国民年金法 第90条
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- 次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(次条第一項から第三項までの規定の適用を受ける期間又は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の生徒若しくは学生であつて政令で定めるもの(以下「学生等」という。)である期間若しくは学生等であつた期間を除く。)に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあつた日以後、当該保険料に係る期間を第五条第三項に規定する保険料全額免除期間(第九十四条第一項の規定により追納が行われた場合にあつては、当該追納に係る期間を除く。)に算入することができる。ただし、世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない。
- 一当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得(一月から厚生労働省令で定める月までの月分の保険料については、前々年の所得とする。以下この章において同じ。)が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるとき。
- 二被保険者又は被保険者の属する世帯の他の世帯員が生活保護法による生活扶助以外の扶助その他の援助であつて厚生労働省令で定めるものを受けるとき。
- 三地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に定める障害者、寡婦その他の同法の規定による市町村民税が課されない者として政令で定める者であつて、当該保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得が政令で定める額以下であるとき。
- 四保険料を納付することが著しく困難である場合として天災その他の厚生労働省令で定める事由があるとき。
- 2.前項の規定による処分があつたときは、年金給付の支給要件及び額に関する規定の適用については、その処分は、当該申請のあつた日にされたものとみなす。
- 3.第一項の規定による処分を受けた被保険者から当該処分の取消しの申請があつたときは、厚生労働大臣は、当該申請があつた日の属する月の前月以後の各月の保険料について、当該処分を取り消すことができる。
- 4.第一項第一号及び第三号に規定する所得の範囲及びその額の計算方法は、政令で定める。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第90条は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第90条の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する被保険者等から申請があつたときは、厚生労働大臣は、その指定する期間(次条第一項から第三項までの規定の適用を受ける期間又は学校教育法(…」で始まります。
- 国民年金法第90条は第六章に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第90条の前の条は国民年金法第89条です。
- 国民年金法第90条の次の条は国民年金法第90条の2です。
- 国民年金法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第90条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/90
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法90条は、前年所得が政令で定める額以下などの要件に該当する被保険者の申請により、保険料の納付を要しないものとする申請全額免除を定める。学生等の期間は対象外。
Q · 収入が無くて国民年金の保険料が払えません。放置するのと申請するのでは何が違いますか?
申請すれば納付義務が消え、未納とは別扱いになる
国民年金法90条により、前年所得が政令で定める額以下であるなどの要件を満たす被保険者が申請し承認されれば、その期間の保険料は納付を要しないものとなり、保険料全額免除期間に算入されます。免除期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入され、年金額にも国庫負担分の2分の1が反映されます。障害基礎年金・遺族基礎年金の保険料納付要件でも未納として数えられません。ただし世帯主・配偶者も各号のいずれかに該当する必要があり、学生等の期間は90条の3の学生納付特例によります。
解説
