保険業法 第55条の3(基金利息の支払等に関する責任)
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- 第五十五条第一項の規定に違反して相互会社が基金利息の支払をした場合又は同条第二項の規定に違反して相互会社が基金の償却若しくは剰余金の分配をした場合には、これらの行為(以下この条及び次条において「基金利息の支払等」という。)により金銭の交付を受けた者及び次に掲げる者は、当該相互会社に対し、連帯して、当該金銭の交付を受けた者が交付を受けた金銭の額に相当する金銭を支払う義務を負う。
- 一基金利息の支払等に関する職務を行った業務執行者(業務執行取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)その他当該業務執行取締役の行う業務の執行に職務上関与した者として内閣府令で定めるものをいう。)
- 二剰余金の処分又は損失の処理に関する議案に係る定時社員総会の決議があった場合(当該決議によって定められた議案の内容が第五十五条第一項又は第二項の規定に違反している場合に限る。)における当該定時社員総会に議案を提案した取締役として内閣府令で定めるもの
- 2.前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の義務を負わない。
- 3.第一項の規定により同項各号に掲げる者の負う義務は、免除することができない。ただし、次の各号に掲げる場合において、当該各号に定める額を限度として当該義務を免除することについて総社員の同意があるときは、この限りでない。
- 一基金利息の支払をした場合利息支払限度額
- 二基金の償却又は剰余金の分配をした場合(第五十五条第二項ただし書に規定する場合を除く。)償却等限度額
この条文の基本情報
基金利息の支払等に関する責任とは何ですか?
定義基金利息の支払等に関する責任とは、保険業法第55条の3に定められた規定で、「第五十五条第一項の規定に違反して相互会社が基金利息の支払をした場合又は同条第二項の規定に違反して相互会社が基金の償却若しくは剰余金の分配をした場合には、これらの…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第55条の3(基金利息の支払等に関する責任)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第55条の3の条文原文は「第五十五条第一項の規定に違反して相互会社が基金利息の支払をした場合又は同条第二項の規定に違反して相互会社が基金の償却若しくは剰余金の分配をした場合には、これらの…」で始まります。
- 保険業法第55条の3は第三目 基金利息の支払、基金の償却及び剰余金の分配に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第55条の3の前の条は保険業法第55条の2です。
- 保険業法第55条の3の次の条は保険業法第55条の4です。
- 保険業法第55条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第55条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第55条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/55_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法55条の3は、限度額に違反した基金利息の支払等について、受領者と業務執行者・提案取締役が交付額の全額を連帯して相互会社に返還する義務を定める。
Q · 相互会社の基金利息を払いすぎたら、役員が個人で返すことになるんですか?
はい。役員は全額を連帯返還、免除には総社員の同意が必要です
はい。保険業法55条の3により、限度額に違反した基金利息の支払、基金の償却、剰余金の分配があった場合、金銭の交付を受けた者に加え、支払等の職務を行った業務執行者と、違反する議案を定時社員総会に提案した取締役が、交付額に相当する金銭を連帯して相互会社に支払う義務を負います。役員側は注意を怠らなかったことを自ら証明した場合にのみ免責され(2項)、その義務は原則として免除できず、免除には総社員の同意と限度額の枠が必要です(3項)。
解説
相互会社に株主はいない。だから会社の外へ財産が流れ出る蛇口は、基金拠出者へ払う基金利息と、社員への剰余金分配、この二つしかない。保険業法55条がその蛇口に限度額をはめ、55条の3は限度を超えて流れた分を強制的に吸い戻す装置である。返す義務を負うのは、金を受け取った者だけではない。支払等の職務を行った業務執行者と、定時社員総会に議案を提案した取締役が、受領額の全額について連帯して会社に支払う。しかも役員側は「自分は注意を怠らなかった」と自ら証明しない限り免れない(2項)。立証責任は最初から反転している。極めつけは3項だ。役員側の義務は原則として免除できず、免除するには総社員の同意が要る。相互会社の社員とは保険契約者のこと、大手なら数百万人から一千万人規模である。全員の同意という条件は、免除の道が制度上ほぼ閉じていることを意味する。
法的な位置づけ
保険業法55条の3は、相互会社が同法55条の限度額規制に違反して基金利息の支払、基金の償却または剰余金の分配を行った場合の返還責任を定める規定である。金銭の交付を受けた者、支払等の職務を行った業務執行者、および違反する議案を定時社員総会に提案した取締役が、交付額に相当する金銭を連帯して当該相互会社に支払う義務を負う。
手順
- 1.支払等の前に限度額の算定根拠を書面で入手する 基金利息の支払、基金の償却、剰余金分配の稟議に入る前に、純資産額の評価方法と利息支払限度額・償却等限度額の算定過程を書面で受領する。2項の免責は役員側が立証する構造のため、支払後に作成した資料はほぼ機能しない
- 2.取締役会で照会と回答を議事録に残す 議案を定時社員総会に提案する前の取締役会で、限度額の算定根拠と前提条件を質問し、担当部門および監査法人の回答を議事録に明記させる。1項2号の提案取締役に該当する場合、この一往復が唯一の反証材料になる
- 3.内閣府令上の該当範囲を自己点検する 1項1号の業務執行者と1項2号の提案取締役は、いずれも内閣府令が範囲を定める。社内の役職名ではなく保険業法施行規則の文言に照らし、経理・企画・法務の担当者まで含めて誰が名宛人になるかを事前に確定させる
- 4.疑義が出たら議案を取り下げて再算定する 定時社員総会前に純資産額の評価に疑義が生じた場合、議案を維持せず取り下げて再算定する。可決後に違反が判明すると、提案取締役が1項2号で名指しされ、受領額の全額について連帯債務を負う
- 5.組織変更・資本政策の検討時に過去分を自主点検する 株式会社への組織変更や資本政策の検討に入った段階で、過去の基金利息の支払と基金の償却が限度額内だったかを遡って点検する。社内で先に発見すれば是正で処理でき、外部調査で発見されると個人の連帯債務として表面化する
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法55条の3とは?
