受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月2日読了 8 分8 分8 分

厚生年金保険法 第78条の28(老齢厚生年金の支給の繰下げの特例)

クイックジャンプ
  1. 第四十四条の三の規定は、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金について適用する。この場合において、同条第一項ただし書中「他の年金たる保険給付」とあるのは「他の年金たる保険給付(当該老齢厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される老齢厚生年金を除く。)」と、同条第四項中「第四十六条第一項」とあるのは「第七十八条の二十九の規定により読み替えて適用する第四十六条第一項」とするほか、同条の規定の適用に関し必要な読替えその他必要な事項は、政令で定める。
  2. 2.前項の規定により第四十四条の三第一項の規定を適用する場合においては、一の期間に基づく老齢厚生年金についての同項の規定による申出は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該申出と同時に行わなければならない。
  3. 3.第一項の規定により第四十四条の三第五項の規定を適用する場合においては、一の期間に基づく老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して五年を経過した日後の同条第一項の申出をしないで行う当該一の期間に基づく老齢厚生年金の請求は、他の期間に基づく老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して五年を経過した日後に同項の申出をしないで行う当該他の期間に基づく老齢厚生年金の請求と同時に行わなければならない。

この条文の基本情報

老齢厚生年金の支給の繰下げの特例とは何ですか?

定義老齢厚生年金の支給の繰下げの特例とは、厚生年金保険法第78条の28に定められた規定で、「第四十四条の三の規定は、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金について適用する。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 厚生年金保険法第78条の28(老齢厚生年金の支給の繰下げの特例)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
  2. 厚生年金保険法第78条の28の条文原文は「第四十四条の三の規定は、二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金について適用する。」で始まります。
  3. 厚生年金保険法第78条の28は第三章の四に置かれています。
  4. 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
  5. 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
  6. 厚生年金保険法第78条の28の前の条は厚生年金保険法第78条の27です。
  7. 厚生年金保険法第78条の28の次の条は厚生年金保険法第78条の29です。
  8. 厚生年金保険法第78条の28には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の28
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115
  • 本サイト収録厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第78条の28(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/78_28

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点厚生年金保険法78条の28は、二以上の種別の被保険者期間を持つ人の老齢厚生年金について、繰下げの申出を全期間同時に行うよう義務づける。種別ごとの部分繰下げはできない。

Q · 共済期間分の年金だけ先にもらって、民間期間分だけ70歳まで繰下げることはできますか?

できません。繰下げの申出は全期間まとめて同時に行う必要があります

厚生年金保険法78条の28第2項により、二以上の種別の被保険者期間がある人は、一の期間に基づく老齢厚生年金の繰下げ申出を、他の期間に基づく申出と同時に行わなければなりません。共済期間分だけ先に受け取り、民間期間分だけ繰下げるという部分繰下げは制度上できません。ただし老齢基礎年金は国民年金法28条の別制度なので、単独で繰下げられます。厚生年金は一括、基礎年金は独立、この非対称が唯一の設計余地です。

解説

公務員から民間へ、民間から私学へ。転職で制度をまたいだ人の老齢厚生年金は一本ではなく、期間の種別ごとに二本三本に分かれて支給される。ここで多くの人が誤解する。二本あるなら片方は今から受け取り、もう片方は繰下げて増やせばいい、と。78条の28第2項がそれを封じている。繰下げの申出は、すべての期間の老齢厚生年金について同時に行わなければならない。部分繰下げという選択肢は制度上存在しない。ただしこの条文には、あなたを救っている側面もある。本来、繰下げの待機中に他の年金の受給権を持つと繰下げの道は狭まるが、第1項の読替えによって「同一の支給事由に基づく他の種別の老齢厚生年金」はそこから除外される。この一行がなければ、複数種別を持つ人は繰下げ自体が事実上できなくなっていた。そして老齢基礎年金は別枠だ。基礎だけ繰下げ、厚生は今すぐ受け取る、この組み合わせは今も使える。

