国税徴収法 第190条
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- 法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第百八十七条又は第百八十八条(罰則)の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
- 2.人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第190条は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第190条の条文原文は「法人の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。」で始まります。
- 国税徴収法第190条は第十章に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第190条の前の条は国税徴収法第189条です。
- 国税徴収法第190条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第190条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第190条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/190
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法190条は、従業者が業務に関して187条・188条に違反したとき、行為者に加えて法人にも罰金刑を科す両罰規定である。判例は事業主の責任を選任・監督上の過失責任と解している。
Q · 社員が勝手に会社の財産を隠したら、会社まで刑事罰を受けるんですか?
会社にも各本条の罰金刑が科されます
国税徴収法190条は両罰規定です。代表者・代理人・使用人その他の従業者が業務または財産に関して187条(滞納処分免脱罪)や188条(検査拒否等の罪)に違反すると、行為者個人を処罰するほか、法人または事業主にも各本条の罰金刑が科されます。法人に科されるのは罰金刑のみで、拘禁刑は行為者個人にしか及びません。判例は事業主の責任を選任・監督上の過失責任と解しており、相当の注意を尽くしたことを事業主側が立証できれば免責される余地があります。2項により、人格のない社団等も被告人となりえます。
解説
経理担当者が独断で、差押えを避けるために会社の預金を別名義の口座へ移した。社長は報告を受けていない。それでも会社そのものに罰金刑が科される。国税徴収法190条は、従業者が業務に関して187条(滞納処分免脱罪)または188条(検査拒否等の罪)に違反したとき、その行為者を罰するのに加えて、法人または事業主にも各本条の罰金刑を科すと定める。ここであなたが握っておくべき鍵は二つある。第一に、法人に科されるのは罰金刑だけで、身体を拘束する刑は行為者個人にしか及ばない。第二に、最高裁は事業主の責任を過失責任と解し、選任・監督について相当の注意を尽くしたことを事業主側が立証できれば免責されうるとしている(最大判昭和32.11.27、法人につき最大判昭和40.3.26)。つまり「知らなかった」は出発点にすぎず、「どう防いでいたか」の記録だけが会社を守る。さらに2項は、法人格を持たない団体、町内会や管理組合のような人格のない社団等まで被告人席に座らせる道を開いている。
法的な位置づけ
国税徴収法190条は両罰規定を定める条文である。法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務または財産に関して同法187条または188条の違反行為をした場合、行為者を処罰するほか、事業主である法人または人にも各本条の罰金刑を科す。第2項は、人格のない社団等について代表者または管理人による訴訟行為と、法人被告人に関する刑事手続規定を準用する。
よくある質問 AI による整理
Q1国税徴収法の両罰規定とは何ですか?
従業者が業務に関して滞納処分免脱罪や検査拒否等の罪を犯したとき、行為者本人だけでなく事業主である法人または個人にも罰金刑を科す仕組みです。国税徴収法190条が根拠です。
Q2両罰規定で会社が払う罰金はいくらですか?
各本条の罰金刑が上限です。187条違反であれば法人に250万円以下の罰金が科されます。行為者個人の罰金とは別枠で、会社が払っても個人の刑は消えません。
Q3派遣社員の行為でも会社に罰金が及びますか?
及びうると解されています。「その他の従業者」は契約の名目ではなく実態で判断され、指揮命令下にあったと認定されれば派遣スタッフや外注先の担当者でも該当しえます。
Q4両罰規定の公訴時効は何年ですか?
187条・188条はいずれも法定刑の長期が5年未満のため、犯罪行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項)。法人への罰金刑も同様に扱うのが実務です。
Q5代表者本人が違反した場合はどうなりますか?
190条は代表者を明文で挙げているため、代表者個人が行為者として処罰され、加えて法人にも罰金刑が科されます。代表者の行為は選任・監督の抗弁が通りにくくなります。
Q6両罰規定で科された罰金は損金にできますか?
罰金・科料は損金不算入とされるのが原則です。さらに会社が行為者個人の罰金を肩代わりすると給与または賞与と認定され、源泉徴収の問題が別に生じます。
Q7税務調査と犯則調査は何が違いますか?
