民事訴訟法 第260条(仮執行の宣言の失効及び原状回復等)
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- 仮執行の宣言は、その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。
- 2.本案判決を変更する場合には、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行の宣言に基づき被告が給付したものの返還及び仮執行により又はこれを免れるために被告が受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
- 3.仮執行の宣言のみを変更したときは、後に本案判決を変更する判決について、前項の規定を適用する。
この条文の基本情報
仮執行の宣言の失効及び原状回復等とは何ですか?
定義仮執行の宣言の失効及び原状回復等とは、民事訴訟法第260条に定められた規定で、「仮執行の宣言は、その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第260条(仮執行の宣言の失効及び原状回復等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第260条の条文原文は「仮執行の宣言は、その宣言又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。」で始まります。
- 民事訴訟法第260条は第五章 判決に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第260条の前の条は民事訴訟法第259条です。
- 民事訴訟法第260条の次の条は民事訴訟法第261条です。
- 民事訴訟法第260条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第260条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第260条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/260
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法260条は、仮執行の宣言が本案判決の変更で失効し、被告の申立てにより同じ判決で給付物の返還と損害賠償を原告に命じると定める。別訴は不要である。
Q · 控訴審で逆転勝訴したら、仮執行で払わされた500万円は自動的に戻ってくるの?
申立てをすれば、同じ判決で返還と賠償を命じてもらえます
民事訴訟法260条1項により、仮執行の宣言は本案判決を変更する判決の言渡しで効力を失います。2項では、本案判決を変更する裁判所が、被告の申立てがあれば、その同じ判決の中で、仮執行で給付したものの返還と、仮執行により被った損害の賠償を原告に命じなければなりません。重要なのは、この申立てを口頭弁論終結前に出さないと、確定後に不当利得返還請求の別訴を起こす羽目になる点です。
解説
一審で負け、仮執行宣言の付いた判決で相手に500万円を払わされた。ところが控訴審であなたは逆転勝訴した。払った500万円はどうなるのか。多くの人はここで「また別に裁判を起こして取り返すのか」と肩を落とす。だが民訴260条2項は、その二度手間を消す。本案判決を変更する控訴審は、被告であるあなたの申立てがあれば、その同じ判決の中で、相手が受け取った給付の返還と、仮執行で被った損害の賠償を、原告に命じなければならない。別訴はいらない。一本の申立てで、払わされた金もその間の損害もまとめて取り戻す。1項はもっと根本的で、判決が変更された瞬間、仮執行宣言は自動的に効力を失う。あなたが本当に知っておくべきは、この申立てを控訴審の口頭弁論終結までに出さないと、結局は後から不当利得返還請求の別訴を起こす羽目になる、という点だ。タイミングを逃すだけで、勝ったのに回収が一段面倒になる。
法的な位置づけ
民事訴訟法260条は、仮執行の失効と原状回復を定める規定である。仮執行の宣言は本案判決を変更する判決により変更の限度で効力を失い、本案判決を変更する裁判所は、被告の申立てにより、その判決において仮執行に基づく給付物の返還および仮執行により又はこれを免れるために受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仮執行による給付内容と日付を保全する 仮執行で給付させられた金額・物・日付を確定し、執行調書や送金記録、差押えの通知を保全する。後の返還請求の基礎資料になる
- 2.執行停止手段を並行して検討する 仮執行を止められるなら、民事執行法39条の執行停止文書や上訴に伴う執行停止の裁判を同時並行で検討する。払わせてから取り返すより、最初から払わない方が確実なケースは多い
- 3.口頭弁論終結前に原状回復の申立てを提出する 控訴審で逆転の心証が見えたら、口頭弁論終結前に必ず260条2項の原状回復の申立てを提出し、給付物の返還を主張する。終結後では同一判決に乗せられない
- 4.損害の証拠を添付して賠償も主張する 仮執行で被った損害(執行停止の担保費用、明渡しの引っ越し代、休業損害)の証拠を逐一保存し、申立てと一緒に提出して逆転判決の主文に損害賠償まで書き込ませる
- 5.終結に間に合わなければ別訴に切り替える 口頭弁論終結に間に合わなかった場合は、確定後に不当利得返還請求(民法703条)の別訴に切り替える。消滅時効に注意して早期に提起する
よくある質問 AI による整理
Q1仮執行宣言とは何ですか?
