保険業法 第294条の2(顧客の意向の把握等)
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保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。)、保険募集人又は保険仲立人若しくはその役員若しくは使用人は、保険契約の締結、保険募集又は自らが締結した若しくは保険募集を行った団体保険に係る保険契約に加入することを勧誘する行為その他の当該保険契約に加入させるための行為に関し、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等(保険契約の締結又は保険契約への加入をいう。以下この条において同じ。)の提案、当該保険契約の内容の説明及び保険契約の締結等に際しての顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供を行わなければならない。ただし、保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして内閣府令で定める場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
顧客の意向の把握等とは何ですか?
定義顧客の意向の把握等とは、保険業法第294条の2に定められた規定で、「保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第294条の2(顧客の意向の把握等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第294条の2の条文原文は「保険会社等若しくは外国保険会社等、これらの役員(保険募集人である者を除く。」で始まります。
- 保険業法第294条の2は第四章に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第294条の2の前の条は保険業法第294条です。
- 保険業法第294条の2の次の条は保険業法第294条の3です。
- 保険業法第294条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第294条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第294条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/294_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法294条の2は、保険会社や募集人に、顧客の意向把握、意向に沿った提案、契約内容の説明、意向と内容の合致を確認する機会の提供を義務づける。内閣府令で定める例外がある。
Q · 保険の契約前に書かされた「意向確認書」って、結局どういう意味があるの?
意向を聞く前に商品が決まっていたなら、募集プロセスに不備の疑いがあります
意向確認書は、保険業法294条の2が保険会社等や募集人に課す四つの義務、すなわち(1)顧客の意向の把握、(2)意向に沿った提案、(3)契約内容の説明、(4)意向と内容の合致を顧客が確認する機会の提供のうち、最後の一つが残した記録です。重要なのは順序で、意向把握が提案より先である必要があります。意向把握記録が設計書と同日または後に作成されていれば、募集プロセスの不備を示す材料になり、行政処分(307条)や所属保険会社等の賠償責任(283条)を問う足場になります。
解説
「保険の見直しをしませんか」と声をかけてきた担当者が、最後に差し出す一枚の紙。「意向確認書」と印字されている。内容をよく読まないままサインした記憶はないだろうか。あの紙は儀式ではない。保険業法294条の2が保険会社・外国保険会社・募集人・保険仲立人とその役員使用人に課す四つの動作、すなわち(1)あなたの意向を把握し、(2)その意向に沿った契約を提案し、(3)契約内容を説明し、(4)意向と内容が合致していることをあなた自身が確認する機会を提供すること、その最後の一つが残した痕跡である。ここで効いてくるのは順番だ。商品を決めてから意向を後付けで書かせるのは、条文の構造上、逆走している。意向把握が先、提案が後。この順序が崩れた記録が残っていれば、それは監督当局にとっては行政処分の端緒であり、あなたにとっては「こんな保険を頼んだ覚えはない」と主張するときの足場になる。
法的な位置づけ
保険業法294条の2は、保険募集における意向把握・意向確認義務を定める規定である。保険会社等および保険募集人等は、契約締結や団体保険への加入勧誘に関し、顧客の意向の把握、意向に沿った提案、契約内容の説明、意向と内容の合致を確認する機会の提供という四つの行為を行う義務を負う。平成26年改正により新設された募集規制の基本ルールの一つである。
手順
- 1.契約時の募集書類一式を開示請求する 引受保険会社の窓口に、意向把握記録・設計書(提案書)・意向確認書・申込書の写しを求める。紛争が表面化する前のほうが素早く、かつ加工の少ない状態で出てくる
- 2.書類の作成日時を突き合わせて順序を検証する 意向把握記録が設計書・提案書より前に作られているかを確認する。同日または後であれば、意向を後付けした疑いが立つ。日付・押印欄・端末ログをすべて拾う
- 3.募集時のやり取りを時系列に整理する 面談日、担当者名、メール、LINE、録音、来店記録を時系列で並べる。「為替リスクの説明を受けた記憶がない」といった主張は、記録の空白と並べて初めて説得力を持つ
- 4.所属保険会社へ「意向把握・確認プロセスの不備」と明示して申し立てる 通常のクレームではなく業界用語のまま伝えることで、案件が募集管理・コンプライアンス部門の調査ラインに移る。書面で申し立て、受付番号と担当部署名を控える
- 5.解決しなければ金融 ADR へ申し立てる 生命保険協会または日本損害保険協会の指定紛争解決機関に申し立てる。訴訟より短期間・低費用で、保険会社側には手続応諾義務がある。提出資料は前段で揃えた一式を流用する
よくある質問 AI による整理
Q1意向把握義務とは何ですか?
