民事訴訟法 第128条(受継についての裁判)
クイックジャンプ
- 訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。
- 2.第二百五十五条(第三百七十四条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による第二百五十五条第一項に規定する電子判決書又は電子調書の送達後に中断した訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、その判決をした裁判所は、その申立てについて裁判をしなければならない。
この条文の基本情報
受継についての裁判とは何ですか?
定義受継についての裁判とは、民事訴訟法第128条に定められた規定で、「訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第128条(受継についての裁判)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第128条の条文原文は「訴訟手続の受継の申立てがあった場合には、裁判所は、職権で調査し、理由がないと認めるときは、決定で、その申立てを却下しなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第128条は第六節 訴訟手続の中断及び中止に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第128条の前の条は民事訴訟法第127条です。
- 民事訴訟法第128条の次の条は民事訴訟法第129条です。
- 民事訴訟法第128条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第128条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第128条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/128
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法128条は受継の申立てに対する裁判を定め、裁判所は職権で調査し理由がなければ決定で却下する。判決送達後に中断した訴訟は原審が受継を裁判する。
Q · 訴えていた相手が裁判の途中で死んだら、その裁判はどうなるの?
裁判は消えず中断し、相続人が受継して続く
当事者の死亡で訴訟手続は中断しますが、消滅はしません(民訴124条)。相続人や存続会社がその地位を引き継ぎ、受継の申立てで再開します。民事訴訟法128条は、その受継申立てに対し裁判所が職権で調査し、理由がなければ決定で却下すると定めます(1項)。判決書・調書判決の送達後に中断した場合は、控訴審ではなく判決をした原審裁判所が受継を裁きます(2項)。申立先を誤ると上訴期間を空費しかねません。
解説
訴えていた相手が訴訟の途中で亡くなった。多くの人は「これで裁判は終わった」と胸をなで下ろす。だがそれは誤解だ。当事者の死亡で訴訟手続は中断するだけで、消滅はしない。相続人がその地位を引き継ぐ。これを受継という。民事訴訟法128条は、この受継の申立てがあったとき、裁判所が職権で調べ、理由がなければ決定で却下すると定める。さらに見落としやすいのが第2項だ。判決書や調書判決が送達された後、つまり上訴期間中に当事者が死亡して中断した場合、その受継の申立ては「判決をした原審裁判所」が裁く。あなたが第一審で勝訴した直後に相手が死に、相手の相続人が控訴したいとき、その入口を握っているのは控訴審ではなく原審だ。この一条を知らないと、誰がどこに何を申し立てるべきか分からないまま、上訴期間という時計だけが進んでいく。
法的な位置づけ
民事訴訟法128条は受継の裁判を定める規定であり、訴訟手続の受継の申立てに対し裁判所が職権で調査し、理由がないと認めるときは決定でこれを却下することを規律する。第2項は、判決書または調書判決の送達後に中断した訴訟の受継申立てについて、判決をした原審裁判所が裁判する旨を定める手続規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手方・身内の死亡や合併を把握し承継人を特定 当事者の死亡や法人の合併消滅を知ったら、戸籍・除籍・商業登記を取得し、正当な承継人(相続人・存続会社)を確定する。相続放棄の可能性があるため熟慮期間の経過も確認する
- 2.受継の申立書を作成し正しい裁判所に提出 受継申立書に事件番号・承継原因・承継人を記載して提出する。判決書または調書判決の送達後に中断した場合は、控訴審ではなく判決をした原審裁判所に出す(民訴128条2項)
- 3.相手が放置するなら自分の側から受継を申し立て進行を強制 承継人がわざと受継を申し立てず訴訟を止めている場合、相手方であるあなたの側から受継の申立てをして手続を再開させる(民訴126条)。裁判所による続行命令(129条)も視野に入れる
- 4.却下を求める側は職権調査ポイントを主張 相手の受継申立てに理由がない(正当な承継人でない・承継原因がない)と考えるなら、裁判所は職権調査で却下しうる(128条1項)ことを踏まえ、その点を具体的に主張する
よくある質問 AI による整理
Q1受継とは何ですか?
