たる保険給付の受給権者、国民年金法による年金の受給権者、または当該傷病につき公務災害補償・労災保険等による障害補償給付を受ける権利を有する者を対象から除く。基準は受給権の存否であり、現実の受給の有無は問われない。
よくある質問 AI による整理
Q1障害手当金とは何ですか?
厚生年金の被保険者期間中の傷病が初診日から5年以内に治り、障害等級3級より軽い一定の障害が残った場合に支給される一時金です。年金ではなく一回限りの給付で、厚生年金保険法55条から57条が定めます。
Q2障害手当金はいくらもらえますか?
厚生年金保険法57条により、障害厚生年金の額の計算の例で算出した額の2倍相当額が一時金として支給されます。被保険者期間が短い場合の最低保障額も設けられています。具体額は年金事務所で試算できます。
Q3障害手当金の請求期限はいつまでですか?
支給すべき事由が生じた日の翌日から5年で時効消滅します(厚生年金保険法92条)。事由が生じた日は原則として障害の程度を定めるべき日、つまり傷病が治った日であり、手続をした日ではありません。
Q4遺族厚生年金をもらっていても障害手当金は出ますか?
出ません。1号が排除するのは「年金たる保険給付の受給権者」であり、老齢だけでなく遺族を支給事由とする年金も含まれます。3年ルールの除外が及ぶのは障害厚生年金・障害基礎年金の受給権者に限られます。
Q5障害手当金は何級から対象ですか?
障害等級1級から3級には障害厚生年金が支給され、それより軽い政令で定める程度の障害が障害手当金の対象です。等級表に届かない後遺障害でも一時金の可能性が残る、という位置づけになります。
Q6「障害の程度を定めるべき日」とはいつですか?
厚生年金保険法55条により、初診日から起算して5年を経過する日までの間における傷病が治った日、いわゆる症状固定日です。56条の該当判定もこの日を基準に行われ、請求日や決定日ではありません。
Q7障害手当金の不支給決定に納得できないときは?
処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求できます。決定通知に記載された不支給の根拠が56条の何号かを確認し、除外規定に乗る余地がないかを検討したうえで申し立てます。
Q8障害手当金と障害厚生年金3級の違いは何ですか?
障害厚生年金3級は等級表に該当する障害に対する継続的な年金、障害手当金は3級より軽い障害に対する一回限りの一時金です。手当金には56条の不支給事由が別途設けられている点も大きく異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1老齢厚生年金を繰下げ中で全然もらってないのに、なんで手当金がダメなんですか?
1号が排除するのは「年金たる保険給付の受給権者」であり、受給権があれば足りるからである。繰下げ待機は受給権を行使していないだけで、受給権自体は発生している。実務のポイント:繰下げの試算をするとき、社会保険労務士は増額率だけでなく、待機期間中に障害手当金や他の一時金が遮断されるリスクも見ている。増額率の表だけを見て決めると、この穴に落ちる
Q2昔もらってた障害厚生年金が止まってるんですけど、それでも手当金は出ませんか?
支給停止と受給権消滅は別物なので、原則は1号で不支給である。ただし括弧書きで、最後に障害状態に該当しなくなった日から3年間、障害状態に戻らずに経過し、現に障害状態でない障害厚生年金受給権者は除外される。実務のポイント:この3年の起算点は診断書の内容で決まる。過去の診断書の記載日と障害状態の判定が、10年後の一時金の可否を左右する。過去分の写しは必ず自分で保管する
Q3労災の障害補償と厚生年金の手当金、両方申請しちゃダメなんですか?