保険業法294条の2が定める募集規制です。保険会社等や募集人が、商品を提案する前に顧客の意向を把握し、それに沿った提案・説明・確認機会の提供まで行う義務を指します。
Q2意向確認書とは何のための書類ですか?
把握した意向と実際の契約内容が合致しているかを、顧客自身が確認する機会を提供したことを示す記録です。294条の2の四つの義務のうち最後の一つに対応します。
Q3意向把握義務に違反するとどうなる?
登録取消しや業務停止等の行政処分(保険業法307条)の対象になりえます。契約自体が当然に無効となるわけではなく、私法上は283条や消費者契約法のルートで争います。
Q4意向把握記録は開示請求できる?
自分が契約当事者である募集記録については、引受保険会社の窓口へ写しの交付を求めるのが実務上の第一歩です。紛争が表面化する前のほうが粒度の高い書類が出てきます。
Q5保険のクーリングオフはいつまで?
保険業法309条により、申込日または書面交付日のいずれか遅い日から8日が原則です。通信販売や一部の商品は対象外となるため、契約書面の記載を必ず確認してください。
Q6保険のトラブルはどこに相談すればいい?
まず所属保険会社の苦情窓口、解決しなければ生命保険協会または日本損害保険協会の指定紛争解決機関(金融 ADR)へ。訴訟より短期間かつ低コストで進みます。
Q7団体保険でも意向把握義務はありますか?
あります。本条は保険会社等が自ら締結しまたは募集を行った団体保険への加入勧誘その他の加入させるための行為まで射程に含めています。勤務先経由でも義務は消えません。
Q8意向把握義務に適用除外はありますか?
ただし書により、保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして内閣府令で定める場合は適用されません。該当類型は施行規則で定められ、改正されることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1意向確認書にサインしちゃったんですけど、もう取り消せないですよね?
業法違反が直ちに契約を無効にするわけではない。ただし募集時に重要事項の不告知や不実の告知があれば保険業法300条1項の禁止行為に触れ、消費者契約法4条の誤認取消しを検討する余地も残る。実務のポイント:保険会社の苦情記録には「募集品質」という社内区分があり、意向把握プロセスの不備が認定されると募集人の手数料や登録に影響が及ぶ。会社側には訴訟前に収めたい動機が強く働く
Q2ネットで申し込んだ保険でも、この義務ってあるんですか?
及ぶ。294条の2は募集の手段を限定していないため、インターネット募集でも意向把握と確認の機会提供は必要であり、実務では申込画面上の意向確認画面がその役割を担っている。ただしただし書により、内閣府令で定める「保護に欠けるおそれがない場合」は除外される。実務のポイント:ネット申込みは画面遷移のログが全部残る。対面より証拠が硬いので、「そんな表示は出ていなかった」と争うなら申込日時と端末側の記録を早期に確保する
Q3代理店の人が勝手に決めた商品なんですが、保険会社は関係ないと言われました
関係なくはない。保険業法283条は所属保険会社等に対し、保険募集人が保険募集について保険契約者に加えた損害の賠償責任を負わせている。加えて294条の3は募集人自身にも業務運営体制の整備義務を課す。実務のポイント:乗合代理店では、どの会社が「所属保険会社等」に当たるかで相手が変わる。まず契約した商品の引受保険会社を特定し、その会社の苦情窓口に直接入れるのが最短ルートになる
Q4お客さんの意向が途中で変わった場合、書類はどう残せばいいんですか?
