国税徴収法 第127条(法定地上権等の設定)
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- 土地及びその上にある建物又は立木(以下この条において「建物等」という。)が滞納者の所有に属する場合において、その土地又は建物等の差押があり、その換価によりこれらの所有者を異にするに至つたときは、その建物等につき、地上権が設定されたものとみなす。
- 2.前項の規定は、地上権及びその目的となる土地の上にある建物等が滞納者に属する場合について準用する。この場合において、同項中「地上権が設定された」とあるのは、「地上権の存続期間内において土地の賃貸借をした」と読み替えるものとする。
- 3.前二項の場合において、その権利の存続期間及び地代は、当事者の請求により裁判所が定める。
この条文の基本情報
法定地上権等の設定とは何ですか?
定義法定地上権等の設定とは、国税徴収法第127条に定められた規定で、「土地及びその上にある建物又は立木(以下この条において「建物等」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第127条(法定地上権等の設定)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第127条の条文原文は「土地及びその上にある建物又は立木(以下この条において「建物等」という。」で始まります。
- 国税徴収法第127条は第五款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第127条の前の条は国税徴収法第126条です。
- 国税徴収法第127条の次の条は国税徴収法第128条です。
- 国税徴収法第127条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第127条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第127条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/127
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法127条は、土地と建物等がともに滞納者の所有で、公売により所有者が分かれたとき、建物等に地上権が設定されたものとみなす規定。地代は裁判所が定める。
Q · 税金を滞納して土地が公売にかけられたら、その上に建っている自分の家はどうなるの?
土地だけ売られても建物は地上権で残ります。ただし地代は発生します
国税徴収法127条1項により、土地とその上の建物又は立木がともに滞納者の所有に属し、差押えと換価によって所有者が分かれた場合、その建物等には地上権が設定されたものとみなされます。したがって土地を落札した第三者は建物の収去を求めることができず、請求できるのは地代です。地上権の存続期間と地代は、当事者の請求により裁判所が定めます(同条3項)。ただし要件は差押えの時点で土地と建物等がともに滞納者の所有であることであり、差押え直前に建物だけを別名義に移すと本条は適用されません。
解説
税務署が動いたとき、多くの人が最も恐れるのは自宅を失うことだ。だが国税徴収法127条は、その恐怖の半分を打ち消す。あなたが土地と建物の両方を持っていて、税務署がそのどちらか一方だけを差し押さえ、公売で他人の手に渡ったとする。日本の法律では土地と建物は別個の不動産なので、本来なら建物は土地を使う権利を持たず、取り壊しの対象になる。127条はそこに割って入り、「地上権が設定されたものとみなす」と宣言する。あなたの建物は立ったまま残る。ただし代償はある。地上権には地代が付き、その額と存続期間は当事者の請求により裁判所が決める(3項)。しかも要件は厳しい。差押えの時点で土地と建物の両方が滞納者のものでなければならない。差押え直前に建物だけ配偶者名義へ移すという「資産防衛」をやると、127条は発動せず、建物は法的な足場を失う。守るつもりの登記が、家を壊す引き金になる。
法的な位置づけ
国税徴収法127条は、滞納処分における法定地上権を定める規定である。土地及びその上の建物又は立木がともに滞納者の所有に属し、差押えとその換価により所有者を異にするに至ったときは、建物等につき地上権が設定されたものとみなされる。その存続期間及び地代は、当事者の請求により裁判所が定める。
手順
- 1.差押えの対象が土地か建物等かを特定する 差押調書と登記事項証明書を突き合わせ、差し押さえられたのが土地なのか建物・立木なのかを確定する。127条は土地だけ売られる場合も建物等だけ売られる場合も働くが、その後の交渉の組み立てが全く変わる
- 2.差押え時点で土地と建物等が同一名義かを確認する 登記事項証明書の権利部で、差押えの登記がされた時点における土地と建物等の所有者名義を確認する。ここが127条の生死を分ける分岐点であり、相続・贈与・財産分与で名義がずれていると地上権は発生しない
- 3.公売公告が出る前に売られ方を設計する 徴収職員に対し、国税徴収法89条3項の一括公売の申し出をするか、換価の猶予の申請をするかを選択して申し入れる。土地建物セットで高く売れれば滞納国税への充当が増えて残債が減る。公告後に言っても手続はもう動かない
- 4.買受代金納付後に地代・存続期間の決定を申し立てる 国税徴収法116条により買受人が代金を納付した時点で地上権が発生するので、127条3項に基づき裁判所へ地代と存続期間を定める申立てをする。近隣地代相場、固定資産税・都市計画税額、土地の利用状況の資料を先に揃えて提出する
- 5.決まった地代を必ず支払い、記録を残す 地代が決まった後の不払いは、地上権そのものの消滅を主張される根拠になる。振込など客観的記録の残る方法で支払い、地主が受領を拒む場合は法務局への供託を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1法定地上権とは何ですか?
契約ではなく法律の規定によって当然に発生する地上権のことです。土地と建物が同一所有者に属していたのに競売・公売で所有者が分かれた場合、建物を守るために法律が地上権の設定をみなします。国税徴収法127条、民法388条、民事執行法81条が代表例です。
Q2差押え前に建物を家族名義に変えたらどうなりますか?
