国税徴収法 第52条(果実に対する差押の効力)
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- 差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。)から生ずる天然果実に及ぶ。ただし、滞納者又は第三者が差押財産の使用又は収益をすることができる場合には、その財産から生ずる天然果実(その財産の換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実を除く。)については、この限りでない。
- 2.差押の効力は、差押財産から生ずる法定果実に及ばない。ただし、債権を差し押えた場合における差押後の利息については、この限りでない。
この条文の基本情報
果実に対する差押の効力とは何ですか?
定義果実に対する差押の効力とは、国税徴収法第52条に定められた規定で、「差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国税徴収法第52条(果実に対する差押の効力)は、日本の国税徴収法に含まれる条文です。
- 国税徴収法第52条の条文原文は「差押の効力は、差し押えた財産(以下「差押財産」という。」で始まります。
- 国税徴収法第52条は第一款に置かれています。
- 国税徴収法の公布日は昭和34年4月20日です。
- 国税徴収法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 国税徴収法第52条の前の条は国税徴収法第51条です。
- 国税徴収法第52条の次の条は国税徴収法第52条の2です。
- 国税徴収法第52条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第52条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000147 - 本サイト収録
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第52条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000147/52
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国税徴収法52条は、差押えの効力が天然果実には及び、法定果実には及ばないと定める。家賃を徴収するには賃料債権を別途差し押さえる必要があるが、債権差押後の利息だけは例外である。
Q · アパートを差し押さえられたら、来月の家賃も国に取られるんですか?
取られません。家賃は法定果実で効力の外です
国税徴収法52条2項本文により、差押えの効力は法定果実(家賃・地代など)に及びません。建物を差し押さえられても、賃料は従来どおり滞納者に支払われます。税務署が家賃を徴収するには、賃料債権そのものを別途差し押さえる手続(同法62条)が必要です。ただし預貯金等の債権を差し押さえた場合の差押後の利息だけは、同項ただし書により例外的に効力が及びます。天然果実(稲・果実・家畜の子)は1項本文で原則として効力が及び、換価による権利移転の時までに収取されない分は買受人に帰属します。
解説
アパートを一棟差し押さえられた滞納者が最初に恐れるのは、来月の家賃も国に持っていかれることだ。だが国税徴収法52条2項は、差押えの効力は法定果実(家賃・地代・利息のように、物を使わせた対価として定期的に入るお金)には及ばない、と言い切っている。建物を押さえられても家賃はあなたの口座に入り続ける。税務署が家賃を取りたければ、賃料債権そのものを別に差し押さえる手続(62条)を踏むしかない。逆に1項は、天然果実(田の稲、果樹の実、家畜の子のように物から自然に生まれる物)には効力が及ぶと定める。ただしあなたが差押財産を使い続けられる場合は及ばない。落とし穴はその括弧の中だ。換価(公売)で権利が移る時までに収穫されていない作物は除外の対象から外れ、買受人のものになる。稲刈りの前に代金納付が済めば、その田の稲はもうあなたの米ではない。
法的な位置づけ
国税徴収法52条は、滞納処分による差押えの効力が差押財産から生ずる果実に及ぶ範囲を画する規定である。天然果実には原則として効力が及ぶが、滞納者又は第三者が使用収益できる場合は換価による権利移転時までに収取された分が除外され、法定果実には効力が及ばないが債権差押後の利息は例外とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.差押調書の通数と財産の種類を数える 届いた封筒を開けたら、差押調書が何通あり、どの財産(不動産・動産・債権)を対象としているかを分けて記録する。賃料債権の差押通知が同封されていなければ、家賃は当面手元に残る
- 2.残る収入と止まる収入を仕分けして資金繰り表を作る 家賃・地代・駐車場料金など法定果実は52条2項本文により当面入金が続く。預貯金の差押後利息は止まる。この仕分けで公売までの数か月分のキャッシュフローを可視化する
- 3.農地・果樹園なら収穫予定日を書面で通知する 天然果実は換価による権利移転の時までに収取したかどうかで帰属が決まる。収穫予定日と作付け状況を写真付きで徴収職員に書面通知し、公売日程との前後関係を記録に残す
- 4.残った現金を原資に猶予を申請する 手元に残った法定果実を納税原資として、換価の猶予(151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請する。資金が枯れる前に申請するほど交渉余地が広い
よくある質問 AI による整理
Q1天然果実と法定果実の違いは?
天然果実は物から自然に生まれる産出物(稲・果実・子牛)、法定果実は物の使用対価として受け取る金銭(家賃・地代・利息)です。民法88条が定義し、国税徴収法52条はこの区別で差押えの効力範囲を分けます。
Q2国税徴収法52条とは何ですか?
差押えの効力が差押財産の果実にどこまで及ぶかを定める条文です。天然果実には原則及び(1項)、法定果実には及ばない(2項)という二段構造で、債権差押後の利息だけが例外です。
Q3差し押さえられた不動産の家賃は誰が受け取る?