当事者の死亡や合併で中断した訴訟を、相続人や存続会社が引き継いで再開させる手続です。民事訴訟法124条以下が定め、128条はその申立てに対する裁判を規律します。
Q2訴訟手続の中断はどんなときに起こりますか?
当事者の死亡、法人の合併消滅、訴訟能力の喪失、法定代理人の死亡などで起こります(民訴124条)。中断中は手続が止まり、受継または続行命令で再開します。
Q3受継の申立ては誰ができますか?
中断した側の承継人(相続人・存続会社)だけでなく、相手方からも申し立てられます(民訴126条)。相手が放置して止めているときの攻めの一手になります。
Q4受継の申立てはいつまでにしないといけませんか?
固定の期限はありませんが、中断中は上訴期間などの進行が停止します(民訴132条)。長く放置すると裁判所が職権で続行を命じることがあります(129条)。
Q5受継の申立てが却下されるのはどんな場合ですか?
申立人が正当な承継人でない、承継原因がないなど理由がないと裁判所が職権調査で認めたときは、決定で却下されます(民訴128条1項)。
Q6当事者の会社が合併で消滅したら訴訟はどうなりますか?
吸収合併では存続会社が訴訟上の地位を包括承継し(会社法750条)、受継の申立てで手続を再開します。M&A のデューデリで係属訴訟の見落としは禁物です。
Q7相続放棄すれば受継しなくて済みますか?
相続放棄をすれば初めから相続人でなかったことになり(民法939条)、被告などの地位も承継しません。原則3か月の熟慮期間内の手続が必要です。
Q8中断中に上訴期間は進みますか?
進みません。中断中は上訴期間その他の期間が停止し、受継の通知または続行の時から新たに全期間が進行を始めます(民訴132条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訴えていた相手が裁判中に死んだら、その裁判ってチャラになるんですか?
なりません。当事者の死亡で訴訟手続は中断しますが(124条)、消滅はせず、相続人がその地位を引き継ぎます。受継の申立てによって手続が再開され、勝てば相続人に対して執行できます。実務のポイント:相続人が受継を申し立てず止めているとき、相手方であるあなたの側からも受継を申し立てられます(126条)。さらに裁判所は職権で続行を命じることもできる(129条)。待つしかないと思って何年も塩漬けにする人が損をします
Q2第一審で勝った直後に相手が亡くなって、相続人が控訴したいと言っています。手続はどこでやるんですか?
判決書の送達後に中断した場合、その受継の申立てを裁くのは判決をした原審、つまり第一審裁判所です(128条2項)。控訴審ではありません。中断中は控訴期間が停止し、受継後にあらためて進行します(132条)。実務のポイント:ここで申立先や期間の起算を誤ると、知らぬ間に控訴期間を空費したり、逆に止まっていることを知らずに無駄に焦ったりします。判決送達後の死亡は『どこに出すか』が普段と違う、と頭に入れておくと一手先を読めます
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴えていた相手が死んだら裁判は終わり、借金もチャラ」と思っている人が多いが、それは前提から誤っている。問うべきは「終わるか」ではなく「誰が引き継ぐか」だ。当事者の死亡は手続の中断にすぎず、相続人が地位を承継して訴訟は続く(124条、128条)
- 受継の申立ては「亡くなった側の相続人だけがするもの」と思われがちだが、相手方であるあなたの側からも申し立てられる(126条)。相続人が引き継がず放置して時間稼ぎをしているとき、待つしかないと諦める人は、この攻めの一手を知らない
- 「受継の申立ては自分の地元の地裁にすればいい」と考える人がいるが、判決送達後に中断した場合は申立先が違う。128条2項は『判決をした裁判所』が裁くと定めており、第一審判決の後なら控訴審ではなく原審に出す。出す場所を間違えただけで上訴期間を空費する落とし穴がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する局面 | 128条:受継申立てに対する裁判(職権調査・却下・申立先) | 124条:中断事由と受継の原則そのもの 129条:裁判所による職権の続行命令 |
| 誰が動くか | 128条:裁判所が職権で調査し裁判する | 124条:当事者の地位が法律上当然に承継される 129条:裁判所が職権で続行を命じる |
| 申立権者 | 128条:承継人・相手方いずれの申立ても審理対象(126条と連動) | 126条:相手方からの受継申立てを認める 129条:申立てなしでも裁判所が続行可能 |
