要点厚生年金保険法61条は、遺族厚生年金の額の改定を定める。受給権者数の増減と配偶者の老齢厚生年金の受給権取得は翌月から、基礎となる老齢厚生年金の額の改定は当該月から効力が生じる。
Q · 遺族厚生年金の額が変わるのは、いつから反映されるんですか?
翌月からのものと、当該月からのものの二種類があります
厚生年金保険法61条は三つの改定を定めます。配偶者以外の受給権者の数に増減が生じたとき(1項)と、配偶者が老齢厚生年金の受給権を取得し併給調整型の合算額が原則額を上回るとき(2項)は、その事由が生じた月の翌月から改定されます。これに対し、併給調整型で計算されている遺族厚生年金は、基礎となる老齢厚生年金が在職定時改定・退職改定(43条2項・3項)で動いた場合、翌月ではなく改定された当該月から連動します。さらに年金の振込は偶数月の後払いのため、手元の入金が動くのは事由発生から数か月後になります。
遺族厚生年金の額は、一度決まれば終身同じ、ではない。61条は金額が動く三つのスイッチと、それぞれが何月から通電するかを定めている。子が二人いて一人が18歳到達年度末を過ぎれば、残る一人の額は増減が生じた月の翌月から上がる。配偶者が自分の老齢厚生年金の受給権を得た日に、併給調整型の計算式(原則額の3分の2+自分の老齢厚生年金の2分の1)の方が高ければ、その月の翌月から高い方へ切り替わる。そして併給調整型で計算されている人が働き続け、在職定時改定や退職改定で自分の老齢厚生年金が動いたときは、翌月ではなく改定された当月から遺族厚生年金も動く。この一か月のずれを知らないまま年金額改定通知書を見ると、計算が合わないという不快な感覚だけが残る。
厚生年金保険法61条は、遺族厚生年金の額の改定事由と効力発生時期を定める規定である。配偶者以外の受給権者の数に増減が生じた場合(1項)と、配偶者が老齢厚生年金の受給権を取得し60条1項2号イ・ロの合算額が同項1号の額を上回る場合(2項)は当該月の翌月から、基礎となる老齢厚生年金の額が43条2項・3項により改定された場合(3項)は当該改定の月から、年金額を改定する。
61条1項・2項は事由が生じた月の翌月からです。61条3項だけは例外で、基礎となる老齢厚生年金が改定された当該月から連動します。この一か月のずれが通知書の数字の食い違いを生みます。
偶数月(2・4・6・8・10・12月)の15日に、前2か月分がまとめて後払いされます。3月末に改定事由が生じても、実際の入金額が動くのは6月15日です。改定月と入金月は一致しません。
婚姻、直系血族・直系姻族以外との養子縁組、離縁による親族関係の終了などで消滅します(同法63条)。子は18歳到達年度末が原則です。消滅は他の受給権者の額を翌月から動かす引き金になります。
受け取れます。遺族厚生年金は遺族固有の権利で相続財産に含まれないため、故人の借金を理由に相続放棄しても受給権は失われません。判定基準は相続の可否ではなく、死亡当時に生計を維持されていたかです。
金額欄より先に「改定年月」の欄を確認します。61条のどの項が効いたのかは改定月から逆算できます。翌月起算なら1項か2項、当該月起算なら3項の在職定時改定・退職改定に連動した改定です。
5年分までさかのぼれます。保険給付を受ける権利は支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅するため(同法92条1項)、5年を超えた未払分は消えます。事由が生じたら同月中の届出が原則です。
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、社会保険審査官へ審査請求します。まず改定事由の発生月と効力発生月を61条の各項に当てはめ、翌月起算か当該月起算かを検算するのが先です。
できません。他の年金給付の受給権者は繰下げ申出ができないと定められています(同法44条の3)。繰下げ増額を前提にした老後設計を組む前に、この一点を必ず確認する必要があります。
増えます。61条1項により、受給権者の数に増減が生じた月の翌月から改定されます。ただし自動といっても、18歳到達年度末は生年月日から機械的に処理される一方、婚姻や養子縁組は届出がなければ役所は把握できません。業界裏話ヒント:届出が遅れて増額分が未払いのまま5年を過ぎると、その部分は時効で消えます(同法92条)。制度は遅れた側が損をする設計になっています
増えないことがあります。65歳以降は自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金はその差額分だけになります(同法64条の2)。61条2項は、この時点で原則額と、原則額の3分の2+自分の老齢厚生年金の2分の1を比べ、高い方へ改定する規定です。業界裏話ヒント:後者が勝つのは、自分の老齢厚生年金が原則額の3分の2を超えたときだけ。この一本の分岐点を知っているかどうかで、働き続ける判断が変わります
同じではありません。すでに併給調整型(60条1項2号)で計算されている遺族厚生年金は、在職定時改定(同法43条2項)や退職改定(同3項)で自分の老齢厚生年金が動くと、61条3項により翌月ではなく改定された当月から連動して改定されます。ただし原則額を下回る間は据え置きです(3項ただし書)。業界裏話ヒント:分岐点は原則額の3分の2。届くまでは、増やした保険料が厚生年金の手取りに反映されません
2025年(令和7年)成立の年金制度改正法で遺族厚生年金の給付の在り方が見直され、2028年度から段階的に施行される予定です。61条の改定ルール自体への波及は施行内容の確認が必要です(最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:制度改正では受給権をいつ取得したかで新法と旧法が分かれ、経過措置の対象になるかが決まります。裁定通知書の受給権発生年月日は必ず控えておくこと
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律している内容 | 61条:遺族厚生年金の額を改定する事由と効力発生月 | — |
| 動く引き金 | 受給権者数の増減、配偶者の老齢厚生年金の受給権取得、43条2項・3項の改定 | — |
| 効力の起算点 | 1項・2項は事由の生じた月の翌月から、3項は改定された当該月から | — |
| 受給者への現れ方 | 年金額改定通知書の「改定年月」欄と金額の変動 | — |
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