3号により、同一傷病について労働者災害補償保険法の障害補償給付等を受ける権利を有する者には手当金は支給されない。権利を有すること自体が要件なので、受給前でも該当する。実務のポイント:障害厚生年金の場合は労災側が減額調整されるだけで両方残るが、一時金である手当金は全部が消える。労災の請求を出す前に、手当金の見込額と労災の給付額を並べて比較する人はほとんどいない
間違えやすい点 AI による整理
- 「実際に年金を受け取っていなければ該当しない」という理解は、条文の読み方を根本から取り違えている。1号・2号が問うのは受給権の有無であって、現実の受給の有無ではない。繰下げ待機中も、全額支給停止中も、受給権は生きている。この落差が、繰下げを選んだ人を静かに直撃する
- 「労災をもらっても年金は別枠だから両方出る」と思われがちだが、3号は同一傷病について労災の障害補償給付等を受ける権利がある者を明確に排除する。障害厚生年金の場合は併給調整で減額にとどまるのに対し、手当金は一時金という性質上、全部か無かの処理になる。減額と不支給、この違いの深刻さが見落とされている
- 問い自体がずれている場合がある。「障害手当金をもらえますか」ではなく、正しい問いは「症状固定日の時点で、私が受給権を持っている給付は何と何か」である。手当金の可否は自分の障害の重さではなく、その日の受給権の棚卸しで決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 厚年法56条:障害手当金の不支給事由(遮断規定) | 厚年法55条:障害の程度を定めるべき日(判定基準日) 厚年法47条:障害厚生年金の支給要件(本体給付) |
| 判断の対象 | 他の年金の受給権・労災等の障害補償を受ける権利の有無 | 初診日から5年以内に傷病が治った日の特定 初診日・保険料納付要件・障害認定日の障害等級 |
| 効果 | 該当すれば一時金は全部不支給(減額ではない) | その日の障害状態で手当金の可否と程度が決まる 等級に応じた年金が継続的に支給される |
| 救済・例外 | 3年経過かつ現に障害状態にない受給権者は括弧書きで除外 | 5年経過後に治った場合は手当金の対象外 事後重症・併合認定などの調整規定が別途ある |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も同一事故についての重複請領を明文で禁じ、労災性の失能給付と普通事故給付を調整する。日本のように「受給権の存否」という形式基準を一時金に貫徹する条文構造は取っていない
韓国も公的年金と労災給付の重複を調整するが、全額不支給ではなく一定割合の減額調整とする場面が多く、日本の一時金型の全部不支給とは効果が異なる
ドイツは年金と労災給付の合算額に上限を設ける「Grenzbetrag」方式で調整し、給付そのものを消滅させるのではなく超過分を支給停止する構造を取る
米国も社会保障障害給付と労災給付の合計が従前所得の一定割合を超える場合に減額するオフセット方式であり、権利の存在のみで給付全体を失わせる構造ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 業務外の事故で膝に後遺障害が残り、障害等級には届かなかったが障害手当金の対象になりそうだと言われた。ところがあなたは65歳を過ぎており、老齢厚生年金の受給権をすでに持っている。繰下げ受給を選んで実際には一銭も受け取っていない。それでも1号の「受給権者」に該当し、手当金はゼロになる
- 通勤途中の事故で手指を負傷。労災保険から障害補償給付が決定した。同じ傷病について厚生年金の障害手当金も請求できるのではと考えるが、3号がそれを封じる。同一傷病について二つの制度から重ねて取ることはできない
- 10年前に障害厚生年金3級を受けていたが、症状が軽快して支給停止になった。そのまま5年が経過し、今は障害状態ではない。新たな傷病で障害手当金を請求できるか? 1号の括弧書きに救われる可能性が高い。3年経過ルールの適用対象だ
- 友人から「障害年金をもらっている親が別の怪我をした。手当金は出るのか」と相談された。あなたは3秒で答えられる。現に障害状態にあるなら1号または2号で不支給、と
- あと数日で症状固定日を迎える。その日の時点で他の年金の受給権があるかどうかで、一時金が出るか消えるかが決まる。判定日は前条により症状固定日であり、あなたが手続きを終えた日ではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 症状固定日を特定し、その日時点で自分が受給権を持つ給付をすべて洗い出す。老齢厚生年金、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族年金まで含める2. 過去の障害年金が軽快で不該当になっている場合、不該当日から3年経過しているか、現に障害状態にないかを確認、1号・2号の括弧書きに乗れる可能性がある3. 同一傷病で労災を請求済み・請求予定なら、3号で全面遮断される。どちらの制度を取るか請求前に比較4. 不支給決定に納得できなければ、決定を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求
訴えられた側:1. 実施機関側の立場では、判定日を前条の症状固定日で確定させることが出発点。請求日や決定日ではない2. 1号・2号は受給権の存否で判断し、支給停止中か否かは問わない3. 括弧書きの除外に該当する主張が出た場合、不該当日から3年間、一度も障害状態に戻っていないかの連続性と、現在の障害状態の不存在を個別に確認する4. 2号の「その他の政令で定める者」の範囲は政令に委ねられており、条文だけで判断しない
時効(請求できる期限):障害手当金の請求権は、支給すべき事由が生じた日(症状固定日)の翌日から5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)。不支給決定への不服申立ては、処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:56条本文は受給権の存否という形式基準で重複給付を遮断し、括弧書きが実質的に障害状態を脱した者を救済する。形式基準の明快さと実質判断の公平さを本文と括弧書きで分担させた構造と理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)の全部改正により現行法が成立し、障害手当金とその不支給事由が制度化された。
- 2.昭和60年(1985年) 改正:基礎年金制度の導入に伴う年金制度の再編により、国民年金法による年金たる給付との関係を整理する規律が置かれた(詳細な改正経緯は e-Gov の沿革で要確認)。
- 3.令和2年(2020年) 改正:労災保険法の複数事業労働者への給付創設に伴い、3号の排除対象に「複数事業労働者障害給付」が加えられた。
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