民事訴訟法 第160条の2(口頭弁論に係る電子調書の更正)
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- 前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも更正することができる。
- 2.前項の規定による更正の処分は、最高裁判所規則で定めるところにより、その旨をファイルに記録してしなければならない。
- 3.第七十一条第四項、第五項及び第八項の規定は、第一項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分及びこれらに対する異議の申立てについて準用する。
この条文の基本情報
口頭弁論に係る電子調書の更正とは何ですか?
定義口頭弁論に係る電子調書の更正とは、民事訴訟法第160条の2に定められた規定で、「前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第160条の2(口頭弁論に係る電子調書の更正)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第160条の2の条文原文は「前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつ…」で始まります。
- 民事訴訟法第160条の2は第一節 口頭弁論に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第160条の2の前の条は民事訴訟法第160条です。
- 民事訴訟法第160条の2の次の条は民事訴訟法第161条です。
- 民事訴訟法第160条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第160条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第160条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/160_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法160条の2は、電子調書に計算違いや誤記など明白な誤りがあるとき、裁判所書記官が申立て又は職権でいつでも更正できると定める。更正処分には異議の申立てが可能である。
Q · 裁判の調書に日付や金額の書き間違いを見つけたら、もう直せないんですか?
明白な誤記なら判決確定後でも更正を申し立てられます
民事訴訟法160条の2により、電子調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所書記官が申立て又は職権で、いつでも更正できます。「いつでも」とあるとおり期間制限はなく、控訴後でも判決確定後でも申立て可能です。更正の処分はファイルに記録して行われます。更正の処分や申立てを却下する処分に不服があるときは、71条4項・5項・8項の準用により異議を申し立てられます。ただし対象は明白な誤りに限られ、供述の趣旨が違うといった実質的な争いは調書記載への異議など別ルートになります。
解説
法廷でのやり取りは、裁判所書記官が作る「電子調書」に記録される。ここに書かれた内容が、後の判決や上訴審での事実認定の土台になる。ところが、証人の供述日を「令和7年3月4日」と書くべきところが「3月14日」になっていた、原告名の漢字が一字違っていた、請求額の桁が一つずれていた。こういうことは現実に起きる。本条が用意しているのは、その明白な誤りを、裁判所書記官が申立てまたは職権で「いつでも」直せる仕組みだ。あなたが知っておくべき点は三つある。第一に、当事者側から更正を「申し立てる」ことができる。書記官が気付くのを待つ必要はない。第二に、期間制限がない。控訴した後でも、確定した後でも申し立てられる。第三に、更正を断られたら、その処分に対して異議を申し立てられる(71条4項等の準用)。調書の記載を「もう決まったこと」として飲み込む必要はない。
法的な位置づけ
民事訴訟法160条の2は、電子調書の更正を定める規定である。前条2項によりファイルに記録された電子調書に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあるとき、裁判所書記官は申立て又は職権により期間の制限なく更正することができる。更正の処分はファイルへの記録によって行われ、当該処分及び申立却下処分に対しては71条等の準用による異議の申立てが認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.電子調書の写しを取り寄せて四点照合 期日後すみやかに電子調書の写し(記録事項証明書等)を取得し、日付・金額・当事者名・引用条文の四点を提出済み書証と突き合わせる。特に和解調書・認諾調書は債務名義になるため最優先で確認する
- 2.誤りの種類を切り分ける 見つけた食い違いが計算違い・誤記の類(本条の更正)なのか、供述の趣旨・ニュアンスの争い(調書記載への異議、民訴160条3項)なのかを最初に判定する。ここを誤ると時間だけを失う
- 3.更正の申立書を書面で提出 担当書記官宛に更正の申立書を提出する。誤りの箇所、正しい内容、誤りが明白であることの根拠(提出済み書証、他の記録との整合)を具体的に特定して記載する。口頭で済ませず必ず書面にする
- 4.却下されたら1週間以内に異議を申し立てる 申立てを却下する処分、または不利な更正処分がされた場合、71条4項・5項・8項の準用により異議を申し立てる。処分の告知を受けた日から1週間の不変期間内に、裁判所宛の異議申立書を提出する
- 5.更正結果をファイル記録で確認し次の手続に反映 更正の処分はファイルに記録してされるため、更正後の電子調書を再取得して反映を確認する。控訴審の主張や執行手続に更正後の内容を引き継ぎ、必要なら執行に関する異議も併せて検討する
よくある質問 AI による整理
Q1電子調書とは何ですか?
