保険業法 第270条の7(会員に対する貸付け)
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- 第二百六十五条の二十八第二項第一号の資金の貸付けは、次に掲げる場合において、機構の会員による保険金その他の給付金(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約に係る保険金その他の給付金。以下この項において同じ。)の円滑な支払のために必要かつ適当であると認められるときに限り、その申請に基づいて、その必要と認められる金額の範囲内において行うことができる。
- 一機構の会員が、一時的な資金事情により、保険金その他の給付金の支払を遅延し、又は遅延するおそれがある場合
- 二特定保険会社である機構の会員が、当該機構と第二百七十条の六の七第三項の規定による契約を締結した場合
- 2.前項第一号の資金の貸付けは、当該資金の貸付けに係る貸付金債権の回収が確実であると認められることその他の内閣府令・財務省令で定める要件を満たすものでなければならない。
- 3.機構は、第一項の規定による資金の貸付けの申請があったときは、委員会の議を経て、当該資金の貸付けをするかどうかを決定しなければならない。
- 4.機構は、前項の規定により第一項の資金の貸付けをすることを決定したときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
この条文の基本情報
会員に対する貸付けとは何ですか?
定義会員に対する貸付けとは、保険業法第270条の7に定められた規定で、「第二百六十五条の二十八第二項第一号の資金の貸付けは、次に掲げる場合において、機構の会員による保険金その他の給付金(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第270条の7(会員に対する貸付け)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第270条の7の条文原文は「第二百六十五条の二十八第二項第一号の資金の貸付けは、次に掲げる場合において、機構の会員による保険金その他の給付金(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約…」で始まります。
- 保険業法第270条の7は第四款に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第270条の7の前の条は保険業法第270条の6の10です。
- 保険業法第270条の7の次の条は保険業法第270条の8です。
- 保険業法第270条の7には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第270条の7 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第270条の7(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/270_7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法270条の7は、保険契約者保護機構が会員の保険会社に資金を貸し付ける制度を定める。一時的な資金事情による支払遅延が対象で、貸付金債権の回収が確実であることが要件となる。
Q · 保険金の支払が遅れているとき、保険契約者保護機構にお金を出してもらえますか?
いいえ、貸付けの相手は保険会社で、契約者に申請権はありません
保険業法270条の7の貸付けは、保険契約者保護機構が会員である保険会社に対して行うものです。会員が一時的な資金事情で保険金等の支払を遅延するおそれがある場合等に、支払の円滑化に必要かつ適当と認められるときに限り、申請に基づいて実行されます(1項)。しかも貸付金債権の回収が確実であることが要件です(2項)。契約者個人に申請権はなく、機構が直接あなたに保険金を払う制度でもありません。
解説
保険会社が倒れたときの受け皿として、保険契約者保護機構の名前くらいは聞いたことがあるだろう。だが本条が扱うのは、倒れた後ではなく倒れる手前の話である。会員である保険会社が一時的な資金繰りのせいで保険金の支払を遅らせそうなとき、機構はその会社に資金を貸すことができる(1項1号)。ここであなたが押さえるべき点は二つ。第一に、貸す相手は保険会社であって、あなたではない。機構はあなたの口座に振り込んでくれる機関ではない。第二に、2項が「貸付金債権の回収が確実であると認められること」を要件に据えている。つまり、本当に返せない会社には貸さない。救済ではなく橋である。渡れるのは向こう岸にたどり着ける会社だけで、そうでない会社は破綻処理という別ルートへ回される。あなたの保険金が遅れているとき、その会社がどちらのルートに乗っているのかを見分ける手がかりが、この四つの項の中にある。
法的な位置づけ
保険業法270条の7は、保険契約者保護機構による会員への資金の貸付けを定める規定である。機構の会員が一時的な資金事情により保険金その他の給付金の支払を遅延するおそれがある場合等において、支払の円滑化のために必要かつ適当と認められるときに限り、申請に基づく貸付けを認める。貸付けには貸付金債権の回収の確実性その他内閣府令・財務省令で定める要件が課される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.支払が遅れている理由を書面で照会する 電話ではなく書面またはメールで、支払が遅れている理由が査定中なのか資金事情なのかを明示して回答するよう求める。回答の形式と期限を指定しておくと、後の交渉と証拠化の両方に効く
- 2.請求日と提出書類を記録化する 請求書の提出日、添付した診断書・死亡診断書・事故証明等の一覧、保険会社からの連絡日時をすべて時系列で記録する。保険給付請求権の3年の時効(保険法95条1項)は遅延の間も進行するため、起算点を自分で特定できる状態にしておく
- 3.約款の支払期限と保険法上の履行期を照合する 約款に定める支払期限(通常は必要書類到達後の一定日数)と、保険法上の履行期(生命保険は52条、損害保険は21条)を照合し、超過している日数を特定する。超過分は遅延損害金として請求できる
- 4.監督当局と業界裁定機関へ申立てる 会社との交渉で埒が明かなければ、金融庁の相談窓口へ情報提供し、生命保険協会または日本損害保険協会の裁定審査会へ申立てる。機構への直接請求はできないため、当局・業界 ADR・訴訟の三択から選ぶ
よくある質問 AI による整理
Q1保険契約者保護機構とは何ですか?