確定前の判決でも権利者に強制執行を許す宣言です。フライング実行を認める代わりに、覆れば民訴260条で巻き戻されます。
Q2原状回復の申立てはいつまでにすべきですか?
本案判決を変更する控訴審等の口頭弁論終結前です。これを過ぎると同じ判決では回収できず、確定後に不当利得返還の別訴になります。
Q3仮執行で払った金を取り戻す方法は?
控訴審で逆転の心証が見えたら、口頭弁論終結前に民訴260条2項の原状回復の申立てを出します。返還命令が逆転判決の主文に入ります。
Q4仮執行の損害賠償はどこまで認められますか?
仮執行と相当因果関係のある損害です。執行停止の担保費用や明渡しの引っ越し代も対象になりえますが、立証は領収書など証拠次第です。
Q5仮執行宣言が失効するとはどういう意味ですか?
本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度で仮執行宣言の効力が自動的に失われることです(民訴260条1項)。
Q6原状回復の申立てと不当利得返還請求の違いは?
原状回復は同じ判決で簡易に回収する手続、不当利得返還は別訴です。終結前に申立てを出せば印紙代と数か月の時間を節約できます。
Q7仮執行を止める方法はありますか?
民事執行法39条の執行停止文書や、上訴に伴う執行停止の裁判があります。覆る前に止めれば、後から取り返す手間が省けます。
Q8原状回復の申立書はどう書きますか?
事件番号、当事者、仮執行で給付した金額・物・日付、返還を求める額と損害賠償の根拠を記載します。証拠書類を添付します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴で勝ったら、仮執行で払った分は自動的に返ってくるんですか?
1項で仮執行宣言の効力は自動的に失われますが、返還は自動ではありません。260条2項により、被告であるあなたが申立てをして初めて、裁判所が同じ判決で原告に返還を命じます。実務のポイント:この申立てを口頭弁論終結前に出しておくと、逆転判決の主文にそのまま返還命令が入り、別訴を起こさずに済みます。弁護士は逆転の見込みが立った瞬間にこの申立てを準備しますが、本人訴訟だと存在を知らずに勝訴後にもう一度訴訟を起こす人が多い
Q2返してもらえるのは払った元本だけですか、利息や損害も入りますか?
260条2項は、給付したものの返還に加えて、仮執行により、またはこれを免れるために被告が受けた損害の賠償まで命じられると定めています。強制執行を止めるために積んだ担保の費用や、明渡しの引っ越し代も対象になりえます。実務のポイント:損害賠償部分は仮執行と相当因果関係のある損害に限られるので、何が認められるかは証拠次第。仮執行を受けた時点から、関連する出費の領収書を一枚残らず保存しておくと、回収できる範囲が広がる
Q3原告が回収した金を使い切ってしまっていたら、取り返せないんですか?
判決で原告に返還が命じられるので、原告に返還義務は残ります。原告が任意に返さなければ、その判決を債務名義として原告の財産に強制執行できます。実務のポイント:原告が無資力だと現実の回収は困難になるので、逆転の見込みが高い案件では、仮執行を止める執行停止の手続(民事執行法39条等)を先に打っておくのが安全策。払わせてから取り返すより、最初から払わない方が確実なケースは多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴審で逆転勝訴すれば、払った金は当然に戻ってくる」と思われているが、1項で仮執行宣言が失効するのは自動でも、2項の返還・損害賠償は被告の申立てがあって初めて裁判所が命じる。黙っていれば判決にその主文は入らず、あなたは別途 不当利得返還請求(民法703条)の訴えを起こす羽目になる
- 原状回復は知っていても、その対象が「払った元本」だけだと思っている人が多い。実は260条2項は、仮執行により、またはこれを免れるために被告が受けた損害の賠償まで含む。強制執行を止めるために積んだ担保の費用、明渡しのための引っ越し代、これらも同じ判決で取り返せる射程にある。深刻さは元本回収だけにとどまらない
- 「仮執行されたら確定するまで動けない」と思い込んでいる人がいるが、問いの立て方が逆だ。仮執行を止める手段(民事執行法39条の執行停止文書、民訴の執行停止の裁判)と、覆った後に取り返す手段(260条)は別レイヤーで両方使える。止めるか、止められなければ後で取り返すか、最初から二段構えで設計するのが実務だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 性質 | 民訴260条:仮執行の失効と簡易な原状回復 | 民訴259条:仮執行の宣言(実行を許す根拠) 民法703条:不当利得返還請求(別訴) |