口頭弁論等の経過を裁判所書記官が記録し、ファイルに記録した電磁的記録です。令和4年改正による民事訴訟のIT化で、従来の紙の調書から移行しました。判決や上訴審の事実認定の基礎になります。
Q2調書の更正はいつまでに申し立てる必要がありますか?
期間制限はありません。条文上「いつでも」更正できるとされ、控訴後でも判決確定後でも申立て可能です。ただし更正処分・却下処分への異議は、告知から1週間の不変期間内に行う必要があります。
Q3調書の更正は誰がしますか?
裁判所書記官です。判決の更正(民訴257条)が裁判所(裁判官)の決定で行われるのと異なり、160条の2の更正は書記官の処分として行われ、その旨をファイルに記録してされます。
Q4判決の更正と調書の更正は違いますか?
違います。257条は判決を裁判所が決定で更正し、不服は即時抗告。160条の2は電子調書を書記官が処分で更正し、不服は71条準用の異議です。窓口を間違えると門前払いになります。
Q5和解調書の金額が間違っていたらどうすればいい?
直ちに更正の申立てを。和解調書は確定判決と同一の効力(民訴267条)を持ち債務名義になるため、誤記のまま執行文が付与されると差押えの範囲まで動きます。執行前の是正が最優先です。
Q6調書の更正は口頭で頼んでもいい?
電話で伝えるだけでは処分が出ず、不服申立ての足場もできません。書面で申し立てれば更正か却下かの処分が必ず出て、却下されても異議という次の一手が開きます。
Q7更正を断られたときの異議はいつまで?
71条5項の準用により、処分の告知を受けた日から1週間の不変期間内です。異議は裁判所が判断するため、書記官の判断だけで確定するわけではありません。
Q8更正できる誤りの範囲は?
計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りに限られます。記録それ自体や事件記録から一見して誤りと分かるものが対象で、供述の趣旨やニュアンスの争いは更正の枠外です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1調書の中身が自分の記憶と違うんですが、これも直してもらえますか?
誤変換・脱字・日付や金額の書き間違いなど、記録から見て一見して誤りと分かるものは本条で更正できる。しかし「証言のニュアンスが違う」「その趣旨で言っていない」という実質的な争いは更正の対象外で、調書の記載に対する異議(民訴法160条3項)の領域になる。実務のポイント:弁護士は尋問の日、自前でメモを取り、後日の調書と突き合わせる。この対照メモがあると、どちらのルートで争うべきかが即座に判断でき、書記官との交渉も具体的になる
Q2書記官が直してくれないと言ったら、それで終わりですか?
終わらない。更正の申立てを却下する処分に対しては、71条4項・5項・8項の準用により異議を申し立てられる(本条3項)。異議は裁判所が判断するので、書記官の判断で最終確定するわけではない。実務のポイント:異議は処分の告知から1週間の不変期間。電話で断られた段階では処分が出ていないため期間は進まないが、逆に不服申立ての足場もない。書面で申し立てて処分を得ることが、争う入口を作る
間違えやすい点 AI による整理
- 更正と聞くと「判決の更正決定(民訴法257条)と同じもの」と考えがちだが、対象も主体も違う。257条は判決を裁判所(裁判官)が更正する。本条は電子調書を裁判所書記官が更正する。争い方も違い、本条の更正処分への不服は「異議の申立て」(71条準用)であって即時抗告ではない。窓口を間違えると門前払いになる
- 調書の誤りは知っているが、それが後でどこまで効くかを軽く見ている人が多い。和解調書・請求の放棄認諾の調書は債務名義になり、そのまま強制執行の根拠になる。金額の一桁、日付の一日が、そのまま差押えの範囲を決める。「後で言えばいい」と思っている間に、執行文が付与される
- 「明白な誤りって、誰が明白と判断するの?」という問いから入るのが正しい。実務上、更正できるのは計算違い・誤記・これらに類する誤り、つまり記録と真実の食い違いが記録それ自体や事件記録から一見して分かるものに限られる。供述の趣旨が違う、ニュアンスが落ちている、といった実質的な争いは更正の枠外で、調書記載に対する異議など別の手段による。この線引きを最初に見極めないと、時間だけを失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 160条の2:ファイルに記録された電子調書 | 257条:判決(判決書・電子判決書) 160条3項:電子調書の記載内容への不服(実質面) |
| 行う主体 | 裁判所書記官(処分) | 裁判所=裁判官(決定) 当事者の異議を受けて裁判所が判断 |
| 対象となる誤りの範囲 | 計算違い・誤記その他これらに類する明白な誤り | 判決の計算違い・誤記その他これらに類する明白な誤り 記載の正確性そのものへの争い(実質的内容を含む) |
