要点道路交通法39条は、緊急自動車に道路右側部分へのはみ出し通行を認め、法令上の停止義務を免除する。ただし停止しない場合は、他の交通に注意して徐行しなければならない。
Q · 救急車やパトカーは、赤信号でも止まらずに走っていいんですか?
止まらなくてよいが、徐行義務があり無条件ではない
道路交通法39条2項により、緊急自動車は法令上の停止義務を免除されます。赤信号や一時停止標識でも停止する必要はありません。ただし同項後段は「他の交通に注意して徐行しなければならない」と定めており、無条件の通行権ではありません。この徐行義務を怠って事故が起きた場合、緊急自動車側にも過失が認められ、相手方の過失割合が下がることがあります。
サイレンを鳴らした救急車が赤信号を突っ切り、センターラインをはみ出して対向車線を駆け抜ける。あの光景を「緊急だから当然」と眺めているなら、条文の半分しか見えていない。道路交通法39条は緊急自動車(消防用自動車、救急用自動車、パトカーなど、政令で車種が定められ、サイレンと赤色灯を備えて緊急用務で走行中のもの)に二つの特権を与える。道路の右側部分へのはみ出し通行(1項)と、停止義務の免除(2項)だ。ところが2項には見落とされがちな条件がぶら下がっている。止まるべき場面で止まらなくてよい代わりに、「他の交通に注意して徐行しなければならない」。つまり緊急車両が交差点で事故を起こしたとき、この徐行を怠っていれば過失はゼロにならない。特権は免罪符ではない。この一文こそが、緊急車両との事故で過失割合を左右する分岐点になる。あなたが青信号で進入していても、それだけで一方的な被害者になれるとは限らない。
道路交通法39条は緊急自動車の通行特例を定める規定である。緊急自動車とは、消防用自動車、救急用自動車その他政令で定める自動車であって、緊急用務のため政令の定めるところにより運転中のものをいう。同条は道路の右側部分へのはみ出し通行を許容し(1項)、法令上の停止義務を免除する一方(2項前段)、その場合に他の交通に注意して徐行する義務を課す(2項後段)。
消防用自動車、救急用自動車その他政令で定める自動車が、緊急用務のため政令の定めに従って運転中のものをいいます(道路交通法39条1項)。車種の指定は施行令13条にあります。
施行令13条で指定された車種であること、緊急用務で走行中であること、施行令14条によりサイレンを鳴らし赤色の警光灯を点けていることが必要です。どれか一つでも欠ければ特例は働きません。
39条は停止義務の免除とはみ出し通行を定めるだけです。最高速度など他の規定の特例は道路交通法41条が別に定めており、条文を分けて確認する必要があります。
進路を譲る義務は39条ではなく40条が定めます。交差点付近では交差点を避けて道路の左側に寄って一時停止するのが原則です。
追越しをするためその他やむを得ない必要があるときに限られます(39条1項)。緊急走行中なら常時右側部分を走ってよいという規定ではありません。
施行令13条は消防・警察・救急のほか、電気やガスの応急作業車、血液運搬車など一定の民間車両も対象としています。個別の指定要件を満たす必要があります。
39条2項の徐行義務を怠っていれば運転者に過失が認められます。公用車の場合、賠償請求先が国家賠償法に基づく国や自治体になることがあります。
徐行は「直ちに停止できるような速度」と定義され(道路交通法2条1項20号)、具体的な数値は状況によります。交差点の見通しが悪いほど求められる減速は大きくなります。
一概には言えません。相手が39条2項の徐行義務を尽くさず交差点に進入していたなら、緊急車両側にも過失が認められ、あなたの過失割合は下がります。逆に相手がきちんと徐行し、あなたが進路を譲れる状況だったなら、あなたの過失が増えることもあります。業界裏話ヒント:保険会社は初回に「緊急車両優先だから10割」という基準表の数字を出しがちですが、それは相手が適正に徐行していた前提の目安にすぎません。相手の減速状況を映像で崩せれば、過失割合は再交渉の対象になる
はい、39条2項が停止義務を免除しています。ただし「止まらなくてよい」だけで「そのまま突っ込んでよい」ではありません。同じ2項が「他の交通に注意して徐行しなければならない」と義務づけています。業界裏話ヒント:この徐行義務があるため、緊急車両の運転者が漫然と赤信号を通過して事故を起こせば、業務上過失致死傷に問われることもある。ニュースで「緊急走行中の事故」が刑事事件になるのは、この徐行義務違反が疑われるケースが多い
39条の緊急自動車として特権が働くには、政令上サイレンと赤色の警光灯の両方を作動させ、緊急用務で走行していることが必要です(道路交通法施行令14条)。赤色灯だけでは要件を満たさない場面があります。なお道を譲る義務そのものは第40条が定めています。業界裏話ヒント:パトカーが赤色灯だけ点けてゆっくり走っているのは、警戒・警ら中で緊急走行ではないことが多い。その状態では特権も譲避義務も原則発動せず、普通の車と同じ扱いになる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 39条:緊急自動車自身の通行と停止義務 | — |
| 与えられる効果 | 右側部分へのはみ出し通行の許容+停止義務の免除 | — |
| 付随する義務 | 停止しない場合、他の交通に注意して徐行する義務 | — |
| 事故時の意味 | 徐行義務違反が緊急自動車側の過失を基礎づける | — |
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