国税徴収法 第51条(相続があつた場合の差押)
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- 徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。
- 2.被相続人の国税につき相続人の固有財産が差し押えられた場合には、その相続人は、税務署長に対し、他に換価が容易な相続財産で第三者の権利の目的となつていないものを有しており、かつ、その財産により当該国税の全額を徴収することができることを理由として、その差押換を請求することができる。
- 3.税務署長は、前項の請求があつた場合において、その請求を相当と認めるときは、その差押換をしなければならないものとし、その請求を相当と認めないときは、その旨を当該相続人に通知しなければならない。この場合においては、前条第五項の規定を準用する。
この条文の基本情報
相続があつた場合の差押とは何ですか?
定義相続があつた場合の差押とは、国税徴収法第51条に定められた規定で、「徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第51条(相続があつた場合の差押)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第51条の条文原文は「徴収職員は、被相続人の国税につきその相続人の財産を差し押える場合には、滞納処分の執行に支障がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。」で始まります。
- 国税徴収法第51条は第一款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第51条の前の条は国税徴収法第50条です。
- 国税徴収法第51条の次の条は国税徴収法第52条です。
- 国税徴収法第51条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第51条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第51条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/51
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法51条は、被相続人の国税で相続人の財産を差し押える際にまず相続財産を差し押える努力義務を定め、固有財産を差し押えられた相続人に差押換請求権を認める。
Q · 親の滞納した税金で、自分の給料や預金が差し押えられたらどうすればいい?
国税徴収法51条2項の差押換請求で相続財産へ振り替えさせる
相続人は被相続人の国税を承継するため(国税通則法5条)、相続人自身の固有財産も差押えの対象になります。国税徴収法51条1項は徴収職員にまず相続財産を差し押えるよう努める義務を課しますが、これは努力義務です。実効的な手段は2項の差押換請求で、換価が容易・第三者の権利の目的でない・その財産で国税の全額を徴収できる、という三要件を満たす相続財産を具体的に示す必要があります。税務署長が相当と認めれば差押換をしなければならず、認めないときは通知されます(3項)。
解説
親が亡くなって半年、あなたの給与口座が突然凍る。差押調書に並んでいるのは、一度も見たことのない父の滞納国税だ。国税通則法5条により、相続人は被相続人の国税をそのまま承継する。だから徴収職員は、あなた自身の財産にも手を伸ばせる。ここで国税徴収法51条1項が順序を要求する。「まず相続財産を差し押えるように努めなければならない」。注意すべきは語尾で、これは努力義務であり、順序を飛ばした差押えがそれだけで違法になるわけではない。あなたが実際に握るべきは2項の差押換請求権である。換価が容易で、抵当権など第三者の権利がついておらず、滞納国税の全額を賄える相続財産を具体的に指し示せば、税務署長はあなたの固有財産の差押えを相続財産に振り替えなければならない。指し示す責任は税務署ではなくあなたの側にある。黙っていれば、父の未納分はあなたの生活口座から引かれ続ける。
法的な位置づけ
国税徴収法51条は、被相続人の国税に係る滞納処分における差押財産の順序と差押換請求を定める規定である。1項は徴収職員に相続財産を優先して差し押える努力義務を課し、2項は固有財産を差し押えられた相続人に、換価容易かつ第三者の権利の目的でない相続財産で全額徴収が可能なことを理由とする差押換請求権を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押調書で対象財産と換価予定を確認 差押調書に記載された差押財産・滞納国税の税目と金額・差押日を確認し、税務署の徴収担当に換価または取立ての予定時期を問い合わせる。給与債権や預金は取立てが早いため、残り時間の把握が最優先
- 2.相続財産を棚卸しし換価容易な資産を洗い出す 被相続人名義の預金、上場株式、投資信託、公社債など、価額が客観的に確定し即座に現金化できる財産を洗い出す。抵当権・質権・賃借権など第三者の権利がついていないかを登記事項証明書や取引残高報告書で確認する
- 3.全額徴収が可能かを検算する 洗い出した相続財産の評価額合計が、滞納国税の本税・延滞税・加算税を含む全額に届くかを計算する。届かない場合は51条2項の三要件目を満たさず請求は認められないため、換価の猶予など別ルートに切り替える
- 4.税務署長宛に差押換請求書を提出 所轄税務署長宛に差押換請求書を提出し、振り替えを求める相続財産を特定して評価額の根拠を明記する。残高証明書、取引残高報告書、登記事項証明書を添付し、三要件をそれぞれ充足することを条文の文言に沿って記載する
- 5.結果通知の到達日を起算日として管理 差押換をする旨または相当と認めない旨の通知(3項)が届いた日を記録し、不服申立ての起算日として管理する。認められない場合は再調査の請求または審査請求を検討し、並行して換価の猶予(151条の2)の申請も比較検討する
よくある質問 AI による整理
Q1差押換請求とは何ですか?
