厚生年金保険法 第64条(支給停止)
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遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について労働基準法第七十九条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から六年間、その支給を停止する。
この条文の基本情報
支給停止とは何ですか?
定義支給停止とは、厚生年金保険法第64条に定められた規定で、「遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について労働基準法第七十九条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から六年間…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第64条(支給停止)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第64条の条文原文は「遺族厚生年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について労働基準法第七十九条の規定による遺族補償の支給が行われるべきものであるときは、死亡の日から六年間…」で始まります。
- 厚生年金保険法第64条は第四節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第64条の前の条は厚生年金保険法第63条です。
- 厚生年金保険法第64条の次の条は厚生年金保険法第64条の2です。
- 厚生年金保険法第64条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第64条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第64条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/64
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法64条は、労働基準法79条の遺族補償が支給されるべきときは、死亡の日から6年間、遺族厚生年金の支給を停止すると定める。労災保険からの給付では原則適用されない。
Q · 労災で亡くなった夫の遺族厚生年金、会社から補償を受け取ると止まるって本当?
事業主から労基法79条の補償を受けると6年間止まります
厚生年金保険法64条により、労働基準法79条の遺族補償が支給されるべきものであるときは、死亡の日から6年間、遺族厚生年金の支給が停止されます。条文は「支給が行われた」ではなく「行われるべきものであるとき」と定めており、実際の受領の有無ではなく法律上の支給義務の有無で判断されます。もっとも、労災保険法による遺族補償年金が給付される場合は、労働基準法84条1項により事業主の補償責任が免れるため、本条の停止は原則として発動せず、労災保険側で年金額の調整が行われます。
解説
労災で家族を亡くしたとき、遺族厚生年金と労災の遺族補償が両方もらえると思っていないだろうか。厚生年金保険法64条は、その期待に真正面からブレーキをかける。労働基準法79条の遺族補償が支給されるべき場合、遺族厚生年金は死亡の日から6年間、支給が停止される。注意すべきは条文の書きぶりだ。「支給が行われた」ではなく「行われるべきものであるとき」。つまり、実際に受け取ったかどうかではなく、法律上支給されるべき状態にあるかで判断される。ただし現実には、労災保険法による遺族補償年金が給付されるとき、事業主は労働基準法上の遺族補償責任を免れる(労働基準法84条1項)。その場合、この64条による停止は働かず、代わりに労災保険側の年金額が調整される(労災保険法別表第一)。あなたが向き合っているのが「労災保険からの給付」なのか「事業主が直接払う労基法上の補償」なのか、その区別が6年分の年金の生死を分ける。
法的な位置づけ
厚生年金保険法64条は、遺族厚生年金の支給停止事由を定める規定である。被保険者等の死亡につき労働基準法79条による遺族補償が支給されるべきものであるとき、死亡の日から6年間、遺族厚生年金の支給が停止される。同一の死亡事由に対する事業主の災害補償責任と公的年金給付の二重填補を回避する調整規定として機能する。
よくある質問 AI による整理
Q1厚生年金保険法64条とは何ですか?
労働基準法79条の遺族補償が支給されるべきときに、遺族厚生年金を死亡の日から6年間停止する規定です。同一の死亡事由による二重填補を避けるための調整条文です。
Q2遺族厚生年金の支給停止はなぜ6年間なのですか?
労働基準法79条の遺族補償が平均賃金1000日分の一時金であり、その一時金でおおむね賄えると想定される期間に停止を限定し、経過後は年金による継続保障に戻す設計と理解されています。
Q3「支給が行われるべきものであるとき」とはどういう意味ですか?
実際に補償金を受け取ったかどうかではなく、法律上支給されるべき状態にあるかで判断するという意味です。事業主が未払いでも停止の対象になりうる点が実務上の争点になります。
Q4労働基準法79条の遺族補償はいくらですか?
労働基準法79条は、労働者が業務上死亡した場合、使用者は遺族に対し平均賃金の1000日分の遺族補償を行わなければならないと定めています。一時金であり年金ではありません。
Q5遺族基礎年金も同じように止まりますか?
国民年金法41条1項に同趣旨の規定があり、労働基準法の遺族補償が行われるべきときは遺族基礎年金も死亡の日から6年間停止されます。二階部分だけの問題ではありません。
Q6支給停止中でも裁定請求はできますか?