国税徴収法127条は「土地及び建物等が滞納者の所有に属する場合」を要件とするため、名義を分けると本条が発動せず、建物は土地を使う法的根拠を失います。守るつもりの名義変更が、かえって建物の存立を危うくする結果になり得ます。
Q3立木も127条の対象になりますか?
対象になります。同条は「建物又は立木(建物等)」と明文で規定しています。強制競売の法定地上権を定める民事執行法81条は建物のみを対象とするため、山林所有者にとっては滞納処分の方が保護範囲が広いという逆転が生じています。
Q4地上権の存続期間はどのくらいですか?
国税徴収法127条3項により、当事者の請求に基づいて裁判所が定めます。建物所有を目的とする地上権に借地借家法3条(30年)が及ぶかは実務上解釈が分かれており、実際の期間は個別事情を踏まえた裁判所の判断によります。
Q5一括公売とは何ですか?
土地と建物などを一体として売却する方法で、国税徴収法89条3項が認めています。セットの方が高値で売れれば滞納国税への充当額が増えて残債が減り、そもそも所有者が分かれないため127条の地上権問題も生じません。
Q6社会保険料の滞納でも127条は適用されますか?
適用され得ます。厚生年金保険料や健康保険料などの滞納処分は「国税徴収の例により」行われる仕組みのため、公売で土地と建物の所有者が分かれた場合も127条の法定地上権が同じように働きます。
Q7地上権の登記は必要ですか?
127条の地上権は法律上当然に「設定されたものとみなす」効果が生じるため、登記がなくても成立します。ただし第三者との関係整理や地代の明確化のため、裁判所による地代・存続期間の決定(3項)や登記手続を早めに進めるのが実務的です。
Q8地上権はいつ発生しますか?
買受人が買受代金を納付した時点で所有権が移転し(国税徴収法116条)、その瞬間に土地と建物等の所有者が分かれて127条の地上権が発生します。公売公告の時点でも入札の時点でもありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1税金を滞納して土地が公売にかかったら、家も一緒に取り壊されるんですか?
差押えの時点で土地と建物がともにあなたの名義なら、公売で土地だけが他人に渡っても建物には地上権が発生し(国税徴収法127条1項)、取り壊しの対象にはなりません。ただし地代の支払義務は生じます。実務のポイント:この保護は「差押え時に同一名義」が条件です。差押え直前に建物だけ家族名義へ移す資産防衛の助言を受けたら、127条が外れる可能性を必ず確認してください
Q2地代っていくらになるんですか、勝手に決められたら困るんですけど
当事者の請求により裁判所が定めます(国税徴収法127条3項)。近隣の地代相場、固定資産税額、土地の利用状況などを踏まえた非訟手続(当事者が勝ち負けを争う訴訟ではなく、裁判所が後見的に額を決める手続)です。実務のポイント:請求しなければ地代は決まりません。放置すると後から遡及請求と不払いの主張が同時に来る。相手が動く前に自分から申し立てた方が、資料を先に出せる分だけ有利です
Q3公売で安い土地を見つけたんですが、上に建物が建っています。買っても大丈夫ですか?
その建物が滞納者のもので差押え時に土地と同一名義だったなら、あなたが取得するのは地上権の負担付きの底地です(国税徴収法127条1項)。自分で使うことも建て替えることもできず、収入は地代だけになります。実務のポイント:見積価額は本来この負担を織り込んで決定されます(同法98条)。織り込まれていない疑いがあるなら、同法126条が準用する民法568条で代金減額を主張する余地があります
Q4借地に建てた家を差し押さえられました。地主の承諾なしに他人へ移るんですか?
