受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月2日読了 7 分7 分7 分

厚生年金保険法 第8条の3

クイックジャンプ

二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該二以上の船舶は、一の適用事業所とする。この場合において、当該二以上の船舶は、第六条の適用事業所でないものとみなす。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 厚生年金保険法第8条の3は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
  2. 厚生年金保険法第8条の3の条文原文は「二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該二以上の船舶は、一の適用事業所とする。」で始まります。
  3. 厚生年金保険法第8条の3は第一節に置かれています。
  4. 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
  5. 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
  6. 厚生年金保険法第8条の3の前の条は厚生年金保険法第8条の2です。
  7. 厚生年金保険法第8条の3の次の条は厚生年金保険法第9条です。
  8. 厚生年金保険法第8条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第8条の3
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115
  • 本サイト収録厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第8条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/8_3

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点厚生年金保険法8条の3は、同一の船舶所有者が二以上の船舶を有する場合、それらを一の適用事業所とすると定める。陸上事業所の一括と違い大臣の承認は不要で、法律上当然に一括される。

Q · 同じ会社の船を乗り換えたら、年金の資格は一度切れるんですか?

同じ船主の船なら乗り継いでも資格の得喪は起きません

厚生年金保険法8条の3により、二以上の船舶の船舶所有者が同一であれば、それらの船舶は一の適用事業所として扱われます。さらに同条後段で、当該船舶は同法第6条の適用事業所でないものとみなされるため、船舶ごとに適用事業所が成立する余地自体がありません。したがって同一船舶所有者の船舶間で配乗替えがあっても、被保険者資格の喪失も取得も発生せず、被保険者期間は途切れずに継続します。逆に、ねんきん定期便に船舶ごとの資格取得日が並んでいる場合は、本条どおりに処理されていない可能性を疑うべきです。

解説

船を乗り換えることは、厚生年金の世界では転職ではない。同じ船舶所有者が持つ船なら、何隻あろうと法律上は一つの適用事業所として扱われる。しかも陸上と決定的に違う点がある。陸上の会社が二つの事業所を一つにまとめるには厚生労働大臣の承認が要る(第8条の2)のに対し、船は本条により当然に一括される。申請も承認も要らない。さらに二文目が効いている。一括された船は第6条の適用事業所でないとみなされるので、船ごとに事業所番号が振られる余地そのものが消える。あなたがA丸からB丸へ配乗されても、資格喪失も資格取得も発生せず、被保険者期間は一本の線でつながったままだ。だからこそ、ねんきん定期便に船ごとの資格取得日が並んでいたら、それは異常のサインである。誰かが本条のとおりに処理していない。

法的な位置づけ

厚生年金保険法第8条の3は、船舶に係る適用事業所の一括を定める規定であり、二以上の船舶の船舶所有者が同一である場合に、それらの船舶を一の適用事業所として扱う。あわせて当該船舶は同法第6条の適用事業所でないものとみなされるため、船舶ごとに適用事業所が成立する余地はなく、同一船舶所有者の船舶間の配乗替えでは被保険者資格の得喪が生じない。

手順

  1. 1.乗り継いだ船の数と資格取得回数を突き合わせる ねんきん定期便または年金事務所の被保険者記録照会を取り寄せ、実際に乗り継いだ船舶の数と、記録上の資格取得・喪失の回数を並べて比較する。同一船舶所有者の船舶の間に喪失が入っていれば、本条どおりに処理されていない異常のサイン
  2. 2.船舶所有者が本当に同一だったかを船員法5条で判定する 登記上の船舶所有者ではなく、船員を使用していた主体で判定する。一隻ごとに別会社(SPC)で保有していても、船員を雇用していたのが同じ船舶管理会社なら一括が成立している。雇入契約書と給与支払者名を照合する
  3. 3.乗船履歴の一次証拠を集める 船員手帳の乗船履歴、当時の給与明細、雇入契約書、辞令を揃える。国の記録に空白があっても、船員手帳はどの船にいつ乗ったかを保持しているため、後年の記録訂正で決定的な証拠になる
  4. 4.事業主に訂正届の提出を求める 同一船舶所有者の船舶間で資格喪失・取得が届け出られていた場合、事業主に訂正届の提出を求める。一括の効果は法律上当然に生じるため、承認を受けていないことは船舶ごと処理の正当化理由にならない旨を明示する
  5. 5.応じない場合は年金事務所へ確認請求する 事業主が対応しない場合、厚生年金保険法31条の被保険者資格の確認請求を年金事務所に行う。この請求に期限はない。給与から控除されていたのに納付されていない期間については、年金記録の特例法に基づく訂正請求も併せて検討する

よくある質問 AI による整理

Q1船舶の一括適用とは何ですか?

