保険業法 第54条の10(連結計算書類)
クイックジャンプ
- 会計監査人設置会社は、内閣府令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類(当該会計監査人設置会社及びその実質子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして内閣府令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を作成することができる。
- 2.連結計算書類は、電磁的記録をもって作成することができる。
- 3.事業年度の末日において第五十三条の十四第五項に規定する相互会社であって金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならない。
- 4.連結計算書類は、内閣府令で定めるところにより、監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければならない。
- 5.前項の監査を受けた連結計算書類は、取締役会の承認を受けなければならない。
- 6.第五十四条の五並びに第五十四条の六第一項及び第三項の規定は、連結計算書類について準用する。この場合において、同項中「事業報告の内容」とあるのは「連結計算書類の内容及び第五十四条の十第四項の監査の結果」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
連結計算書類とは何ですか?
定義連結計算書類とは、保険業法第54条の10に定められた規定で、「会計監査人設置会社は、内閣府令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類(当該会計監査人設置会社及びその実質子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第54条の10(連結計算書類)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第54条の10の条文原文は「会計監査人設置会社は、内閣府令で定めるところにより、各事業年度に係る連結計算書類(当該会計監査人設置会社及びその実質子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を…」で始まります。
- 保険業法第54条の10は第二目 計算書類等に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第54条の10の前の条は保険業法第54条の9です。
- 保険業法第54条の10の次の条は保険業法第55条です。
- 保険業法第54条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第54条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第54条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/54_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法54条の10は、会計監査人設置会社が自社と実質子会社の連結計算書類を作成できると定める。有価証券報告書を提出する相互会社は作成が義務となり、二重監査と取締役会承認を要する。
Q · 保険会社の連結決算って、作るか作らないかは会社の自由なんですか?
有価証券報告書を出す相互会社は連結決算の作成が義務です
保険業法54条の10により、会計監査人設置会社は自社と実質子会社から成る企業集団の連結計算書類を作成できます(1項)。ただし事業年度の末日において53条の14第5項の相互会社であり、かつ金融商品取引法24条1項の有価証券報告書提出義務を負う場合は、作成が義務となります(3項)。作成された連結計算書類は監査役(監査等委員会設置会社では監査等委員会、指名委員会等設置会社では監査委員会)及び会計監査人の監査を受け(4項)、取締役会の承認を要します(5項)。
解説
保険会社の決算書を読むとき、多くの人は単体の財務諸表を見て「この会社は健全だ」と判断する。だが保険業法54条の10が用意しているのは、その判断を根底から覆しうる別の資料だ。連結計算書類、つまり相互会社とその「実質子会社」から成る企業集団全体の財産と損益を示す書類である。ここで押さえるべきは3項の一点。有価証券報告書の提出義務を負う一定規模の相互会社は、連結計算書類の作成が「できる」ではなく「しなければならない」。任意作成(1項)と強制作成(3項)が同じ条文の中で切り替わる構造になっている。そして4項が効く。作成された連結計算書類は監査役(監査等委員会設置会社なら監査等委員会、指名委員会等設置会社なら監査委員会)と会計監査人の二重監査を通り、5項で取締役会の承認を受ける。あなたが契約者として、あるいは記者・アナリストとして相互保険会社を調べるとき、単体の数字しか見ていないなら、子会社に飛ばされた損失を見落としている可能性がある。
法的な位置づけ
保険業法54条の10は、相互会社の連結計算書類に関する規定である。連結計算書類とは、会計監査人設置会社及びその実質子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして内閣府令で定める書類をいう。作成は任意だが、有価証券報告書の提出義務を負う相互会社には作成が義務づけられ、監査役等及び会計監査人の監査と取締役会の承認を要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.3項の該当性を事業年度末日基準で確定する 事業年度の末日時点で、保険業法53条の14第5項の相互会社に当たるか、金融商品取引法24条1項の有価証券報告書提出義務を負うかの二要件を書面で判定する。判定基準日は期末であり、期中の状況で判断すると誤る
- 2.実質子会社を洗い出して連結範囲を確定する 議決権の過半数保有だけでなく、実質的に意思決定を支配している会社を含めて連結範囲を確定する。SPC や共同出資の運用ビークルは判断が分かれるため、判定根拠を文書化して会計監査人と事前にすり合わせる
- 3.内閣府令に従って連結計算書類を作成する 内閣府令が定める記載事項と作成方法に従い、企業集団の財産及び損益の状況を示す連結計算書類を作成する。2項により電磁的記録での作成も可能なので、決算システムの出力形式を先に決めておく
- 4.監査役等と会計監査人の二重監査を受ける 4項により、監査役(監査等委員会設置会社では監査等委員会、指名委員会等設置会社では監査委員会)と会計監査人の双方の監査を受ける。どちらか一方だけでは要件を満たさないため、両者の監査日程を並行して確保する
- 5.取締役会承認を得て備置・総代会提供まで完了させる 4項の監査を受けた連結計算書類について5項の取締役会承認を得る。その後6項が準用する54条の5、54条の6第1項・3項に従い、備置・閲覧と総代会への提供・報告を履行する
よくある質問 AI による整理
Q1連結計算書類とは何ですか?