地上権とその上の建物がともに滞納者に属する場合、建物が公売で他人に渡ると、落札者は元の地上権の存続期間内で土地を賃借した扱いになります(国税徴収法127条2項)。地上権は物権なので、地主の承諾は要件ではありません。実務のポイント:これが賃借権(普通の借地)だと話は別で、民法612条の承諾や借地借家法19条の裁判所による許可が問題になる。まず登記と契約書で自分の借地権の種類を確認してください
間違えやすい点 AI による整理
- 「公売を止めるにはどうすればいいか」という問いの立て方そのものが、多くの滞納者を追い詰めている。127条を知っていれば、問いは「土地と建物のどちらを、どう売らせるか」に変わる。止める交渉ではなく、売られ方を設計する交渉になる。換価の猶予と組み合わせれば選択肢はさらに増える
- 地上権が発生することを知っている人でも、地代がタダではない点を見落とす。127条3項により地代は裁判所が定めるが、誰かが請求しなければ決まらない。決まらないまま何年も経つと、新しい地主から過去分をまとめて請求され、不払いを理由に権利の消滅を主張される展開になりうる
- 「差押えを受けたら家を出なければならない」と思い込み、公売前に自主的に転居する人がいる。だが127条が働く典型ケースでは、住み続ける法的根拠がある。慌てて出た結果、建物の管理が空白になり、実際の価値も交渉力も落ちる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される場面 | 国税徴収法127条:滞納処分による差押えと公売等の換価 | 民法388条:抵当権の実行としての競売 民事執行法81条:債務名義に基づく強制競売 |
| 保護の対象物 | 建物「又は立木」(1項で立木を明文で含む) | 建物のみ 建物のみ |
| 同一所有の基準時 | 差押えの時点で土地と建物等がともに滞納者の所有 | 抵当権設定の時点で土地と建物が同一所有者 差押えの時点で土地と建物が同一所有者 |
| 地代・存続期間の決め方 | 当事者の請求により裁判所が定める(3項)。請求がなければ決まらない | 当事者の請求により裁判所が定める 当事者の請求により裁判所が定める |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2010年(民国99年)の物権編改正で838条の1を新設し、強制執行の競売で土地と建物の所有者が分かれた場合に地上権の設定をみなす規定を明文化した。地租・期間は当事者の協議、協議不調なら裁判所が判決で定める点まで日本127条3項と構造が一致する
韓国は抵当権実行の法定地上権を民法366条に置き、それ以外の売買・強制執行の場面は判例が作り上げた慣習法上の法定地上権で補っている。日本のように徴収法側に独立の明文を置く方式とは立法技術が異なる
ドイツは建物を土地の本質的構成部分とするため、土地と建物の所有者が分かれる事態がそもそも生じず、法定地上権に相当する制度を必要としない。建物のみの独立所有を実現したい場合は Erbbaurecht(地上権)を契約で設定する
米国も建物を土地の付合物として扱うため法定地上権は存在しない。区画の分離譲渡で通行や利用が不可能になる場合に、黙示の地役権や必要地役権の法理で個別に救済する枠組みであり、日本のような一律のみなし規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 事業の資金繰りが崩れて消費税を1年半滞納した。税務署が自宅の土地だけを差し押さえ、公売公告が出て、近所の不動産業者が落札。それでもあなたと家族はその家に住み続けられる。127条1項により建物には地上権が生じ、新しい地主があなたに言えるのは「出ていけ」ではなく「地代を払え」だけになる
- もし、あなたの持ち山の立木だけが公売にかけられたら、落札した林業会社は他人の土地に生えた木をどう扱うことになるのか。127条は建物だけでなく立木も明文で対象に含めている。民事執行法81条の法定地上権は建物しか書いていない。滞納処分だけが、山林の所有者にこの保護を及ぼしている
- 公売で「相場の半値」の土地を落札した。現地に立つと、他人の家が建っている。地上権の負担が付いた底地だったと気付くのは、代金を納付した後だ
- 公売公告から入札締切まで、残りは11日。滞納者であるあなたには、土地と建物を一括で公売にかけるよう申し出るか、土地だけ売られて地上権付きの家に残るかを選ぶ余地がある。国税徴収法89条3項は一括公売を認めており、セットの方が高く売れれば滞納税への充当額が増えて残債が減る。締切を過ぎればその選択権は消える
- 借地の上に建てた自宅を持ち、地上権の登記もある。税務署が建物だけを差し押さえて公売した場合、落札者は地上権そのものを取得するのではなく、あなたの地上権の残存期間内で土地を借りた形になる(127条2項)。地主の承諾は要件ではない。地主が「聞いていない」と怒っても、法律がすでに決めている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書で、差し押さえられたのが土地か建物かを特定する2. 差押えの時点で土地と建物がともに自分名義だったかを登記事項証明書で確認、ここが127条の生死を分ける3. 公売公告が出る前に、一括公売(国税徴収法89条3項)の申し出か換価の猶予の申請かを選ぶ4. 土地だけ売られる見込みなら、地代と存続期間を裁判所に決めてもらう申立て(127条3項)の資料を先に整える
訴えられた側:1. 入札前に現況・公図・建物登記を照合し、地上権が発生する組合せかを判定する2. 見積価額にその負担が反映されているかを公売公告と算定資料で確認3. 落札後は速やかに裁判所へ地代決定の申立て(127条3項)、放置するほど過去分を請求する根拠が薄くなる4. 負担が未開示だった場合、国税徴収法126条が準用する民法568条による代金減額・解除の可否を検討する
時効(請求できる期限):地上権が発生するのは、買受人が買受代金を納付した時点(国税徴収法116条)。127条自体に権利行使の期限はなく、地代と存続期間を定める裁判所への申立て(3項)にも法定期限はないが、遅れるほど過去分の地代をめぐる争いで不利になる。公売手続そのものへの不服は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内の審査請求が原則(国税通則法77条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:127条の地上権は差押え時における土地・建物等の同一所有を要件とし、買受代金納付による所有者分離を機に法律上当然に発生する。設定行為も登記も成立要件ではなく、地代と存続期間のみが3項の裁判所の決定に委ねられると理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)により現行法が成立し、滞納処分の換価で土地と建物等の所有者が分かれる場合の法定地上権が第127条に置かれた。民法388条の法定地上権を滞納処分の場面へ及ぼしつつ、対象に立木を加えた点が特徴
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