同一の船舶所有者に属する二以上の船舶を、まとめて一つの適用事業所として扱う仕組みです。厚生年金保険法8条の3が根拠で、申請も承認も要りません。

Q2船舶の一括適用はどんな条件で成立しますか?

条件は「二以上の船舶」と「船舶所有者が同一であること」の二つだけです。船種、航路、船籍港、乗組員の数は要件になっていません。

Q3船ごとに事業所番号を取る必要はありますか?

ありません。本条後段で一括された船舶は第6条の適用事業所でないとみなされるため、船舶ごとに適用事業所が成立する余地自体がありません。

Q4年金記録に資格取得日がいくつも並ぶのはなぜですか?

同一船主の船を乗り継いだだけなら取得は一度しか起きないはずです。複数並ぶ場合は、事業主が配乗替えを喪失・取得として届け出た可能性があります。

Q5厚生年金でいう船舶所有者とは誰のことですか?

登記上の所有者に限りません。船員法5条により、船舶を借り入れて船員を使用する者や船舶管理人も船舶所有者として扱われます。判断基準は誰が船員を使用しているかです。

Q6新造船が就航したら新規適用の届出は必要ですか?

船員を使用する主体が既存の船舶と同一なら不要です。新造船は本条により既存の適用事業所に当然に含まれ、別個の適用事業所にはなりません。

Q7年金記録の訂正はいつまで請求できますか?

被保険者資格の確認請求(厚年法31条)に期限はなく、退職後何十年経っても請求できます。ただし保険料の徴収権は2年で時効消滅します(同法92条)。

Q8保険料の時効2年を過ぎたら記録は直せませんか?

徴収はできなくても記録訂正の道は残ります。給与から控除されていた証拠があれば、年金記録の特例法に基づく訂正請求の対象になりうるためです。

この条文についての質問 AI による整理

Q1船を乗り換えたら、年金の手続きって自分で何かやるんですか?

同じ船舶所有者の船の間なら、原則として何も起きない。本条により二以上の船舶は最初から一つの適用事業所なので、資格喪失も取得も発生しないからだ。手続が要るのは雇用主そのものが変わる場合である。実務のポイント:船員手帳の乗船履歴は、後年に記録訂正を求めるときの一級証拠になる。退職時に会社に預けたままにせず、必ず手元に戻して保管する

Q2陸の会社は事業所をまとめるのに承認が要ると聞きました。船は要らないんですか?

要らない。第8条の2の陸上事業所の一括は厚生労働大臣の承認が要件だが、本条の船舶の一括は申請も承認もなく法律上当然に生じる。だから「承認を取っていないから船ごとに処理した」という説明は通らない。実務のポイント:この差は、船が移動し寄港地が固定しないため、事業所の所在地という概念がそもそも成り立たないことに由来する

Q3船員の年金って、陸で働く人と何か違うんですか?

厚生年金である点は同じだが、船員は第3種被保険者として扱われ、昭和61年3月以前の期間は3分の4倍、昭和61年4月から平成3年3月までの期間は5分の6倍で計算される特例がある(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:この特例は第3種被保険者期間が何か月あるかで効くので、本条の一括処理が崩れて数か月抜けると、そのまま特例分の目減りとして跳ね返る

Q4船員は船員保険に入ってるから、厚生年金は関係ないんじゃないですか?

関係する。船員保険の職務外年金部門は昭和61年4月に厚生年金保険へ統合され、平成22年(2010年)には職務上の年金部門も移された。現在の船員保険は主に医療部門を担い、年金の本体は厚生年金である。実務のポイント:この統合の履歴があるため、古い期間の記録が船員保険側の台帳に残っていることがある。厚生年金の照会で見つからなくても、そこで終わりではない

間違えやすい点 AI による整理

  • 「船を乗り継いだとき、それぞれの船でどんな手続が要るのか」という問いの立て方自体が誤っている。同一船舶所有者の船の間では、そもそも手続が発生する事象が起きていない。確認すべきは手続の中身ではなく、乗り継ぎの前後で船舶所有者が本当に同一だったのかという一点である
  • あなたから見れば、A丸を降りてB丸に乗るのは環境も乗組員も一変する大きな移動である。法律から見れば、同じ建物の3階から5階へ席を移したのと変わらない。この落差があるから、事業主側が善意で「区切りをつけよう」と喪失届と取得届を出してしまい、記録に切れ目が入る
  • 船を持っている会社が事業主だ、という理解は間違ってはいない。だがその深刻度が理解されていない。船員法5条により、船舶を借りて船員を使用する者や船舶管理人も船舶所有者として扱われる。一隻ごとに別会社で船を保有していても、船員を雇っているのが同じ管理会社なら一括は成立する。逆に船員の雇用主を船ごとに分ければ、同じ船団でも記録は分断される
比較の観点この条文ほかの条文
一括の成立要件8条の3:船舶所有者が同一であること。申請も承認も不要で法律上当然に成立8条の2:厚生労働大臣の承認が必要(陸上の二以上の事業所)
6条:事業所ごとに強制適用(一括の概念なし)
単位の捉え方人的単位(誰が船員を使用しているか)人的単位だが行政の承認を介在させる
場所的単位(事業所の所在地)
適用事業所としての地位第6条の適用事業所でないものとみなされる承認された事業所は一の適用事業所として存続
そのものが適用事業所
被保険者資格への影響同一船主の船舶間の配乗替えでは得喪が生じない承認後は一括された事業所間の異動で得喪が生じない
事業所が変われば喪失・取得が発生