納付書を封も切らずに引き出しへ入れている状態と、A4一枚の免除申請書を出した状態。この二つは、法的にまったく別の場所にある。国民年金法90条は、前年所得が政令で定める額以下であれば、申請により保険料を「納付することを要しない」ものとする。効果は三方向に効く。第一に、免除期間は老齢基礎年金の受給資格期間(10年)に算入され、年金額にも国庫負担分の2分の1が反映される。未納はどちらもゼロである。第二に、障害基礎年金・遺族基礎年金の保険料納付要件でも、免除期間は未納として数えられない。病気や事故は、あなたの所得が低い時期を避けてはくれない。第三に、審査されるのはあなただけではない。ただし書により、世帯主と配偶者も各号のいずれかに該当しなければ申請は通らない。実家暮らしで所得ゼロなのに落ちる人がいるのは、この一文のためである。
法的な位置づけ
国民年金法90条は、国民年金保険料の申請全額免除を定める規定である。前年所得が政令で定める額以下である場合など一定の要件に該当する被保険者の申請に基づき、厚生労働大臣が指定期間の保険料の納付義務を消滅させ、当該期間を保険料全額免除期間に算入する。届出により当然に免除される法定免除(89条)と異なり、申請主義を採る。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分がどの免除ルートに乗るかを先に切り分ける 学生等であれば90条の3の学生納付特例、生活保護の生活扶助受給者や障害年金受給者であれば89条の法定免除(届出)、それ以外で所得が低い場合が90条の申請全額免除である。ルートを取り違えると却下され、その期間は未納として記録される
- 2.申請書を作成し、退職が理由なら離職票の写しを添える 国民年金保険料免除・納付猶予申請書に記入する。退職を理由とする特例免除では離職票または雇用保険受給資格者証の写しを添付し、本人の前年所得をゼロとみなして審査してもらう。継続審査の希望欄は必ずチェックする
- 3.遡及分も含めて申請し、審査区分を全額免除だけに絞らない 申請日の属する月の2年1か月前の月分まで遡及して申請できる。世帯主の所得で全額免除が通らない可能性を考え、一部免除や50歳未満の納付猶予まで含めて審査を希望する書き方にしておくと、空白期間が生じにくい
- 4.結果通知を確認し、承認後10年以内の追納を計画する 日本年金機構からの結果通知書で承認区分と対象期間を確認する。承認された期間は94条により10年以内に追納でき、追納した保険料は社会保険料控除の対象になる。3年度目以降は加算額が付くため、収入が回復した年に前倒しで納めるのが合理的
よくある質問 AI による整理
Q1国民年金の申請全額免除とは?
前年所得が政令で定める額以下などの要件に該当する被保険者が申請し、厚生労働大臣の承認を受けることで、その期間の保険料の納付義務が消滅する制度です。国民年金法90条が根拠になります。
Q2国民年金の免除申請はどこで手続きできる?
住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口や年金事務所のほか、マイナポータルからの電子申請、郵送での提出も利用できます。申請のあった日が処分の基準日になります。
Q3免除申請に必要な書類は?
国民年金保険料免除・納付猶予申請書が基本です。退職を理由とする特例免除では離職票または雇用保険受給資格者証の写しを添付します。基礎年金番号またはマイナンバーの記載も必要です。
Q4失業した場合も国民年金は免除される?
退職を理由とする特例免除があり、離職票等の写しを添えれば本人の前年所得をゼロとみなして審査されます。ただし世帯主と配偶者の所得は通常どおり審査対象になります。
Q5免除と納付猶予は何が違う?
全額免除は世帯主・配偶者の所得も審査され、年金額に国庫負担分の2分の1が反映されます。50歳未満の納付猶予は世帯主の所得を審査しない一方、年金額には反映されません。
Q6免除が承認されたかどうかはどう確認する?
日本年金機構から免除・納付猶予申請の結果通知書が郵送されます。ねんきんネットやマイナポータルでも、納付・免除の記録を確認できます。
Q7天災で保険料が払えないときはどうなる?
国民年金法90条1項4号は、天災その他厚生労働省令で定める事由により納付が著しく困難な場合を免除事由としています。所得基準とは別枠で申請できます。
Q8免除期間中に障害を負ったら障害基礎年金はもらえる?
免除期間は保険料納付要件の判定で未納として扱われないため、他の要件を満たせば障害基礎年金の対象になります。未納のまま放置した期間とはここが決定的に違います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1免除って結局、将来もらえる年金が減るんですよね? だったら未納と同じでは?
違う。全額免除期間は老齢基礎年金の額に国庫負担分の2分の1が反映され、受給資格期間の10年にも算入される(5条、27条)。未納は額も資格期間もゼロである。実務のポイント:追納(94条)で納めた額は全額が社会保険料控除の対象になる。所得が低い年に無理をするより、収入が跳ねた年にまとめて追納した方が、実質負担は税率分だけ軽くなる
Q2親と同居しているだけで落ちるって本当ですか?
