要点商業登記法 84 条は、会社分割の登記に、分割をした旨と相手方会社の商号・本店を記載することを義務付ける。承継会社側と分割会社側の双方の登記簿に、互いの記載がされる。
Q · 取引先が会社分割したとき、事業がどこへ行ったのか登記簿で分かりますか?
登記簿から承継先の商号と本店が分かります
商業登記法 84 条により、会社分割の登記には分割をした旨と相手方の商号・本店が記載されます。1 項が承継会社・新設会社側、2 項が分割会社側の登記を定めるため、どちらの登記簿を取っても相手方を特定できます。ただし登記に現れるのは相手方の特定までで、どの債務がどちらに残ったかという承継範囲は登記簿に出ません。範囲を知るには会社法 782 条以下の事前開示書面を確認する必要があります。
会社分割の登記簿を見たとき、多くの人は「分割した」という事実しか読み取らない。だが商業登記法 84 条が要求しているのは、それだけではない。承継会社(事業を引き継いだ側)の登記簿には、どこの会社から引き継いだのか、その相手方の商号と本店が刻まれる。逆に、分割会社(事業を切り出した側)の登記簿にも、どこへ渡したのかが刻まれる。つまり両側の登記簿が互いを指し示す、双方向のリンクが法定されている。あなたが取引先の与信を調べているなら、この一行が決定的な意味を持つ。ある日突然、契約相手の会社が「その事業は別会社に承継されました」と言い出したとき、あなたは登記簿からその承継先の商号と本店を特定できる。相手が教えてくれなくても、法務局が教えてくれる。債務の行き先を追跡する糸は、最初から登記簿に埋め込まれているのだ。
商業登記法 84 条は、会社分割に伴う登記の記載事項を定める規定である。吸収分割承継会社又は新設分割設立会社がする変更登記・設立登記には、分割をした旨と分割会社の商号及び本店を、分割会社側の変更登記には承継会社又は設立会社の商号及び本店を登記することを義務付ける。
AI 輔助整理,以條文原文為準
会社分割の事実を登記簿に公示する手続です。商業登記法 84 条により、分割をした旨と相手方会社の商号・本店が、承継会社側と分割会社側の双方の登記簿に記載されます。
本店所在地においては効力発生日(新設分割は設立登記の日)から 2 週間以内です(会社法 923 条、924 条)。期間を過ぎると代表者個人が過料の対象になります。
吸収分割は既存の会社が事業を引き継ぐ形式で承継会社の変更登記、新設分割は新しく設立する会社が引き継ぐ形式で設立登記になります。84 条 1 項は両方を対象としています。
分割の効力自体は失われませんが、会社法 976 条 1 号により代表者個人に 100 万円以下の過料が科される対象となります。会社の経費ではなく個人負担です。
承継会社側の登記は承継会社(新設分割は設立会社)の代表者、分割会社側の登記は分割会社の代表者が申請します。実務では司法書士が双方をまとめて代理します。
全国どこの法務局窓口でも、また登記・供託オンライン申請システムからも登記事項証明書を請求できます。会社の商号と本店が分かれば誰でも取得可能です。
吸収分割は商業登記法 85 条、新設分割は 86 条が定めます。分割契約書・分割計画書、株主総会議事録、債権者保護手続を行ったことを証する書面などが必要です。
登記されても法務局から個別通知はありません。ただし知れている債権者には会社法 789 条・810 条の個別催告が必要で、催告漏れは後の責任追及の火種になります。
分かりません。商業登記法 84 条が要求するのは、分割した事実と相手方の商号・本店だけです。承継の範囲は分割契約書・分割計画書に書かれ、登記簿には現れません。業界裏話ヒント:承継範囲を知りたい債権者は、会社法 782 条・794 条・803 条の事前開示書面の閲覧請求ができます。債権者は「利害関係人」として本店で閲覧可能で、この権利を使う債権者は実務上ごく少数です。使えば相手の想定外の動きになります
両方必要です。本条 1 項が承継会社側(吸収分割の変更登記または新設分割の設立登記)、2 項が分割会社側の変更登記を定めており、双方の登記簿に相手方の商号・本店が記載されます。業界裏話ヒント:吸収分割では両社の登記を同時に申請するのが実務の原則で、承継会社の本店所在地を管轄する登記所を経由して申請する取扱いがあります。管轄が違う場合の経由申請を知らずに別々に出すと、申請が滞ります
追えます。承継会社の登記簿にも、その会社が過去に行った分割の相手方が記載されているためです。履歴事項全部証明書を順に取れば、事業がどの法人を経由して移動したか系譜を辿れます。業界裏話ヒント:登記事項証明書には現在事項・履歴事項・閉鎖事項の三種類があり、履歴事項は原則として約 3 年分しか載りません。それ以前の記録は閉鎖事項全部証明書を別途請求する必要があり、この違いを知らずに調査を打ち切る人は多い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 公示される内容 | 商業登記法 84 条:分割をした旨+相手方の商号・本店(双方向) | — |
| 対象となる組織再編 | 吸収分割・新設分割(事業の一部が移り、分割会社は存続) | — |
| 登記後の当事者 | 両社とも存続し、双方の登記簿に相互の記載が残る | — |
| 調査時の使い方 | 承継先を特定して債権の行き先を追跡する起点になる | — |
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