変更が生じた事実、その理由、変更後の意向に沿って再提案した経緯を時系列で記録に残すのが実務上の要請である(294条の2、および保険会社向けの総合的な監督指針)。実務のポイント:検査や自主点検で最も突かれるのは、意向把握記録の日付が提案書と同日か、それより後になっている案件。順序の崩れは「意向を後から作った」と読まれる。日付をそろえたくなる誘惑こそが一番危ない
間違えやすい点 AI による整理
- 「意向確認書にサインした以上もう文句は言えない」という理解は、半分正しい。だが深刻さの所在を取り違えている。本当の論点は、書類が存在するかではなく、その書類群が「どの順番で」作られたかにある。意向把握記録が設計書や提案書と同日または後に作られていれば、それは義務の履行記録ではなく、事後的な辻褄合わせの証拠として読まれうる。時系列こそが戦場である
- 「この義務に違反したら契約は無効になるのか」という問いの立て方自体がずれている。294条の2は業法上の行為規制であり、違反が直ちに私法上の契約の効力を覆すわけではない。効いてくるのは別の三本のルートだ。登録取消し・業務停止等の行政処分(保険業法307条)、所属保険会社等の損害賠償責任(同283条)、そして消費者契約法や不法行為で争うときの事実認定材料としての機能。問うべきは「無効か」ではなく「どのルートで責任を追及するか」である
- 「義務を負うのは保険会社だから、代理店が勝手にやったことを会社に言っても無駄」と思われがちだが、構造は逆である。本条は保険会社等に加えて募集人・仲立人・その役員使用人まで名宛人にしている一方、283条は所属保険会社等に募集人の行為による損害の賠償責任を負わせている。資力と社内統制を持つ引受保険会社本体に直接ぶつけるのが定石だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務の中身 | 294条の2:意向の把握 → 意向に沿った提案 → 内容説明 → 合致確認の機会提供 | 294条:契約締結前に重要事項を情報提供する 300条:不実告知・重要事項不告知等の禁止(やってはいけない行為の列挙) |
| 規制の向き | 作為義務(プロセスを踏め) | 作為義務(情報を渡せ) 不作為義務(誤認させるな) |
| 争うときの主戦場 | 書類の作成順序と日付、確認機会が形骸化していないか | 交付書面の有無と記載内容の十分性 説明内容の虚偽性・不告知の故意過失 |
| 違反の帰結 | 行政処分(307条)+ 283条・消費者契約法での責任追及の事実認定材料 | 行政処分+説明義務違反として不法行為を基礎づけうる 行政処分+消費者契約法4条の誤認取消しに直結しやすい |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も招攬段階での需要把握と適合性確認を行政規則レベルで義務づけ、内部統制の一環として位置づける。日本のように業法本体に単独条文を置く構造ではない点が異なる
韓国は2021年施行の金融消費者保護法で適合性原則・適정성원칙・설명의무を横断的に整備し、保険を含む金融商品全体を一本の法律で規律する設計をとる
ドイツは顧客の希望と需要(Wünsche und Bedürfnisse)の聴取と助言、および助言理由の文書化を保険者・仲介者双方に課す。助言義務違反には私法上の損害賠償が直結する点で日本より強い
米国は州ごとにモデル規則を採用する構造で、年金保険を中心に best interest 基準へ移行。連邦の単一法ではなく州保険庁の監督により実現される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 銀行の窓口で「預金よりは増えます」と勧められ、一時払いの外貨建て保険に加入した。数年後に解約したら元本を割っていた。開示された意向把握記録には「為替変動リスクを許容する」という趣旨のチェックが入っているが、あなたにその説明を受けた記憶はない。記録と記憶が食い違うこの一点が、そのまま争点になる
- もし、クーリングオフの8日間を過ぎてから「自分が望んだのはこの保険ではなかった」と気付いたとしたら? 契約そのものは残る。だが意向把握・確認プロセスの不備は、所属保険会社への苦情申立てと、生命保険協会・日本損害保険協会の指定紛争解決機関(金融ADR)への申立てという二本目の道を開く。動けるのは記憶と記録が揃っているうちだけである