保険会社の破綻から契約者を保護する法人で、生命保険と損害保険に分かれています。破綻後の資金援助や契約移転に加え、破綻前の会員への資金貸付け(保険業法270条の7)も業務としています。
Q2保険業法270条の7の貸付けは誰が申請できますか?
申請できるのは機構の会員、つまり保険会社の側だけです。契約者個人に申請権はありません。契約者が機構と直接向き合うのは、破綻処理に入って補償対象保険金の話になってからです。
Q3少額短期保険は保護機構の対象ですか?
対象外です。少額短期保険業者は保険契約者保護機構の会員ではないため、本条の貸付けも破綻時の補償も届きません。保険料の安さの一部はこの安全網の外側にいることの対価です。
Q4共済は保険契約者保護機構に入っていますか?
県民共済やこくみん共済などの協同組合共済は機構の会員ではありません。各制度に独自の準備金や支払保証の仕組みがあり、保険業法上の保護機構とは別系統です。
Q5保険金の支払が遅れたらどこに相談すればいいですか?
まず保険会社に書面で理由を照会し、それでも進まなければ金融庁の相談窓口や生命保険協会・日本損害保険協会の裁定審査会へ。機構への直接請求という選択肢は存在しません。
Q6保険金の請求権は何年で時効になりますか?
保険給付を請求する権利の消滅時効は3年です(保険法95条1項)。起算点は権利を行使できる時、すなわち原則として支払事由の発生時で、支払が遅れている間も時効は進行します。
Q7機構の貸付けは誰が決めるのですか?
機構の委員会の議を経て機構が決定します(3項)。決定したときは直ちにその事項を内閣総理大臣および財務大臣に報告する義務があります(4項)。
Q8保険会社が破綻したら契約はどうなりますか?
契約が即座に消えるわけではなく、救済保険会社への契約移転や機構による資金援助という形で処理されます。生命保険の補償は原則として責任準備金等の90% で、予定利率の引下げも行われ得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社が払えなくなったら、機構が代わりに払ってくれるんですよね?
直接あなたに払う制度ではありません。破綻した場合は救済保険会社への資金援助や契約の移転という形を取り、補償は生命保険で原則として責任準備金等の90% です。本条の貸付けは破綻前の資金繰りに対するもので、しかも回収の確実性が要件です(2項)。実務のポイント:90% という数字は「契約した保険金額の90%」ではありません。母数は責任準備金等であり、そのうえ予定利率が引き下げられるため、受取額は体感でそれ以上に減ります
Q2一時的な資金不足って、要するに危ない会社ということでは?
逆に読むこともできます。2項が貸付金債権の回収の確実性を要件にしている以上、本当に立ち行かない会社にこの貸付けは出ません。そうした会社は破綻処理という別の入口に回されます。実務のポイント:本当に読むべきサインは「貸付けを受けたこと」ではなく、支払遅延が起きているのに貸付けという選択肢が使われていない状況のほうです
Q3うちの会社がこの貸付けを申請したら、外に知られますか?
