民事訴訟法 第215条の2(鑑定人質問)
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- 裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる。
- 2.前項の質問は、裁判長、その鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順序でする。
- 3.裁判長は、適当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、前項の順序を変更することができる。
- 4.当事者が前項の規定による変更について異議を述べたときは、裁判所は、決定で、その異議について裁判をする。
この条文の基本情報
鑑定人質問とは何ですか?
定義鑑定人質問とは、民事訴訟法第215条の2に定められた規定で、「裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第215条の2(鑑定人質問)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第215条の2の条文原文は「裁判所は、鑑定人に口頭で意見を述べさせる場合には、鑑定人が意見の陳述をした後に、鑑定人に対し質問をすることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第215条の2は第四節 鑑定に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第215条の2の前の条は民事訴訟法第215条です。
- 民事訴訟法第215条の2の次の条は民事訴訟法第215条の3です。
- 民事訴訟法第215条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第215条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第215条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/215_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法215条の2は、鑑定人への質問順序を裁判長、鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順と定める。証人尋問と異なり裁判長が最初に問う。
Q · 鑑定人質問って、最初に質問するのは自分側の弁護士じゃないの?
原則として裁判長が最初に質問します
民事訴訟法215条の2第2項により、鑑定人への質問は裁判長、鑑定の申出をした当事者、他の当事者の順で行われます。証人尋問(202条)と異なり、最初に問うのは当事者ではなく裁判長です。第3項で裁判長は当事者の意見を聴いて順序を変更でき、第4項で当事者は変更に異議を述べられます。ただし異議はその場で述べないと、民訴法90条の責問権喪失により後から争えなくなります。
解説
医療過誤を争う訴訟で、あなたが選任を求めた鑑定人がいよいよ法廷に立つ。あなたは「まず自分側の弁護士が質問できる」と思っているかもしれない。違う。民訴法215条の2は、鑑定人への質問の順番をわざと逆にした。証人尋問なら申出側の当事者が先に切り込む(202条)が、鑑定人質問では裁判長が最初に問う。次にあなた、最後に相手方、という固定順序だ。この一見地味な順序の差こそ、平成15年(2003年)改正の核心だった。医師など専門家が攻撃的な交互尋問を恐れて鑑定を引き受けなくなり、専門的な裁判が回らなくなった。そこで裁判長を最初の質問者に据え、専門家を守る盾にした。だがここに落とし穴がある。3項で裁判長は当事者の意見を聴いて順序を変えられ、4項であなたは異議を述べられる。ただしその異議を「その場」で出さなければ、権利は静かに消える。
法的な位置づけ
民事訴訟法215条の2は、鑑定人質問の手続と順序を定める規定である。裁判所は鑑定人に口頭で意見を述べさせた後に質問でき、その順序は裁判長、鑑定の申出をした当事者、他の当事者とされる。裁判長は当事者の意見を聴いて順序を変更でき、当事者は変更に異議を述べることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.鑑定書は結論でなく前提を点検する 鑑定書を受領したら、結論部分ではなく、前提とした事実・提出資料・検査値・調査方法を逐一点検する。ここが鑑定の信用性を崩せる急所になる
- 2.裁判長の最初の質問を聞いてから自分の質問を組み直す 215条の2第2項で裁判長が最初に問う。その問いは裁判官が鑑定書のどこに疑問を持っているかの地図になる。用意した質問に固執せず、裁判長と鑑定人のやり取りを踏まえて質問を再構成する
- 3.順序変更の打診にはその場で判断し異議を述べる 裁判長から第3項の順序変更を打診されたら、自分に有利か即座に判断する。不利なら第4項に基づきその場で異議を述べる。黙って本案の質問に入ると民訴90条の責問権喪失で争えなくなる
- 4.質問は鑑定の信用性に集中させる 質問は前提の誤り・調査方法の不備など信用性に絞る。感情的な追及は逆効果。崩せない場合は反対鑑定や私的鑑定意見書(私鑑定)での対抗も検討する
よくある質問 AI による整理
Q1鑑定人質問とは何ですか?