法的な位置づけ

厚生年金保険法78条の28は、二以上の種別の被保険者期間を有する者に係る老齢厚生年金について、支給の繰下げに関する44条の3の読替え適用を定める規定である。繰下げの申出および5年経過後の請求は、すべての期間に基づく老齢厚生年金について同時に行うことを要し、同一支給事由の老齢厚生年金は繰下げの障害となる他の年金給付から除外される。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.被保険者期間が何種別あるかを特定する ねんきん定期便・ねんきんネット・各共済組合の加入記録で、第1号(民間)、第2号(国家公務員共済)、第3号(地方公務員共済)、第4号(私学共済)のどれに該当する期間があるかを洗い出す。二種別以上あれば78条の28の適用対象になる
  2. 2.「厚生年金は全期間一括」を前提に受給設計をやり直す 種別ごとの部分繰下げは成立しないため、老齢厚生年金は「全部を今受け取る」か「全部を待つ」かの二択で組み直す。65歳から75歳までの各時点で、生活費の不足額と増額後の見込額を並べて比較する
  3. 3.老齢基礎年金の繰下げを別枠で設計する 老齢基礎年金は国民年金法28条により厚生年金と独立して繰下げられる。厚生年金は65歳から受け取りつつ基礎年金だけ繰下げる、という組み合わせで部分繰下げに近い効果を自作する。加給年金額や在職支給停止との関係も同時に確認する
  4. 4.全実施機関への手続を同じタイミングで揃える 繰下げの申出は全期間について同時に行う必要があるため、日本年金機構と各共済組合にまたがる書類を一度にまとめて提出する。窓口で「これで全期間同時の申出になっているか」を口頭でなく書面で確認しておく
  5. 5.5年経過後に気付いた場合はみなし増額の要件を確認する 受給権取得から5年を経過した後に未請求と気付いた場合、44条の3第5項のみなし繰下げ増額が使えることがある。ただし複数種別なら78条の28第3項により全期間の請求が同時であることが条件。生年月日等の適用要件と時効(92条)を必ず確認する

よくある質問 AI による整理

Q1二以上の種別の被保険者期間とは何ですか?

民間(第1号)、国家公務員共済(第2号)、地方公務員共済(第3号)、私学共済(第4号)のうち、二つ以上に加入していた期間を持つことです。転職で制度をまたいだ人が該当します。

Q2繰下げの申出はどこに出せばいいですか?

各期間を管掌する実施機関(日本年金機構・各共済組合)に対して行います。窓口はワンストップ化が進んでいますが、全期間同時という要件を満たす形になっているかを提出時に必ず確認してください。

Q3繰下げの増額率は種別ごとに変わりますか?

変わりません。申出が全期間同時である以上、待機期間も同じになり、増額率(1か月あたり0.7%)はすべての種別に同一に適用されます。片方だけ高い増額率にすることはできません。

Q4繰下げ待機中に働いていると増額されませんか?

在職老齢年金で支給停止される部分は繰下げ増額の対象になりません。78条の29が読み替える46条1項により、複数種別でも一体で判断されます。働き方次第で繰下げの実益が縮みます。

Q5加給年金額は繰下げても増えますか?

増えません。加給年金額は繰下げによる増額の対象外で、しかも待機中は支給されません。配偶者加給の対象者がいる人は、繰下げで受け取れなくなる分を先に計算すべきです。

Q6老齢基礎年金だけ繰下げることはできますか?

できます。老齢基礎年金の繰下げは国民年金法28条の別制度で、厚生年金と独立して選べます。厚生年金は今すぐ受け取り、基礎年金だけ70歳まで育てる設計が唯一の調整弁になります。

Q7繰下げの申出は後から取り消せますか?

いったん行った繰下げの申出を撤回して過去にさかのぼる扱いは原則できません。逆に、申出をせずに待っていた人が本来の年齢からの受給に切り替える道は残ります。順序を誤らないことが重要です。

Q8複数種別があると年金は何通も振り込まれますか?

はい。老齢厚生年金は期間の種別ごとに別々に決定・支給されます。ただし支給が分かれていることと、繰下げの意思決定が分かれることは別問題で、後者は78条の28で一体化されています。

この条文についての質問 AI による整理

Q1共済の分だけ先にもらって、厚生年金は70歳まで待つ、ってできないんですか?