差し押えられた財産を別の財産に振り替えるよう税務署長に求める請求です。国税徴収法51条2項では、相続人が自分の固有財産の差押えを相続財産へ振り替えるよう求められます。
Q2親の税金の滞納は相続人が払う義務がありますか?
あります。国税通則法5条により相続人は被相続人の国税を承継します。承継額は原則として相続分による按分ですが、超過取得分について他の相続人分まで責任を負う場合があります。
Q3差押換請求はいつまでにすればいいですか?
法定の期限はありませんが、差押財産が換価・取立てされると振り替える対象が消えます。実質的な期限は換価着手前で、通知を受けたら即日動くのが安全です。
Q4差押換請求の要件は?
三つです。他に換価が容易な相続財産があること、その財産が第三者の権利の目的となっていないこと、その財産で滞納国税の全額を徴収できること。一つでも欠けると認められません。
Q5抵当権付きの実家でも差押換できる?
できません。抵当権は第三者の権利にあたり、2項の「第三者の権利の目的となつていないもの」の要件を満たさないためです。担保のない預金や上場株式を検討してください。
Q6差押換を認めないと通知されたら?
3項後段の通知として不服申立ての対象になりえます。国税通則法に基づく再調査の請求または審査請求を、処分を知った日の翌日から3か月以内に検討します(最新の改正状況をご確認ください)。
Q7相続放棄すれば親の滞納税は免れますか?
原則として承継を免れます。ただし熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(民法915条)で、差押通知が届く段階では期間経過のケースが多い点に注意が必要です。
Q8国税徴収法51条1項に違反した差押えは無効ですか?
1項は「努めなければならない」という努力義務で、順序を飛ばした差押えが直ちに無効になるとは限りません。順序を実現させる装置は2項の差押換請求権の側にあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親の滞納税なんて知らなかったのに、私の給料まで差し押えられるんですか?
相続人は被相続人の国税を承継します(国税通則法5条)。承継した以上、あなたの固有財産も差押えの対象です。国税徴収法51条1項は相続財産を先に差し押えるよう求めていますが、これは努力義務で、順序違反が直ちに差押えを無効にするわけではありません。実務のポイント:徴収の現場は換価が容易な財産から動くため、給与と預金は構造的に真っ先に狙われる。順序を戻す作業は税務署側からは始まらず、2項の請求であなたが起こすしかない
Q2実家が残っているのに、どうして差押換が認められなかったんですか?
2項の要件は三つです。換価が容易であること、第三者の権利の目的となっていないこと、その財産で国税の全額を徴収できること。住宅ローンの抵当権が残っていれば二番目で外れ、売却に時間のかかる不動産は一番目でも評価が厳しくなります。実務のポイント:通りやすいのは上場株式、投資信託、満期の近い預金など、価額が客観的に確定していて即座に現金化できるもの。不動産一本で押すより、複数の金融資産を積み上げて全額に届かせる組み方の方が実務では通る
Q3認められませんと言われたら、それで終わりですか?
