民事訴訟法 第168条(弁論準備手続の開始)
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裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる。
この条文の基本情報
弁論準備手続の開始とは何ですか?
定義弁論準備手続の開始とは、民事訴訟法第168条に定められた規定で、「裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第168条(弁論準備手続の開始)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第168条の条文原文は「裁判所は、争点及び証拠の整理を行うため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、事件を弁論準備手続に付することができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第168条は第二款 弁論準備手続に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第168条の前の条は民事訴訟法第167条です。
- 民事訴訟法第168条の次の条は民事訴訟法第169条です。
- 民事訴訟法第168条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第168条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第168条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/168
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法168条は、裁判所が争点と証拠の整理のため、当事者の意見を聴いて事件を非公開の弁論準備手続に付することができると定める。
Q · 弁論準備手続って何をする場で、普通の裁判と何が違うんですか?
非公開で争点と証拠を整理する手続です
民事訴訟法168条により、裁判所は争点及び証拠の整理が必要と認めるとき、当事者の意見を聴いて事件を弁論準備手続に付すことができます。公開の口頭弁論と異なり非公開の準備室やウェブ会議で行われ、裁判官と当事者双方が主張と証拠を突き合わせて争点を絞り込みます。判決を書く裁判官の心証はこの段階でほぼ固まることが多く、和解の打診もここで出ます。整理結果は後で公開の口頭弁論で陳述されます(173条)。
解説
テレビドラマの裁判シーンを思い浮かべてほしい。傍聴席が埋まった公開法廷で、証人が問い詰められ、弁護士が立ち上がって異議を唱える。あなたは自分の事件もあの舞台で決まると信じている。だが実際の民事裁判では、勝敗の大半は傍聴席のない小さな会議室で決まる。それが民事訴訟法168条の定める弁論準備手続だ。裁判所は、争点と証拠を整理する必要があると判断したとき、あなたと相手方の意見を聴いたうえで、事件をこの非公開の手続に移すことができる。ここで何が起きるか。裁判官が双方の主張を突き合わせ、「この事件の本当の争点はこの一点だ」と絞り込む。判決を書く裁判官の心証は、華やかな証人尋問の前、この地味な部屋でほぼ固まっている。表舞台しか見ていない当事者は、楽屋で勝負の大半が終わっていることに気付かないまま、不利な土俵に立たされる。
法的な位置づけ
弁論準備手続とは、民事訴訟において裁判所が争点及び証拠を整理するため、当事者の意見を聴いて事件を付する非公開の手続をいう。準備的口頭弁論・書面による準備手続と並ぶ争点整理手続の一類型であり、整理の結果は後に口頭弁論で陳述される(173条)。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.弁論準備手続の前に主張と証拠を一覧化 訴える側は請求を基礎づける主要事実と証拠を、訴えられた側は反論の柱(否認か抗弁か)と有利な証拠を、手続が始まる前に一覧化しておく。後出しを避ける土台になる
- 2.争点整理案に自分の主張が反映されているか確認 期日前に届く争点整理案を熟読し、自分の主張が漏れなく反映されているか代理人に確認する。漏れていれば手続が終結する前に追加する
- 3.期日で不利な争点の絞り込みに異議を述べる 期日では裁判官が『本件の争点はここ』と絞り込む瞬間に注意する。自分に不利な絞り方であればその場で異議を述べ、合意したと扱われないようにする
- 4.終結前に決定的な主張・証拠を出し切る 手続が終結する前に決定的な主張と証拠をすべて提出する。小出しにすると終結後に時機に後れたものとして却下されたり(157条)説明義務を負う(174条準用167条)
- 5.和解の打診は心証のサインとして読む 裁判官が和解を打診したら、心証がある程度固まったサインと読む。判決リスクと和解条件を比較し、密室の一言で結論を急がず持ち帰って検討する
よくある質問 AI による整理
Q1弁論準備手続とは何ですか?
裁判所が争点と証拠を整理するため、当事者の意見を聴いて事件を付する非公開の手続です。民事訴訟法168条が根拠で、争点整理手続の一類型です。
Q2弁論準備手続の流れは?
