商業登記法 第5条(登記官の除斥)
クイックジャンプ
登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であつた者を含む。以下この条において同じ。)が登記の申請人であるときは、当該登記官は、当該登記をすることができない。登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が申請人を代表して申請するときも、同様とする。
この条文の基本情報
登記官の除斥とは何ですか?
定義登記官の除斥とは、商業登記法第5条に定められた規定で、「登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であつた者を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商業登記法第5条(登記官の除斥)は、日本の商業登記法に含まれる条文です。
- 商業登記法第5条の条文原文は「登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であつた者を含む。」で始まります。
- 商業登記法第5条は第一章の二 登記所及び登記官に置かれています。
- 商業登記法の公布日は昭和38年7月9日です。
- 商業登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商業登記法第5条の前の条は商業登記法第4条です。
- 商業登記法第5条の次の条は商業登記法第6条です。
- 商業登記法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000125 - 本サイト収録
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000125/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商業登記法5条は、登記官本人や配偶者・四親等内の親族が申請人である登記を、その登記官が処理することを禁じる除斥規定である。元配偶者や元の姻族も対象に含まれる。
Q · 登記所の担当者が親戚だったら、その人が自分の会社の登記を審査するんですか?
審査できません。四親等内なら元親族も対象です。
商業登記法5条により、登記官本人、その配偶者、四親等内の親族が申請人であるとき、その登記官は当該登記をすることができません。括弧書きで「であつた者を含む」とされ、離婚した元配偶者や元の姻族も対象に残ります。申請人を代表して申請する場合、たとえば登記官の弟が代表取締役として会社の登記を出す場合も同じ扱いです。当事者の申立てで動く制度ではなく、登記官が職権で自ら外れるべき義務規定である点が特徴です。
解説
登記所の窓口の向こう側に座る審査担当者を、申請人であるあなたは選べない。だが法律は一つだけ、特定の担当者を強制的に外す仕掛けを置いている。商業登記法5条は、登記官本人、その配偶者、四親等内の親族が申請人であるとき、その登記官は当該登記をすることができないと定める。いとこ、おじ・おば、甥・姪まで射程に入り、しかも括弧書きで「であつた者を含む」、つまり離婚で切れた元配偶者や元の姻族も外れない。さらに「申請人を代表して申請するとき」も同じ扱いなので、登記官の弟が代表取締役として会社の登記を出す場面でも、その登記官は手を触れられない。支局や出張所のように登記官が数名しかいない登記所では、これは机上の話ではなく事務の割り振りを実際に動かす条文である。そして重要なのは、これが当事者の申立てで発動する制度ではなく、登記官が自ら降りるべき義務だという点だ。誰も申し立てないまま処理されれば、外からは見えない。
法的な位置づけ
商業登記法5条は登記官の除斥を定める規定であり、登記官本人またはその配偶者・四親等内の親族(過去にその関係にあった者を含む)が申請人である場合、および申請人を代表して申請する場合に、当該登記官が当該登記をすることを禁止する。当事者の申立てではなく、登記官の職務上の義務として作用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.申請前に親族関係の有無を洗い出す 管轄登記所の登記官に、自分・代表者・共同申請人の四親等内の親族、配偶者、元配偶者、元の姻族が含まれていないかを確認する。地縁の濃い地域や登記官が数名しかいない支局・出張所では現実に起こりうる
- 2.心当たりがあれば申請前に登記所へ一報を入れる 登記所の首席登記官または管轄法務局の窓口に親族関係を伝え、担当替えを求める。事前なら商業登記法4条の登記官の指定により処理が数日ずれるだけで済む
- 3.登記期限を担当替え前提で逆算する 役員変更や増資の変更登記は2週間以内が原則で、遅れると過料の対象になる(会社法915条1項、976条1号)。担当替えで一日ずれる前提を織り込み、締切前日の駆け込み申請を避ける
- 4.完了後に発覚したら担当者を特定して争い方を決める 登記事項証明書の認証欄で担当登記官の氏名を押さえ、戸籍謄本等で親族関係を裏付ける。却下や補正命令など不利な処分があれば商業登記法142条の審査請求を行う。狙いが登記の是正か損害賠償かを先に決める
よくある質問 AI による整理
Q1登記官の除斥とは?
