要点国税徴収法 127 条は、土地と建物等がともに滞納者の所有で、公売により所有者が分かれたとき、建物等に地上権が設定されたものとみなす規定。地代は裁判所が定める。
Q · 税金を滞納して土地が公売にかけられたら、その上に建っている自分の家はどうなるの?
土地だけ売られても建物は地上権で残ります。ただし地代は発生します
国税徴収法 127 条 1 項により、土地とその上の建物又は立木がともに滞納者の所有に属し、差押えと換価によって所有者が分かれた場合、その建物等には地上権が設定されたものとみなされます。したがって土地を落札した第三者は建物の収去を求めることができず、請求できるのは地代です。地上権の存続期間と地代は、当事者の請求により裁判所が定めます(同条 3 項)。ただし要件は差押えの時点で土地と建物等がともに滞納者の所有であることであり、差押え直前に建物だけを別名義に移すと本条は適用されません。
税務署が動いたとき、多くの人が最も恐れるのは自宅を失うことだ。だが国税徴収法127条は、その恐怖の半分を打ち消す。あなたが土地と建物の両方を持っていて、税務署がそのどちらか一方だけを差し押さえ、公売で他人の手に渡ったとする。日本の法律では土地と建物は別個の不動産なので、本来なら建物は土地を使う権利を持たず、取り壊しの対象になる。127条はそこに割って入り、「地上権が設定されたものとみなす」と宣言する。あなたの建物は立ったまま残る。ただし代償はある。地上権には地代が付き、その額と存続期間は当事者の請求により裁判所が決める(3項)。しかも要件は厳しい。差押えの時点で土地と建物の両方が滞納者のものでなければならない。差押え直前に建物だけ配偶者名義へ移すという「資産防衛」をやると、127条は発動せず、建物は法的な足場を失う。守るつもりの登記が、家を壊す引き金になる。
国税徴収法 127 条は、滞納処分における法定地上権を定める規定である。土地及びその上の建物又は立木がともに滞納者の所有に属し、差押えとその換価により所有者を異にするに至ったときは、建物等につき地上権が設定されたものとみなされる。その存続期間及び地代は、当事者の請求により裁判所が定める。
契約ではなく法律の規定によって当然に発生する地上権のことです。土地と建物が同一所有者に属していたのに競売・公売で所有者が分かれた場合、建物を守るために法律が地上権の設定をみなします。国税徴収法 127 条、民法 388 条、民事執行法 81 条が代表例です。
国税徴収法 127 条は「土地及び建物等が滞納者の所有に属する場合」を要件とするため、名義を分けると本条が発動せず、建物は土地を使う法的根拠を失います。守るつもりの名義変更が、かえって建物の存立を危うくする結果になり得ます。
対象になります。同条は「建物又は立木(建物等)」と明文で規定しています。強制競売の法定地上権を定める民事執行法 81 条は建物のみを対象とするため、山林所有者にとっては滞納処分の方が保護範囲が広いという逆転が生じています。
国税徴収法 127 条 3 項により、当事者の請求に基づいて裁判所が定めます。建物所有を目的とする地上権に借地借家法 3 条(30 年)が及ぶかは実務上解釈が分かれており、実際の期間は個別事情を踏まえた裁判所の判断によります。
土地と建物などを一体として売却する方法で、国税徴収法 89 条 3 項が認めています。セットの方が高値で売れれば滞納国税への充当額が増えて残債が減り、そもそも所有者が分かれないため 127 条の地上権問題も生じません。
適用され得ます。厚生年金保険料や健康保険料などの滞納処分は「国税徴収の例により」行われる仕組みのため、公売で土地と建物の所有者が分かれた場合も 127 条の法定地上権が同じように働きます。
127 条の地上権は法律上当然に「設定されたものとみなす」効果が生じるため、登記がなくても成立します。ただし第三者との関係整理や地代の明確化のため、裁判所による地代・存続期間の決定(3 項)や登記手続を早めに進めるのが実務的です。
買受人が買受代金を納付した時点で所有権が移転し(国税徴収法 116 条)、その瞬間に土地と建物等の所有者が分かれて 127 条の地上権が発生します。公売公告の時点でも入札の時点でもありません。
差押えの時点で土地と建物がともにあなたの名義なら、公売で土地だけが他人に渡っても建物には地上権が発生し(国税徴収法127条1項)、取り壊しの対象にはなりません。ただし地代の支払義務は生じます。業界裏話ヒント:この保護は「差押え時に同一名義」が条件です。差押え直前に建物だけ家族名義へ移す資産防衛の助言を受けたら、127条が外れる可能性を必ず確認してください
当事者の請求により裁判所が定めます(国税徴収法127条3項)。近隣の地代相場、固定資産税額、土地の利用状況などを踏まえた非訟手続(当事者が勝ち負けを争う訴訟ではなく、裁判所が後見的に額を決める手続)です。業界裏話ヒント:請求しなければ地代は決まりません。放置すると後から遡及請求と不払いの主張が同時に来る。相手が動く前に自分から申し立てた方が、資料を先に出せる分だけ有利です
その建物が滞納者のもので差押え時に土地と同一名義だったなら、あなたが取得するのは地上権の負担付きの底地です(国税徴収法127条1項)。自分で使うことも建て替えることもできず、収入は地代だけになります。業界裏話ヒント:見積価額は本来この負担を織り込んで決定されます(同法98条)。織り込まれていない疑いがあるなら、同法126条が準用する民法568条で代金減額を主張する余地があります
地上権とその上の建物がともに滞納者に属する場合、建物が公売で他人に渡ると、落札者は元の地上権の存続期間内で土地を賃借した扱いになります(国税徴収法127条2項)。地上権は物権なので、地主の承諾は要件ではありません。業界裏話ヒント:これが賃借権(普通の借地)だと話は別で、民法612条の承諾や借地借家法19条の裁判所による許可が問題になる。まず登記と契約書で自分の借地権の種類を確認してください
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用される場面 | 国税徴収法 127 条:滞納処分による差押えと公売等の換価 | — |
| 保護の対象物 | 建物「又は立木」(1 項で立木を明文で含む) | — |
| 同一所有の基準時 | 差押えの時点で土地と建物等がともに滞納者の所有 | — |
| 地代・存続期間の決め方 | 当事者の請求により裁判所が定める(3 項)。請求がなければ決まらない | — |
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