口頭弁論の後に付され、裁判官と当事者双方が準備室で主張と証拠を突き合わせ争点を絞り込みます。整理後は口頭弁論で結果を陳述します(173条)。
Q3弁論準備手続は何回くらい開かれますか?
法定回数はなく、争点の複雑さによります。数回で終わる事件も半年以上かかる事件もあり、実質的な締切は手続の終結時だと考えるべきです。
Q4弁論準備手続に欠席するとどうなりますか?
正当な理由のない欠席は不利益につながり得ます。手続が進められたり、提出予定だった主張が時機に後れたものと扱われることがあります。
Q5弁論準備手続に本人も出席できますか?
できます。代理人がいても本人の同席は可能で、ウェブ会議(170条)を使えば遠隔地からも参加でき、密室の議論を本人が把握する手段になります。
Q6準備的口頭弁論と弁論準備手続の違いは?
準備的口頭弁論(164条)は公開法廷で行う争点整理、弁論準備手続(168条)は非公開で行う争点整理です。事件の性質で使い分けられます。
Q7弁論準備手続はウェブ会議でできますか?
できます。170条により電話会議・ウェブ会議が認められ、令和4年改正で拡充されました。当事者が遠隔地でも自宅から参加できます。
Q8弁論準備手続が終わった後でも新しい主張はできますか?
原則できますが、終結後に提出すると、なぜ早く出せなかったかの説明義務を負います(174条準用167条)。実務上は終結前に出し切るべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1弁論準備手続って傍聴できないんですか?普通の裁判と何が違うんですか?
傍聴できません。通常の口頭弁論は公開法廷(憲法82条)ですが、弁論準備手続は非公開の準備室やラウンドテーブル法廷で行われ、裁判官が相当と認める者しか在席できません(169条2項)。最近はウェブ会議でも実施できます(170条)。実務のポイント:非公開だからこそ、裁判官は公開法廷では言いにくい心証や和解の本音を口にしやすい。代理人を立てている人は、この部屋でのやり取りを必ず報告させること。あなたの事件の実質的な方向は、傍聴できないこの場で決まっている
Q2争点整理の段階で和解を勧められたら、断ってもいいんですか?
断れます。和解はあくまで当事者の合意で、裁判官に勧められても応じる義務はなく、断れば審理は判決に向けて進みます。ただし裁判官が和解を勧めるのは、心証がある程度固まったサインであることが多いです。実務のポイント:弁論準備の段階で裁判官が積極的に和解を打診してきたら、「この裁判官は判決の方向をすでに見ている」と読むのが実務感覚。あなたに不利な打診なら判決でも厳しい可能性があり、有利な打診なら相手が判決を恐れている証拠。断るか応じるかは、その心証の傾きを読んでから決める
間違えやすい点 AI による整理
- 裁判の山場は証人尋問だと思っているが、実は争点整理の弁論準備手続で勝敗の大半が決まる。証人尋問は、すでに固まった争点を確認する儀式に近い場合が多い
- 弁論準備手続が非公開なのは知っていても、その「非公開」の深刻な意味を知らない。傍聴できないということは、相手方代理人と裁判官がどんなやり取りで心証を形成したか、当事者本人すら後から検証しにくいということだ。代理人任せにすれば、自分の事件なのに密室で何が決まったか分からなくなる
- あなたから見れば「手続を事務的に整理する期日」だが、裁判官から見れば「心証を形成し和解を打診する実質審理の場」。この落差を知らずに臨むと、整理という名のもとに不利な争点設定が固まっていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 公開・非公開 | 弁論準備手続(168条):非公開の準備室・ウェブ会議 | 準備的口頭弁論(164条):公開法廷 書面による準備手続(175条):出頭不要・書面交換のみ |
| 当事者の関与形態 | 出頭または電話・ウェブ会議で口頭整理(170条) | 公開法廷に出頭して口頭で整理 原則出頭せず書面の交換で整理 |
| 想定される事件 | 争点が複雑で柔軟な整理や和解協議が望ましい事件 | 公開での集中審理が相当な事件 当事者が遠隔地など出頭が困難な事件 |
| 整理結果の扱い | 口頭弁論で結果を陳述(173条)、終結後は説明義務(174条) | そのまま口頭弁論の一部を構成 要約書面の陳述等で口頭弁論に上程 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も受訴裁判所が準備程序で争点と証拠を整理する。争点整理の協議を重視する点で日本の弁論準備手続と機能が近い。