- あなたが乗合代理店の募集人で、月末の目標に追われ、意向把握のヒアリングシートを提案書や申込書と一緒にまとめて記入・押印してもらっているとする。それは「確認する機会の提供」を満たしていない疑いが濃い。当局検査や自主点検で真っ先に抜き取られるのが、意向把握記録と設計書の作成日時の前後関係だ
- 親の入院給付金を請求したら、対象外の商品だった。契約時の意向把握記録には「入院時の保障を重視」と残っていた。その一行が募集プロセスの不備を示す最有力の物証になる
- 勤務先の福利厚生で入った団体保険。声をかけてきたのは総務担当者だった。だが本条は、保険会社等が自ら締結し、または保険募集を行った団体保険への「加入を勧誘する行為その他の加入させるための行為」まで射程に入れている。会社を経由した加入であっても、保険会社側の意向把握義務が自動的に消えるわけではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約時の意向把握記録・設計書(提案書)・意向確認書の写しを引受保険会社に開示請求し、作成日時の前後を突き合わせる2. 募集時のやり取り(メール、LINE、担当者名、面談日、録音)を時系列表に整理する3. 所属保険会社の苦情窓口へ、「意向把握・確認プロセスの不備」と明示して申し立てる4. 解決しなければ生命保険協会または日本損害保険協会の指定紛争解決機関(金融ADR)へ。訴訟より早く、費用も低い
訴えられた側:1. 指摘された案件の意向把握記録・提案書・確認書の作成順序を自分で先に検証する。事後の追記や日付合わせは絶対にしない、改ざんは処分を数段重くする2. ただし書の適用除外(内閣府令で定める場合)に該当する類型かを確認する3. 顧客の意向が途中で変わった案件は、変更の経緯と再提案の記録が残っているかが分岐点になる4. 所属保険会社への報告を遅らせない。隠すほど、募集人自身の体制整備義務(294条の3)違反へ延焼する
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。実務で効くのは三つ。クーリングオフは申込日または書面交付日のいずれか遅い日から8日(保険業法309条、通信販売や一部商品は対象外)。消費者契約法上の誤認・困惑による取消権は、追認できる時から1年、契約締結時から5年(同法7条)。不法行為による損害賠償は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)。いずれも最新の改正状況をご確認ください
学説
通説(取締規定説):294条の2は業法上の行為規制であり、違反があっても契約の私法上の効力は当然には否定されない。救済は行政処分(307条)、所属保険会社等の賠償責任(283条)、消費者契約法・不法行為という三経路に分かれるとされる
実務上の有力な整理:意向把握記録と設計書の作成順序は、義務履行の実体を示す中核的な証拠であり、順序が逆転した記録は事後的な形式整備として評価される。監督当局の検査・自主点検でも最優先の抽出対象とされている
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正、平成28年(2016年)5月29日施行 保険募集の基本的ルールとして新設。従来は監督指針レベルの実務要請にとどまっていた意向把握・意向確認を、保険業法上の法的義務へ格上げした。同じ改正で情報提供義務(294条)と募集人の体制整備義務(294条の3)も整備され、募集規制が三本柱の構造になった
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:保険業法改正により、従来は監督指針レベルの実務要請にとどまっていた意向把握・意向確認が、保険業法上の法的義務として新設された。平成28年(2016年)5月29日施行
- 2.平成26年(2014年) 改正:同じ改正で契約締結前の情報提供義務(294条)と保険募集人の業務運営体制整備義務(294条の3)も整備され、募集規制が三本柱の構造になった
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