会計監査人設置会社とその実質子会社から成る企業集団の財産及び損益の状況を示す書類で、内閣府令で定めるものをいいます(保険業法54条の10第1項)。単体の計算書類とは別に作成されます。
Q2連結計算書類の作成が義務になるのはどんな会社ですか?
事業年度の末日において保険業法53条の14第5項の相互会社であり、かつ金融商品取引法24条1項により有価証券報告書を提出しなければならない会社です(3項)。二要件を満たせば任意の余地はありません。
Q3連結計算書類は誰が監査しますか?
監査役と会計監査人の両方です。監査等委員会設置会社では監査等委員会、指名委員会等設置会社では監査委員会が監査役に代わります(4項)。監査主体が二つある点が見落とされがちです。
Q4連結計算書類は電子データで作成できますか?
できます。保険業法54条の10第2項が電磁的記録による作成を明文で認めています。紙で作成した場合と法的効力は変わらず、備置・閲覧も電磁的記録に対応した方法で行われます。
Q5連結計算書類の承認は誰がしますか?
取締役会です(5項)。4項の監査を受けた後に承認を受ける順序が決まっており、監査前の承認では要件を満たしません。承認内容に誤りがあれば取締役の善管注意義務が問われる余地があります。
Q6相互会社の連結計算書類はどこで見られますか?
6項が54条の5を準用するため、会社の本店等に備え置かれ閲覧できます。有価証券報告書の提出会社であれば、金融庁の EDINET でも関連する開示資料を確認できます。
Q7連結計算書類を作成しないとどうなりますか?
3項の要件に当たる会社が作成しなければ法令上の義務違反となり、監督上の対応や取締役の責任が問題となりえます。具体的な罰則の有無は保険業法の罰則規定を個別に確認してください。
Q8連結計算書類は総代会に提供されますか?
6項が54条の6第1項・3項を準用し、同条3項の「事業報告の内容」は「連結計算書類の内容及び54条の10第4項の監査の結果」と読み替えられます。総代会への提供・報告の対象になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相互会社って株主がいないのに、なんで連結決算なんて作らせるんですか?
相互会社に株主はいないが、保険契約者が実質的な出資者の地位に立つ。3項が有価証券報告書提出義務者に連結作成を強制するのは、資本市場と契約者の双方に対する開示責任があるからだ。実務のポイント:相互会社の開示は株式会社より読み手が少ないため、注記の記載が実質的に踏み込んでいることがある。単体と連結の差額の説明部分は、株式会社の開示より率直に書かれている例が珍しくない
Q2「実質子会社」って、普通の子会社と何が違うんですか?