韓国は『변론준비절차』として書面と期日による争点整理を制度化。日本法を母法とするため構造が酷似する。
ドイツは口頭弁論を集中的に行うため事前準備(früher erster Termin / schriftliches Vorverfahren)で争点を整理する。日本の争点整理思想の母法。
米国は pretrial conference で争点を絞り和解を促す。非公開で柔軟に進め心証形成と和解協議が行われる点が機能的に対応する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 弁論準備手続の期日まであと10日、あなたは何を準備すればいい? 代理人から「争点整理案」が送られてきたが、相手の主張への反論をどこまで書き込むべきか分からない。ここで出し損ねた主張は、整理が終わった後に出すと「なぜ今まで黙っていたのか」を説明させられる(174条準用167条)。この10日が、あなたの言い分の輪郭を決める
- あなたが訴えられた側で、第1回口頭弁論のあと裁判官が「次回から弁論準備に」と告げた。これは事件が公開法廷から非公開の小部屋に移る合図だ。傍聴人の目がなくなる分、裁判官は本音で和解を打診してくる
- 本人訴訟で臨んだあなたが弁論準備手続の小部屋に入ると、裁判官と相手方弁護士が当然のように専門用語で進めていく。意見を聴かれても何を言えばいいか分からず頷いてしまい、後で「あのとき争点はこれで合意したことになっている」と気付く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 訴えを起こす側なら、弁論準備手続に入る前に、請求を基礎づける主要事実と証拠を一覧化しておく2. 期日前に届く争点整理案を熟読し、自分の主張が漏れなく反映されているか代理人に確認、漏れていれば終結前に追加3. 期日では裁判官が「本件の争点はここ」と絞り込む瞬間に注意、自分に不利な絞り方なら異議を述べる4. 和解の打診が出たら、裁判官の心証の傾きを示すサインと読み、判決まで戦うか有利な条件で降りるかを冷静に試算する
訴えられた側:1. 訴えられた側は、反論の柱(否認するのか、抗弁を立てるのか)を弁論準備手続が終わるまでに固める2. 相手の主張のうち争う点と認める点を明確にし、争点整理案に反映させる3. 自分に有利な証拠(契約書、LINE 履歴、領収書)は整理段階で全部提出、後出しは説明義務を負う(174条準用167条) 4. 裁判官が和解を打診したら、判決リスクと和解条件を比較、密室の一言で結論を急がず、持ち帰って検討する権利がある
時効(請求できる期限):弁論準備手続そのものに法定の期限はないが、攻撃防御方法は適時に提出する義務があり(156条)、手続終結後に新たな主張・証拠を出すと、なぜ早く出せなかったかの説明を求められる(174条準用167条)。実質的な締切は「弁論準備手続が終結するまで」だと考えるべき
学説
通説:弁論準備手続は争点整理手続の中核であり、非公開で柔軟に争点と証拠を整理できる利点を持つ。裁判の公開原則(憲法82条)の例外だが、整理結果を口頭弁論で陳述させる仕組み(173条)によって公開性を担保すると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧法の準備手続を再構成し、弁論準備手続を新設。争点整理手続を準備的口頭弁論・弁論準備手続・書面による準備手続の三類型に整理し、168条はその中核として裁判所が当事者の意見を聴いて事件を付する要件を定めた
- 令和4年(2022年)IT 化改正 弁論準備手続におけるウェブ会議の活用が拡充され(170条関連)、当事者が遠隔地から争点整理に参加できる運用が広がった。168条本文の要件自体は維持された
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により弁論準備手続を新設。争点整理手続を準備的口頭弁論・弁論準備手続・書面による準備手続の三類型に整理し、168条はその中核として裁判所が当事者の意見を聴いて事件を付する要件を定めた。
- 2.令和4年(2022年) 改正:IT 化改正により弁論準備手続におけるウェブ会議の活用が拡充され(170条関連)、当事者が遠隔地から争点整理に参加できる運用が広がった。168条本文の要件自体は維持された。
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