民事訴訟法 第172条(弁論準備手続に付する裁判の取消し)
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裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、弁論準備手続に付する裁判を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなければならない。
この条文の基本情報
弁論準備手続に付する裁判の取消しとは何ですか?
定義弁論準備手続に付する裁判の取消しとは、民事訴訟法第172条に定められた規定で、「裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、弁論準備手続に付する裁判を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなけ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第172条(弁論準備手続に付する裁判の取消し)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第172条の条文原文は「裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、弁論準備手続に付する裁判を取り消すことができる。ただし、当事者双方の申立てがあるときは、これを取り消さなけ…」で始まります。
- 民事訴訟法第172条は第二款 弁論準備手続に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第172条の前の条は民事訴訟法第171条です。
- 民事訴訟法第172条の次の条は民事訴訟法第173条です。
- 民事訴訟法第172条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第172条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第172条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/172
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法172条は、裁判所が弁論準備手続に付する裁判を相当と認めるとき取り消せると定める。当事者双方が申し立てたときは必ず取り消さなければならない。
Q · 非公開の弁論準備手続を、公開の法廷に戻すことはできるの?
双方が申し立てれば裁判所は必ず取り消し、公開法廷に戻ります
民事訴訟法172条本文により、裁判所は相当と認めるとき、申立てまたは職権で弁論準備手続に付する裁判を取り消せます。一方だけの申立ては「相当と認めるとき」という裁判所の裁量判断にとどまります。ただし同条但書により、当事者双方が取消しを申し立てたときは、裁判所に裁量の余地はなく必ず取り消さなければなりません。これにより非公開の争点整理手続は公開の口頭弁論へ戻ります。ただし争点整理が終結し結果が口頭弁論に上程された後(173条)は、取り消す実益がほぼ消えます。
解説
民事訴訟と聞いて思い浮かべるのは、傍聴席のある公開の法廷だろう。だが実際には、争点と証拠を整理する重要な局面の多くは、弁論準備手続という非公開の小部屋で進む。172条はその設定を取り消す条文だ。裁判所は相当と認めれば、申立てまたは職権で、弁論準備手続に付した裁判を取り消せる。ここで効いてくるのが但書だ。当事者双方が取消しを申し立てたとき、裁判所は取り消さなければならない。「できる」ではなく「しなければならない」。つまり、あなたと相手方が揃って公開法廷での審理を望めば、裁判所に裁量の余地はない。非公開の準備室から、傍聴席のある法廷へ。その切替スイッチを、争っている当事者自身が握っている。
法的な位置づけ
民事訴訟法172条は、弁論準備手続に付する裁判の取消しを定める規定である。裁判所は相当と認めるとき申立てまたは職権で取り消すことができるが、当事者双方の申立てがあるときは必ず取り消さなければならない。非公開の争点整理手続を公開の口頭弁論へ戻す手続的根拠となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.現在の手続が公開か非公開かを確認する 受け取った期日通知や調書を確認し、いま進んでいるのが公開の口頭弁論か、非公開の弁論準備手続(民訴168条以下)かを特定する。手続の種類で傍聴の可否と取消しの要否が変わる
- 2.公開法廷へ戻したい理由を整理する 公開による牽制、合議体での審理希望、受命裁判官の訴訟指揮への不信など、非公開を不服とする理由を具体的に整理する。裁量取消し(本文)を求める場合は裁判所を説得する材料になる
- 3.相手方に取消しの共同申立てを打診する 単独申立ては裁判所の裁量判断にとどまるため、相手方に取消しの共同申立てを打診する。双方の申立てが揃えば裁判所は必ず取り消さなければならない(民訴172条但書)。争っていても手続の公開という一点では合意できることがある
- 4.争点整理が終わる前に申し立てる 弁論準備手続が終結し結果が口頭弁論に上程された後(民訴173条)は、取り消す実益がほぼ消える。整理が進みきる前のタイミングで取消しを申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1弁論準備手続を取り消すにはどうすればいいですか?
申立てまたは職権で取消しできますが、確実に取り消されるのは当事者双方が申し立てたときです(民訴172条但書)。一方だけの申立ては裁判所が相当と認めるときに限られます。
Q2弁論準備手続の取消しに期限はありますか?
明文の期間制限はありません。ただし争点整理が終結し結果が口頭弁論に上程された後(民訴173条)は取り消す実益がほぼ消えるため、手続の進行中に申し立てる必要があります。
Q3弁論準備手続は公開されますか?
公開されません。民訴169条により非公開で行われ、一般の傍聴はできません。当事者や代理人は出席でき、裁判所の許可があれば傍聴を認められる場合もあります。
Q4弁論準備手続を取り消すと裁判はどうなりますか?
取り消すと審理は公開の口頭弁論に戻ります。それまでに整理した争点や証拠は、口頭弁論への上程(民訴173条)を経て訴訟資料となります。
Q5片方だけで弁論準備手続の取消しを求めても通りますか?
一方の申立ては裁判所が「相当と認めるとき」に取り消せるにとどまり、認められない可能性があります。双方の申立てが揃えば裁判所は必ず取り消します(民訴172条但書)。
Q6弁論準備手続と口頭弁論の違いは何ですか?
口頭弁論は公開法廷で行う原則的な審理、弁論準備手続は非公開で争点と証拠を整理する手続です。172条は前者へ戻すスイッチを定めます。
Q7受命裁判官の進行に不満があるとき取消しは使えますか?
弁論準備手続は受命裁判官が進めることがあり(民訴171条)、その指揮に不満があるとき取消しを申し立て、合議体の面前での審理へ戻す一手になります。
Q8弁論準備手続の取消しは何条が根拠ですか?