鑑定人が口頭で意見を述べた後に行う質問手続です。民訴215条の2が根拠で、裁判長が最初に問い、次に申出当事者、最後に相手方の順序になります。
Q2鑑定人質問と証人尋問は何が違いますか?
証人尋問(202条)は申出側当事者が先に尋問しますが、鑑定人質問(215条の2)は裁判長が先に問います。順番が正反対で、専門家を保護する趣旨です。
Q3鑑定書が不利な内容のとき反論できますか?
できます。鑑定人質問で前提とした事実・資料・検査値の誤りや調査方法の不備を突けます。ここが鑑定の信用性を崩せる実質的に最後の場です。
Q4鑑定人質問では何を質問すればいいですか?
結論ではなく鑑定の前提条件、使用した資料、調査方法の妥当性に集中します。感情的な追及は逆効果で、信用性に絞った質問が有効です。
Q5私的鑑定(私鑑定)とは何ですか?
当事者が私的に専門家へ依頼して作成する鑑定意見書です。裁判所の鑑定に対抗する反証として提出でき、鑑定結果を争う有力な手段になります。
Q6鑑定人への質問順序はいつ決まりますか?
原則は215条の2第2項の法定順序(裁判長→申出当事者→相手方)です。裁判長が適当と認めれば、当事者の意見を聴いて期日内で変更できます。
Q7鑑定人質問はオンラインでできますか?
映像等の送受信による方法が認められる場合があります(215条の3等、現行効力は要確認)。遠隔地の専門家の負担軽減が目的です。
Q8鑑定人を信用できないとき交代させられますか?
鑑定人に誠実な鑑定を妨げる事情があれば忌避を申し立てられます(民訴214条)。質問前の中立性を担保する制度です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1鑑定人質問って、こちらの弁護士が最初に質問できないんですか?
できません。民訴法215条の2第2項で、最初に質問するのは裁判長、次に鑑定を申し出た当事者、最後に相手方の順です。証人尋問(202条)が当事者主導なのとは正反対の設計になっています。実務のポイント:裁判長の最初の質問は、その裁判官が鑑定書のどこに疑問を持っているかの地図になります。優秀な代理人は用意した質問より、裁判長の問いに対する鑑定人の答えのほうを注意深く聞き、その綻びに食い込む。
Q2順番を変えられて不利になったら、後から文句を言えますか?
原則として言えません。215条の2第3項の順序変更に異議があるなら、その変更がなされた『その場』で第4項の異議を述べる必要があります。黙って本案の質問に入れば、民訴法90条の責問権喪失で、後から争えなくなります。実務のポイント:『異議あり』は刑事ドラマの専売特許ではなく、民事の手続違背でも即座に言わなければ権利が消える。裁判長の順序変更の提案に迷ったら、まず『意見を述べさせてください』と一言挟んで時間を稼ぐのが実務の呼吸です。
間違えやすい点 AI による整理
- 証人尋問と同じく自分側の当事者が先に質問できると思っているが、鑑定人質問は裁判長が先に問う(215条の2第2項)。証人尋問(202条)とは順番が逆で、最初の主導権はあなたではなく裁判官にある。
- 順序変更に不満なら異議を述べればよいと知っていても、その異議を「その場で直ちに」出さなければ責問権を失う(民訴法90条)という深刻さまでは知らない人が多い。黙って本案の質問に入った瞬間、争う道が閉じる。
- 「鑑定人質問は鑑定書の中身を確認するだけの形式手続」と考えている人は、問いの立て方そのものを誤っている。鑑定書の前提の甘さや調査方法の不備を突ける機会は実質ここしかなく、ここを逃せば鑑定結果は事実上確定する。あなたから見れば確認作業でも、訴訟戦略から見れば最後の反撃の場だ。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 最初の質問者 | 215条の2:裁判長が最初に問う | 202条(証人尋問):尋問を申し出た当事者が先 215条:鑑定人が口頭で意見を陳述(質問の前提段階) |
| 質問・尋問の順序 | 裁判長 → 申出当事者 → 他の当事者 | 申出側 → 相手方 → 申出側(再主尋問) 意見陳述方式の定め(書面または口頭) |
| 制度の趣旨 | 攻撃的尋問から専門家を保護し鑑定の担い手を確保 | 当事者主導の交互尋問で事実を解明 鑑定意見を訴訟に取り込む方式の整備 |