通常の税務調査は課税額を確定する行政手続ですが、犯則調査(国税通則法第11章)は告発を視野に入れた刑事手続の前段階です。質問てん末書の作成は後者の signal です。
Q8他人の行為で処罰される両罰規定は憲法違反ではないのですか?
判例は、事業主の責任を選任・監督上の過失責任と構成し、無過失の立証があれば免責される読み方をとることで、責任主義との抵触を回避しています。無過失責任とは解されていません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社員が勝手にやったことなのに、なんで会社が罰金を払うんですか?
190条が行為者処罰に加えて事業主にも罰金を科す両罰規定だからである。ただし判例は事業主の責任を過失責任と解し、選任・監督に相当の注意を尽くしたことを立証できれば免責されうるとする(最大判昭和32.11.27、法人につき最大判昭和40.3.26)。実務のポイント:この「相当の注意」は口頭の指導では認められにくく、社内規程・研修記録・決裁フローという文書が事実上の勝負どころになる。平時の記録がそのまま防御力になり、事後に整えた書類はほぼ効かない
Q2会社が罰金を払えば、社員個人の罪はチャラになりますか?
ならない。190条は「その行為者を罰するほか」と定めており、行為者個人の刑と法人の罰金は併存する。187条なら行為者は3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金(併科あり)、法人は250万円以下の罰金である(2022年改正により懲役は拘禁刑へ統合、2025年6月1日施行。最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:会社が行為者個人の罰金を肩代わりすると、経理上は給与または賞与と認定され、源泉徴収の問題が別に立ち上がる
Q3町内会やサークルみたいな任意団体でも、刑事被告人になるんですか?
なりうる。190条2項は、人格のない社団等について代表者または管理人が訴訟行為につき団体を代表するほか、法人を被告人または被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用すると定める(刑事訴訟法27条参照)。団体名義の口座や収益事業を持つ任意団体は、納税者として187条・188条の射程に入る。実務のポイント:代表が持ち回りで交代しても、手続を引き継いで法廷に立つのは現任者である
間違えやすい点 AI による整理
- 「うちの会社は違反していない、経営陣も知らない、だから190条は関係ない」という考え方は、問いの立て方そのものが誤っている。本条が問うのは「法人が違反したか」ではなく「従業者の違反行為について、法人が選任・監督上相当の注意を尽くしていたか」である。判例は事業主の過失を推定し、無過失の立証責任を事業主側に負わせる。知らなかったことは免責事由ではなく、防御の出発点にすぎない
- 「両罰規定は知っている」という人でも、行為者の刑と法人の罰金が併存することの重さを軽く見ている。行為者個人は187条なら3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金(併科あり)、それとは別に法人へ250万円以下の罰金。一つの行為から二本の刑が同時に出る構造であり、会社が払えば個人の刑が消えるわけではない
- あなたから見れば「担当者が自分の保身のために勝手にやったこと」でも、法律から見れば「法人の業務に関してなされた行為」でありうる。「業務に関して」の範囲は外形的に判断されるため、従業者が自己の利益のために行った場合でも法人に及びうる。この落差を読み違えたまま「うちは被害者だ」という立場で応答すると、防御の焦点がずれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 190条:行為者処罰に加え法人・事業主へ罰金刑を配線する両罰規定 | 187条:滞納処分を免れる目的の財産隠匿等を処罰する実体規定 188条:徴収職員の質問検査への拒否・虚偽答弁等を処罰する実体規定 |
| 処罰される主体 | 行為者(代表者・代理人・使用人その他の従業者)+ 法人または人(罰金のみ) | 違反行為をした自然人(拘禁刑と罰金の併科がありうる) 違反行為をした自然人 |
| 免責・防御の焦点 | 選任・監督につき相当の注意を尽くしたことの立証(事業主側が負担) | 滞納処分を免れる目的の不存在、財産の隠匿・損壊等の事実の不存在 検査の適法性、拒否・虚偽答弁の事実の不存在 |
| 人格のない社団等への適用 | 2項により代表者・管理人が訴訟行為を代表し、刑事手続規定を準用 | 自然人である行為者に適用 自然人である行為者に適用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は税法上の刑罰を法人の責任者へ転嫁する「転嫁罰」を基本とし、行政罰の領域で法人と代表者の併罰を定める。行為者と法人の双方を同時に刑事処罰する日本型両罰とは構造が異なる