限度額に違反した基金利息の支払、基金の償却、剰余金の分配があった場合に、受領者と業務執行者・提案取締役が交付額の全額を連帯して相互会社に返還する義務を定める規定です。
Q2相互会社とは何ですか?
保険業法上の会社形態で、株主が存在せず保険契約者が「社員」となります。株式を発行できないため、外部資金の入口は基金に限られます。
Q3基金利息とは?
相互会社が基金の拠出者に支払う対価です。株式会社の配当に近い性質を持ちますが、保険業法55条1項により支払える限度額が規制されています。
Q4利息支払限度額とは?
基金利息として支払える上限額です。保険業法55条の3第3項では、返還額を切り下げる基準ではなく、総社員の同意で免除できる上限として機能します。
Q5基金利息の返還義務は免除できますか?
原則できません。3項は1項各号の者の義務を免除不可とし、例外は総社員の同意がある場合に限度額の範囲でのみ認めます。社員は保険契約者全員です。
Q6退任した取締役も責任を負いますか?
負います。条文は在職中の職務や議案提案を基準としており、退任・退職は義務を消滅させません。組織変更時のデューデリジェンスで顕在化しがちです。
Q7保険業法55条の3の責任に時効はありますか?
本条固有の期間制限はなく、会社の請求権として民法166条の一般時効(知った時から5年、行使できる時から10年)が適用されると解されます。
Q8相互会社の剰余金分配はどう決まりますか?
剰余金の処分に関する議案を定時社員総会で決議します。決議内容が55条1項・2項に違反していた場合、提案した取締役が55条の3第1項2号で名指しされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取締役会で議案に賛成しただけでも、この条文で請求されますか?
1項が名指しするのは、支払等の職務を行った業務執行者(1号)と、定時社員総会に議案を提案した取締役(2号)である。取締役会で賛成しただけの非業務執行取締役は本条の直接の名宛人ではないが、任務懈怠を理由とする責任追及は別ルートで残る。実務のポイント:分岐点は議事録である。限度額の根拠を求めた発言や反対意見が残っているかどうかで、後の追及の入口が変わる。残せるのは会議のその場だけだ。
Q2受け取った側は、違法だと知らなくても返さないといけないんですか?
返す義務を負う。2項が用意した「注意を怠らなかったことの証明」による免責は、1項各号に掲げる者、つまり業務執行者と提案取締役だけに向けられており、金銭の交付を受けた者はその外にいる。実務のポイント:逆に3項の免除禁止も1項各号の者だけが対象で、受領者の義務は免除禁止の対象外である。誰が最後まで降りられないかは「各号に掲げる者」という文言一つで決まっている。
Q3「注意を怠らなかった」の証明って、実際に何を出すんですか?