賃料債権が別途差し押さえられていない限り、従来どおり所有者(滞納者)が受け取ります。52条2項本文が法定果実を効力の外に置いているためです。
Q4税務署が家賃を差し押さえる方法は?
建物の差押えとは別に、国税徴収法62条により賃料債権を差し押さえます。賃借人に債権差押通知書が送達された日から、賃借人は国に支払う義務を負います。
Q5差押えられた預金の利息は誰のもの?
国に回ります。52条2項ただし書が「債権を差し押えた場合における差押後の利息」を法定果実の原則の例外として拾っているためです。
Q6差し押さえられた田んぼの稲は収穫できる?
滞納者が使用収益できる場合は1項ただし書により収穫できます。ただし換価による権利移転の時までに収取しなかった分は除外され、買受人に帰属します。
Q7差押えられた牛の子牛は誰のもの?
子牛は天然果実にあたり1項本文で効力が及びます。ただし徴収職員が滞納者に使用収益を許した場合(61条)は、ただし書により効力が及びません。
Q8大家が差し押さえられたら家賃はどこに払う?
建物の差押通知だけなら従来どおり大家に払います。債権差押通知書が届いた日以降は国に払います。取り違えると二重払いのリスクがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1アパートを差し押さえられました。来月の家賃、入居者は誰に払うんですか?
建物の差押えだけなら、入居者はこれまでどおりあなたに払います。52条2項本文が、差押えの効力は法定果実に及ばないと定めているからです。税務署が家賃を取るには賃料債権を別に差し押さえる必要があります(62条)。実務のポイント:徴収の現場では不動産と賃料債権を同時に押さえるのが定石だが、賃借人の把握に時間がかかって数か月ずれることがある。その間の家賃は猶予申請の納付計画に組み込める
Q2預金を差し押さえられたら、利息はどうなりますか?
差押え後に付いた利息も国に回ります。2項は法定果実に効力が及ばないのが原則ですが、ただし書が「債権を差し押えた場合における差押後の利息」だけを例外として拾っているからです。実務のポイント:この例外があるため、取立てまでの期間が延びても徴収側は損をしない設計になっている。押さえられた側が「取立てが遅かったのだから利息分は自分のもの」と主張する余地はない
Q3田んぼを差し押さえられました。今年の米は収穫していいですか?
原則として収穫できます。滞納者が差押財産を使用収益できる場合、そこから生じる天然果実に効力は及びません(1項ただし書、不動産は使用収益が原則として認められる、69条)。ただし括弧書きが罠で、権利移転の時までに収穫しなかった分は買受人に渡ります。実務のポイント:公売期日は徴収職員の裁量で動く。収穫予定を早めに文書で伝えておくと、実務では収穫後に日程が組まれることが多い
Q4差し押さえられた牛が子を産んだら、その子牛は誰のものですか?
子牛は天然果実にあたり、1項本文により差押えの効力が及びます。ただし動産でも徴収職員が滞納者に使用収益を許した場合(61条)は、ただし書によって効力が及ばなくなります。実務のポイント:動産差押えは保管方法が分岐点で、徴収職員が現実に占有するか、滞納者に保管させて使用収益を許すか(60条、61条)で果実の帰属が変わる。差押調書の保管方法欄をまず読む
間違えやすい点 AI による整理
- 「不動産を差し押さえられたら家賃も自動的に取られる」は誤り。52条2項本文により、差押えの効力は法定果実に及ばない。徴収職員が家賃を取るには賃料債権を62条で別に差し押さえる二段構えの手続が要る。この構造を知らないと、まだ来てもいない差押えに怯えて任意売却を焦り、買い叩かれる
- 1項ただし書で天然果実が外れることは知っていても、その括弧書きの深刻さを見落としている人が多い。「換価による権利の移転の時までに収取されない天然果実」は除外の対象から外れ、買受人に渡る。差押えから公売までの数か月を収穫カレンダーと突き合わせずに過ごすと、作物一作分が丸ごと消える
- あなたから見れば家賃や給料は「今月の生活費」だが、徴収職員から見れば「差し押さえ可能な債権」でしかない。この落差が怖いのは、給料や年金のような継続的な収入は一度押さえられれば将来受け取る分にまで効力が及ぶ点にある(65条)。物の差押えは一回で終わるが、収入の差押えは毎月効き続ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効力の対象 | 52条:差押財産から生ずる果実(天然果実は原則及ぶ、法定果実は及ばない) | 62条:賃料等の債権そのものを差押えの対象とする 65条:給料・年金等の継続的収入で、将来受け取る分にも効力が及ぶ |
| 家賃への到達 | 到達しない(2項本文) | 債権差押通知の送達により到達する 給与・年金は将来分まで継続的に到達する |
| 必要な手続の数 | 財産本体の差押え一回で完結 | 財産差押えとは別に債権差押えの二段構え 一回の差押えで毎月効き続ける |
| 滞納者側の対抗軸 | 使用収益の可否(61条・69条)と収取時期の前後 | 第三債務者への通知到達日の特定 差押禁止額の範囲(76条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も天然孳息・法定孳息を民法で定義し、査封の効力が「將來成熟之天然孳息」に及ぶとする点で日本1項に近い。租税保全は禁止処分登記が中心で、賃料への到達には別途の債権執行を要する構造も類似