できない。78条の28第2項が、繰下げの申出は一の期間に基づく老齢厚生年金と他の期間に基づくそれとを同時に行うよう求めている。片方だけの申出は成立しない。ただし老齢基礎年金は国民年金法28条の別制度なので単独で繰下げられる。実務のポイント:窓口の相談員は聞かれたことにしか答えない。「厚生年金は同時ですが基礎年金は分けられますよね」と自分から確認できるかどうかで、設計の自由度が変わる

Q270歳を過ぎて年金を請求していないことに気付きました。もう手遅れですか?

手遅れではない。44条の3第5項により、受給権取得から5年経過後の請求は5年前に繰下げ申出があったものとみなされ、増額された額で支給されうる。複数種別なら78条の28第3項で全期間の同時請求が条件になる。実務のポイント:この特例には生年月日などの適用要件があり、80歳到達後の請求は対象から外れる。気付いた時点の年齢が、取り戻せる額の上限を決める(最新の改正状況をご確認ください)

間違えやすい点 AI による整理

  • 複数の年金が種別ごとに別々に支給されることを知っている人でも、それが「別々に繰下げできる」ことを意味しないところまでは降りていない。支給は分離、意思決定は一体。制度の分離と選択の分離は一致していない
  • 「どちらの年金を先に受け取るべきか」という問いの立て方そのものが成立しない。順序は選べないからだ。立てるべき問いは「厚生年金は全部を今受け取るか全部を待つか、そこに老齢基礎年金の繰下げをどう重ねるか」である
  • 繰下げ待機中に他の年金の受給権が発生すると繰下げは終わる、だから複数種別を持つ人は繰下げできない、と思われがちだが逆である。第1項の読替えが同一支給事由の老齢厚生年金を「他の年金たる保険給付」から外し、繰下げの道を確保している
比較の観点この条文ほかの条文
規律の対象厚年78条の28:二以上の種別の期間を持つ者の繰下げの読替え適用と同時申出義務厚年44条の3:老齢厚生年金の支給繰下げそのものの本体規定
国年28条:老齢基礎年金の支給繰下げ
申出の単位全期間(全種別)の老齢厚生年金について同時に申し出る必要がある単一種別なら当該老齢厚生年金について単独で申し出る
老齢基礎年金のみを単独で申し出られる
部分的な選択の可否不可(種別ごとの部分繰下げは制度上存在しない)そもそも一本なので部分という概念が生じない
可(厚生年金と切り離して基礎年金だけ繰下げられる)
5年経過後の請求第3項により全期間の請求も同時であることが条件第5項により5年前に申出があったものとみなされ増額されうる
国民年金法の対応規定により別途判断される

他国ではどう定めているか 5 か国

台湾
勞工保險條例第58條(老年年金給付・展延年金)、公教人員保險法(養老給付)

台湾は労保と公教保が別制度のまま併存し、日本のような一元化・読替え構造を持たない。制度をまたいだ者は各制度で別個に請求時期を判断でき、同時申出義務に相当する規律は置かれていない

韓国
대한민국 국민연금법 제62조(연기연금)、공적연금 연계에 관한 법률

韓国は国民年金と各職域年金を「連携」させる別法で期間を通算する方式をとる。延期年金の申請は制度ごとに判断されるため、日本のような全期間同時申出という縛りは弱い

ドイツ
SGB VI § 77(Zugangsfaktor)

ドイツは受給開始時期を Zugangsfaktor(アクセス係数)で一律に反映する。公務員は年金保険ではなく Beamtenversorgung の別体系に属するため、そもそも一つの給付内で種別が分岐する構造にならない

フランス
Code de la sécurité sociale art. L. 173-1-2(LURA)、art. L. 351-1-2(surcote)

フランスは2017年の LURA により整合制度(régimes alignés)の年金を一つの機関が一括清算する。複数制度加入者の請求を一体化する発想は本条の同時申出義務と機能的に近い

