民事訴訟法 第241条(証拠保全の費用)
クイックジャンプ
証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とする。
この条文の基本情報
証拠保全の費用とは何ですか?
定義証拠保全の費用とは、民事訴訟法第241条に定められた規定で、「証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第241条(証拠保全の費用)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第241条の条文原文は「証拠保全に関する費用は、訴訟費用の一部とする。」で始まります。
- 民事訴訟法第241条は第七節 証拠保全に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第241条の前の条は民事訴訟法第240条です。
- 民事訴訟法第241条の次の条は民事訴訟法第242条です。
- 民事訴訟法第241条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第241条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第241条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/241
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法241条は、証拠保全に関する費用を訴訟費用の一部と定める。本訴で勝訴すれば敗訴者負担の原則により相手方へ請求できるが、弁護士費用は含まれない。
Q · 証拠保全にかかった費用は、後で相手から取り戻せますか?
勝訴すれば相手方に請求できるが、弁護士費用は別
民事訴訟法241条により、証拠保全に関する費用は訴訟費用の一部として扱われます。提訴前にカルテやサーバーデータを保全したときの複写費・専門家日当・申立手数料も、本訴で勝訴すれば敗訴者負担の原則(民訴61条)に基づき相手方へ請求できます。ただし二つの落とし穴があります。第一に、訴訟費用に弁護士費用は含まれません。第二に、回収には判決確定後に訴訟費用額確定処分(民訴71条)という別の申立てを自分で起こす必要があります。
解説
医療ミスを疑って病院を訴えようと考えたとき、最初にやるべきは訴状の作成ではない。カルテを病院が書き換える前に押さえる「証拠保全」だ。裁判官と一緒に病院へ乗り込み、カルテを丸ごと複写する。問題はその費用。複写業者やカメラマンへの支払い、申立ての手数料、場合によっては立ち会う専門家の日当、合計で数万円から数十万円かかる。多くの人はこれを「自腹の調査費」と思い込む。だが民事訴訟法241条は、証拠保全に関する費用を訴訟費用の一部とすると定めている。つまり、その後の本訴であなたが勝てば、敗訴者負担の原則(61条)によって相手から取り戻せる対象になる。訴訟が始まる前に払った金が、判決の後で戻ってくる道がある。ただし落とし穴もある。ここでいう訴訟費用に弁護士費用は含まれない。そして取り戻すには訴訟費用額確定という別の手続を自分で起こす必要がある。
法的な位置づけ
民事訴訟法241条は、証拠保全に関する費用の負担を定める規定であり、提訴前後を問わず証拠保全手続(同法234条)に要した費用を訴訟費用の一部として扱う旨を規定する。これにより当該費用は、本案の訴訟費用負担の裁判(同法61条以下)および訴訟費用額確定処分(同法71条)の対象に組み込まれる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.証拠の改ざん・滅失リスクを評価する 医療・建築・労働など相手が証拠を握る事件では、紛争が表面化した直後にカルテ・社内サーバー・施工記録などが書き換え・削除されるリスクを評価する。相手の証拠保存期間が実質的な時間制約になる
- 2.弁護士を通じて証拠保全を申し立てる 管轄裁判所に証拠保全(民訴234条)を申し立てる。提訴前でも可能で、決定が出れば裁判官同行で対象物を保全・複写する。手数料・複写費・専門家日当が発生する
- 3.支払った費用の領収書をすべて保管する 複写業者・カメラマン・立会専門家への支払いと申立手数料の領収書を全て保管する。これが後で241条により訴訟費用として算入される根拠資料になる
- 4.勝訴後に訴訟費用額確定処分を申し立てる 本訴で勝訴し判決が確定したら、訴訟費用額確定処分(民訴71条)を申し立て、証拠保全費用を含む金額を確定させて相手方に請求する。この最後の一手を忘れると回収できない
よくある質問 AI による整理
Q1証拠保全とは何ですか?
