要点国税徴収法 98 条は、公売財産の見積価額を税務署長が決定すると定める。取引価格・収益・原価を勘案しつつ、公売である事情も考慮するため、時価を下回る価額もありうる。
Q · 差し押さえられた家が公売にかかるとき、値段は誰がどうやって決めるの?
税務署長が決める。鑑定は義務ではない
国税徴収法 98 条 1 項により、公売財産の見積価額は税務署長が決定します。近傍類似の財産の取引価格、その財産から生ずべき収益、原価その他の価格形成上の事情を適切に勘案し、さらに「公売するための見積価額である」ことを考慮しなければなりません。この後段があるため、時価を下回る価額も適法となりえます。2 項は鑑定人への評価委託を「できる」と定めるにとどまり、裁判所競売(民事執行法 58 条)と異なり鑑定は必須ではありません。
差し押さえられた不動産が競売にかけられるとき、最初にいくらから売り出すかを決めるのは、裁判所でも不動産業者でもなく、税務署長である。国税徴収法 98 条は、その値付けのルールを定める。近傍類似物件の取引価格、その財産から生まれる収益、原価、これらを「適切に勘案して」見積価額を決めなければならない。ここまでは常識的だ。だが 1 項後段に、あなたが見落としてはならない一文が置かれている。「差押財産等を公売するための見積価額の決定であることを考慮しなければならない」。平たく言えば、公売という特殊な売り方(内覧が限られる、瑕疵担保がない、買主が付きにくい)を織り込んで、通常の市場価格より低く設定してよい、という趣旨である。つまりあなたの土地は、時価より安い値札を役所が合法的に付けられる。そして 2 項は「必要と認めるとき」に鑑定人へ委託できると定めるだけで、鑑定を義務づけていない。あなたの財産の値段が、鑑定書なしの内部評価で決まることは、実務上ふつうに起こる。
国税徴収法 98 条は、滞納処分による公売財産の見積価額の決定基準を定める規定である。税務署長は、近傍類似又は同種の財産の取引価格、公売財産から生ずべき収益、原価その他の価格形成上の事情を適切に勘案し、かつ公売のための価額決定である旨を考慮して見積価額を決定する。必要と認めるときは鑑定人への評価委託ができる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
公売にかける財産の売り出し下限額です。国税徴収法 98 条により税務署長が、取引価格・収益・原価などを勘案して決定します。入札はこの価額以上でなければ有効になりません。
近傍類似又は同種の財産の取引価格、公売財産から生ずべき収益、原価その他の価格形成上の事情を勘案し、さらに公売という売却形態の特殊性を考慮して決定されます(98 条 1 項)。
下回ることが通常です。98 条 1 項後段が「公売するための見積価額」であることを考慮せよと定め、内覧制限・契約不適合責任なし等の減価要因を織り込むことを認めているためです。
必須ではありません。98 条 2 項は「必要と認めるときは」鑑定人に委託「できる」と定めるにとどまります。評価人の評価が必須の裁判所競売(民事執行法 58 条)とは異なります。
「安い」と主張するだけでは通りません。勘案すべき事情のどれが欠けているか、判断過程のどこに不合理があるかを、収益資料や近隣成約事例で具体的に示す必要があります。
公売公告に関する規定(国税徴収法 95 条以下)に従い、公売期日等の前に公告・公示されます。公告から入札までの期間は短く、争うなら公告前の行動が実質的に重要です。
再度の公売では見積価額が改めて決定され、実務上引き下げられることがあります。買い手が付かない事情自体が価格形成上の事情として勘案されるためです。
あります。売却代金を滞納国税に充てた後の不足額の納税義務は消えません。財産を失ったうえに残債務を負う二重の打撃となりうる点が最大のリスクです。
法定の割合は存在しない。98 条 1 項は取引価格・収益・原価などを勘案せよと定めるのみで、公売である事情を考慮した結果、時価を下回ることが通常である。業界裏話ヒント:公売財産は内覧が制限され、契約不適合責任も追及できず、占有者がいれば買受人が自力で明渡しを求めることになる。この減価要因の積み上げこそが値下げの根拠なので、争うなら「相場より安い」ではなく「その減価要因は本件に当てはまらない」と個別に潰していく方が通る
許される。98 条 2 項は「必要と認めるときは、鑑定人にその評価を委託し」「できる」と定めるにすぎず、義務ではない。裁判所の不動産競売が評価人の評価を必須とする(民事執行法 58 条)のとは制度設計が異なる。業界裏話ヒント:高額物件や特殊物件では実務上、鑑定委託が行われることが多い。だから「なぜ本件では委託しなかったのか」という問いは、判断過程の合理性を突く有効な角度になる
残額の納税義務は消えない。公売はあくまで換価手段であり、売却代金を滞納国税に充てた後の不足分は引き続き徴収の対象となる。他に財産があれば、次の差押えに進む。業界裏話ヒント:換価の猶予や納税の猶予(国税徴収法 151 条、国税通則法 46 条)を申請すれば、公売そのものを止められる場合がある。値段を争うより、公売を止める方が実効性が高い局面は多い(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 98 条:見積価額の決定基準(値付けそのもの) | — |
| 権限の所在 | 税務署長が勘案要素に基づき決定、鑑定は裁量 | — |
| 納税者が動ける時点 | 評価着手段階=資料提出が最も効く | — |
| 手続保障の厚み | 鑑定人の評価は任意(2 項) | — |
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