アメリカ
Social Security Act § 202(w)(42 U.S.C. § 402(w))

米国は連邦社会保障が単一制度で、Delayed Retirement Credits により受給開始を遅らせるほど加算される。制度をまたぐ種別分岐がないため、同時申出という論点自体が生じない

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 65歳の誕生日まであと3か月。地方公務員を20年、その後民間で15年。共済期間分だけ先に受け取って生活費に充て、民間期間分は70歳まで育てる。そう計画していたら、どうなる? 申出は全期間同時、片方だけの繰下げは成立しない。設計をやり直せる時間は3か月しか残っていない
  • 私学共済15年、民間20年。72歳で「そういえば年金を請求していない」と気付く。5年経過後の請求を繰下げ申出とみなす特例(44条の3第5項)を使うにも、第3項により全期間を同時に請求しなければならない
  • 親から「ねんきん定期便に共済の記録と厚生年金の記録が別々に載っている、どっちを先にもらうのが得か」と相談された。答えは「選べない、同時だ」。動かせる調整弁は老齢基礎年金の側だけで、そこをどう組むかが唯一の設計余地になる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 年金記録で自分の被保険者期間が何種別あるか確認する(第1号=民間、第2号=国家公務員共済、第3号=地方公務員共済、第4号=私学共済)。2. 二種別以上あるなら「繰下げは全種別同時」を前提に置き直す。3. 老齢基礎年金だけを繰下げる案と全額繰下げ案を、当面の生活費から逆算して比較する。4. 請求は各実施機関にまたがるため、同時性の要件を満たすよう書類を一度にまとめて提出する

訴えられた側:片方だけ繰下げたつもりでいた、一方の年金だけ請求してしまった場合:1. その請求が繰下げ申出として扱われたのか単なる裁定請求だったのか、実施機関に書面で確認する。2. 納得できない扱いであれば社会保険審査官への審査請求という道がある。3. 年金の裁定は行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)なので、不服申立ての期限がすでに動き出していると考えて動く

時効(請求できる期限):年金を受ける権利は支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)。ただし受給権取得から5年経過後の請求は44条の3第5項により5年前に繰下げ申出があったものとみなされ増額されうる(複数種別なら本条3項で全期間同時請求が条件。生年月日等の適用要件あり、最新の改正状況をご確認ください)。裁定に不服がある場合の社会保険審査官への審査請求は、処分を知った日の翌日から3か月以内

学説

実務通説:78条の28第2項の同時申出義務は、複数実施機関にまたがる給付計算(在職支給停止・加給年金額の調整)の一体性を確保するための技術的要請であり、受給者の選択の自由を制限する反面、第1項の読替えによって繰下げの可能性自体は担保されていると理解されている

改正沿革 AI による整理

  • 平成24年(2012年)公布、平成27年(2015年)10月1日施行 被用者年金制度の一元化により共済年金が厚生年金に統合されたことに伴う新設。二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について44条の3を読み替えて適用し、繰下げの申出を全期間同時に行うことを義務づけた
  • 令和2年(2020年)年金制度改正(施行は令和4年4月・令和5年4月) 繰下げ上限年齢の引上げと、受給権取得から5年経過後の請求を繰下げ申出とみなす特例(44条の3第5項)の新設に対応し、複数種別を有する者に全期間の同時請求を求める第3項が整備された

改正の年表

  1. 1.平成24年(2012年)公布・平成27年(2015年)10月1日施行 新設:被用者年金一元化により共済年金が厚生年金に統合されたことに伴い新設。二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について44条の3を読み替えて適用し、繰下げの申出を全期間同時に行うことを義務づけた
  2. 2.令和2年(2020年)改正(施行は令和4年4月・令和5年4月) 改正:繰下げ上限年齢の引上げと、受給権取得から5年経過後の請求を繰下げ申出とみなす特例(44条の3第5項)の新設に対応し、複数種別を有する者に全期間の同時請求を求める第3項が整備された

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

厚生年金保険法の全文を見る所属する編章節を開く:第三章の四

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›