訴訟前に相手が握る証拠の改ざん・滅失を防ぐため、裁判官同行でカルテやデータを保全する手続です(民訴234条)。その費用は241条で訴訟費用の一部とされます。
Q2証拠保全の費用は誰が払いますか?
申立人がいったん立て替えますが、民訴241条により訴訟費用の一部となり、本訴で勝訴すれば敗訴者負担の原則で相手方に請求できます。
Q3証拠保全の費用はいくらかかりますか?
申立手数料は数千円ですが、複写業者・カメラマン費用、医療事件の専門家日当を含めると数万円から数十万円規模になります。
Q4カルテの証拠保全はどうやるのですか?
弁護士を通じ管轄裁判所に証拠保全を申し立て、裁判官同行で病院に赴きカルテを複写します。提訴前でも申立て可能です。
Q5訴訟費用の確定手続とは何ですか?
判決で費用負担割合が決まった後、具体的金額を確定して取り立てるための訴訟費用額確定処分(民訴71条)を別途申し立てる手続です。
Q6証拠保全は提訴前でもできますか?
できます。むしろ相手が証拠を隠す前に押さえる目的なので、実務では提訴前に行うのが典型です。その費用も後の本訴で訴訟費用に組み込まれます。
Q7訴訟費用に弁護士費用は含まれますか?
含まれません。日本の訴訟費用は印紙代・送達費用・証拠調べ費用などに限られ、弁護士報酬は原則自己負担です。
Q8証拠保全の費用は本当に取り戻せますか?
本訴で勝訴し、判決確定後に訴訟費用額確定処分を申し立てれば回収できます。この一手を踏まないと事実上戻りません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証拠保全って弁護士に頼むといくらかかりますか? 全部自腹ですか?
申立手数料は数千円程度ですが、カルテ等の複写業者・カメラマン費用、医療事件なら専門家の立会い日当を含めると数万円から数十万円かかります。ただし民事訴訟法241条で訴訟費用の一部とされ、本訴で勝てば相手に請求できます。実務のポイント: ただし弁護士報酬はこの訴訟費用に含まれません。勝っても弁護士費用は自腹が原則です。証拠保全費用が戻ることと、弁護士費用が戻らないことを分けて考えないと、回収額の見積もりを大きく外す
Q2提訴前に証拠保全だけして、結局裁判をやめたら費用はどうなりますか?
本訴を起こさなければ、241条の「訴訟費用の一部」として相手に回す前提が成立せず、原則として自己負担になります。証拠保全はあくまで将来の本訴を前提とした手続だからです。実務のポイント: だからこそ証拠保全は訴える腹を固めてからが鉄則。保全で相手の手札を見て勝てないと撤退する判断もあり得ますが、その場合の保全費用は戻らない覚悟がいる。保全は訴訟への片道切符に近い
間違えやすい点 AI による整理
- 証拠保全の費用が訴訟費用になることは知っていても、その「訴訟費用」に弁護士費用が一切含まれないことを知らない人が多い。日本の訴訟費用は印紙代・送達費用・証拠調べ費用などに限られ、最大の出費である弁護士報酬は原則として自己負担。証拠保全費用が戻っても、弁護士費用は戻らない
- 「勝訴したのに証拠保全の費用が戻ってこない」と憤る人がいるが、問いの立て方が違う。判決で「訴訟費用は被告の負担とする」と出ても、それは負担割合を決めただけ。具体的な金額を取り立てるには、訴訟費用額確定処分(71条)という別の申立てを自分で起こす必要がある。多くの人がこの一手間を知らず、回収を諦めている
- 証拠保全は「裁判が始まってから」やるものだと思われがちだが、実務では提訴前に行うのが典型。むしろ相手が証拠を隠す前に押さえるのが目的だから、訴訟より先に動く。その提訴前にかかった費用も、後の本訴で訴訟費用に組み込まれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 241条:証拠保全費用を訴訟費用に算入する | 61条:訴訟費用を敗訴者が負担する原則 71条:訴訟費用額を確定し回収する手続 |
| 適用場面 | 提訴前後の証拠保全に費用が発生したとき | 本案判決で費用負担割合を決めるとき 判決確定後に具体的金額を取り立てるとき |
