要点国税徴収法 69 条は、滞納者が差し押さえられた不動産を通常の用法に従い使用・収益できると定める。税務署長が制限できるのは、価値が著しく減耗する行為が認められるときに限られる。
Q · 税務署に家や土地を差し押さえられたら、もう住めなくなるんですか?
住み続けられます。貸して家賃を受け取ることもできます。
国税徴収法 69 条 1 項により、滞納者は差し押さえられた不動産を通常の用法に従って使用・収益できます。居住も賃貸も続けられ、差押えの登記が入っただけで明渡しを求められることはありません。税務署長が使用収益を制限できるのは、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときに限られます。同条 2 項により、その不動産を借りている賃借人など、使用収益の権利を有する第三者にも同じ保護が及びます。
差押えという言葉から連想されるのは、鍵を替えられ、荷物を運び出され、家から追い出される光景だろう。不動産に関しては、それは起きない。国税徴収法 69 条 1 項は、滞納者が差し押さえられた不動産を「通常の用法に従い、使用又は収益をすることができる」と正面から認めている。住み続けてよい。賃貸に出して家賃を受け取ってもよい。差押えの登記が入っても、あなたの生活はその日から変わらない。変わるのは処分の自由(売却や抵当権設定)であって、使用収益の自由ではない。ただし但書がある。税務署長は「不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるとき」に限り、使用収益を制限できる。逆に言えば、それ以外の理由では制限できない。滞納しているから使わせない、は理由にならない。2 項により、その不動産を借りている賃借人など第三者にも同じ保護が及ぶ。
国税徴収法 69 条は、差押不動産の使用収益権を定める規定である。滞納者は差押え後も通常の用法に従い当該不動産を使用又は収益することができ、税務署長による制限は不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められる場合に限定される。2 項は、当該不動産につき使用又は収益をする権利を有する第三者に前項を準用する。
差し押さえられた不動産を、滞納者が通常の用法に従って使用・収益できると定める規定です。制限できるのは価値が著しく減耗する行為が認められるときに限られ、2 項で第三者にも準用されます。
69 条 1 項但書により、不動産の価値が著しく減耗する行為がされると認められるときだけです。滞納が続いているという事情だけでは制限の理由になりません。
処分の自由は制約されます。差押えは処分権を押さえるもので、使用収益の自由とは別です。売却や抵当権設定を進めたい場合は、差押解除や換価に関する協議が前提になります。
取り壊しは通常の用法を超え、換価価値を直撃します。使用収益の制限を招くだけでなく、滞納処分の執行を免れる目的と評価されれば国税徴収法 187 条の滞納処分免脱罪の領域に入ります。
完納のほか、担保の提供や差押財産の価額が滞納額を著しく超える場合など、法定の解除事由に当たるかを徴収職員と確認します。まず滞納額と差押財産の対応関係を数字で整理してください。
行政処分であれば可能です。国税通則法 77 条により、処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に不服申立てを行います。書面に理由と教示欄があるかが処分性の手がかりです。
登記事項証明書は誰でも取得でき、甲区に「差押」の記載が現れます。取引相手や賃借人が把握できる情報であることを前提に、説明の順序を用意しておくのが安全です。
69 条 2 項が、使用又は収益をする権利を有する第三者に 1 項を準用します。オーナーの滞納による差押えを理由に、賃借人が退去を求められる筋合いはありません。
差押えの登記が入っただけでは住む権利は失われません(国税徴収法 69 条 1 項)。実際に明け渡すのは、公売手続(同法 89 条以下)が進み、買受人が代金を納付して所有権が移った後です。業界裏話ヒント:差押えから公売まで年単位で動かない案件は珍しくありません。徴収職員の関心は換価より完納にあるため、納付計画が動いている限り公売は後回しになりがちです。
不動産の差押えの効力は法定果実に及ばないため(国税徴収法 52 条 2 項)、賃料は当然には国に移りません。国が賃料を取るには、賃料債権を別に差し押さえ(同法 62 条)、賃借人に差押通知を送る必要があります。業界裏話ヒント:入居者に届く通知の有無がすべての分かれ目です。通知が来ていないのに家主が振込先を変えさせると、二重払いの争いを自分で作ることになります。
まず、それが口頭の行政指導なのか、69 条 1 項但書に基づく正式な使用収益の制限処分なのかを分けて考えます。処分であれば不服申立ての対象になり、指導であれば処分性がなく争えません。業界裏話ヒント:徴収の現場では、処分を出さずに指導で止める運用が多い。理由の記載された書面を求めるだけで、根拠が「価値の著しい減耗」に足りているかが一気に見えます。
貸すこと自体は通常の用法の範囲内です(69 条 1 項)。ただし差押えの登記より後に対抗要件を備えた賃借権は、公売の買受人に対抗できないのが原則です。業界裏話ヒント:この点を告げずに長期契約を結ぶと、買受人が現れた時点で入居者との紛争が家主に返ってきます。差押えの事実を告知したうえで条件を調整しておくのが、結果的に最も安いやり方です。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象財産と使用収益の扱い | 国税徴収法 69 条:差押不動産。滞納者は通常の用法で使用・収益できるのが原則 | — |
| 国が制限・取得するための要件 | 不動産の価値が著しく減耗する行為が認められるときに限り制限できる | — |
| 第三者への波及 | 2 項により、使用収益の権利を有する第三者(賃借人等)に準用 | — |
| 違反した場合の重さ | 制限処分に加え、価値減耗行為が 187 条の滞納処分免脱罪に触れる可能性 | — |
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