民事訴訟法172条が根拠です。本文が裁量による取消し、但書が当事者双方申立てによる必要的取消しを定めています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁論準備手続って、普通の裁判と何が違うんですか?
弁論準備手続(民事訴訟法168条以下)は、傍聴席のある公開法廷ではなく、会議室のような場所で争点と証拠を整理する非公開の手続です(169条で公開を要しない)。当事者や代理人は出席できますが、一般の傍聴はできません。実務のポイント:多くの民事事件で、判決を除く実質的なやり取りの大半はこの準備室で進みます。「裁判は公開」というイメージと現実にはズレがあり、本当に公開の場を望むなら172条の取消しを意識する必要がある
Q2自分一人が「公開法廷に戻して」と申し立てても、戻せますか?
一方だけの申立てでは、裁判所が「相当と認めるとき」に取り消せるにとどまり、認められない可能性があります(172条本文)。確実に取り消されるのは、当事者双方が取消しを申し立てたときで(同条但書)、このときは裁判所に裁量の余地がなく必ず取り消されます。実務のポイント:相手方とは争っていても、「手続を公開に戻す」という手続事項では利害が一致することがある。敵同士でも組める数少ない場面で、この一点の合意が審理の場そのものを動かす
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「裁判はすべて公開の法廷で行われる」が、実務から見れば争点整理の核心は非公開の弁論準備手続で進む。この落差に気づかないと、傍聴席で見られているはずの審理が、実は人の入れない準備室で進行していることになる
- 「取消しは裁判所の裁量」と知っている人でも、但書の重みまでは知らない。当事者双方の申立てが揃えば裁判所は拒否できず、必ず取り消さなければならない。裁量条文の中に、当事者へ与えられた強制力が一つだけ埋め込まれている
- 「片方が申し立てれば取り消される」と思いがちだが、一方だけの申立ては「相当と認めるとき」という裁判所の裁量判断にとどまる。確実に取り消されるのは、双方が揃って申し立てたときだけだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 172条:弁論準備手続に付する裁判の取消し | 168条:弁論準備手続に付する開始の裁判 173条:弁論準備手続の結果の口頭弁論への上程 |
| 公開・非公開 | 取り消すと公開の口頭弁論へ戻る | 付すると非公開の準備室へ移る(169条) 整理結果を公開法廷で陳述する |
| 当事者の関与 | 双方申立てで必要的取消し(但書) | 当事者の意見を聴いて付する(168条) 当事者が結果を陳述する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も受命法官による準備程序で争点整理を行う。当事者双方の申立てによる必要的取消しという形の明文は日本に特徴的
韓国も非公開の弁論準備手続で争点と証拠を整理する。手続の運用は日本法と近い
ドイツは早期第一回期日や書面準備手続で主期日を準備するが、当事者合意による必要的取消しという構造は採らない
米国の pretrial conference は裁判官主導の進行管理であり、公開・非公開の切替を当事者合意に委ねる仕組みとは性質が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし相手方が、傍聴人のいない準備室での審理を望んで弁論準備手続を申し立てたら、どうなる? あなたが反対でも、裁判所が相当と認めれば手続は進む。だが双方の取消申立てが揃えば、その流れは一変する。
- あなたが原告で、世間の注目を集める事件を争っている。次の期日まであと10日。報道や社会的関心を味方につけたいなら、被告側と協議し、双方で取消しを申し立てて審理を公開法廷へ戻す選択肢がある。残された時間で相手方の同意を取れるかが分かれ目
- 受命裁判官一人が進める弁論準備手続で、その訴訟指揮に不公平を感じている。合議体全体の面前で勝負したいとき、取消しの申立ては裁判の場そのものを動かす一手になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 今の手続が弁論準備手続(非公開)か口頭弁論(公開)かを確認する2. 非公開を不服とする理由を整理する(公開による牽制、合議体での審理希望、訴訟指揮への不信など) 3. 単独申立ては裁判所の裁量判断にとどまるため、相手方に取消しの共同申立てを打診する。双方が揃えば裁判所は取り消さなければならない(172条但書) 4. 争点整理が完了する前に動く。終盤では公開法廷へ戻す実益が乏しい
訴えられた側:1. 相手方が取消しを申し立てても、あなたが同調しなければ裁判所の裁量判断にとどまる(相当と認めるときのみ取消し) 2. 非公開を維持する利益(営業秘密、プライバシー、和解協議のしやすさ)を裁判所に具体的に説明する3. 弁論準備手続のメリット(柔軟な進行、集中した争点整理)を主張する4. 双方申立てによる必要的取消しを避けたいなら、共同申立てには応じない姿勢を明確にする
時効(請求できる期限):特定の時効はない。手続の取消申立てに法定の期間制限はないが、弁論準備手続が終結し、その結果が口頭弁論に上程(民事訴訟法173条)された後は取り消す実益がほぼ消えるため、争点整理の進行中に申し立てる必要がある
学説
通説:172条本文の取消しは裁判所の裁量によるが、但書の当事者双方申立てによる取消しは必要的であり、裁判所に裁量の余地はないと解されている。手続選択における当事者の意思を尊重した規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧法の準備手続を見直し、争点整理のための弁論準備手続を新設。これに伴い、付する裁判の取消しを定める172条が設けられた。当事者双方の申立てによる必要的取消しを明記し、手続選択における当事者の意思を尊重した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により、争点整理のための弁論準備手続が新設された。これに伴い、付する裁判の取消しを定める172条が設けられ、当事者双方の申立てによる必要的取消しが明記された。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続のIT化に伴う改正で、弁論準備手続のウェブ会議等による実施が整備され、関連規定の文言が見直された。
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