| 対象となる費用 | 複写費・専門家日当・申立手数料(弁護士費用は除く) | 訴訟費用全般の負担者を決定 確定済みの訴訟費用の金額 |
| 申立人の追加アクション | 領収書の保管 | 本案での主張立証 確定処分の申立てが必須 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も訴訟費用は敗訴者負担を原則とし、証拠保全費用は手続費用として本案に取り込まれ得る点で日本と類似する。
韓国も訴訟費用の敗訴者負担を採り、証拠保全(증거보전)費用の取扱いは日本に近い。
ドイツの独立証拠手続(selbständiges Beweisverfahren)の費用は本案の訴訟費用に組み込まれ、§ 91の敗訴者負担に服する。日本法の母法的構造。
米国は証言保全を Rule 27で認めるが、costs の範囲は限定的で弁護士費用は原則各自負担(American Rule)。費用転嫁の発想は日本とは前提が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 手術後に容態が急変し、家族が亡くなった。病院の説明に納得できないが、カルテを請求しても改ざんされるのではと不安が消えない。証拠保全を申し立てて裁判官同行でカルテを保全すれば、その費用は後の本訴で勝てば訴訟費用として回収できる。泣き寝入りする前に、まず証拠を凍結する一手がある
- もし、退職した会社のハラスメントを示す社内メールやチャットが、近く削除されると分かったら? 証拠保全でサーバー内のデータを保全できる。動きが遅れてデータが消えれば、証拠保全費用どころか裁判そのものが成り立たなくなる。残された時間は相手のログ保存期間次第だ
- あなたが経営する医院に、ある日裁判官と弁護士が証拠保全に来る。カルテの提示を求められ、正当な理由なく拒めば不利な事実を推認されうる。立ち会いにかかった費用も、後で訴訟費用の一部としてあなたに請求される可能性がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が証拠を握っている事件(医療・建築・労働など)では、紛争が表面化したらまず証拠の改ざん・滅失リスクを評価する2. リスクがあれば弁護士に証拠保全(234条)の申立てを相談、提訴前でも可能3. 保全にかかった手数料・複写費・専門家日当の領収書を全部保管、これが後で訴訟費用になる4. 本訴で勝訴したら、判決確定後に訴訟費用額確定処分(71条)を申し立て、証拠保全費用を含めて相手に請求する。この最後の一手を忘れない
訴えられた側:1. 裁判官同行の証拠保全を受ける側になったら、正当な理由なく拒むと不利な事実を推認されうるので、弁護士と立会い方針をすぐ詰める2. 保全対象の範囲が過大なら、その場で範囲の限定を申し入れる3. 後の本訴で自分が勝てば、相手の払った証拠保全費用を負担する必要はなく、逆に自分の費用を相手に請求できる4. 証拠保全の段階で見えた相手の手札を分析し、本訴前の和解交渉に活かす
時効(請求できる期限):証拠保全自体に時効はないが、証拠の滅失・改ざんのおそれがある間に動く必要があり、実質的な時間制約は相手の証拠保存期間(サーバーログ・カルテの保存年限など)に縛られる。費用回収のための訴訟費用額確定処分は、本案判決の確定後に申し立てる(民事訴訟法71条)
学説
通説:241条の「証拠保全に関する費用」は訴訟費用に算入され、敗訴者負担の原則(61条)に従う。ただし弁護士報酬は訴訟費用に含まれず、回収には訴訟費用額確定処分(71条)の申立てを要するとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により現行条番号に整理。証拠保全費用を訴訟費用の一部とする取扱いが現行241条として位置づけられた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める