| 不服申立ての方法 | 71条4項・5項・8項の準用による異議の申立て(告知から1週間) | 更正決定に対する即時抗告 異議を述べ、その旨が調書に記録される取扱い |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は判決の顕然錯誤を裁判所の裁定で更正し、筆録の記載については朗読・閲覧と異議の仕組みで争わせる。書記官の更正処分という独立の類型は日本ほど明確でない。
韓国も明白な誤記の更正制度を持つが、調書の更正を書記官の処分として独立に規律するかは規則レベルの確認を要する。
ドイツは調書の更正を明文で置き、更正について当事者の意見を聴く手続を設ける。誤記の更正と実質的内容の争いを区別する発想は日本と共通する。
米国はclerical mistakeの訂正を裁判所がいつでも職権又は申立てで行えるとする。上訴係属後は上訴裁判所の許可を要する点が日本と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 尋問期日の電子調書を取り寄せたら、あなたが「知らなかった」と証言した部分が「知っていた」と記録されていた。ただしこれは明白な誤記なのか、書記官の要約判断なのかで扱いが分かれる。単純な脱字・誤変換なら本条の更正、供述内容の実質に関わるなら調書の記載への異議(民訴法160条3項)という別ルートになる。どちらのドアを叩くかで結果が変わる
- 和解調書に記載された支払期日が「令和8年1月末日」のはずが「令和7年1月末日」となっていた。この調書は確定判決と同一の効力を持つ(民訴法267条)。放置すれば相手方が期限徒過を理由に強制執行に踏み切る余地が生まれる。今すぐ更正の申立てを
- 控訴理由書の締切まであと10日。原審の電子調書を精査していたら、証人の答えと問いの対応がずれて記録されている箇所を見つけた。控訴審は原審の調書を前提に審理する。締切前に更正を申し立てるか、それとも控訴理由書の中で争うか、選択を迫られている
- 書記官に電話で「調書の誤りを直してほしい」と伝えたら、「実質的な内容には及びません」と言われた。ここで引き下がるか、正式に申立てをして却下処分を得た上で異議を申し立てるかで、記録に残るものが変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 調書の写しを取り寄せ、日付・金額・当事者名・引用条文の四点を先に照合する2. 誤りが計算違いや誤記の類なら、担当書記官宛に更正の申立書を提出し、正しい内容と誤りが明白であることの根拠(提出済み書証、他の記録との整合)を添える3. 却下されたら、その処分に対して異議を申し立てる(71条4項等の準用) 4. 供述の趣旨など実質に関わる争いは更正では動かないので、調書の記載に対する異議や上訴の主張として組み替える
訴えられた側:1. 相手方から更正の申立てがあった場合、それが本当に「明白な誤り」の範囲かを検証する。実質的な内容の書き換えを更正の名で通そうとしていないか2. 更正されると自分に不利になる場合、更正の処分に対して異議を申し立てられる3. 特に和解調書・認諾調書は債務名義になるため、更正の結果が執行の範囲を直接動かす。異議の期限管理を最優先に
時効(請求できる期限):更正の申立て自体に期間制限はなく、条文上「いつでも」できる(判決確定後も可)。ただし更正の処分または申立却下の処分に対する異議の申立ては、71条5項の準用により、処分の告知を受けた日から1週間の不変期間内に行う必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:本条の更正は記録の確定性を害さない範囲でのみ許され、対象は記録それ自体又は事件記録から一見して判明する誤りに限定される。実質的内容の変更は更正では行えず、調書記載への異議や上訴の主張として構成すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)民事訴訟法等改正(IT化) 民事訴訟のIT化に伴い、調書が電磁的記録(電子調書)へ移行し、更正も「ファイルに記録して」行う方式に整理された。施行時期が段階的であるため、改正回数および新設か改正かの区別は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正(平成8年法律第109号)。調書に関する規律が現行法の体系に整理された。
- 2.令和4年(2022年) 新設:民事訴訟のIT化を内容とする改正により、調書が電磁的記録(電子調書)へ移行し、その更正手続として本条が置かれた。施行が段階的であるため、適用時期は人的検証を要する。
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