登記官本人や配偶者・四親等内の親族が申請人である登記を、その登記官が処理できないとする制度です。商業登記法5条が根拠で、登記官が職権で自ら外れる義務とされています。
Q2四親等内の親族の範囲は?
曽祖父母、おじ・おば、甥・姪、いとこまでが四親等内に入ります。5条は配偶者も対象とし、さらに「であつた者」として元配偶者や元の姻族も範囲に残します。
Q3登記官の除斥は誰が判断する?
当事者の申立てや忌避で動く仕組みではなく、登記官自身が職権で判断して外れます。該当に気づいた登記官は処理を止め、上司に申し出て別の登記官の指定を受けるのが原則です。
Q4担当の登記官が身内だと分かったらどうする?
登記完了前なら、登記所の首席登記官や管轄法務局に親族関係を申し出て担当替えを求めます。事前であれば処理が数日ずれるだけで済み、完了後の紛争化を避けられます。
Q5不動産登記にも同じ除斥規定はある?
あります。不動産登記法10条が同趣旨の登記官の除斥を定めており、商業登記と不動産登記の双方で手続の外形的公正を担保する構造になっています。
Q6登記を担当した登記官の氏名はどこで分かる?
登記事項証明書の末尾にある認証欄に登記官の氏名が記載されます。外部の人間が担当者を確認できる数少ない入口で、親族関係を検証する出発点になります。
Q7登記官の処分に納得できないときは?
商業登記法142条の審査請求により、監督法務局または地方法務局の長へ不服を申し立てられます。却下や補正命令など具体的な処分を対象に争う形になります。
Q8離婚した元配偶者も除斥の対象?
対象です。5条の括弧書きは「配偶者又は四親等内の親族であつた者を含む」と定めており、離婚で関係が切れた元配偶者や元の姻族も除斥の範囲に残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1司法書士に登記を頼んだんですが、その先生が登記官の奥さんだったら問題になりますか?
5条が挙げるのは「申請人であるとき」と「申請人を代表して申請するとき」の二つで、条文は法人の代表者を想定した書き方になっている。任意代理人である司法書士がここに含まれるかは実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:文言上は含まれないと読む余地があるが、登記所は公正性への疑いを避けるため事実上事務を振り替える運用をとることがある。先に一言伝えておけば、後から疑われる余地を消せる。
Q2除斥に違反したまま登記されてしまったら、その登記は無効になりますか?
当然に無効とはならないと解するのが有力である。5条は手続の公正を担保する規定であり、違反は手続上の瑕疵として審査請求(商業登記法142条)や登記官の服務上の責任の問題になるが、登記内容が実体に合致していれば効力は維持されるという整理が採られている。ただし実務上、解釈が分かれている論点である。実務のポイント:争うなら除斥違反単独ではなく、却下事由(商業登記法24条)該当や実体上の瑕疵と束ねる。手続の傷だけで登記は覆りにくい。
間違えやすい点 AI による整理
- 「除斥を申し立てるには、どこにどんな書類を出せばいいのか」という問いの立て方自体がずれている。5条は当事者の申立てや忌避によって動く制度ではなく、登記官が職権で自ら外れるべき義務規定である。当事者にできるのは、申請前に登記所へ事情を伝えることと、事後に登記官の処分として審査請求(商業登記法142条)で争うこと、この二方向だけだ。
- 親族が外れること自体は知っていても、範囲の広さを見誤っている人が多い。四親等内の親族には、いとこ、おじ・おば、甥・姪、曽祖父母までが入る。加えて括弧書きの「であつた者」により、離婚した元配偶者、離婚で切れた元の姻族も対象に残る。縁が切れたのだから中立だ、という常識を法律は採用していない。
- あなたから見れば「身内が担当なら話が早くて助かる」だが、法律から見れば「公正性を疑われる処分」である。この落差は、後日その登記の効力や会社の内紛が争われたとき、相手方が真っ先に突いてくる材料になる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 商業登記法5条:身内が申請人の登記を当該登記官が処理することの禁止 | 商業登記法4条:登記事務を取り扱う登記官の指定 商業登記法142条:登記官の処分に対する審査請求 |
| 発動する主体 | 登記官自身(職権で外れる義務) | 登記所の長(誰に事務を担当させるかの内部指定) 申請人・利害関係人(外部からの不服申立て) |