4項が義務づけているのは内閣総理大臣および財務大臣への報告であって、個別名の公表を命じる規定ではありません。ただし上場会社であれば適時開示や有価証券報告書の記載が別途問題になります。実務のポイント:決定には機構の委員会の議が必要です(3項)。当局と機構の双方に記録が残る以上、社内の資金繰り問題という扱いで完結させられる話ではないと考えたほうが安全です
間違えやすい点 AI による整理
- 「保険金が遅れたら機構に請求できるのか」という問いの立て方そのものがずれている。本条の申請主体は機構の会員、つまり保険会社の側であり(1項)、契約者に申請権はない。契約者が機構と直接向き合うのは、破綻処理に入って補償対象保険金の話になってからである
- 機構が安全網であることは広く知られているが、その網の目の粗さは知られていない。生命保険の補償は原則として責任準備金等の90% であって、「契約した保険金額の90%」ではない。加えて予定利率の引下げが行われれば、将来の受取額はさらに目減りする(補償の具体的内容は最新の改正状況をご確認ください)
- あなたから見れば「支払が遅れている=会社が危ない」だが、法律から見れば1項1号の一時的な資金事情は破綻認定ではない。この落差が続いている間、契約者に用意されている手続は履行期の到来を前提とした催告と遅延損害金の請求くらいで、待つ側だけが時間とリスクを負担する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動の局面 | 270条の7:破綻前、一時的な資金事情による支払遅延のおそれ | 270条の2:破綻後、救済保険会社等への資金援助 265条の28:機構の業務全体を列挙する授権規定 |
| 資金の宛先 | 機構の会員である保険会社(貸付け、返済義務あり) | 救済保険会社・承継保険会社等(援助、性格が異なる) 各業務ごとに異なる(貸付け・援助・補償等を包括) |
| 主要な要件 | 支払の円滑化に必要かつ適当+貸付金債権の回収が確実(2項) | 破綻保険会社の処理として必要と認められること 個別業務の規定に委ねられる |
| 契約者の関与 | 申請権なし(申請主体は会員である保険会社) | 契約移転・補償の対象者として間接的に関与 直接の関与なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も業界拠出で安定基金を設け、破綻時の給付と経営難会社への資金供与を行う。財源が各社の拠出である点、保護対象が契約者である点は日本と同型
韓国は銀行と保険を同一の預金保険公社の枠組みで扱う。日本のように保険専用の機構を独立させていない点が制度設計上の差
ドイツは生命保険と健康保険について法定の保護基金を設け、生命保険は Protektor が運営。契約の移転による継続を主軸とする点が日本と近い
米国は連邦ではなく州ごとの guaranty association が担う。補償上限が州法で異なるため、同じ契約でも居住州により結果が変わる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 契約している生命保険会社から、保険金の支払を「事務処理の都合で来月末まで」と告げられたら、何が起きていると読むべきか? 単なる査定の遅れなのか、それとも1項1号がいう一時的な資金事情なのか。前者なら催促で足りるが、後者なら会社そのものの体力を疑う局面で、あなたの次の一手は正反対になる
- 保険会社の財務部門にいるあなたが、月末の支払資金が足りないと気付いた場面。銀行のつなぎ融資か、機構への貸付申請か。後者を選べば委員会の議を経たうえで(3項)、決定は直ちに内閣総理大臣と財務大臣へ報告される(4項)。当局の手元に記録が残ることまで含めて、それは財務判断である
- あなたが入ったのは少額短期保険だった。引受会社が資金難に陥っても、この貸付けは届かない。保護機構の会員ではないからだ。
- 親の死亡保険金で葬儀費用を清算する予定が、支払通知が届かないまま葬儀社への支払期限まであと10日。ここで動くべき先は機構ではなく、保険会社への書面での催告と、金融庁の相談窓口である。機構は契約者個人からの申請を受け付ける機関ではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 支払が遅れている理由を書面で求める。査定中なのか資金事情なのかで打つ手が変わる2. 請求日と提出書類を記録に残す。保険給付請求権の3年の時効は遅延の間も進む3. 約款の支払期限と保険法上の履行期(生命保険は52条、損害保険は21条)を確認し、超過分は遅延損害金として請求する4. 埒が明かなければ金融庁の相談窓口や生命保険協会の裁定審査会へ。機構への直接請求という選択肢は存在しない
訴えられた側:会員である保険会社の立場では、1. 2項の要件(貸付金債権の回収が確実であること、および内閣府令・財務省令で定める要件)を自社の資金計画で立証できるかを先に検証する2. 委員会の議(3項)と当局への即時報告(4項)が前提になる以上、銀行融資や資産売却との比較を同時に走らせる3. 上場会社であれば適時開示の要否を法務と詰める。申請の事実は自社と当局の間だけに留まらない
時効(請求できる期限):本条の貸付け自体に申請期限の定めはない。だが契約者側の時計は別に動いている。保険給付を請求する権利の消滅時効は3年(保険法95条1項)で、起算点は権利を行使できる時、すなわち原則として支払事由の発生時である。支払が遅れている間も時効は進行する
改正沿革 AI による整理
- 平成10年(1998年) 保険契約者保護機構制度の創設に伴い、会員に対する資金の貸付けに関する規定が置かれた。以後、特定保険会社に関する特別措置の改正に合わせて1項2号周辺が動いているが、各改正の年次と内容は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成10年(1998年) 新設:保険契約者保護機構制度の創設に伴い、会員に対する資金の貸付けに関する規定が置かれた。以後、特定保険会社に関する特別措置の改正に合わせて1項2号周辺が動いているが、各改正の年次と内容は人的検証を要する
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