本当である。90条1項ただし書は、世帯主または配偶者が各号のいずれにも該当しないときは免除しないと定める。実家暮らしなら親の前年所得も基準内である必要がある。実務のポイント:50歳未満の納付猶予は世帯主の所得を審査しない。申請書の希望区分欄をどう書くかで審査される順番が変わるため、全額免除だけを指定せず納付猶予まで含めて審査を希望する方が空白期間を作らずに済む
Q3もう2年以上ずっと未納です。今から申請しても意味ありますか?
意味はある。申請日の属する月の2年1か月前まで遡って免除を受けられ、その分は未納から免除期間へ書き換わる。それより前は未納のまま固定される(102条)。実務のポイント:多くの人が「後で申請すれば大丈夫」と考えているが、90条2項がある限り、遡及免除は過去に発生した障害や死亡の納付要件を救わない。動く日が早いほど守れる範囲が広がる
Q4免除を受けたあとで、やっぱり払いたくなったらどうなりますか?
90条3項が取消申請を認めており、厚生労働大臣は申請日の属する月の前月以後の各月について処分を取り消せる。過去分をまとめて元へ戻す仕組みではない。実務のポイント:既に免除された期間を納付済みに変えたいなら、取消ではなく追納(94条)が正解である。取消は将来の納付義務を復活させるだけの手続で、この二つを混同したまま窓口へ行く人が多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「払えないから、余裕ができた時期にまとめて追納しよう」という問いの立て方そのものが誤っている。追納(94条)は免除等の承認を受けた期間についてしか使えない。未納期間に追納制度は存在せず、保険料の徴収権は2年で時効消滅する(102条)ので、納める権利ごと消える。免除申請は追納の代替ではなく、追納の前提条件である
- 免除に所得基準があることは多くの人が知っている。だが判定対象が本人・世帯主・配偶者の三者であり、三者それぞれが1号から4号のいずれかに該当しなければ承認されないという設計まで理解している人は少ない。深刻なのは、この構造ゆえに「自分は無収入なのに落ちる」ことが制度上の正常動作だという点である。落ちた人が次に見るべきは、世帯主の所得を問わない納付猶予という別ルートになる
- あなたから見れば「今月は払えない」という家計の問題にすぎない。制度から見れば「納付義務を消滅させる行政処分(役所があなたに対して直接下す具体的な決定)を受けたか否か」という二値の記録でしかない。この落差が牙をむくのは老後ではなく、あなたが働けなくなった日である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 90条:申請主義。申請して承認されて初めて効力が生じる | 89条:法定免除。届出により当然に免除される 90条の3:学生納付特例。学生等であることを要件に申請 |
| 主な要件 | 本人・世帯主・配偶者がいずれも各号のいずれかに該当(前年所得が政令基準以下等) | 生活保護の生活扶助受給、障害基礎年金受給等の客観的事実 本人が学生等であり、本人の前年所得が基準以下(世帯主の所得は不問) |
| 年金額への反映 | 国庫負担分の2分の1が老齢基礎年金額に反映される | 同じく国庫負担分が反映される 受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない |
| 追納との関係 | 承認期間は94条により10年以内に追納可能 | 同じく10年以内に追納可能 同じく10年以内に追納可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は日本の制度名称をそのまま継受したが、設計は免除ではなく保険料の政府補助方式。低所得世帯・身心障礙者の保険料を政府が一定割合負担する点で、納付義務そのものを消す日本の90条とは構造が異なる
韓国は失業・休業・所得喪失などの事由がある期間について納付例外を認める。日本の免除が年金額に国庫負担分を反映するのに対し、韓国の納付例外期間は原則として加入期間に算入されない点が大きな違い
ドイツは免除という枠組みではなく、失業・疾病・教育期間などを Anrechnungszeiten として無拠出のまま年金期間に算入する。申請ではなく事実の届出と認定によって処理される点で、日本の申請主義とは対照的