| 順序変更と異議 | 裁判長が当事者の意見を聴いて変更可、当事者は異議可(3項・4項) | 裁判長は尋問の順序を変更できる(202条2項) — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は鑑定について別段の定めを除き人証の規定を準用する建付けで、日本のように裁判長を最初の質問者とする独立条文は置いていない
韓国も感定(鑑定)に証人尋問の規定を準用する構造で、専門家保護のための質問順序の明文化という点では日本の215条の2が独自色を持つ
ドイツは鑑定人(Sachverständiger)に証人の規定を準用し、当事者に質問権(Fragerecht)を認める。裁判所主導で鑑定人を尋問する実務が一般的
米国は当事者主導の鑑定(expert witness)が原則だが、Rule 706で裁判所選任鑑定人、Rule 614で裁判所自身による証人尋問を認める。裁判所が先に問う日本の設計とは出発点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 鑑定書があなたに不利な内容で届いた。次回期日に鑑定人質問が予定されている。もし、その場で鑑定の前提となった事実や検査値の誤りを突けなかったら? その鑑定結果はそのまま判決の土台になる。残された準備期間で、崩すべき一点をどこに絞るかが勝負になる。
- あなたが相手方(鑑定を申し出ていない側)で、裁判長から「順番を変えてあなたが先に質問しては」と打診された。受けるべきか。先に問えば主導権を取れるが、鑑定人の生の見解を聞く前に手の内を晒すリスクもある。即断を迫られる。
- あなたが医師として鑑定人を引き受けた。法廷で最初に質問するのが裁判長だと知り、当事者の代理人からいきなり浴びせられる旧来の反対尋問の恐怖が和らぐ。この順序ルールこそ、あなたのような専門家が鑑定を引き受けやすくするために作られた制度だ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 鑑定書を受領したら、結論ではなく前提とした事実・資料・検査値を逐一点検する、ここが崩せる急所だ2. あなたは裁判長の次、相手方の前に質問できる(215条の2第2項)、この第二の位置を活かし裁判長が示した疑問を補強する質問を準備する3. 順序変更の打診があれば自分に有利か即判断、不利なら4項の異議をその場で述べる4. 質問は鑑定の信用性(前提の誤り、調査方法の不備)に集中させ、感情的な追及は逆効果と心得る
訴えられた側:1. あなたは質問順が最後(215条の2第2項)、裁判長と申出側のやり取りを全部聞いてから問える、この情報優位を最大化する2. 裁判長から「あなたを先に」と順序変更を打診されたら、手の内を晒す不利と主導権を取る利を天秤にかける3. 鑑定書が相手に有利でも、反対鑑定や私的鑑定意見書(私鑑定)で対抗する道がある4. 異議を述べるなら4項に基づきその場で出し、裁判所の決定を求める
時効(請求できる期限):特定の時効はない。だが手続上の急所がある。3項の順序変更に対する4項の異議は、変更がなされた口頭弁論期日のその場で直ちに述べなければ、民訴法90条(責問権の喪失)により、以後その手続違背を争えなくなる。
学説
通説:215条の2は専門家保護の趣旨から、裁判長を最初の質問者とする独立した鑑定人質問手続を定めたものと解される。攻撃的な交互尋問を嫌う専門家の鑑定引受けを促し専門訴訟の機能を確保する一方、当事者の質問権は3項の順序変更と4項の異議で調整される。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)改正 本条を新設。従来の鑑定は証人尋問の規定を準用し当事者が先に尋問していたが、専門家が攻撃的な交互尋問を嫌って鑑定の引受けを敬遠する問題が深刻化した。そこで裁判長を最初の質問者とする独立した鑑定人質問の手続を創設し、専門家の負担を軽減した
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:本条を新設。従来は鑑定に証人尋問の規定を準用し当事者が先に尋問していたが、専門家が攻撃的な交互尋問を嫌い鑑定の引受けを敬遠する問題が深刻化したため、裁判長を最初の質問者とする独立した鑑定人質問手続を創設した
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