議決権の過半数を持つ形式的な支配だけでなく、実質的に意思決定を支配している会社を含む概念で、連結範囲を実態に合わせるための仕組みである。詳細な判定基準は内閣府令に委ねられている。実務のポイント:連結範囲の判定は実務上、解釈が分かれる論点だ。特に SPC や共同出資の運用ビークルは、会社によって連結に入れる判断が異なる。他社との比較では連結範囲の注記を先に読み合わせないと、数字の意味がずれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「連結計算書類の作成は任意」という理解は1項までは正しい。だが問いの立て方そのものが誤っている。正しい問いは「この会社は3項の要件、つまり53条の14第5項の相互会社かつ金融商品取引法24条1項の有価証券報告書提出義務者に当たるか」である。この要件に当たれば作成義務は絶対で、任意の余地はない
- 「連結計算書類は会計監査人が監査するもの」と理解している人は多いが、4項は監査役(または監査等委員会・監査委員会)と会計監査人の両方を要求している。監査主体が二つあることを見落とすと、監査体制の欠落が決算全体の適法性に波及する深刻度を測り損なう
- 株式会社の会社法444条と同じ内容だと思われがちだが、保険業法は相互会社という株式を発行しない特殊な法人形態に、株式会社と同水準の開示規律を移植している。相互会社に株主はいない。だから開示の受け手は契約者であり、規律の目的が投資家保護から契約者保護へずれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 54条の10:会社と実質子会社から成る企業集団(連結) | 54条:当該相互会社の単体の計算書類 会社法444条:株式会社とその子会社から成る企業集団 |
| 作成義務 | 1項は任意、3項該当(相互会社+有報提出義務者)なら義務 | 各事業年度に係る作成が当然に必要 大会社かつ有報提出会社は義務、それ以外は任意 |
| 監査主体 | 監査役等+会計監査人の二重監査(4項) | 監査役等+会計監査人(54条の系統) 監査役等+会計監査人 |
| 承認・提供 | 取締役会承認(5項)→ 6項準用で備置・総代会提供 | 取締役会承認後、総代会への提出・報告 取締役会承認後、株主総会への提供・報告 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は関係企業の合併財務報表と、公開発行会社の合併財務報告の二本立てで規律する。相互会社という法人形態がなく、保険業は株式会社形態が中心である点が日本と異なる
韓国は商法と外部監査法の組み合わせで連結財務諸表を規律する。日本のように保険業法側に相互会社向けの特則を置く構造ではない
ドイツは商法典で親会社に Konzernabschluss(連結決算)の作成義務を課す。保険業については監督法である VAG 側に業態特有の規律が置かれる
米国は会計基準と SEC 規則で連結範囲と開示を規律し、法律の条文ではなく基準書レベルで実質支配の判定を行う点が大陸法系と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相互会社形態の生命保険会社に高額の終身保険を預けている。単体の決算は黒字だが、海外子会社や資産運用子会社の損失が連結で初めて表に出る。連結計算書類を読めるかどうかで、契約継続か乗り換えかの判断材料が変わる
- 保険会社の経理部門に配属された1年目。上司から「連結の作成は任意ですよね」と言われた。だが自社が有価証券報告書提出義務を負う相互会社なら3項で強制であり、任意と誤認したまま決算スケジュールを組めば、内閣府令で定める作成方法と監査の日程が全部後ろにずれる
- 監査法人の担当者として、相互会社の連結計算書類の監査を任された。範囲を決める鍵は「実質子会社」の定義。議決権の過半数を持たなくても実質的支配があれば連結範囲に入る。ここを絞りすぎると監査意見そのものが揺らぐ
- もし、あなたが取締役会の一員で、連結計算書類の承認議案が回ってきたとしたら? 5項の承認は形式的な押印ではない。承認した内容に誤りがあれば、あなた自身の善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)違反が問われる余地が残る。総代会まであと3週間、内容を読まずに賛成するリスクを負うのはあなただ
取るべき行動
被害を受けた側:契約者として会社の財務健全性を確認する立場なら、1. その保険会社が相互会社形態か株式会社形態かを確認2. 相互会社であれば有価証券報告書の提出があるかを EDINET で検索、あれば3項の連結強制作成対象3. 連結計算書類と単体の計算書類を並べ、総資産・当期剰余金・責任準備金の差額が大きい項目を特定4. 疑問が残れば総代会または会社の照会窓口で、連結範囲に入る実質子会社の一覧と各社の損益を質問する
訴えられた側:会社側の経理・法務担当として作成義務を問われる立場なら、1. 3項の二要件(53条の14第5項の相互会社/金融商品取引法24条1項の提出義務者)への該当を書面で確定させる2. 内閣府令が定める連結計算書類の記載事項と作成方法に照らして記載漏れを洗う3. 4項の二重監査(監査役等+会計監査人)を受けた記録と、5項の取締役会承認議事録を揃える4. 6項の準用により54条の5、54条の6第1項・3項が連結にも及ぶため、備置・閲覧と総代会への提供の履行状況を確認する
時効(請求できる期限):本条自体に固有の時効はないが、連結計算書類は各事業年度に係るものとして事業年度単位で作成・監査・承認・提供のサイクルが回る。具体的な作成期限と備置期間は内閣府令および6項が準用する54条の5、54条の6の定めに従う。役員の責任追及に関わる場合は、一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める