純資産額と限度額の算定資料、その前提となった評価方法、監査法人や社内での検証記録が中心になる。2項は立証責任を役員側に置いているので、資料が残っていない状態は反証不能とほぼ同義である。実務のポイント:効くのは議案を作った時点で存在した資料だけだ。請求を受けてから作り直した計算書は、注意を払っていた証拠ではなく、払っていなかった証拠として読まれる。
間違えやすい点 AI による整理
- 超過した分だけ返せばよいと理解している人は多い。条文が支払を命じているのは「交付を受けた金銭の額に相当する金銭」、つまり適法に払えたはずの部分も含めた全額である。3項に登場する利息支払限度額・償却等限度額は、返す額を切り下げる基準ではなく、後から免除できる上限を定めたものにすぎない。負担の桁が一つ違う
- 「自分は取締役ではないから対象外」という問いの立て方が、そもそもずれている。1項1号が捕まえるのは肩書ではなく、業務執行取締役(指名委員会等設置会社では執行役)と、その業務執行に職務上関与した者として内閣府令が指定する範囲である。自分が入るかどうかは、保険業法の条文本体ではなく委任先の府令を読まないと分からない
- あなたから見れば、金を受け取った側こそ返還請求の本命に見える。法律から見ると重心は逆で、3項が「免除することができない」と縛っているのは1項各号に掲げる者、すなわち業務執行者と提案取締役だけである。受領者の義務は免除禁止の対象に入っていない。一円も受け取っていない側が、最後まで降りられない構造になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 保険業法55条の3:限度額違反に対する返還・連帯責任 | 保険業法55条:基金利息の支払等の限度額規制そのもの 保険業法55条の4:同一の定義を用いる隣接責任規定 |
| 名宛人 | 受領者+業務執行者+議案を提案した取締役(連帯) | 相互会社(行為主体としての会社) 同条が定める責任主体 |
| 免責の可否 | 2項で注意を怠らなかったことを役員側が証明した場合のみ免責 | 免責の枠組みなし(行為の適法性の問題) 各条の定めによる |
| 免除の可否 | 3項で原則免除不可、総社員の同意かつ限度額の範囲でのみ例外 | 免除という概念が存在しない 各条の定めによる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の保険業は株式会社または保険合作社として組織され、合作社の基金は公積金が基金総額に達するまで返還できない。違法な盈餘分派については公司法233条が債権者の返還請求権と損害賠償請求権を定める
韓国の保険業法も相互会社の章を置き、基金および剰余金の処分を規制する。違法配当の返還責任は商法上の枠組みと組み合わせて処理される。具体的な条番号は人的検証が必要
ドイツの相互保険会社(VVaG)はGründungsstock(創設基金)を持ち、その償還は監督法上の制約に服する。会社財産の違法な給付の返還は株式法62条の資本維持原則が担う
米国では相互保険会社の剰余金配分は州保険法と保険監督当局の認可に服し、違法な分配を承認した取締役の個人責任は州会社法の unlawful distribution 規定で処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 経理部で基金利息の限度額を計算し、稟議を上げたのはあなただ。取締役ではないから責任の話は他人事だと思っていた。だが1項1号は、業務執行取締役(指名委員会等設置会社では執行役)に加え、その業務執行に職務上関与した者として内閣府令が定める者を連帯債務者に並べている。あなたが該当するかどうかを決めるのは、社内の役職表ではなく府令の文言である
- 総代会で剰余金処分の議案が可決された、それでも提案した役員は責任を負うのか? 負う。1項2号は、決議で定まった議案の内容が55条1項または2項に違反していた場合に、その議案を提案した取締役を名指ししている
- 決算作業の最終盤、監査法人から純資産額の評価に疑義がつき、基金利息の限度額が下振れする可能性が出た。定時社員総会まであと12日。ここで議案を引っ込めれば1項2号の射程から降りられるが、押し切って可決させれば、提案した取締役の名前が条文の中に残る
- 機関投資家として基金を拠出し、約定どおりの基金利息を受け取った。数年後、会社から全額返せという請求が届く。違法性を知っていたかどうかは問われない。2項の免責は1項各号の者にしか用意されておらず、受領者はその外側にいる
- 前職の相互会社で総務を担当していた友人から、退職後に会社から連絡が来たと相談される。在職中に関与した基金の償却が償却等限度額を超えていたという話だ。退任も退職も、本条の義務を消さない
取るべき行動
被害を受けた側:相互会社の側、または社員である保険契約者の立場なら、まず押さえるのは支払時点の純資産額と限度額の算定書類である。超過が疑われる場合、受領者と1項各号の者の責任は連帯なので、どちらか一方を選ぶ必要はない。会社が請求を怠るなら、会社法の代表訴訟規定の準用による社員代表訴訟を検討する。3項により役員側の義務は原則免除できないため、社内で穏便に処理された形跡があれば、その処理自体の効力を疑ってよい。
訴えられた側:1項1号と2号のどちらで名指しされているかをまず切り分ける。1号なら職務上の関与の有無と府令上の該当性、2号なら誰が議案を提案したかが争点になる。次に2項の反証材料、つまり議案作成時点に存在した限度額の算定資料、依拠した評価方法、外部専門家の意見を時系列で固める。社内処理での幕引きは3項がある以上あとで崩れる。争点は免除ではなく、限度額内だったこと、または注意を尽くしたことの二本に絞る。
時効(請求できる期限):本条に固有の期間制限はない。会社が持つ支払請求権として一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用され、起算点は基金利息の支払等が行われた日が基本となる。3項により免除の道が事実上閉じているため、責任は時効が完成するまで残り続ける(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正会社法(平成27年5月1日施行) 「委員会設置会社」が「指名委員会等設置会社」へ改称され、本条1項1号の括弧書きの表記もこれに合わせて改められている。新設時期および会社法制定時の整備法による改正内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 改正:改正会社法(平成27年5月1日施行)により「委員会設置会社」が「指名委員会等設置会社」へ改称され、本条1項1号の括弧書きの表記もこれに合わせて改められた
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