受給権自体は消滅していないため、停止期間中に裁定請求を済ませておくのが実務の定石です。停止が明けてから請求すると書類の再収集や時効の問題で手続きが重くなります。
Q7会社からの見舞金や解決金でも年金は止まりますか?
名目ではなく実質で判断される可能性があります。その金銭が労働基準法79条の遺族補償の実質を持つと評価されれば、64条の停止が問題になりえます。合意書の文言が重要です。
Q8支給停止が明けたら自動的に年金は再開しますか?
受給権の消滅ではなく支給の停止であるため、6年経過後は通常どおり支給されます。ただし停止期間中の分が後からまとめて支払われる規定は置かれていません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労災で夫を亡くしました。労災の年金と遺族厚生年金、両方もらえるって聞いたんですが本当ですか?
労災保険法の遺族補償年金と遺族厚生年金は併給できますが、労災側の年金額に調整率がかかって減額されます(労働者災害補償保険法別表第一)。一方、事業主から労働基準法79条の遺族補償を直接受ける場合は、厚生年金保険法64条により遺族厚生年金が6年間停止します。実務のポイント:どちらの経路になるかは会社の労災保険加入状況でほぼ決まる。年金事務所の窓口では「労災の給付を受けていますか」としか聞かれないことが多く、事業主からの直接補償かどうかを自分から申し出ないまま話が進むことがある
Q26年間止まるって、その分の年金は後からもらえるんですか?
支給停止であって受給権の消滅ではないため、停止期間が明けた6年後からは通常どおり支給されます。ただし停止期間中の分が後でまとめて支払われるわけではありません。厚生年金保険法64条は「その支給を停止する」と定めるだけで、遡って支払う規定を置いていません。実務のポイント:停止期間中でも受給権の裁定請求は先に済ませておくのが実務の定石。停止が明けてから請求すると、書類の再収集や時効の問題で手続きが余計に重くなる
Q3会社が労災保険に入っていなかったら、私たち遺族は損をするんですか?
未手続事業場であっても、労働者側は労災保険の給付を請求できます(労働者災害補償保険法上、事業主の手続懈怠は労働者の受給権を妨げない)。政府は事業主から保険給付に要した費用を徴収します(同法31条)。実務のポイント:未加入だと知って事業主との直接示談に応じてしまう遺族が少なくない。その直接補償が労基法79条の性質を持つと、遺族厚生年金が6年止まる。まず労働基準監督署に労災請求を出す、これが順番として正しい
間違えやすい点 AI による整理
- 「労災も年金も両方満額もらえる」という理解は、制度の入り口を誤っている。日本の給付調整は「同一事由による二重填補の回避」という一本の思想で貫かれており、64条はその思想が厚生年金側に現れた条文にすぎない。二重取りできないこと自体は例外ではなく原則である
- 多くの人が「労災保険から給付を受けたら遺族厚生年金が6年止まる」と覚えているが、そもそも問いの立て方が違う。64条が名指ししているのは労働基準法79条の遺族補償、つまり事業主が直接負う補償責任だ。労災保険法の遺族補償年金が出るケースでは労働基準法84条1項で事業主の責任が消えるため、64条ではなく労災保険側の調整規定が動く。条文の名宛人を取り違えると、どの窓口で何を争えばよいかも取り違える
- 「6年間」という数字を単なる期間の定めと読むと、深刻さを見誤る。労働基準法79条の遺族補償は平均賃金1000日分の一時金、対して6年分の遺族厚生年金は月額次第で総額が一時金を上回ることもある。停止期間中の生活設計を立てずに一時金を受け取ると、6年目の途中で現金が尽きる家庭が現実に存在する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効果の性質 | 厚年64条:6年間の支給停止(受給権は存続) | 厚年63条:失権(受給権そのものが消滅) 労災保険法16条経路:停止ではなく労災側年金額の調整 |
| 発動事由 | 労働基準法79条の遺族補償が支給されるべきものであるとき | 受給権者の死亡・婚姻・養子縁組など身分事由 労災保険法による遺族補償年金の給付(労基法84条1項で事業主責任が免除) |
| 期間 | 死亡の日から6年間 | 期間の観念なし(一度失権すれば回復しない) 併給が続く限り調整率が継続適用 |
| 遺族の実感 | 6年間ゼロ、その後は満額に戻る | 以後一切受け取れない 止まるのではなく労災側が減る |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は「停止」ではなく「抵充」構成を採る。雇主の職災補償責任は、労工保険・職災保険から支給された給付額の限度で控除されるため、給付が消えるのではなく雇主負担が減る設計