| 判決送達後の取扱い | 128条2項:判決をした原審裁判所が裁判する | 124条:中断の発生のみを規律 132条:中断中の上訴期間等が停止する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も当事者の死亡で訴訟が当然中断し、承継人による承受訴訟で再開する点が日本と共通。相手方からの承受申立ても認められる。
韓国も死亡・合併等による中断と受継の構造を持ち、相手方からの受継申立てを認める点で日本と類似する。
ドイツでは当事者の死亡で手続が中断し(§239)、承継人または相手方が Aufnahme(受継)の申立てで再開する。日本の中断・受継制度の母法的位置にある。
米国連邦民訴規則25(a) は当事者死亡時の当事者交替(substitution)を定め、原則として死亡の記録から一定期間内に申立てが必要。期間管理の点で日本と発想が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸したお金を返してもらおうと相手を訴えていたら、訴訟の最中に相手が病死した。裁判は中断する。あなたは相手の相続人を調べ、受継の申立て(126条で相手方からも可能)をして手続を再開させる。放置すれば、何年も塩漬けになる
- 親が原告として土地の明渡し訴訟を続けていたが、係属中に亡くなった。相続人であるあなたが受継の申立てをしなければ、訴訟は前に進まない。裁判所はあなたが正当な承継人かを職権で調査し、理由がなければ却下する
- もし、第一審で勝った判決書が送達された数日後、控訴期間中に相手方が亡くなったとしたら? 中断中は上訴期間が止まる。だが受継の申立てを裁くのは控訴審ではなく、判決をした原審裁判所だ(128条2項)。申立先を間違えると時間を空費する
- 吸収合併で消滅する側の会社が、係属中の訴訟の当事者だった。あと数日で合併の効力発生日。存続会社が訴訟上の地位を承継し、受継の申立てが要る。デューデリで見落とすと、買った瞬間に被告の椅子に座らされる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方の死亡や合併を知ったら、戸籍・登記で正当な承継人(相続人、存続会社)を特定する2. 相続放棄の可能性があるため、3か月の熟慮期間の経過も確認3. 承継人が受継を申し立てないなら、あなたの側から受継の申立てをして進行を強制(126条) 4. 判決送達後の中断なら、申立先は控訴審ではなく判決をした原審裁判所(128条2項)。出す場所を必ず確認5. 中断中は上訴期間が停止する(132条)ことを前提に、再進行のタイミングを管理する
訴えられた側:1. 受継を求められた相続人なら、まず自分が本当に正当な承継人か検証。相続放棄や限定承認の余地があれば家庭裁判所で手続(民法938条、922条) 2. 相手の受継の申立てに理由がない(承継人ではない、承継原因がない)と考えるなら、裁判所は職権調査で却下しうる(128条1項)ので、その旨を主張3. 自分が承継人と確定したら、亡くなった当事者がそれまでに行った訴訟行為の効果も引き継ぐ点に注意4. 申立先や手続が誤っている場合は、その点も指摘して却下を求める
時効(請求できる期限):受継の申立て自体に固定の時効はない。ただし訴訟手続の中断中は上訴期間その他の期間の進行が停止し、受継の通知または続行の時から新たに全期間が進行を始める(民事訴訟法132条)。当事者が長く受継を申し立てない場合、裁判所は職権で訴訟手続の続行を命じることができる(同129条)。相続放棄を選ぶなら、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月(民法915条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:受継は中断した訴訟を再開させる手続であり、承継人は従前の訴訟状態を包括的に引き継ぐ(訴訟承継主義)。128条1項の職権調査は、無関係な者を当事者の地位に縛らないための手続保障であり、2項が申立先を原審に固定するのは、事案を最もよく知る裁判所に承継の当否を判断させる趣旨と解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により、受継の裁判に関する規定として現行128条が整理された。職権調査・却下および判決送達後の中断における原審管轄が明文化された。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化に伴う改正により、電磁的記録を含む調書判決等の規律が整備され、本条2項が参照する送達後中断の枠組みも電子化対応の中で位置づけられた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める