韓国は日本型の양벌규정を採用しており、条文上も「상당한 주의와 감독을 게을리하지 아니한 경우」の免責但書を明文化している。日本が判例で導いた過失責任構成を、韓国は立法で明記した点が対照的
ドイツは法人に刑罰を科さず、秩序違反法上の過料(Geldbuße)で対応する。監督義務違反(§ 130 OWiG)を独立の帰責根拠とし、コンプライアンス体制の有無が直接に責任量へ反映される
米国は respondeat superior により、従業員が職務範囲内で会社の利益のために行った犯罪について法人に広く刑事責任を認める。無過失の抗弁は原則認められず、量刑ガイドラインでコンプライアンス体制が減軽要素として評価される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 税務署から会社宛に、犯則調査の質問てん末書への署名を求められたら、そこで何が始まっているのか? 187条・188条での告発が視野に入った段階である。告発まで数週間しかないことも珍しくない。その間に選任・監督の記録を揃えられるかどうかで、法人が起訴されるかが分かれる
- あなたは経理課長。社長から「あの口座は調査官に見せるな」と言われ、帳簿の一部を伏せた。行為者はあなた、罰金は会社、そして指示した社長も別途立件されうる
- マンション管理組合の理事を持ち回りで引き受けた年、前任者が駐車場収入に係る滞納処分を免れるため組合の口座を動かしていたと判明した。2項により、あなたは組合を代表して刑事手続に対応する立場に立たされる
- 派遣で来ていたスタッフが、誰の指示も受けないまま倉庫の在庫を関連会社へ移した。契約上は自社の従業員ではない。それでも実態として指揮命令下にあったと認定されれば「その他の従業者」に当たると解され、あなたの会社に罰金が及ぶ
取るべき行動
被害を受けた側:従業者の違反が判明した法人側の動きとして、1. 社内調査を第三者性のある形で行い、指示系統と決裁経路の記録を確保する2. 選任・監督の証拠(就業規則、税務コンプライアンス規程、研修受講記録、決裁権限表、承認ログ)を時系列で整理する。調査開始後に作った書類は日付で見抜かれるため後付けは逆効果3. 行為者と法人で弁護人を分ける4. 犯則調査(国税通則法第11章)の段階で、無過失の主張を書面で提出する
訴えられた側:行為者として調査を受ける側の動きとして、1. 質問てん末書は一度署名すると事実上撤回が困難、署名前に弁護人に相談する2. 上司の指示があったなら、その指示が残るメール・チャット・決裁書を先に確保する。会社は「従業員の独断」に寄せてくるため、後から出しても信用されにくい3. 滞納税額そのものの納付または分納協議を並行させ、免れる目的の立証を弱める4. 187条は拘禁刑と罰金の併科がありうる前提で方針を決める
時効(請求できる期限):187条・188条はいずれも法定刑の長期が5年未満であり、公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項、253条)。法人に対する罰金刑も同様に扱われるのが実務。ただし財産の隠匿が継続している事案では「行為が終わった時」の認定自体が争点となり、起算点が後ろへずれることがある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
過失推定説(判例・通説):両罰規定は事業主の選任・監督上の過失を推定した規定であり、無過失の立証責任は事業主側にあると解する。責任主義との抵触を回避しつつ、事業主を通じた抑止という立法目的を維持する構成である
無過失責任説(旧説):条文の文言上は事業主の過失が要件として書かれていないことから、従業者の違反行為があれば当然に事業主も処罰されると読む立場。判例により実質的に否定され、現在は支持を失っている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国税徴収法の全部改正(昭和34年法律第147号)に伴い、罰則章の末尾に両罰規定として設けられた。従業者の違反行為について事業主にも罰金刑を科す構成が明文化された
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法改正により懲役・禁錮が拘禁刑に統合され(2025年6月1日施行)、本条が引用する各本条の法定刑の表記が変更された。法人に科されるのが罰金刑に限られる構造自体は変わらない(最新の改正状況をご確認ください)
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