韓国も日本型の調整規定を持つが、期間限定の全額停止ではなく減額調整を基本とする点で本条と設計思想が分かれる
中国は工傷保険から供養親族撫恤金等を支給する構成で、基本養老保険の遺族給付との関係は制度上分離度が高い
ドイツは労災保険給付と年金保険給付が重なる場合に上限額(Grenzbetrag)を設けて年金側を減額する。期間限定の全額停止ではなく恒常的な上限調整である点が日本と異なる
米国は労災補償と社会保障給付の合計が従前所得の80% を超える部分を減額する offset 方式。ただし対象は障害給付であり、遺族給付には原則として同様の offset がない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫が勤務中の事故で死亡。会社は労災保険未加入だった。労働基準監督署の手続きが進むなか、事業主から労働基準法79条の遺族補償(平均賃金1000日分)を直接受け取ることになった。この瞬間、あなたの遺族厚生年金は6年間止まる。年金事務所の窓口でそれを聞かされるまで、あなたは知らないままだ
- もし事業主が「払う」と言ったきり倒産したら、遺族厚生年金はどうなる? 条文は「支給が行われるべきものであるとき」と書く。実際に受け取れていなくても、法律上支給されるべき状態であれば停止の対象になりうる。ここは実務上、解釈が分かれる論点で、未払いの事実をどう年金事務所に示すかが実質的な争点になる
- 労災保険から遺族補償年金を受けている遺族。この場合、事業主は労働基準法84条1項で補償責任を免れるため、厚生年金保険法64条の停止は原則として発動しない。代わりに労災保険側で厚生年金との調整率がかかる。「止まる」のではなく「減る」、しかも減るのは労災側だという構造を、多くの遺族が逆に理解している
- 遺族側の代理人として動く社会保険労務士の立場。示談交渉で事業主から「労基法上の補償として一括で払う」と提案された。受け取れば6年間の遺族厚生年金が止まる。一時金の額と6年分の年金額を並べて比較しないまま合意書にサインさせたら、その責任はあなたに返ってくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 会社の労災保険加入の有無を労働基準監督署で確認、これが分岐点2. 加入していれば労災保険法の遺族補償年金を請求、この経路なら64条の停止は原則発動しない3. 事業主から労働基準法79条の補償を直接受ける話が出たら、合意前に年金事務所へ支給停止の可否を照会4. 一時金の額と遺族厚生年金6年分の総額を並べて試算、社会保険労務士に相談してから判断する
訴えられた側:1. 事業主側の立場であれば、まず労災保険の加入状況と保険給付の可否を確認、労働基準法84条1項により労災保険給付があれば労基法上の補償責任は免れる2. 未手続事業場であった場合、労災保険法の費用徴収(労災保険法31条)のリスクも並行して検討3. 遺族との合意書では、支払う金銭の法的性質を明記、名目の曖昧さが後日の紛争と遺族の年金停止という二重の問題を生む
時効(請求できる期限):支給停止期間は死亡の日から6年間(本条)。遺族厚生年金の請求権自体の消滅時効は5年(厚生年金保険法92条1項)だが、支分権の時効起算は各支払期月ごと。労災保険の遺族補償年金の請求時効は死亡の翌日から5年(労働者災害補償保険法42条)。停止期間中でも受給権の裁定請求は先に済ませておくこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務上の一般的理解:本条が名宛人とするのは労働基準法79条に基づく事業主の災害補償責任であり、労災保険法による遺族補償年金が給付される場合は労働基準法84条1項により事業主の補償責任が免れるため、本条の停止は原則として発動せず、労災保険側の調整規定が機能すると理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和16年(1941年) 新設:労働者年金保険法として制定。工場労働者を対象とする公的年金制度が発足
- 2.昭和19年(1944年) 改正:適用範囲を拡大し、法律名を厚生年金保険法に改称
- 3.昭和29年(1954年) 改正:厚生年金保険法の全部改正(昭和29年法律第115号)により現行法の体系が成立。条番号を含む現行の条文構造はここに由来する
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