韓国も圧留の効力が及ぶ範囲を条文で明示し、天然果実と法定果実を民法101条で区別する。日本法の影響が強く、賃料への到達には債権圧留を要する二段構えも同様
ドイツは租税徴収を AO(Abgabenordnung)が規律し、賃料は Forderungspfändung として第三債務者への Pfändungsverfügung で押さえる。未分離の果実(Früchte auf dem Halm)の差押えは ZPO § 810が別建てで規律する点が日本と異なる
米国の IRS levy は財産と「rights to property」を包括的に対象とし、賃料も levy の対象になりうる。日本のように果実の種類で効力範囲を条文上分けるのではなく、継続的 levy の可否と exempt property の列挙で調整する設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし滞納で自宅兼賃貸アパートを差し押さえられたら、来月の家賃はどこへ行く? 答えは、そのままあなたの口座だ。52条2項本文が法定果実を効力の外に置いているからである。ただし徴収職員が賃料債権を別途差し押さえた瞬間、その月から入金は止まる。届いた封筒に差押調書が一通しか入っていないのか二通なのか、そこを数えるだけで数か月分の資金繰りが読める
- 銀行預金を差し押さえられた。取立てまでの間に付いた利息も、そのまま国に回る。2項ただし書が、債権を差し押えた場合の差押後の利息だけを例外として拾っているからだ
- 田を差し押さえられた農家。稲は八月に実り、公売は九月に予定されている。稲刈りを買受人の代金納付前に終えれば米はあなたのもの、権利移転が先に来れば、立っている稲ごと買受人に渡る。カレンダー上のわずか数日が、一年分の売上を分ける
- 公売で果樹園を落札したあなた。代金を納付して権利が移った時点でまだ枝に付いていた実は、1項ただし書の括弧書きによりあなたに帰属する。前の所有者が「自分が一年かけて育てた」と言ってきても、法は育てた労力ではなく収取したかどうかで線を引く
- あなたの会社が借りている倉庫の大家が滞納し、建物が差し押さえられた。家賃は誰に払えばいい? 建物の差押通知だけなら大家に払い続けて正しい。だが債権差押通知書が届いた日からは支払先が国に変わる。ここを取り違えると、大家に払った分をもう一度国に払う二重払いのリスクを背負う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押調書を受け取ったら、差押財産の種類(不動産・動産・債権)と、賃料債権の差押通知の有無を分けて確認する2. 家賃・地代は52条2項本文により当面手元に残る、この現金を生活費と納税原資に振り分けて資金繰り表を作る3. 農地・果樹園なら収穫予定日を書面で徴収職員に通知し、公売日程との前後関係を記録に残す4. 残った現金を原資に換価の猶予(151条の2)または納税の猶予(国税通則法46条)を申請する。猶予が認められれば新たな差押えは制限される
訴えられた側:賃借人として大家の物件が差し押さえられた場合、建物の差押通知だけでは支払先は変わらない、従来どおり大家に払うのが正しい。債権差押通知書が届いた日以降は国に払う、この二段構えを取り違えると二重払いになる。公売の買受人なら、代金納付で権利が移った時点で未収穫の天然果実が自分に帰属する(1項ただし書括弧書き)、入札前に現地の作付け状況を写真で記録しておく
時効(請求できる期限):52条自体に期限の定めはない。天然果実の分水嶺は「換価による権利の移転の時」、すなわち買受人が買受代金を納付した時点であり、それ以前に収取したかどうかで帰属が決まる。差押えに至る手前の時間軸としては、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないと差押えが可能になる(47条1項1号)。国税の徴収権の消滅時効は原則5年(国税通則法72条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(実務通達に沿う理解):52条は民法88条の果実概念を前提に、天然果実は元物の担保価値の一部として効力を及ぼす一方、法定果実は滞納者の事業継続と納税原資を残すため原則として効力の外に置いたと解する。債権差押後の利息を例外としたのは、取立てまでの期間の長短で徴収額が変動するのを防ぐ趣旨と説明される。
改正沿革 AI による整理
- 昭和34年(1959年)現行国税徴収法制定 全面改正により現行52条が置かれ、天然果実と法定果実で差押えの効力範囲を分ける現在の構造が形づくられた。その後の実質改正の有無および文言変更の履歴は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行国税徴収法(昭和34年法律第147号)の全部改正により本条が置かれ、天然果実と法定果実で差押えの効力範囲を分ける現在の構造が形づくられた。その後の実質改正の有無および文言変更の履歴は人的検証が必要
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