米国の社会保障年金は稼得に応じたクレジット制で、低所得期間はクレジットが積まれないだけであり、免除に相当する保全制度はない。日本の90条は米国型にはない機能を担っている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会社を辞めて半年、貯金が減っていくなかで年金機構からの督促状が届いた。退職を理由とする特例免除では、離職票または雇用保険受給資格者証の写しを添えることで、本人の前年所得をゼロとみなして審査される。前年に500万円稼いでいた人でも通る。この書類一式を出すか出さないかで、退職後の一年が「未納の空白」になるか「免除期間」になるかが分かれる
- もし免除申請を出さないまま、通勤中の事故で下肢に障害が残ったとしたら? 障害基礎年金には保険料納付要件があり、初診日の前々月までの被保険者期間で未納が3分の1を超えていれば不支給になる。そして90条2項は、免除処分は「当該申請のあつた日にされたものとみなす」と定める。事故のあとで慌てて過去分を遡及申請しても、この一文が退路を断つ
- あなたが世帯主の親で、大学を出た子どもが実家でアルバイトをしている。子どもの所得がゼロでも、あなたの前年所得が基準を超えていれば、ただし書により全額免除は承認されない。子は未納者として記録される
- 最終催告状に書かれた期限まであと10日。国民年金保険料は国税徴収法の例により強制徴収でき、督促状を経て給与や預貯金の差押えに進む。給与差押えなら勤務先に差押通知が届く。だが差押予告の段階でも免除申請は可能で、承認されればその期間の納付義務自体が消える
- 大学院に進んだ友人から「所得ゼロなんだから90条で全額免除だよね」と相談された。違う。学生等である期間は90条1項の括弧書きで明文除外されており、使うべきは学生納付特例(90条の3)である。制度を取り違えて申請すると却下され、その間は未納として扱われる
取るべき行動
被害を受けた側:1. マイナポータルまたは年金事務所で免除申請、申請日の属する月の2年1か月前の月分まで遡及可能2. 退職が理由なら離職票または雇用保険受給資格者証の写しを添付、本人の前年所得はゼロとみなして審査される3. 世帯主の所得で全額免除が通らなければ、50歳未満は納付猶予へ切り替える(世帯主の所得は問われない、時限措置につき最新の改正状況をご確認ください) 4. 承認から10年以内に追納(94条)すれば年金額は満額に戻せる
訴えられた側:1. 最終催告状や督促状が届いた段階でも免除申請は可能、承認されればその期間の納付義務自体が消滅する2. 差押予告まで進んでいるなら年金事務所へ即連絡し、申請中である事実を記録に残す3. 所得基準を超えて免除が通らない場合は分割納付の相談へ切り替える4. 督促状が発せられると延滞金が発生しうる(97条)。放置が最も高くつく選択肢である
時効(請求できる期限):申請免除の遡及は、申請日の属する月の2年1か月前の月分まで(徴収権の時効2年と連動、102条4項)。審査年度は7月から翌年6月。追納は承認された月の前10年以内(94条)で、3年度目以降は加算額が付く。ただし90条2項により、障害・遺族給付の納付要件との関係では処分は申請日にされたものとみなされ、遡及申請で過去の事故の要件を事後的に満たすことはできない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:90条の免除は行政処分であり、届出により当然に効果が生じる89条の法定免除と異なり申請主義を採ると解されている。2項が処分日を申請日に固定しているのは、免除制度が事後的な保険事故の救済手段として濫用されることを防ぐ趣旨と理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正 免除を遡及して申請できる期間が拡大され、申請日の属する月の2年1か月前の月分まで遡れるようになった。それ以前は原則として申請月の前月分までしか救済されず、未納の固定化が起きていた
- 近年の所得基準・寡婦区分の見直し 所得基準額の算定式および地方税法上の寡婦・ひとり親の区分が近年見直されており、1項1号・3号の政令基準は変動している(改正年および具体的金額は最新の改正状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国民年金法制定。拠出制の国民年金において、支払能力を失った被保険者の年金権を保全するための保険料免除制度が設けられた
- 2.平成26年(2014年) 改正:免除を遡及して申請できる期間が拡大され、申請日の属する月の2年1か月前の月分まで遡れるようになった。それ以前は原則として申請月の前月分までしか救済されず、未納の固定化が起きていた
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