終わりません。3項後段の通知は不服申立ての対象になりえます。国税通則法に基づく再調査の請求または審査請求を、処分を知った日の翌日から3か月以内に(最新の改正状況をご確認ください)。あわせて3項は50条5項を準用し、請求後の手続に一定の制約がかかります(準用される具体的内容は現行条文をご確認ください)。実務のポイント:争うより先に、納付が苦しいなら換価の猶予(国税徴収法151条の2)の申請を検討する方が実利が大きい。猶予が認められれば換価が止まり、延滞税も軽減される
間違えやすい点 AI による整理
- 「まず相続財産から差し押える」と条文に書いてあることを知っている人でも、その重みを取り違えている。語尾は「努めなければならない」、つまり努力義務である。順序を飛ばした差押えが直ちに無効になるとは限らない。順序を守らせる装置は1項ではなく、2項の請求権の側に置かれている
- 「どうすれば父の負債の相続を今から取り消せるか」と考え始めた時点で、問いの立て方が遅れている。相続放棄も限定承認も、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(民法915条)。差押えが届く頃には期間が過ぎているケースが多い。差押えの局面で立てるべき問いは「放棄できるか」ではなく「どの相続財産に振り替えさせるか」である
- 「相続財産さえ残っていれば差押換は通る」と思われがちだが、2項の要件は三つ揃って初めて機能する。換価が容易であること、第三者の権利の目的となっていないこと、その財産だけで国税の全額を徴収できること。住宅ローンの残る実家は二番目で落ち、預金が不足すれば三番目で落ちる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が動くか | 51条:相続人が差押換を請求(2項) | 50条:第三者が差押換を請求(差押換の基本手続) 151条の2:滞納者が換価の猶予を申請 |
| 求める効果 | 固有財産の差押えを相続財産へ振り替える | 差押財産を他の財産へ振り替える 差押えは残したまま換価を止める |
| 主な要件 | 換価容易・第三者の権利の目的でない・全額徴収可能な相続財産の存在 | 第三者の権利の目的である財産の差押えと代替財産の提供 納付困難な事情と事業継続・生活維持の必要性 |
| 認められなかった場合 | 3項後段の通知(50条5項準用)、不服申立てを検討 | 50条所定の通知・手続 不許可通知に対する不服申立て |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も相続人が被相続人の租税債務を承継する構造をとるが、差押財産の順序を条文レベルで指示し、納税者側に差押換請求権を与える設計は日本ほど明示的ではない
韓国は相続財産の限度で承継させる規律を置き、承継の量的限界で相続人を保護する構成をとる。日本の51条は承継を前提に差押対象の順序で調整する点で発想が異なる
ドイツは包括承継の原則により相続人が租税債務を承継し、民法上の相続人の責任制限(Haftungsbeschränkung)と組み合わせて保護する。徴収段階の差押換請求という個別装置ではない
米国は譲受人・受託者責任の枠組みで相続財産から受けた利益の限度で責任を追及する構成であり、相続人固有財産への差押えを前提とした順序規定という発想がない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の四十九日が終わった週、税務署から差押えの通知が届く。残っている相続財産は住宅ローンの抵当権がついた実家と、残高12万円の口座だけ。差し押えられたのはあなたの給与債権だ。この構図で2項の請求を出しても、実家は第三者の権利の目的として外れ、預金は全額に届かない。要件を満たさない請求は通らず、時間だけが過ぎる
- もし、相続人が三人いて、そのうち安定した給与所得があるのがあなただけだったら? 徴収の現場は換価が容易な財産から動く。最初に手が伸びるのは、名義が明確で即日取り立てられるあなたの給与だ。51条1項にそれを止める強制力はない。兄弟の誰も動かないなら、請求を出せるのはあなたしかいない
- 未分割のまま残った亡父名義の上場株式が証券口座にある。換価は容易で、担保権もついていない。2項の請求が最も通りやすいのは、まさにこの形だ
- 差押換を認めない旨の通知が届いた。ここから不服申立ての時計が動き出す。国税通則法上は処分があったことを知った日の翌日から3か月(最新の改正状況をご確認ください)。放置すれば差押えは固まり、手続は換価へ進む
- 友人から「親父の税金でうちの口座が止められた」と相談された。あなたが最初に聞くべきは残高でも滞納額でもない。担保のついていない換価しやすい相続財産が、滞納額の全額分あるか。その一点だけだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書で対象財産と日付を確認、換価の予定時期も問い合わせる2. 相続財産を棚卸しし、預金・上場株式・投資信託など換価が容易で抵当権や質権のついていないものを洗い出す3. その合計が滞納国税の全額に届くか計算、届かなければ2項の要件を満たさない4. 届くなら税務署長宛に差押換請求書を提出、残高証明書や登記事項証明書を添付する5. 認めない旨の通知が来た日を、不服申立ての起算日として即日カレンダーに入れる
訴えられた側:他の相続人から、自分が取得予定の財産を差押換の対象に指名された側に立った場合。1. その財産に第三者の権利がついていないか、遺産分割で既に自分へ帰属していないかを確認2. 分割済みの財産が51条2項にいう相続財産に当たるかは実務上解釈が分かれており、争う余地がある3. 各人の承継額は相続分による按分が原則(国税通則法5条2項)、按分額を超える負担を求められていないか検算4. 納付自体が困難なら、換価の猶予や滞納処分の停止(国税徴収法151条の2、153条)を並行して申請する
時効(請求できる期限):51条2項の差押換請求そのものに法定の期限はないが、差押財産が換価されれば振り替える対象が消えるため、実質的な期限は換価の着手までである。請求を認めない旨の通知に対する不服申立ては、国税通則法上、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月(再調査の請求または国税不服審判所への審査請求。最新の改正状況をご確認ください)。国税の徴収権の消滅時効は法定納期限から5年(国税通則法72条)。承継自体を断つ相続放棄・限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(民法915条)
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