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
勞工保險條例第6條

台湾は旧船員保険を労工保険に統合し、投保単位を雇用主で捉える。船舶単位で適用単位を立てない点で本条と発想が近いが、船舶の一括を明文化した規定は置いていない

韓国
국민연금법 제8조(사업장가입자)

韓国も事業場単位で加入を把握する。船員については別途 선원법 上の使用者概念が働くが、船舶を一括する明文規定の有無は要確認

ドイツ
SGB VI § 1、Deutsche Rentenversicherung Knappschaft-Bahn-See

ドイツは船員を鉱山・鉄道・海運を一元管轄する専門保険者に集約することで、船舶単位の分断を制度設計そのもので回避している

アメリカ
26 U.S.C. § 3121(b)(American vessel 上の役務)

米国は事業所という概念を用いず、employer 単位で賃金を集計して社会保障税を課すため、船舶ごとの分断が構造的に生じない

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 同じ会社の船を3隻、10年かけて渡り歩いた。ねんきん定期便を開いたら資格取得日が3回並んでいたとしたら? 本条どおりに処理されていれば取得は1回しか起きないはずだ。3回並ぶということは、乗り換えのたびに喪失が入り、その前後に保険料の空白月が生まれている可能性がある
  • 船舶管理会社の労務担当として新造船の就航を迎える。新しい船だから新規適用事業所の届出を、と考えた時点で誤りが始まっている。船員を使用する主体が同一なら、新造船は既存の適用事業所に吸収される。船ごとに事業所番号を取れば乗組員の資格得喪が船の数だけ発生し、後年の記録照合で全員分の訂正作業が降ってくる
  • 父が漁船と貨物船を乗り継いだ昔話をする。同じ船主なら、記録の上では一度も職場を変えていない。船が変わった=転職、ではない
  • 定年まであと3か月。年金事務所で記録を出したら、20代に乗った2隻が別々の事業所として登録され、間の4か月が抜けていた。保険料の徴収権は2年で時効にかかるが、給与から控除されていた証拠が残っていれば救済の道はある。押し入れの船員手帳と当時の給与明細を、3か月のうちに掘り出せるか

取るべき行動

被害を受けた側:1. ねんきん定期便または年金事務所の被保険者記録照会で、資格取得・喪失の回数と実際の乗り継ぎを突き合わせる。同一船舶所有者の船の間に喪失が入っていれば異常。2. 船員手帳の乗船履歴、給与明細、雇入契約書を揃える。3. 事業主に訂正届の提出を求め、応じなければ年金事務所へ持ち込む。4. 給与から控除されていたのに納付されていない期間は、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律に基づく記録訂正請求の対象になりうる

訴えられた側:1. 保有・運航する船舶のうち、船員を使用する主体が自社である船を洗い出す。所有名義ではなく船員法5条の基準で判定する。2. 船ごとに事業所番号を取得していないか確認し、取得していれば一括への是正が必要。3. 配乗替えを退職・再雇用として処理していないか、過去2年分の届出を点検する。4. 一括の効果は法律上当然に生じるため、承認を受けていないことは船ごと処理の正当化理由にならない

時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。関連する時間制限として、保険料その他の徴収金を徴収し又はその還付を受ける権利は2年、保険給付を受ける権利は5年で時効消滅する(厚生年金保険法92条1項、起算点は保険料は納期限の翌日、給付は支給事由が生じた日の翌日)。他方、被保険者資格の確認請求(同法31条)に期限はなく、退職後何十年経っても請求できる(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:本条の一括は、行政庁の承認や事業主の申請を要件とせず、船舶所有者の同一性という事実が備われば法律上当然に生じる。したがって承認を受けていないことは、船舶ごとに適用事業所を設けて資格得喪を処理することの正当化理由にならないと解される。

通説:本条にいう船舶所有者は、船員法5条の定義に従い、船舶借入人および船舶管理人を含む。所有名義を一隻ごとに分離しても、船員を使用する主体が同一であれば一括は成立し、逆に船員の雇用主を船舶ごとに分ければ一括は成立しないと解される。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

厚生年金保険法の全文を見る所属する編章節を開く:第一節

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›