| 作用する時点 | 事務の割り振り段階(登記の処理前) | 事務の割り振り段階(除斥時の受け皿) 処分がされた後 |
| 違反・不服時の帰結 | 手続上の瑕疵として審査請求や服務上の責任の問題になる(当然無効とは限らない) | 指定の当否は登記所の内部事務の問題 監督法務局または地方法務局の長の裁決で是正を求める |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は商業登記を行政機関(経済部商業司)が所管するため、除斥は行政手続の一般法である行政程序法32条で処理される。本人・配偶者・前配偶者・四親等内の血族・三親等内の姻族が当事者である場合に自ら回避する構造で、『前配偶者』を明示する点は日本の『であつた者を含む』と発想が重なる
ドイツは商業登記簿を登記裁判所が管掌するため、除斥は裁判官・Rechtspfleger の除斥規定として司法手続の枠内で処理される。日本のように登記所の行政事務として独立の条文を置く構成とは出発点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社の役員変更登記を審査する登記官が、代表取締役の実の弟だったとしたら? その登記官は法律上、その登記に一切手を触れられない。知らずに処理されていた場合、後から登記官の処分として争う入口が残る。
- あなたが登記官の側で、いとこが立ち上げた会社の設立登記が机に回ってきた。通常どおり処理すれば誰も気付かない、そう考えた瞬間が分岐点になる。四親等内の親族に当たる以上、処理そのものが5条違反であり、服務上の責任に加えて、その登記の公正性に恒久的な疑義を残す。止めて上司に申し出て、別の登記官の指定を受けるのが唯一の正解である。
- 増資の払込みから2週間以内に変更登記を申請しなければ過料の対象になる(会社法915条1項、976条1号)。締切前日に登記所へ行ったら、担当登記官があなたの実兄だと分かった。頼めば早いが、5条は「できない」と書いている。担当替えで処理が一日ずれる前提で、締切を逆算し直すしかない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記完了前なら、登記所の首席登記官または管轄法務局の窓口に親族関係を申し出て、担当替えを求める2. 完了後に発覚したら、登記事項証明書の認証欄で担当登記官の氏名を押さえ、親族関係を裏付ける戸籍謄本等を確保する3. 却下や補正命令など不利な処分を受けているなら、監督法務局または地方法務局の長へ審査請求(商業登記法142条)を行う4. 除斥違反だけで登記が当然に無効となるとは限らないため、狙いが登記の是正なのか損害賠償なのかを先に決めてから動く
訴えられた側:登記官の立場なら、四親等内の親族、元配偶者、元の姻族に当たる可能性を認識した時点で処理を止め、上司に申し出て別の登記官の指定を受ける。処理してから発覚する方が損害は桁違いに大きい。申請人側で「身内に通させた」と疑われたなら、担当登記官の選定に関与できる立場にないこと、通常の審査と補正を経ていることを申請の経過記録で示す。担当の割り振りが登記所の内部事務である点が、最も強い反論材料になる。
時効(請求できる期限):5条自体に期間の定めはない。登記官の処分を争う審査請求(商業登記法142条)については、違法な登記の状態が続く限り期間の制限なく申し立てられると解するのが実務の理解であり、行政不服審査法18条の三か月・一年の制限をそのまま当てはめない点に注意(最新の運用は管轄法務局にご確認ください)。損害賠償を求める場合は国家賠償法1条により、損害及び加害者を知った時から3年(民法724条準用)が起算点となる。
学説
実務上有力な整理:商業登記法5条は手続の外形的公正を担保する規定であり、これに違反して登記がされても当然に無効となるものではなく、手続上の瑕疵として審査請求や登記官の服務上の責任の問題にとどまる。登記内容が実体に合致していれば効力は維持されると整理される一方、解釈が分かれる論点でもある。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:商業登記法(昭和38年法律第125号)の制定に伴い、登記官の除斥規定として本条が置かれた。以後の改正状況は e-Gov 法令検索の沿革で要確認
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める