| 回収の手続 | 同じ判決で被告の申立てにより返還・賠償を命令 | —(実行を認める段階) 改めて別訴を提起し立証する |
| タイミング | 本案判決を変更する控訴審の口頭弁論終結前 | 本案判決とともに、または別に宣言 判決確定後、消滅時効内(5年/10年) |
| 対象範囲 | 給付物の返還 + 仮執行による損害の賠償 | — 現存利益の返還(損害賠償は別途) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も仮執行宣告の失効と、被告の申立てによる返還・損害賠償を同一判決で命じる枠組みで、日本と構造が酷似する。
韓国も가집행선고の失効と原状回復を規定し、上級審が変更判決の中で返還・賠償を命じる点で日本と類似する。
ドイツは仮執行宣言付判決が取り消された場合の権利者の無過失損害賠償責任を明文化しており、原状回復に加え賠償責任を広く認める。
米国は執行停止の担保(supersedeas bond)で先行執行を抑え、判決破棄後は restitution の法理で給付の返還を図る。専用の単一条文ではなく担保+判例法理の組合せで処理する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし一審で敗訴し、仮執行宣言付き判決で売掛金800万円を強制執行で取り立てられた直後に、控訴審で勝てる見込みが立ったら、あなたは何をすべきか。答えは「控訴審で逆転を狙うと同時に、原状回復の申立て(260条2項)を準備する」。逆転判決の中で800万円の返還を命じてもらえれば、別訴の印紙代も時間も丸ごと節約できる
- あなたが原告として一審で勝ち、仮執行で相手の口座から300万円を回収した。喜んで事業に使った。だが控訴審で判決が覆る。260条であなたは300万円を返すだけでなく、相手が仮執行で被った損害の賠償まで命じられうる。仮執行による回収は、確定するまで「借りている金」だという感覚を持っておくべきだ
- 賃料滞納で建物明渡しの仮執行を受け、引っ越し費用と営業損害を被った借家人。控訴審で明渡し判決が変更されれば、260条2項で原状回復に加えて、その損害の賠償も同じ判決で原告に命じさせられる。引っ越し代の領収書、休業の証拠を今のうちに残しておく
- 控訴審の口頭弁論が来週終結する。あなたは逆転の心証を得ている。だが原状回復の申立てをまだ出していない。終結後では遅い。あと数日で申立てを出さなければ、勝訴判決を手にしても、返還は別の訴訟をもう一度起こすことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仮執行で給付させられた金額・物・日付を確定し、執行調書や送金記録を保全する2. 仮執行を止められるなら、民事執行法39条の執行停止文書や民訴の執行停止の裁判を同時並行で検討する3. 控訴審で逆転の心証が見えたら、口頭弁論終結前に必ず260条2項の原状回復の申立てを提出、返還+仮執行で被った損害(担保費用・引っ越し代・休業損害)を主張する4. 終結に間に合わなかった場合は、確定後に不当利得返還請求(民法703条)の別訴に切り替える
訴えられた側:1. 原告として仮執行で回収した金は、判決確定までは「巻き戻されうる金」と認識し、安易に費消しない2. 控訴審で不利な心証が出たら、被告の原状回復申立てに備え、損害賠償の範囲(仮執行と相当因果関係のある損害か)を争う準備をする3. 返還額・損害額が過大なら、相手の主張する損害が仮執行と無関係でないか、領収書・因果関係を精査して反論する4. 逆転リスクが高い案件では、回収金を即時に処分せず、返還原資を確保しておく
時効(請求できる期限):260条2項の原状回復の申立ては、本案判決を変更する控訴審等の口頭弁論終結前に行う必要がある。これを過ぎると同一判決での回収はできず、確定後は不当利得返還請求(民法703条、消滅時効は権利を行使できると知った時から5年または権利行使可能時から10年、民法166条)の別訴によることになる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:260条1項の失効は当然に生じるが、2項の返還・損害賠償は被告の申立てを要し、裁判所はその限度で職権的に命じる。損害賠償の範囲は仮執行と相当因果関係のある損害に限られると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により、旧法の仮執行の原状回復に関する規定が現行260条として整理された。失効(1項)・返還および損害賠償(2項)・仮執行宣言のみの変更(3項)の三段構成が明確化された。
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